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【初心者向け】Excelシフト表の作り方を4ステップで解説!テンプレートや関数も紹介

【初心者向け】Excelシフト表の作り方を4ステップで解説!テンプレートや関数も紹介

毎月のシフト作成に時間がかかっていませんか?「Excelでシフト表を作りたいけど、初心者だから何から手をつければいいかわからない…」そんな悩みを抱えている方も多いでしょう。

この記事を読めば、Excelの基本機能と簡単な関数を使うだけで、日付や人数の集計を自動化した、見やすく管理しやすいシフト表の作り方がわかります。本記事では、シフト表作成の準備から、レイアウト作成、日付・曜日の自動入力、関数を使った自動集計といった基本の4ステップを丁寧に解説。さらに、すぐに使える無料テンプレートの活用法や、時給計算まで自動化する応用テクニックも紹介します。手作業による入力ミスや計算ミスを防ぎ、効率的なシフト管理を実現しましょう。

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1. まずは準備から!シフト表作成を始める前に決めておくこと

Excelでシフト表を作成する際、多くの方がすぐにシートを開いてレイアウト作成から始めてしまいます。しかし、効率的で使いやすいシフト表を作るためには、事前の準備が非常に重要です。この準備段階を丁寧に行うことで、後からの修正や作り直しといった手戻りを防ぎ、スムーズなシフト管理を実現できます。ここでは、シフト表作成を始める前に必ず決めておくべき3つのポイントを解説します。

1.1 必要な情報を洗い出す

最初に、作成するシフト表にどのような情報が必要かをすべてリストアップします。 「誰が」「いつ」「どの時間帯に」勤務するのかを正確に管理することがシフト表の基本的な役割です。抜け漏れがあると、後から項目を追加する手間が発生したり、給与計算などの関連業務に支障が出たりする可能性があります。最低限、以下の項目は盛り込むようにしましょう。

分類 項目名 内容
基本情報 従業員名 シフトに入るスタッフの名前を記載します。
日付・時間 日付・曜日 勤務する日付と曜日を記載します。
日付・時間 勤務時間 始業時刻と終業時刻を記載します。「9:00-17:00」のように入力します。
日付・時間 休憩時間 労働基準法で定められた休憩時間を記載します。
集計情報 実労働時間 勤務時間から休憩時間を除いた、実際に労働した時間を計算して記載します。
集計情報 日ごとの出勤人数 その日に出勤するスタッフの合計人数を記載します。人員配置の過不足を確認するために重要です。
集計情報 個人の合計勤務日数・時間 従業員ごとの月間合計勤務日数や総労働時間を記載します。給与計算や労働時間管理に役立ちます。
その他 備考欄 特記事項や連絡事項などを記載できるスペースを用意しておくと便利です。

これらの項目をあらかじめ洗い出しておくことで、必要な機能やレイアウトの全体像が見え、手戻りのないシフト表作成が可能になります。

1.2 シフトの種類(固定・変動など)を決める

次に、自社の働き方に合ったシフトの種類を決定します。シフトには、勤務時間の決め方による分類と、シフト表の期間による分類があります。それぞれの特徴を理解し、最適な形式を選びましょう。

1.2.1 勤務時間の決め方

スタッフの勤務時間をどのように決めるかによって、「固定シフト制」と「変動シフト制」に大別されます。

種類 特徴 メリット デメリット
固定シフト制 出勤する曜日や時間帯が常に決まっている働き方です。 毎月シフトを作成する手間が省け、収入が安定しやすいです。 急な欠員に対応しにくく、従業員が休みを取りづらい場合があります。
変動シフト制(希望シフト制) 従業員から希望の勤務日時を募り、それを基にシフトを作成する働き方です。 従業員のプライベートな予定に対応しやすく、柔軟な人員配置が可能です。 希望が偏ると調整が難しく、シフト作成者の負担が大きくなります。

1.2.2 シフト表の期間

シフトを管理する期間によって、主に「月間シフト」「週間シフト」「タイムシフト」の3種類があります。 業種や管理の目的に合わせて選びましょう。

表示形式 特徴 適した職場・用途
月間シフト表 1ヶ月単位でシフトを管理する、最も一般的な形式です。 各スタッフの勤務バランスや長期的な人員計画を把握しやすいのが特徴です。 オフィスワーク、小売店、クリニックなど、多くの業種で利用されます。
週間シフト表 1週間単位でシフトを管理する形式です。 曜日ごとに必要な人数や業務内容が変動する職場に向いています。 急な欠員にも対応しやすいです。 飲食店、イベント運営、工場のラインなど、繁閑の差が激しい職場に適しています。
タイムシフト表 1日の中で、時間帯ごとの人員配置を管理する形式です。 「誰が」「何時から何時まで」働いているかが一目でわかります。 24時間営業のコンビニや、介護施設・医療現場など、時間帯ごとの連携が重要な職場に有効です。

1.3 シフト作成のルールを明確にする

最後に、シフトを作成する上でのルールを明確に定めます。ルールが曖昧だと、従業員間の不公平感や、意図せず法律に違反してしまうリスクが生じます。 特に以下の点については、事前にルール化しておくことが不可欠です。

  • 法令の遵守: 労働基準法で定められたルールは必ず守らなければなりません。
    • 労働時間: 原則として「1日8時間・週40時間」を超えて労働させる場合は、36協定の締結と割増賃金の支払いが必要です。
    • 休憩時間: 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。
    • 休日: 少なくとも週に1日、または4週間を通じて4日以上の休日を設けなければなりません。
    • 連続勤務: 過度な連続勤務は従業員の健康を害する可能性があるため、上限日数を設けるなどの配慮が求められます。
  • 希望シフトの提出ルール: 変動シフト制の場合、希望の提出方法や期限、希望休の日数制限などを決めておきます。これにより、シフト作成の遅延や従業員間のトラブルを防ぎます。
  • 人員配置のルール: 「新人スタッフの時間帯には必ずベテランを1名配置する」「レジ対応ができるスタッフを常に2名以上確保する」など、業務内容や従業員のスキルに応じた配置ルールを定めます。
  • 公平性の確保: 特定の従業員に負担が偏らないよう、土日祝の出勤回数や早番・遅番の回数などを公平に割り振るためのルールを設けます。

これらの準備を事前に行うことで、Excelでの具体的な作成作業がスムーズに進むだけでなく、完成したシフト表がより実用的で、トラブルの少ないものになります。

2. 【実践】Excelでシフト表を作る4つの基本ステップ

ここからは、実際にExcelでシフト表を作成する具体的な手順を4つのステップに分けて解説します。関数や便利な機能を活用することで、手作業を減らし、正確で効率的なシフト管理を目指しましょう。

2.1 ステップ1:基本のレイアウトを作成する

まずはじめに、シフト表の骨格となるレイアウトを作成します。誰が見ても分かりやすいように、情報を整理して配置することが重要です。

2.1.1 従業員名、日付、曜日欄を用意

一般的には、縦軸(行)に従業員名、横軸(列)に日付と曜日を配置する形式が多く用いられます。以下のように、基本的な項目を配置しましょう。

  • A列:従業員の名前を入力する欄
  • B1セル、C1セルなど1行目:日付を入力する欄
  • B2セル、C2セルなど2行目:曜日を入力する欄
  • シフト表の上部:「〇〇年」「〇〇月」といった年月を指定するセルも用意しておくと、後々の自動入力設定に便利です。

この段階では、まず見出しとなる項目を入力し、罫線を使って表の枠組みを作成しておくと、全体のイメージが掴みやすくなります。

2.2 ステップ2:日付と曜日を自動で入力する

毎月手作業で日付と曜日を入力するのは手間がかかり、入力ミスの原因にもなります。関数を使えば、年月を指定するだけで自動的に日付と曜日が入力されるように設定できます。

2.2.1 DATE関数とWEEKDAY関数を活用する

日付と曜日の自動入力には、主に「DATE関数」と「WEEKDAY関数」または「TEXT関数」を組み合わせます。

日付の自動入力 (DATE関数):

例えば、A1セルに「年」、B1セルに「月」を入力するとします。シフト表の最初の日付(1日)を表示させたいセル(例: B3セル)に、以下の数式を入力します。

=DATE(A1,B1,1)

これにより、A1セルとB1セルに入力された年月に基づいて、1日の日付が自動で表示されます。2日以降は、前日のセルに「+1」する数式(例: C3セルに =B3+1)を入力し、月末までオートフィルでコピーすれば、1ヶ月分の日付が簡単に入力できます。

曜日の自動入力 (WEEKDAY関数と表示形式):

日付のすぐ下の行(例: B4セル)に曜日を表示させます。WEEKDAY関数は日付に対応する曜日を数値で返します(例:日曜日=1、月曜日=2…)。 しかし、これでは分かりにくいため、セルの表示形式を工夫します。B4セルに以下の数式を入力します。

=B3

この数式を入力した後、セルの書式設定を開き、「表示形式」タブの「ユーザー定義」で種類を「aaa」または「aaaa」に設定します。 これにより、日付のシリアル値を参照して「月」や「月曜日」といった曜日が表示されるようになります。このセルを月末までオートフィルでコピーすれば、すべての日付に対応した曜日が自動で表示されます。

2.2.2 条件付き書式で土日祝日に色を付ける

シフト表の視認性を高めるために、土日や祝日のセルに自動で色が付くように設定しましょう。「条件付き書式」機能を使えば、特定の条件に合致するセルの書式(塗りつしや文字色)を自動で変更できます。

土日の設定方法:

  1. 色を付けたい範囲(日付、曜日、シフト入力欄全体)を選択します。
  2. 「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選択します。
  3. 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。
  4. 数式入力欄に、土曜日を判定する数式 ` =WEEKDAY(B$3)=7 ` を入力します。(B3は範囲の先頭列の日付セルを指定し、行番号の前に「$」を付けて列を固定します)
  5. 「書式」ボタンから、塗りつぶしの色(例:水色)や文字色を設定します。
  6. 同様の手順で、日曜日を判定する数式 ` =WEEKDAY(B$3)=1 ` を設定し、別の色(例:ピンク)を指定します。

祝日の設定方法:

祝日に色を付けるには、まずシートを新たに追加し、祝日の日付リストを作成しておく必要があります。 その後、COUNTIF関数を用いて祝日かどうかを判定する条件付き書式を設定します。 土日と同様に範囲を選択し、新しいルールの数式に以下のように入力します。

=COUNTIF(祝日リストの範囲, B$3)=1

これで、日付が祝日リストに含まれる場合に自動でセルに色が付き、より分かりやすいシフト表になります。

2.3 ステップ3:シフトを入力しやすくする工夫

シフトの入力は頻繁に行う作業です。入力ミスを防ぎ、誰でも簡単に入力できるように「データの入力規則」を活用しましょう。

2.3.1 プルダウンリスト(データの入力規則)で入力ミスを防ぐ

「早番」「遅番」「休み」などのシフトパターンを手入力すると、「早番」「早」といった表記の揺れが発生し、後の自動集計がうまくいかない原因になります。これを防ぐために、あらかじめ用意したリストから選択する形式(プルダウンリスト)に設定するのがおすすめです。

設定手順:

  1. 別のシートや空いているスペースに、「早番」「遅番」「日勤」「夜勤」「休み」など、シフトの種類をリストとして入力しておきます。
  2. シフトを入力するセル範囲をすべて選択します。
  3. 「データ」タブから「データの入力規則」をクリックします。
  4. 「設定」タブの「入力値の種類」で「リスト」を選択します。
  5. 「元の値」のボックスに、手順1で作成したシフト種類のリストのセル範囲を指定します。
  6. 「OK」をクリックすると、選択したセルにプルダウンメニューが表示され、リストから選ぶだけで入力できるようになります。

2.4 ステップ4:人数や時間を自動で集計する

シフト表が完成したら、日ごとの出勤人数や個人の労働時間などを自動で計算できるように設定します。これにより、人員の過不足の確認や給与計算の効率化が図れます。

2.4.1 COUNTIF関数で日ごとの出勤人数をカウント

日ごとやシフトパターンごとの出勤人数を把握するために「COUNTIF関数」が役立ちます。 この関数は、指定した範囲内で特定の条件に一致するセルの数を数えることができます。

例えば、各日の下に集計欄を設け、その日の「早番」の人数をカウントしたい場合、集計セルに以下の数式を入力します。

=COUNTIF(その日のシフトが入力されている列の範囲, "早番")

「”早番”」の部分を「”遅番”」や「”休み”」などに変更すれば、それぞれの人数を簡単に集計できます。これを各日付の列に設定することで、一目で人員配置の状況を確認できます。

2.4.2 SUMIF関数で個人の労働時間を計算

従業員ごとの総労働時間を自動計算するには、まずシフトパターンごとの労働時間を定義した表を別途作成します。例えば、「早番=8時間」「遅番=7.5時間」といった対応表です。

個人の総労働時間を計算するには、COUNTIF関数と掛け算を組み合わせる方法が分かりやすいでしょう。例えば、従業員Aさんの1ヶ月のシフトが入力されている行の右端に集計欄を設けます。そこに以下の数式を入力します。

=(COUNTIF(従業員Aのシフト範囲, "早番") * 8) + (COUNTIF(従業員Aのシフト範囲, "遅番") * 7.5)

このように、各シフトパターンの回数をCOUNTIF関数で数え、それぞれの労働時間を掛けて合計することで、総労働時間を自動で算出できます。また、SUMIF関数を活用する場合は、作業内容ごとに時間を集計する際などに有効です。

3. もっと便利に!シフト表作成に役立つExcel応用テクニック

基本的なシフト表の作成に慣れてきたら、次に応用テクニックを取り入れて、さらに便利で効率的なシフト管理を目指しましょう。ここでは、時間短縮に繋がるテンプレートの活用法と、複雑な計算を自動化する便利な関数について詳しく解説します。

3.1 無料テンプレートを活用して時間短縮

Excelでのシフト表作成において、ゼロからすべてを自分で作るのは大変な作業です。そこで役立つのが、インターネット上で配布されている無料のテンプレートです。これらを活用することで、作成時間を大幅に短縮できます。

3.1.1 Microsoft公式テンプレートの紹介

まず検討したいのが、Excelを提供しているMicrosoftの公式サイトにあるテンプレートです。 「従業員勤務スケジュール」や「シフト管理表」といった名称で、質の高いテンプレートが無料で提供されています。 これらはExcelの「ファイル」タブから「新規作成」を選び、検索ボックスに「シフト」と入力するだけで簡単に見つけることができます。公式テンプレートは汎用性が高く、カスタマイズしやすいのが特徴です。

3.1.2 テンプレートを選ぶ際の注意点

テンプレートは非常に便利ですが、選ぶ際にはいくつか注意すべき点があります。自社の運用に合わないものを選んでしまうと、かえって修正に手間がかかる可能性があります。 以下のポイントを確認し、最適なテンプレートを選びましょう。

  • 自社の業種や勤務形態に合っているか: 飲食店や小売業、介護職など、業種に特化したテンプレートも存在します。 また、月間シフトか週間シフトかなど、管理したい期間や形式が自社のルールと合っているかを確認しましょう。
  • 必要な項目が揃っているか: 従業員名、日付、勤務時間帯といった基本項目に加え、休憩時間や合計労働時間、日ごとの必要人数などを管理できるか、事前に確認することが重要です。
  • 関数の内容が理解できるか: 高度な関数やマクロが組まれているテンプレートは、一見すると高機能で便利に思えます。しかし、後から修正やカスタマイズをしたい場合に、関数の知識がないと対応が難しくなることがあります。
  • 印刷時のレイアウト: 作成したシフト表を印刷して共有する場合は、A4サイズに収まるか、文字やセルの色が見やすいかなど、印刷後の視認性も考慮して選びましょう。

3.2 覚えておくと便利な関数

基本的な関数に加えて、いくつかの応用的な関数を覚えることで、シフト表の機能性を格段に向上させることができます。 ここでは、特に使用頻度が高く、シフト作成を効率化する「IF関数」と「VLOOKUP関数」について解説します。

3.2.1 IF関数で複雑な条件分岐に対応する

IF関数は、指定した条件が満たされているかどうかに応じて、表示する値や実行する計算を切り替えることができる関数です。 「もし〇〇ならA、そうでなければB」というように、条件に応じた処理を自動化できます。

活用例:深夜勤務手当の自動計算

例えば、勤務終了時間が22時以降の場合に深夜勤務手当の対象である旨を表示させたいケースで活用できます。終了時刻が入力されているセル(例:E5)に対して、以下のような数式を入力します。

=IF(E5>="22:00","深夜手当あり","")

この数式は、「もしE5セルの値が22:00以降であれば『深夜手当あり』と表示し、そうでなければ何も表示しない」という処理を行います。これにより、手当の計算漏れを防ぐことができます。

3.2.2 VLOOKUP関数で時給計算を自動化する

VLOOKUP関数は、指定した範囲の中から特定のデータに対応する値を検索し、取り出すことができる関数です。 従業員ごとに異なる時給を自動で反映させ、給与計算を効率化する際に非常に役立ちます。

活用例:従業員名から時給を自動参照して給与を計算

まず、別のシートに「従業員マスタ」として、各従業員の名前と時給の一覧表を作成しておきます。

従業員マスタシート
従業員名 時給
田中 太郎 1,100
鈴木 花子 1,150
佐藤 次郎 1,200

次に、シフト表のシートで、従業員名(例:A5セル)と実働時間(例:F5セル)を入力する欄の隣に、給与を計算するセルを設けます。そのセルに以下の数式を入力します。

=VLOOKUP(A5,従業員マスタ!A:B,2,FALSE)*F5

この数式は、以下の処理を自動で行います。

  1. シフト表のA5セルに入力された従業員名を検索値とします。
  2. 「従業員マスタ」シートのA列からB列の範囲を検索します。
  3. 検索値と一致した行の2列目(時給)の値を取り出します。
  4. 取り出した時給に、F5セルの実働時間を掛け合わせます。

このように設定することで、従業員名を入力するだけで自動的に時給が参照され、その日の給与が計算されるようになり、手入力によるミスを防ぎ、大幅な時間短縮に繋がります。

4. Excelでシフト表を作る際のよくある失敗と注意点

Excelは関数などを活用すれば、非常に便利なシフト表を作成できます。しかし、その手軽さゆえに初心者が陥りやすい失敗や、Excelならではの注意点も存在します。ここでは、代表的な失敗例とその対策について具体的に解説します。

4.1 印刷したらズレてしまう

画面上ではきれいに収まっているのに、印刷するとレイアウトが崩れてしまうのは、Excelでよくある失敗の一つです。特に、シフト表は従業員に配布したり、壁に掲示したりと印刷する機会が多いため、作成段階から印刷を意識することが重要です。

主な原因 対策
画面表示(標準ビュー)と印刷時の表示が異なる 作成の早い段階から「ページレイアウトビュー」で表示し、印刷後のイメージを確認しながら作業を進める。
印刷範囲が正しく設定されていない 「ページレイアウト」タブの「印刷範囲」から、印刷したいセル範囲を明確に指定する。
意図しないところで改ページされている 「表示」タブの「改ページプレビュー」を使い、ページの区切りをドラッグして調整する。
用紙サイズに収まっていない 「ページ設定」ダイアログボックスで、「次のページ数に合わせて印刷」を縦1×横1に設定し、1枚に収まるように自動で縮小する。
使用するPCやプリンターの環境差 一度PDFファイルとして出力し、レイアウトが崩れていないか確認してから印刷する。

これらの対策を講じることで、印刷時のレイアウト崩れを未然に防ぎ、誰が見ても分かりやすいシフト表を共有できます。

4.2 ファイルのバージョン管理が煩雑になる

シフト表は、希望休の提出や急な欠員などで頻繁に修正が発生します。そのたびにファイルをコピーして修正していると、「シフト表_最新.xlsx」「シフト表_確定版.xlsx」「シフト表_1107修正.xlsx」といったファイルが乱立し、どれが本当に最新のものか分からなくなってしまうことがあります。 これにより、古い情報で上書きしてしまったり、間違ったシフトを共有してしまったりするミスにつながります。

起こりがちな問題 対策
ファイル名が統一されておらず、最新版が不明確になる。 「シフト表_YYYYMM_v1.0」のように、年月とバージョン番号を含めた命名規則をチーム内で統一する。
各々がローカルでファイルを編集し、内容の食い違いが発生する。 共有フォルダやクラウドストレージ(OneDriveなど)にマスターファイルを一つだけ置き、編集はそのファイルに対してのみ行うルールを徹底する。
誰がいつ、どこを修正したのか履歴が追えない。 Microsoft 365のExcelであれば、「変更履歴」機能や「共同編集」機能を活用する。変更箇所にコメントを残す習慣をつける。
誤って上書きしてしまい、以前のバージョンに戻せない。 定期的にファイルのバックアップを取るか、OneDriveなどのバージョン履歴機能が利用できる環境で管理する。

複数人でシフトを管理する場合は特に、ファイル管理のルールを明確に定めておくことが、無用な混乱やミスを防ぐ鍵となります。

4.3 複雑な勤務条件には対応しきれない

Excelは基本的なシフト表作成には十分な機能を備えていますが、従業員が増えたり、働き方が多様化したりすると、複雑な条件のすべてに対応することが難しくなります。 関数やマクロを駆使すればある程度の自動化は可能ですが、それには高度な知識が必要となり、作成者への負担が大きく属人化しやすいというデメリットがあります。

4.3.1 Excelでは対応が難しい複雑な条件の例

  • 法令遵守の自動チェック: 労働基準法で定められた連続勤務日数、勤務間インターバル、休憩時間などを自動で判定し、違反があれば警告を出す。
  • スタッフのスキルや相性の考慮: 「レジ業務には熟練者Aさんが必須」「新人Bさんには必ずベテランCさんを組み合わせる」「DさんとEさんは同時にシフトに入れない」といった、スキルや人間関係に基づいた人員配置。
  • 公平性の担保: 特定の従業員に土日祝の出勤が偏らないようにしたり、月間の勤務時間や休日数が均等になるように自動で割り振ったりする。
  • 扶養内勤務の調整: パート・アルバイト従業員の月間および年間の収入が、扶養控除の範囲を超えないように勤務時間を自動で調整する。

4.3.2 Excelで対応しようとした場合の限界

これらの複雑な条件をExcelの関数だけで実現しようとすると、IF関数やAND/OR関数を何重にも組み合わせた、非常に長くて難解な数式になってしまいます。VBA(マクロ)を使えばより高度な処理が可能ですが、プログラミングの知識が必須となり、作成できる人が限られます。 また、一度組んだ数式やマクロは、少しでも条件が変わると大幅な修正が必要になり、メンテナンスが非常に困難になるという問題もあります。

5. Excelでのシフト作成が難しいと感じたら?専用ツールの検討も

Excelでのシフト表作成は、関数やマクロを駆使することで効率化が可能ですが、複雑な勤務条件や多数の従業員を管理するには限界があります。 作成に時間がかかったり、属人化してしまったり、法令遵守のチェックが難しかったりといった課題に直面した場合、専用のシフト管理ツールの導入を検討する価値があります。

5.1 シフト管理ツールでできること

シフト管理ツールは、Excelでの手作業や複雑な設定を解消し、シフト管理業務全体を効率化するための多彩な機能を備えています。 主な機能には以下のようなものがあります。

  • シフト希望の収集と管理: 従業員はスマートフォンやPCから簡単に希望シフトを提出でき、管理者はそれを自動で集計できます。 紙やメールでのやり取りがなくなり、回収の手間や転記ミスが削減されます。
  • シフトの自動作成: 従業員の希望やスキル、役職、労働時間の上限、必要な人数といった条件を設定するだけで、AIが最適なシフトを自動で作成します。 これにより、公平性を保ちつつ、作成時間を大幅に短縮できます。
  • 法令遵守のサポート: 連続勤務日数や労働時間の上限など、労働基準法に抵触する可能性のあるシフトが作成された場合に、アラートで知らせてくれる機能があります。 これにより、労務リスクを未然に防ぐことができます。
  • リアルタイムでの情報共有: 作成・変更されたシフトは、即座に全従業員のスマートフォンやPCに共有されます。 印刷して配布する手間がなくなり、常に最新の情報を確認できます。
  • 人件費の自動計算と可視化: 作成したシフトに基づいて、概算の人件費を自動で計算し、予算と比較することができます。 これにより、人員配置の最適化やコスト管理が容易になります。

5.2 Excel作成とのメリット・デメリット比較

Excelとシフト管理ツールには、それぞれメリットとデメリットがあります。自社の状況に合わせて最適な方法を選択するために、以下の表で比較してみましょう。

比較項目 Excel シフト管理ツール
コスト 追加費用なし(Officeソフトがあれば) 初期費用や月額利用料がかかる
設定・導入 知識があれば自由に作成できるが、複雑な設定には手間と時間がかかる 簡単な設定ですぐに利用開始できるものが多い
機能の専門性 汎用的な機能のみ。専門的な機能はマクロなどで自作する必要がある シフト管理に特化した豊富な機能(自動作成、法令チェックなど)が揃っている
属人化リスク 作成者しか修正できない「ブラックボックス化」が起こりやすい 誰でも操作しやすく、担当者が変わっても引き継ぎが容易
共有・連携 ファイル共有や印刷が必要。他システムとの連携は手動 リアルタイムで共有可能。勤怠管理や給与計算システムと連携できるものも多い
サポート体制 なし 導入時や運用中のサポートを受けられる

5.3 シフト管理ツールの選び方のポイント

シフト管理ツールを導入する際には、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。以下のポイントを参考に比較検討しましょう。

5.3.1 自社の業種や規模に合っているか

ツールには、飲食店や小売業、介護・医療業界など、特定の業種に特化したものがあります。 業界特有の勤務形態や必要な機能が備わっているかを確認しましょう。また、登録できる従業員数や店舗数も重要な選定基準です。

5.3.2 操作は簡単か

管理者だけでなく、シフトを提出する従業員も利用するため、誰にとっても直感的で使いやすいインターフェースかどうかが重要です。 スマートフォンアプリに対応しているか、LINEなど普段使っているツールと連携できるかも確認すると良いでしょう。 多くのツールでは無料トライアル期間が設けられているため、実際に試用して操作性を確かめることをお勧めします。

5.3.3 必要な機能が揃っているか

シフトの自動作成機能はどこまで詳細な条件設定に対応しているか、給与計算ソフトなど既存のシステムと連携できるかなど、自社が求める機能が搭載されているかを確認しましょう。 過不足なく、必要な機能が揃っているツールを選ぶことがコストパフォーマンスを高める鍵です。

5.3.4 サポート体制は充実しているか

導入時の初期設定や、運用中に不明点やトラブルが発生した際に、迅速に対応してくれるサポート体制があるかを確認しましょう。電話やメール、チャットなど、どのようなサポートが受けられるかを事前にチェックしておくと安心です。

6. まとめ

本記事では、Excel初心者の方でもシフト表を効率的に作成できるよう、準備段階から基本的な4つのステップ、さらに便利な応用テクニックまで詳しく解説しました。

Excelでシフト表を作成する最大のメリットは、追加コストなしで手軽に始められる点です。DATE関数やCOUNTIF関数などを活用すれば、日付の自動入力や人数の自動集計が可能になり、手作業によるミスを減らし、管理業務を大幅に効率化できます。まずは本記事で紹介した基本的な作り方に沿って、ご自身の職場に合ったシフト表を作成してみましょう。

一方で、従業員数が多かったり、勤務形態が複雑だったりすると、数式の管理が煩雑になり、Excelだけでは対応が難しくなる場合があります。その結論として、もしExcelでの管理に限界を感じた際は、専用のシフト管理ツールの導入を検討することも有効な選択肢です。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選び、効率的なシフト管理を実現してください。

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