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【2025年版】2交代制勤務のすべて|給料・法律・3交代制との比較まで専門家が解説
目次
2交代制勤務は、その仕組みを正しく理解し、適切に自己管理することで、高収入とまとまった自由な時間を両立できる魅力的な働き方です。しかし、その一方で「生活リズムが崩れやすい」「体調管理が難しい」といった不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、2交代制の定義や勤務形態の種類といった基礎知識から、気になる給料(深夜割増賃金)の計算方法、労働基準法に基づく休憩・休日のルール、そして3交代制との具体的な違いまで、専門家が徹底的に解説します。
この記事を最後まで読めば、求職中の方が自分に合った仕事か判断するための知識はもちろん、現在働いている方がメリットを最大化しデメリットを克服するための具体的なノウハウ、さらに企業担当者が知るべき導入のポイントまで、2交代制に関するあらゆる疑問が解消されます。
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1. 2交代制勤務の基礎知識

2交代制勤務は、24時間体制で稼働が必要な工場や医療機関などを中心に、多くの業界で採用されている働き方です。 この勤務形態を正しく理解することは、自身のライフプランに合った仕事を選ぶ上で非常に重要です。まずは、2交代制の定義や目的、具体的な勤務形態の種類といった基礎知識から詳しく見ていきましょう。
1.1 2交代制とは?定義と目的
2交代制とは、1日24時間を「日勤」と「夜勤」など、2つの勤務時間帯(シフト)に分け、従業員が交代で業務に従事する勤務形態のことです。 職場の稼働時間が通常の8時間勤務よりも長い場合に採用され、従業員は一定の期間ごとに日勤と夜勤を入れ替わりながら働きます。
この制度の主な目的は、事業所を長時間、あるいは24時間体制で連続稼働させることにあります。 特に製造業の工場では生産ラインを止めずに稼働率を上げることで生産性を最大化し、医療や介護の現場では患者や利用者に途切れることのないケアを提供するために不可欠な働き方となっています。 また、従業員一人ひとりの長時間労働を防ぎ、労働時間を適切に管理するという目的も担っています。
1.2 勤務形態の種類(連続2交代制・非連続2交代制)
2交代制は、事業所の稼働時間によって大きく「連続2交代制」と「非連続2交代制」の2種類に分けられます。それぞれの特徴と勤務スタイルの違いを理解することが重要です。
| 種類 | 特徴 | 勤務時間例 | 主な導入先 |
|---|---|---|---|
| 連続2交代制 | 24時間体制で事業所を稼働させる形態。一方のシフトが終了すると、間を置かずに次のシフトが開始される。1回の勤務時間が12時間近くと長くなる傾向がある。 |
|
24時間稼働の製造工場、化学プラント、製鉄所など |
| 非連続2交代制 | 事業所の稼働時間が24時間ではないが、通常より長い場合(例:16時間稼働など)に採用される形態。シフトとシフトの間に業務を行わない時間帯が存在する。 |
|
自動車部品メーカー、一部の病院・介護施設、ホテルのフロント業務など |
この他にも、従業員を3つのグループに分けて2つのシフトを回す「3直2交代制」や、4つのグループで回す「4直2交代制」といった、休日を確保しやすくするための多様な勤務形態が存在します。
1.3 2交代制が採用される業界と職種の具体例
2交代制は、社会のインフラを支え、人々の生活に欠かせないサービスを提供する多くの業界で採用されています。 以下に、代表的な業界と職種の例を挙げます。
| 業界 | 職種の具体例 | 2交代制が採用される理由 |
|---|---|---|
| 製造業 | 自動車・電子部品・食品・薬品などの工場オペレーター、品質管理、設備保全 | 生産設備を24時間稼働させることで、生産効率を最大化し、国際競争力を維持するため。 |
| 医療・福祉 | 病院の看護師、介護施設の介護職員 | 入院患者や施設利用者の容態を24時間体制で見守り、緊急事態に迅速に対応するため。 |
| インフラ・運輸 | 製鉄所・化学プラントの作業員、長距離トラックドライバー、鉄道の保守・点検作業員 | 社会インフラの安定稼働や、物流を滞らせないために、昼夜を問わない業務が必要なため。 |
| サービス・保安 | ホテルのフロントスタッフ、24時間対応のコールセンタースタッフ、警備員、消防士 | 顧客への24時間サービス提供や、公共の安全を常に確保する必要があるため。 |
2. 労働者必見!2交代制のメリットを最大化する方法

2交代制勤務は、高い給与や多い休日といったメリットがある一方で、生活リズムが不規則になりがやすいという側面も持ち合わせています。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、そのメリットを最大限に享受し、充実した働き方を実現することが可能です。この章では、給与、休日、そしてプライベートの観点から、2交代制勤務のメリットを最大化するための具体的な方法を専門家が解説します。
2.1 給与明細でチェック!深夜割増賃金の計算方法
2交代制勤務の最大の魅力の一つは、深夜手当がつくことによる給与の高さです。 労働基準法第37条では、午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働した場合、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。 まずはご自身の給与明細を確認し、「深夜手当」や「夜勤手当」といった項目で正しく支給されているかチェックしましょう。
深夜割増賃金の計算は、以下の式で行うのが基本です。
1時間あたりの基礎賃金 × 1.25 × 深夜労働時間数
さらに、深夜労働が時間外労働(残業)と重なる場合は、割増率が合算されます。例えば、法定労働時間(1日8時間)を超えた残業が深夜帯に行われた場合、時間外割増25%+深夜割増25%で、合計50%以上の割増賃金が支払われることになります。 法定休日の深夜労働であれば、休日労働割増35%+深夜割増25%で、合計60%以上もの割増率が適用されます。
具体的な計算例を以下に示します。
| 条件 | 計算式 | 割増賃金 |
|---|---|---|
| 基礎時給1,500円の人が深夜に2時間勤務 | 1,500円 × 1.25 × 2時間 | 3,750円 (割増分は750円) |
| 基礎時給1,500円の人が深夜に2時間残業 | 1,500円 × 1.50 × 2時間 | 4,500円 (割増分は1,500円) |
| 基礎時給1,500円の人が法定休日の深夜に2時間勤務 | 1,500円 × 1.60 × 2時間 | 4,800円 (割増分は1,800円) |
このように、深夜手当や残業手当が正しく計算されることで、日勤のみの勤務に比べて大幅な収入アップが期待できます。 自身の働き方を正しく理解し、給与明細をしっかり確認することがメリット最大化の第一歩です。
2.2 年間休日数の考え方と有給休暇の賢い使い方
2交代制勤務は、「4勤2休」のように勤務日と休日をサイクルで回すシフトが多く、一般的な週休2日制(5勤2休)よりも年間休日数が多くなる傾向があります。 例えば「4勤2休」の場合、6日間で2日の休日があるため、1年の約3分の1が休みとなり、年間休日は120日以上にのぼります。 これは、心身のリフレッシュやプライベートの充実につながる大きなメリットです。
この多い休日をさらに有効活用するのが、有給休暇の賢い使い方です。2交代制のシフトの特性を理解することで、効果的に長期休暇を取得できます。
2.2.1 明け休みと公休を組み合わせる
夜勤が終わった後の日は「明け休み」と呼ばれます。これは勤務終了後の休息時間であり、法律上の「休日(公休)」とは異なります。この「明け休み」と「公休」、さらに「有給休暇」を組み合わせることで、少ない有給消化日数で長い連休を作ることが可能です。例えば、「夜勤→明け休み→公休→公休」というシフトの後に有給休暇を1日つければ、実質的に4連休のようなまとまった休みを確保できます。
2.2.2 シフトの変わり目に取得する
日勤から夜勤へ、または夜勤から日勤へと切り替わるタイミングは、体内時計の調整が必要で体に負担がかかりやすい時です。 この切り替えのタイミングで有給休暇を取得し、休息や睡眠の時間を十分に確保することで、体調を万全に整えることができます。健康を維持し、長く働き続けるためにも戦略的な有給取得は非常に重要です。
ただし、1勤務が暦日をまたぐ夜勤の場合、有給休暇を1日取得すると2労働日分として扱われる場合があるなど、企業によってルールが異なるため、就業規則を確認するか、人事部に問い合わせておくと安心です。
2.3 自己管理能力を高めてプライベートを充実させる
2交代制勤務は、自己管理を徹底することでプライベートを格段に充実させられる働き方です。 次の勤務者に業務を引き継げば良いため、突発的な残業が発生しにくいというメリットがあります。 終業後の時間を計画的に使えるため、自分らしいライフスタイルを築きやすいのです。
2.3.1 平日の日中を有効活用する
2交代制の大きな利点は、平日の日中に自由な時間ができることです。市役所や銀行、病院といった公的機関は土日祝日が休みのことが多いため、平日休みを利用して効率的に用事を済ませることができます。また、商業施設やレジャー施設、ジムなども平日は空いていることが多く、快適に利用できるでしょう。通勤ラッシュを避けられるのも、日々のストレスを軽減する上で見逃せないポイントです。
2.3.2 オンとオフのメリハリで時間を創出する
不規則な勤務だからこそ、意識的にオン(仕事)とオフ(プライベート)の切り替えを行うことが重要です。夜勤明けは体を休めることを最優先し、休日は趣味や自己投資、家族や友人との時間に充てるなど、メリハリのある生活を心がけましょう。 休日をしっかりとることで仕事へのモチベーションも維持しやすくなります。
睡眠の質を高める工夫(遮光カーテンの利用など)や、バランスの取れた食事を意識することも、充実したプライベートを送るための基盤となります。
3. 回避したい!2交代制のデメリットと具体的な対策

2交代制勤務は、高い給与や多い休日といったメリットがある一方で、心身への負担や生活面での課題といったデメリットも存在します。しかし、デメリットを正しく理解し、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。
この章では、2交代制勤務がもたらす可能性のあるデメリットを科学的な視点から分析し、今日から実践できる具体的な対策を詳しく解説します。
3.1 健康リスクを科学する|サーカディアンリズムの乱れとは
私たちの身体には、約24時間周期で心身の状態を変化させる「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれる体内時計が備わっています。 このリズムは、太陽の光を浴びることで調整され、体温やホルモン分泌、自律神経などをコントロールし、日中は活動的に、夜間は休息状態になるよう身体を導きます。 2交代制勤務、特に夜勤は、この自然なリズムに逆らう働き方のため、心身に様々な影響を及ぼす可能性があります。
3.1.1 サーカディアンリズムの乱れが引き起こす主な健康リスク
体内時計が乱れると、睡眠障害や疲労感の蓄積だけでなく、様々な健康リスクが高まることが指摘されています。 具体的には、以下のような症状や疾患のリスクが考えられます。
- 睡眠障害:「夜勤明けで疲れているのに眠れない」「日勤中に強い眠気に襲われる」といった不眠や睡眠の質の低下。
- 消化器系の不調:食生活の乱れから、胃もたれや便秘、食欲不振などを引き起こしやすくなります。
- 生活習慣病のリスク増加:長期的なリズムの乱れは、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの発症リスクを高めることが報告されています。
- 自律神経の乱れ:ホルモンバランスが崩れ、頭痛、めまい、気分の落ち込みといった不調が現れやすくなります。
- 免疫力の低下:不規則な生活は身体へのストレスとなり、免疫機能の低下につながることがあります。
3.1.2 今日からできる健康リスク対策
2交代制勤務による健康リスクを完全に無くすことは難しいかもしれませんが、日々の少しの工夫で負担を軽減することは可能です。以下の対策を参考に、自分に合ったセルフケアを見つけましょう。
| 対策のポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 睡眠の質を高める |
|
| 食事のタイミングと内容を工夫する |
|
| 適度な運動を取り入れる |
|
3.2 メンタルヘルスを保つためのセルフケア術
生活リズムの乱れや社会的な孤立感は、身体だけでなく心にも影響を及ぼします。 2交代制勤務者が精神的な健康を維持するためには、意識的なセルフケアが不可欠です。イライラや不安感、気力の低下といった心の不調は、誰にでも起こりうるサインと捉え、早期に対処することが重要です。
3.2.1 ストレスサインに気づき、早めに対処する
まずは自分自身の心の状態に注意を向ける習慣をつけましょう。「最近、集中力が続かない」「何でもないことでイライラする」といった変化は、ストレスが蓄積しているサインかもしれません。 そのような時は、一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。
3.2.2 自分に合ったリフレッシュ方法を見つける
休日は心身を回復させるための大切な時間です。 自分なりのリフレッシュ方法をいくつか持っておくと、ストレスを効果的に解消できます。
- リラックスできる時間を作る:ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、五感を使ってリラックスできる方法を試してみましょう。
- 趣味に没頭する:仕事のことを忘れられる趣味の時間は、最高の気分転換になります。まとまった休日を利用して、旅行や普段できないことに挑戦するのも良いでしょう。
- 軽い運動で汗を流す:ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、気分を前向きにする効果が期待できます。
もし、気分の落ち込みが続く、眠れないといった状態が改善しない場合は、無理をせず、会社の産業医やカウンセラー、心療内科などの専門家に相談することも大切な選択肢です。
3.3 人間関係を円滑に保つコミュニケーションのコツ
2交代制勤務は、土日休みの友人や日勤のみの家族と生活時間帯がずれやすく、プライベートの予定を合わせにくいという側面があります。 また、職場内でも日勤者と夜勤者の間でコミュニケーションが不足しがちになることがあります。こうしたすれ違いによる孤独感や情報格差を防ぐためには、意識的なコミュニケーションが鍵となります。
3.3.1 家族や友人との時間を大切にする工夫
大切な人たちとの関係を良好に保つためには、時間の「量」よりも「質」を重視することがポイントです。会えない時間が多くても、工夫次第で心の距離を縮めることができます。
- シフトを共有する:事前に自分の勤務スケジュールを伝えておくことで、相手も予定を立てやすくなります。
- 連絡を密にする:短い時間でも電話をしたり、メッセージアプリを活用したりして、日々の出来事を共有しましょう。
- 平日の休みを有効活用する:役所や銀行での手続き、混雑の少ない場所への外出など、平日休みならではのメリットを一緒に楽しむ計画を立てるのもおすすめです。
3.3.2 職場のコミュニケーションを円滑にするポイント
職場での円滑な人間関係は、仕事の効率やモチベーションに直結します。特に2交代制では、勤務帯の異なるスタッフとの情報共有が重要です。
| 課題 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 情報共有の不足 |
|
| すれ違いによる連帯感の希薄化 |
|
これらのデメリットと対策を理解し、日々の生活の中で実践していくことで、2交代制勤務という働き方を、より健康的で充実したものにしていくことができるでしょう。
4. 法律はこうなっている!2交代制と労働基準法

2交代制勤務は、長時間稼働が必要な工場や病院などで採用される働き方ですが、労働者の健康や生活に大きな影響を与えるため、労働基準法などの法律で様々なルールが定められています。従業員と企業の双方が法律を正しく理解し、健全な職場環境を築くことが重要です。この章では、2交代制勤務に関わる法律のポイントを詳しく解説します。
4.1 休憩時間と休日の法的ルール
長時間労働になりがちな2交代制勤務では、心身の疲労を回復させるための休憩時間と休日を適切に確保することが法律で義務付けられています。
4.1.1 休憩時間の3原則と2交代制
労働基準法第34条では、休憩時間について「途中付与」「一斉付与」「自由利用」の3つの原則を定めています。 2交代制勤務においても、これらの原則は基本的に適用されます。
- 労働時間に応じた休憩時間: 労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中で与えなければなりません。 1回の勤務が12時間など長時間に及ぶ2交代制では、法定通り最低1時間の休憩が必須です。
- 途中付与の原則: 休憩は必ず労働時間の途中に与える必要があります。 勤務開始直後や終了間際に休憩を与えることは認められません。
- 一斉付与の原則: 休憩は原則として、事業場の全労働者に一斉に与える必要があります。 ただし、24時間稼働の工場や病院など、業務の性質上一斉休憩が困難な場合は、労働者の過半数で組織する労働組合などとの間で労使協定を結ぶことにより、交代で休憩を取得することが認められています。
- 自由利用の原則: 休憩時間は労働から完全に解放されていなければならず、労働者は自由に利用できなければなりません。電話番や来客対応などをしながらの「手待ち時間」は休憩時間とはみなされず、労働時間に含まれます。
夜勤における「仮眠時間」が休憩時間にあたるかどうかは、労働から完全に解放されているかによります。仮眠中に緊急対応の義務がある場合は労働時間と判断される可能性があります。
4.1.2 法定休日と「夜勤明け」の考え方
労働基準法第35条では、使用者は労働者に対して「毎週少なくとも1回」または「4週間を通じて4日以上」の休日(法定休日)を与えなければならないと定めています。
2交代制勤務者にとって特に重要なのが、「夜勤明けの日」の扱いです。原則として、夜勤明けの日は法定休日にはなりません。 なぜなら、法律上の休日は「暦日(午前0時から午後12時までの24時間)」で与えることが原則だからです。
例えば、月曜21時から火曜朝9時まで勤務した場合、火曜日の残りの時間は休日ではなく「明け休み」や「非番」として扱われます。 したがって、企業は夜勤明けの日とは別に、暦日単位での休日を法廷の基準通りに設けなければなりません。
4.2 時間外労働(残業)の上限と割増賃金
2交代制勤務は1回の勤務時間が長くなる傾向にありますが、法定労働時間を超える労働や深夜労働に対しては、法律で上限が定められ、割増賃金の支払いが義務付けられています。
4.2.1 36協定と時間外労働の上限規制
労働基準法では、労働時間を原則「1日8時間・週40時間」と定めています(法定労働時間)。これを超えて労働させる場合、企業は労働者の過半数代表者との間で「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定を締結した場合でも、時間外労働には上限が設けられています。
- 原則: 月45時間・年360時間
- 臨時的な特別な事情がある場合(特別条項付き36協定):
- 年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計について、「2~6ヶ月平均」が全て1月あたり80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度
これらの上限規制は、2交代制勤務にも当然適用されます。企業はシフト管理を徹底し、上限を超えないように注意しなければなりません。
4.2.2 知っておくべき割増賃金の種類と割増率
法定労働時間を超える労働や、深夜・休日の労働に対しては、通常の賃金に加えて割増賃金を支払う必要があります。2交代制では複数の割増賃金が同時に発生することも多いため、正しく理解しておくことが大切です。
| 労働の種類 | 条件 | 割増率 |
|---|---|---|
| 時間外労働 | 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働 | 25%以上 |
| 時間外労働(月60時間超) | 時間外労働が1ヶ月に60時間を超えた部分 | 50%以上 |
| 深夜労働 | 午後10時から午前5時までの間の労働 | 25%以上 |
| 休日労働 | 法定休日の労働 | 35%以上 |
これらの割増率は重複して適用されます。 例えば、法定時間外労働が深夜に及んだ場合、その時間帯の割増率は「時間外労働25% + 深夜労働25% = 50%以上」となります。 また、法定休日に深夜労働を行った場合は、「休日労働35% + 深夜労働25% = 60%以上」となります。
4.3 企業が遵守すべき安全配慮義務
企業は、労働契約法第5条に基づき、労働者が安全と健康を確保しながら働けるように配慮する「安全配慮義務」を負っています。生活リズムが不規則になりがちな2交代制勤務は、労働者の心身への負担が大きくなる可能性があるため、企業には特に高いレベルの配慮が求められます。
4.3.1 深夜業従事者の健康診断
労働安全衛生法では、常時深夜業(午後10時~午前5時)に従事する労働者に対し、企業は「特定業務従事者健康診断」を実施する義務があります。
- 実施頻度: 当該業務への配置替えの際、および6ヶ月以内ごとに1回(年2回)。
- 対象者: 週に1回以上または月に4回以上、深夜業に従事する労働者が対象となります。
企業は対象者を正確に把握し、定期的に健康診断を実施することで、労働者の健康状態を管理する責任があります。
4.3.2 過重労働による健康障害の防止
2交代制勤務は、長時間労働や不規則な勤務サイクルにより、過重労働につながりやすい側面があります。企業は、過重労働による健康障害を防ぐため、以下のような措置を講じる必要があります。
- 労働時間の適正な把握: タイムカードや勤怠管理システムなどを用いて、客観的な方法で労働時間を正確に記録・管理する。
- 医師による面接指導: 時間外・休日労働時間が一定の基準(月80時間超など)を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申し出があった場合、医師による面接指導を実施する。
- 勤務間インターバル制度の導入: 勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する努力義務が課されています。
- 仮眠施設・休憩室の整備: 夜間勤務中に仮眠や休憩が取れるよう、適切な施設を整備することも安全配慮義務の一環と考えられます。
これらの法的なルールを遵守することはもちろん、従業員一人ひとりの健康と安全を守るための積極的な取り組みが、企業には求められています。
5. 【徹底比較】2交代制 vs 3交代制 vs 変形労働時間制

2交代制勤務を検討する際、他の勤務形態との違いを理解することは、ご自身のライフプランに合った働き方を見つける上で非常に重要です。特に、しばしば比較対象となる「3交代制」や、2交代制と密接な関係にある「変形労働時間制」について正しく知ることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
この章では、それぞれの勤務形態の特徴を多角的に比較し、あなたに最適な働き方を選ぶための指針を示します。
5.1 3交代制との違い(勤務時間・給与・休日)
3交代制とは、1日24時間を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」のように3つの時間帯に分け、3つのグループが交代で勤務する形態です。主に看護師や一部の製造業で採用されています。1回の勤務時間が8時間程度になるのが大きな特徴です。ここでは、2交代制と3交代制の具体的な違いを表で見ていきましょう。
| 比較項目 | 2交代制 | 3交代制 |
|---|---|---|
| 1回の勤務時間 | 長い(12時間勤務など) | 短い(8時間勤務など) |
| 身体的・精神的負担 | 1回あたりの拘束時間が長く、体への負担が大きい傾向。ただし、生活リズムの切り替えは比較的シンプル。 | 1回あたりの負担は少ないが、シフトの切り替えが頻繁で生活リズムが乱れやすい傾向。 |
| 給与(深夜手当) | 1回の夜勤あたりの深夜労働時間が長いため、手当額が大きくなりやすい。 | 夜勤の回数が多くなるため、手当がつく機会は多いが、1回あたりの手当額は2交代制より少なくなる傾向。 |
| 休日 | 「4勤2休」など、まとまった休日を取りやすい傾向にある。夜勤明けの休みを含めると、プライベートの時間を確保しやすい。 | 勤務サイクルが短いため、休日のパターンが複雑になりがち。勤務間のインターバルが短くなる場合がある。 |
| シフトの複雑さ | 日勤と夜勤の2パターンで比較的シンプル。 | 日勤・準夜勤・深夜勤の3パターンがあり、生活リズムの調整がより複雑になる。 |
このように、2交代制は1回の勤務時間が長い分、休日がまとまっており、1回の夜勤でしっかり稼げる可能性があります。一方、3交代制は1回あたりの身体的負担は少ないものの、シフトの切り替えが多く、生活リズムの維持がより難しくなるという側面があります。
5.2 変形労働時間制との関係性
「2交代制」と「変形労働時間制」は、しばしば混同されがちですが、全く異なる概念です。「2交代制」が日勤・夜勤といった“働き方のパターン”を指すのに対し、「変形労働時間制」は労働基準法で定められた“労働時間の管理方法”の一つです。
労働基準法では、原則として労働時間を「1日8時間・週40時間」と定めています。しかし、2交代制で1日12時間勤務する場合、この規定を超えてしまい、毎日4時間の残業が発生することになってしまいます。そこで多くの企業が導入しているのが「1ヶ月単位の変形労働時間制」です。
変形労働時間制とは、月単位や年単位といった一定期間を平均し、週の労働時間が40時間以内に収まっていれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて勤務させることができる制度です。例えば、1ヶ月単位の変形労働時間制を適用すれば、ある日は12時間勤務、別の日は休日、といったシフトを組むことで、1ヶ月の平均労働時間を週40時間以内に調整し、残業代の発生を抑制することが可能になります。
つまり、多くの2交代制勤務の職場では、適法に長時間勤務のシフトを組むために、変形労働時間制がセットで運用されているのです。求人情報を見る際は、「2交代制」という言葉だけでなく、「変形労働時間制(1ヶ月単位など)」の記載があるかどうかも確認すると、その企業の労働時間管理についてより深く理解できます。
5.3 ライフプランに合わせた勤務形態の選び方
2交代制、3交代制、どちらが良いかは一概には言えません。ご自身の価値観やライフプラン、体力などを総合的に考慮して判断することが何よりも大切です。
5.3.1 2交代制が向いている方の特徴
- 給与を重視し、効率的に稼ぎたい方:1回の夜勤でまとまった深夜手当を得たい方に向いています。
- まとまった休日を確保したい方:「勤務日」と「休日」のメリハリをつけやすく、平日の連休などを利用してプライベートを充実させたい方におすすめです。
- 体力に自信がある方:長時間の勤務や昼夜逆転の生活リズムに対応できる身体的な強さが求められます。
5.3.2 3交代制が向いている方の特徴
- 1回あたりの勤務負担を軽減したい方:長時間の集中力維持に不安がある方や、身体的な負担を少しでも軽くしたい方に適しています。
- 短いサイクルで働くことに抵抗がない方:勤務時間が短い分、シフトの切り替わりが頻繁になるため、こまめな生活リズムの調整が得意な方に向いています。
最終的には、どちらの制度にもメリット・デメリットが存在します。重要なのは、求人先の企業がどのような勤務スケジュールを採用しており、それが自分の希望するライフスタイルと合致しているかを見極めることです。給与や休日日数といった表面的な情報だけでなく、勤務時間のパターン、休憩や仮眠の取得状況、有給休暇の取得しやすさなど、具体的な働き方についてもしっかりと確認しましょう。
6. 企業担当者向け|2交代制導入のポイントとシフト管理術

24時間体制での稼働が求められる製造業や医療・介護業界などにおいて、2交代制は生産性向上と従業員のワークライフバランスを両立させるための有効な選択肢です。しかし、その導入と運用には、人件費の増加や労務管理の複雑化といった課題も伴います。この章では、企業担当者の視点から、2交代制導入のメリット・デメリットを整理し、従業員の健康を守りながら生産性を最大化するための具体的なシフト管理術について解説します。
6.1 導入のメリットとデメリット
2交代制の導入を検討する際には、企業側にとっての利点と課題を多角的に評価することが不可欠です。以下に、主なメリットとデメリットをまとめました。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 生産性・収益性 |
|
|
| 人材・労務管理 |
|
|
| その他 |
|
|
6.2 従業員の健康を守るための配慮
2交代制勤務、特に夜勤は、従業員の生活リズムを乱し、心身に大きな負担をかける可能性があります。 企業には、労働契約法に基づく「安全配慮義務」があり、従業員が健康で安全に働けるよう配慮する責任があります。具体的な対策を怠ると、生産性の低下や労災リスクの増大につながるため、以下の点に留意する必要があります。
6.2.1 法定の義務と努力義務
企業は、労働安全衛生法などの法律に基づき、以下の対応を行う義務があります。
- 特定業務従事者の健康診断:深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6ヶ月以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施する必要があります。
- 十分な休憩・仮眠時間の確保:夜間の長時間勤務においては、法定の休憩時間に加え、仮眠を取れる休憩スペースや設備を整備することが望ましいです。
- 産業医との連携:産業医を選任し、健康診断結果に基づく事後措置や、長時間労働者への面接指導などを通じて、専門的な見地から従業員の健康管理をサポートする体制を整えます。
6.2.2 具体的な健康管理施策
法定の義務に加え、従業員の健康を維持し、生産性を高めるために以下のような施策が有効です。
- シフトサイクルの工夫:日勤から夜勤へ、夜勤から休日への移行時に十分な休息期間を設けるなど、身体への負担が少ないシフトサイクル(正循環シフト)を導入します。
- 食事や栄養への配慮:深夜勤務者向けに、温かく消化の良い食事を提供できる食堂を設置したり、栄養バランスに関する情報提供を行ったりします。
- メンタルヘルスケアの充実:ストレスチェックの実施や、気軽に相談できる窓口を設置し、精神的な不調の早期発見とケアに努めます。
- 睡眠に関する教育:質の高い睡眠を確保するための具体的な方法(例:就寝前のスマートフォンの使用を控える、遮光カーテンを利用するなど)について情報提供や研修を行います。
6.3 AI活用による効率的なシフト作成方法
2交代制のシフト作成は、従業員の希望休、スキル、労働関連法規など、考慮すべき条件が複雑に絡み合うため、担当者にとって大きな負担となります。 近年、こうした課題を解決する手段として、AIを活用したシフト管理システムの導入が注目されています。
6.3.1 従来のシフト作成における課題
手作業やExcelによるシフト作成では、以下のような問題が発生しがちです。
- 作成に膨大な時間がかかる:従業員一人ひとりの希望や条件をパズルのように組み合わせる作業は、非常に時間がかかります。
- 法令遵守の確認が困難:「勤務間インターバル」や「時間外労働の上限規制」といった複雑な法規制を、ミスなく遵守することが難しいです。
- 公平性の担保が難しい:特定の従業員に負担が偏るなど、作成者の主観が入りやすく、不満の原因となることがあります。
- 属人化のリスク:シフト作成のノウハウが特定の担当者に集中し、その担当者が不在の場合に対応できなくなるリスクがあります。
6.3.2 AIシフト管理システム導入のメリット
AIを搭載したシフト管理システムを導入することで、これらの課題を解決し、業務効率を大幅に向上させることが可能です。
- 作成時間の大幅な短縮:従業員のスキル、勤務希望、法令などの条件を登録するだけで、AIが最適なシフトを数秒から数分で自動作成します。
- コンプライアンスの強化:労働基準法などのルールをシステムが自動でチェックするため、法令違反のリスクを未然に防ぎます。
- 最適な人員配置の実現:従業員のスキルや習熟度を考慮した配置を自動で行い、サービスの質を維持・向上させます。
- 急な欠勤への迅速な対応:急な欠勤者が出た場合でも、ヘルプを募集したり、条件に合う代替人員を迅速に検索したりすることが可能です。
6.3.3 システムの選定ポイント
AIシフト管理システムを導入する際は、以下のポイントを確認し、自社に最適なツールを選定することが重要です。
- 自社の勤務形態への対応:2交代制はもちろん、変形労働時間制など、自社特有の複雑なシフトパターンに対応できるか。
- 既存システムとの連携:給与計算ソフトや勤怠管理システムと連携し、データ入力の手間を削減できるか。
- 操作性とサポート体制:シフト管理者だけでなく、従業員もスマートフォンアプリなどで直感的に操作できるか。導入後のサポート体制は充実しているか。
- 費用対効果:システムの導入・運用コストに見合うだけの業務効率化や人件費削減効果が見込めるか、慎重に評価します。
7. まとめ
本記事では、2交代制勤務の定義や種類といった基礎知識から、労働者・企業それぞれのメリット・デメリット、関連する労働基準法の規定、そして3交代制との比較まで、多角的な視点から網羅的に解説しました。
2交代制は、深夜割増賃金などにより高い給与水準が期待できる一方で、サーカディアンリズムの乱れによる健康リスクも伴う働き方です。この勤務形態で成功を収める結論としては、自身の健康状態を正確に把握し、生活リズムを整える「自己管理能力」が最も重要であると言えるでしょう。また、労働基準法で定められた休憩や休日のルールを正しく理解し、自身の権利を守ることも不可欠です。
ご自身のライフプランや体力、求めるワークライフバランスを総合的に考慮し、2交代制が本当に自分に合った働き方なのかを慎重に見極めることが、長期的なキャリア形成の鍵となります。この記事が、2交代制勤務について理解を深め、より良い働き方を選択するための一助となれば幸いです。
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