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シフトとは?働き方の種類からメリット・デメリット、法律まで徹底解説

シフトとは?働き方の種類からメリット・デメリット、法律まで徹底解説

「シフト制」はアルバイトやパートの求人でよく見かける働き方ですが、その意味や種類、法律上のルールまで正しく理解していますか? この記事では、「シフト」という言葉の基本的な意味から、自由シフト・固定シフトといった種類ごとの特徴、働く側・雇う側双方のメリット・デメリットを徹底比較します。

さらに、シフト希望の出し方や急な休みへの対応といった実務的な疑問から、労働時間や有給休暇など、知らなければ損をしてしまう可能性のある法律知識まで、網羅的に解説します。

結論として、シフト制はプライベートと仕事を両立しやすい魅力的な働き方ですが、そのメリットを最大限に活かすには正しい知識が不可欠です。この記事を最後まで読めば、あなたに最適なシフト制の仕事を見つけ、安心して働くためのすべてがわかります。シフトを管理する店長や管理者の方に向けた、効率的なシフト作成のコツも紹介します。

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1. まずは基本から!「シフト」「シフト制」とは何か

アルバイトやパートの求人情報で当たり前のように目にする「シフト」や「シフト制」という言葉。働き方を考える上で非常に重要ですが、その正確な意味をきちんと理解できているでしょうか。まずは、これらの言葉の基本的な意味から解説します。

1.1 シフトの基本的な意味

「シフト(shift)」とは、もともと「動かす」「変更する」「交代する」といった意味を持つ英単語です。 これが転じて、日本の職場では主に、勤務の時間帯や、従業員ごとの勤務の割り当てそのものを指す言葉として使われています。 例えば、「来週のシフト」「シフトを組む」「シフトに入る」といった使い方をします。

勤務の時間帯は、企業や店舗の営業時間によって様々で、代表的なものには以下のような呼び方があります。

シフトの名称 主な時間帯 概要
早番(あさばん) 開店・始業から夕方頃まで 店舗の開店準備や、午前中から日中にかけての業務を担当します。
遅番(おそばん) 昼過ぎから閉店・終業まで 日中の業務から引き継ぎ、店舗の閉店作業などを担当します。
日勤(にっきん) 朝から夕方まで 一般的な企業の勤務時間に最も近い時間帯のシフトです。
夜勤(やきん) 深夜から早朝まで 24時間稼働の工場やコンビニ、医療・介護施設などで見られる深夜時間帯の勤務です。
通し(とおし) 開店から閉店まで 1日の営業時間をほぼすべて勤務するシフトです。長時間勤務になります。

1.2 シフト制勤務とは交代で働く仕組みのこと

「シフト制」とは、従業員が曜日や時間帯を交代しながら勤務する働き方(勤務形態)のことを指します。 多くの企業で採用されている「固定時間制」(例:平日の午前9時から午後6時まで勤務)とは異なり、日によって働く時間や休日が変わるのが大きな特徴です。

なぜシフト制が必要とされるのでしょうか。それは、日本の労働基準法で、労働時間は原則として「1日8時間・週40時間」までと定められているためです。 しかし、コンビニエンスストアやスーパー、飲食店、病院、工場など、多くの業種ではこの時間を超えて営業・稼働する必要があります。

そこで、従業員が決められた労働時間を超えないように、複数の従業員で時間帯を分担し、交代で働く「シフト制」という仕組みが導入されているのです。 これにより、企業は法律を遵守しながら長時間のサービス提供や24時間稼働を実現できます。

シフト制 固定時間制
働き方 勤務日や時間帯が変動する交代制の勤務 毎週決まった曜日・時間帯で勤務
休日 平日休みや土日休みなど、シフトによって変動する 土日祝日など、あらかじめ決まっていることが多い
主な職場 飲食店、小売店、医療・介護施設、工場、ホテルなど オフィスワーク(事務職など)、官公庁、学校など

2. シフト制の主な3つの種類とそれぞれの特徴

シフト制は、従業員が交代で勤務する働き方の総称ですが、その運用方法は一つではありません。 一般的に「自由シフト制」「固定シフト制」「完全シフト制」の3つに大別され、それぞれに異なる特徴があります。 自身のライフスタイルや希望する収入、職種によって最適なシフト制は異なりますので、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った働き方を見つけることが重要です。

2.1 自由シフト制(自己申告制)

自由シフト制は、従業員が自分の働きたい日時を職場に申告し、管理者(店長など)が全体の希望を取りまとめて調整し、最終的な勤務スケジュールを決定する方式です。 「希望シフト制」とも呼ばれ、特にアルバイトやパート従業員が多い飲食店、コンビニエンスストア、小売店などで広く採用されています。 1週間や2週間、1ヶ月ごとなど、職場によって定められた期間ごとに希望を提出するのが一般的です。

自由シフト制(自己申告制)の特徴
項目 内容
働き方の特徴 プライベートの予定を優先しやすく、学業や家庭、ダブルワークなどとの両立がしやすい柔軟な働き方が可能です。 テスト期間は休みを多くしたり、長期休暇中はたくさん働いたりと、自身の都合に合わせて勤務時間を調整できます。
働く側のメリット スケジュール調整の自由度が高いことが最大のメリットです。 自分のライフスタイルに合わせて働けるため、学生や主婦(主夫)など、勤務時間に制約がある人にとって働きやすい環境です。
働く側のデメリット 必ずしも希望通りにシフトに入れるとは限らない点がデメリットです。 他のスタッフと希望が重なった場合や、閑散期には勤務時間が削られ、収入が不安定になる可能性があります。 また、希望シフトが確定するまで予定を立てにくいという側面もあります。
雇う側のメリット 曜日や時間帯による業務の繁閑に合わせて、必要な人員を柔軟に配置できます。これにより、人件費を最適化しやすくなります。
雇う側のデメリット 従業員の希望が特定の時間帯に集中したり、逆に人手が足りなくなったりするリスクがあります。希望の収集から調整、確定までのシフト管理業務が煩雑になりがちです。
主な職種 飲食店(ファミリーレストラン、居酒屋、カフェ)、小売店(コンビニ、スーパー)、コールセンター、イベントスタッフなど。

2.2 固定シフト制

固定シフト制とは、採用時や契約更新時などに働く曜日と時間帯をあらかじめ決定し、長期間にわたって同じスケジュールで勤務する働き方です。 例えば「毎週火曜日と木曜日の9時から17時まで」というように勤務パターンが固定されます。 シフトの提出は基本的に不要で、半年や1年といった周期で見直しが行われることが一般的です。

固定シフト制の特徴
項目 内容
働き方の特徴 勤務スケジュールが一定のため、生活リズムを整えやすく、長期的な予定も立てやすいのが特徴です。 毎月の勤務時間もほぼ同じになるため、収入の見通しが立ちやすく、安定しています。
働く側のメリット 収入が安定し、生活のペースを掴みやすい点が大きなメリットです。 毎回シフト希望を提出する手間もありません。
働く側のデメリット 一度決めたシフトは簡単には変更できないため、急な予定に対応しにくいというデメリットがあります。 やむを得ず休む場合は、代わりのスタッフを探すよう求められるケースもあります。
雇う側のメリット 毎回のシフト調整が不要なため、管理業務の負担が大幅に軽減されます。また、安定して人材を確保できるため、計画的な店舗運営が可能です。
雇う側のデメリット 急な欠員が出た場合の補充が難しい点や、日々の業務量の変動に柔軟に対応しにくい点が挙げられます。
主な職種 オフィスワーク(事務、データ入力)、学習塾、一部の小売店(スーパー、ドラッグストア)、医療・福祉職など。

2.3 完全シフト制(交代制)

完全シフト制は、企業側があらかじめ「早番」「日勤」「遅番」「夜勤」といった複数の勤務パターンを設定し、従業員がそれらをローテーションで勤務する方式です。 交代制勤務とも呼ばれ、24時間稼働する工場や病院、ホテル、介護施設などで多く採用されています。 勤務パターンは、1日を2つに分ける「二交代制」や、3つに分ける「三交代制」などが代表的です。

完全シフト制(交代制)の特徴
項目 内容
働き方の特徴 勤務時間が日によって変動するため、生活リズムが不規則になりやすいのが大きな特徴です。 一方で、深夜勤務には法律で定められた深夜手当が支給されるため、日中の勤務よりも高い給与が期待できます。
働く側のメリット 平日に休みが取りやすく、市役所や銀行などでの手続きがしやすいほか、混雑を避けて買い物や旅行を楽しめるメリットがあります。 また、深夜手当によって収入アップが見込める点も魅力です。 残業が比較的少ない傾向にある職場も多いです。
働く側のデメリット 生活リズムが不規則になりがちで、体調管理に注意が必要です。 また、土日祝日が休みとは限らないため、家族や友人と予定を合わせにくい場合があります。
雇う側のメリット 従業員に長時間労働をさせることなく、24時間体制での事業運営が可能になります。 設備を最大限に活用できるため、生産性の向上に繋がります。
雇う側のデメリット 従業員の健康管理への配慮が不可欠です。また、勤務パターンが複数あるため、シフト管理が複雑になりやすい傾向があります。
主な職種 製造業(工場)、医療機関(病院)、介護施設、宿泊施設(ホテル)、警備、24時間対応のコールセンターなど。

3. 【働く側・雇う側】シフト制のメリットとデメリットを比較

シフト制は、働く時間や曜日に柔軟性をもたらす一方で、働く側(従業員)と雇う側(企業)の双方にとってメリットとデメリットが存在します。 立場によってどのような影響があるのかを多角的に理解することが、シフト制をうまく活用する鍵となります。まずは、それぞれの立場から見たメリット・デメリットの概要を比較してみましょう。

視点 メリット デメリット
働く側(従業員) ・プライベートの都合と両立しやすい
・平日休みが取得できる
・深夜手当などで収入アップが期待できる
・収入が不安定になる場合がある
・生活リズムが乱れやすい
・希望通りに休めないことがある
雇う側(企業) ・営業時間を柔軟に設定・拡大できる
・需要の変動に合わせた人員配置で人件費を最適化できる
・多様な人材を確保しやすくなる
・シフト管理の負担が大きい
・従業員間の公平性の担保が難しい
・コミュニケーション不足による業務への支障リスク

3.1 働く側のメリット:プライベートと両立しやすい

働く側にとってシフト制の最大のメリットは、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい点です。 特に自由シフト制の場合、勤務したい日時を申告できるため、学業やサークル活動を優先したい学生、育児や介護と仕事を両立させたい主婦・主夫、ダブルワークで収入を増やしたいフリーターなど、様々な事情を持つ人にとって働きやすい環境が手に入ります。

また、平日が休みになることも多く、役所や銀行での手続き、病院への通院などがしやすいほか、混雑を避けて買い物やレジャーを楽しめるという利点もあります。

3.2 働く側のデメリット:収入が不安定になることも

希望に応じて働き方を調整しやすい反面、収入が不安定になりやすい点は大きなデメリットです。 特に自由シフト制の場合、希望通りにシフトに入れなければ、想定していた収入を得られない可能性があります。繁忙期と閑散期で仕事量に差がある職場では、月によって収入が大きく変動することもあります。

また、勤務時間が日によって異なるため、生活リズムが不規則になりがちで、体調管理が難しくなるという声も聞かれます。 さらに、他の従業員と勤務時間が合わないことで、コミュニケーションが取りづらくなったり、友人や家族と予定を合わせにくくなったりすることもあります。

3.3 雇う側のメリット:営業時間を柔軟に設定できる

雇う側にとってシフト制は、ビジネスの可能性を広げる有効な手段です。従業員に交代で勤務してもらうことで、労働基準法で定められた労働時間を遵守しつつ、24時間営業や年中無休といった長時間の営業が可能になります。これにより、顧客満足度の向上や売上機会の拡大が期待できます。

また、来客数や業務量の変動に合わせて人員を配置できるため、人手が足りない状況や、逆に過剰に人員を配置してしまう無駄を減らし、人件費を最適化できるという大きなメリットもあります。 さらに、フルタイムでは働けない学生や主婦・主夫など、多様な人材を確保しやすくなる点も利点と言えるでしょう。

3.4 雇う側のデメリット:シフト管理が煩雑になる

メリットが大きい一方で、雇う側は煩雑なシフト管理という課題に直面します。従業員一人ひとりの希望を聞き取り、スキルや経験を考慮しながら、日々の業務に必要な人数を確保し、さらに労働基準法などの法令を遵守した公平なシフトを作成する作業は、大きな負担となります。

特に、従業員数が多くなるほど調整は複雑化し、特定の従業員に負担が偏らないように配慮する必要も出てきます。 急な欠勤者が出た際の代替要員の確保も大きな課題です。こうしたシフト管理の負担が、管理者の本来の業務を圧迫したり、従業員の不満につながり離職率を高めたりするリスクもはらんでいます。

4. シフト制の仕事をはじめたい!知っておきたいQ&A

シフト制の仕事は、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい魅力がありますが、初めての場合は疑問や不安も多いでしょう。ここでは、シフト制の仕事を始める前に知っておきたいよくある質問とその回答を、Q&A形式で詳しく解説します。

4.1 シフト制はどんな職種に多い?

シフト制は、営業時間が長い、または24時間体制でサービスを提供する必要がある多くの職種で採用されています。特に、パートやアルバイトの従業員が多い職場で広く導入されている働き方です。具体的には、以下のような職種が挙げられます。

分類 具体的な職種例 シフト制が多い理由
接客・サービス業 コンビニエンスストア、スーパーマーケット、アパレル販売、飲食店、カフェ、居酒屋、ホテル、カラオケボックスなど 店舗の営業時間が長く、来客が多い時間帯に合わせて人員を調整する必要があるため。
医療・介護・福祉 病院の看護師や看護助手、介護施設の介護職員、ヘルパーなど 24時間365日、利用者への対応やケアが途切れないようにする必要があるため。夜勤を含む交代制が一般的。
製造・物流 工場の製造ライン、倉庫でのピッキングや検品、配送センター、コールセンターなど 工場や物流拠点を24時間稼働させることで生産性を高めるため。コールセンターでは顧客対応時間に合わせるため。
その他 塾講師、イベントスタッフ、データ入力、警備員など 授業時間やイベント開催時間、業務の繁閑に合わせて柔軟に人員を配置する必要があるため。

4.2 シフトの希望はどうやって出すの?

シフトの希望を提出する方法は、勤務先によって様々です。事前に提出方法や締め切りを確認しておくことが大切です。一般的な提出方法には以下のようなものがあります。

  • 紙のシフト希望表に記入して提出する: 職場に掲示または設置されている用紙に、希望の勤務日や時間帯、休日希望などを書き込んで提出する昔ながらの方法です。
  • Webサイトや専用アプリで提出する: 近年増えている方法で、パソコンやスマートフォンから専用のシステムにログインし、オンラインで希望シフトを入力します。いつでもどこでも提出できる手軽さがメリットです。
  • メールやチャットツールで提出する: 店長やシフト管理者に、メールやビジネスチャットツールを使って希望を伝える方法です。
  • 口頭で伝える: スタッフが少ない職場では、直接口頭で希望を伝えるケースもありますが、聞き間違いなどを防ぐためにも記録が残る方法が推奨されます。

シフトの希望は、通常、翌月のシフトを作成するために前月の中旬から下旬頃(例:毎月20日締めなど)に締め切りが設けられています。締め切りを過ぎてしまうと希望が反映されにくくなるため、必ず期限内に提出しましょう。

4.3 急に休みたいときはどうすればいい?

体調不良や家庭の事情などで、急にシフトを休まなければならなくなることもあります。その際は、無断欠勤をせず、社会人としてのマナーを守って適切に対応することが重要です。

基本的な対応の流れは以下の通りです。

  1. わかった時点ですぐに職場に連絡する: 休む必要があるとわかったら、できるだけ早く直属の上司や店長など、決められた連絡先に連絡を入れましょう。「始業時間ギリギリ」ではなく、早ければ早いほど職場は代替スタッフを探すなどの対応が取りやすくなります。
  2. 連絡手段は電話が基本: 緊急の連絡であるため、メールやチャットではなく、直接話せる電話で行うのが一般的です。相手が電話に出られなかった場合に備え、メッセージも残しておくと丁寧です。
  3. 休む理由と状況を簡潔に伝える: 「熱があるため」「子どもの看病のため」など、休む理由を正直かつ簡潔に伝えます。詳しい状況まで話す必要はありません。
  4. 可能であれば、いつから出勤できそうか伝える: 回復の見込みが立つ場合は、「明日の朝、改めて連絡します」など、今後の見通しを伝えると職場も安心します。

職場によっては、代わりのスタッフを自分で探すよう求められるケースもありますが、本来、労働力の確保は雇用主の責任です。ただし、円滑な人間関係を保つためにも、可能な範囲で協力する姿勢を見せることも大切です。

4.4 シフトを削られたり、無理なシフトを入れられたりしたら?

希望通りにシフトが組まれないことや、時には納得のいかないシフト調整が行われることもあります。そのような場合の対処法を知っておきましょう。

4.4.1 シフトを一方的に削られた場合(シフトカット)

会社の都合で一方的に勤務日数を減らされることを「シフトカット」と呼びます。労働契約で「週〇日勤務」などと定められているにもかかわらず、その日数に満たないシフトしか与えられない場合、労働者は不利益を被ることになります。このような場合、会社の都合による休業とみなされ、労働基準法に基づき「休業手当」(平均賃金の60%以上)を請求できる可能性があります。

4.4.2 希望していない無理なシフトを入れられた場合

提出した希望を無視して無理なシフトを組まれたり、人手不足を理由に過度な連勤や長時間労働を強いられたりした場合、まずはシフト作成者に相談しましょう。それでも改善されない場合は、違法な労働を強いられている可能性も考えられます。

4.4.3 トラブルが起きたときの相談先

シフトに関するトラブルが当事者間の話し合いで解決しない場合は、一人で抱え込まずに外部の専門機関に相談することが重要です。

  • まずは上司や人事部に相談: シフト作成者との間で解決が難しい場合は、さらに上の役職の管理者や、本社の人事・労務担当部署に相談してみましょう。
  • 総合労働相談コーナー: 全国の労働局や労働基準監督署内に設置されており、予約不要・無料で専門の相談員にアドバイスをもらえます。
  • 労働基準監督署: 労働基準法違反の疑いが強い場合(賃金未払いや違法な長時間労働など)に、申告を行うことで調査や指導をしてもらえる可能性があります。

まずは雇用契約書や労働条件通知書を確認し、どのような条件で契約しているのかを把握した上で、冷静に対処することが大切です。

5. シフト制で働くなら押さえておきたい法律・制度の基礎知識

シフト制で働く場合でも、正社員と同様に労働基準法をはじめとする法律で保護されます。しかし、働き方が多様であるため、労働時間や休暇、保険などのルールについて「自分の場合はどうなるのだろう?」と疑問に思う方も少なくありません。ここでは、シフト制で働く上で必ず知っておきたい法律や制度の基本的な知識を、わかりやすく解説します。

5.1 労働時間・休憩・休日のルール

シフト制勤務におけるトラブルで特に多いのが、労働時間や休憩、休日に関するものです。使用者(雇う側)は、労働基準法で定められたルールを遵守してシフトを作成する義務があります。働く側も、自分の権利を守るために正しい知識を身につけておきましょう。

5.1.1 法定労働時間と時間外労働

労働基準法では、労働時間の上限を原則として「1日8時間・1週40時間」と定めています。これを「法定労働時間」といいます。シフト制であってもこの原則は適用されるため、これを超えて働く場合は時間外労働(残業)となり、割増賃金(残業代)が発生します。

使用者が労働者に法定労働時間を超えて労働させるには、「36(サブロク)協定」を労働組合または労働者の過半数を代表する者と締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定を締結している場合でも、時間外労働には上限があり、割増賃金の支払いが必要です。

時間外労働の割増賃金率
種類 条件 割増率
時間外労働 法定労働時間を超えた場合 25%以上
時間外労働 時間外労働が月60時間を超えた場合 50%以上
休日労働 法定休日に労働した場合 35%以上
深夜労働 午後10時から午前5時までの間に労働した場合 25%以上

5.1.2 休憩時間

使用者は、労働時間が一定の長さを超える場合に、労働時間の途中で休憩を与えなければなりません。これは法律で定められた義務であり、シフト制のアルバイトやパートタイマーにも適用されます。

  • 労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合:少なくとも45分
  • 労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間

この休憩時間は、労働者に自由に利用させなければならないと定められています。

5.1.3 休日

使用者は、労働者に対して「毎週少なくとも1回」または「4週間を通じて4日以上」の休日を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。シフト制の場合、曜日が固定されていなくても、この基準を満たすように休日が設定されている必要があります。

5.2 有給休暇はもらえる?

年次有給休暇(有給)は、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために設けられた制度です。一定の要件を満たせば、シフト制で働くパートタイマーやアルバイトでも取得する権利があります。

5.2.1 年次有給休暇の付与条件

年次有給休暇は、以下の2つの条件を両方満たした労働者に付与されます。

  1. 雇入れの日から6か月間継続して勤務していること
  2. その期間の全労働日の8割以上出勤していること

この条件を満たせば、正規雇用・非正規雇用といった雇用形態にかかわらず有給休暇が付与されます。

5.2.2 付与日数

付与される日数は、週の所定労働日数や継続勤務年数によって異なります。週5日以上または週30時間以上働く労働者の場合、6か月後に10日付与され、その後は勤続年数に応じて日数が増えていきます。

パートタイマーやアルバイトなど、所定労働日数が少ない労働者には、その日数に応じて有給休暇が比例付与されます。

週所定労働日数に応じた年次有給休暇の付与日数(一部抜粋)
継続勤務年数 週5日以上勤務 週4日勤務 週3日勤務 週2日勤務
6か月 10日 7日 5日 3日
1年6か月 11日 8日 6日 4日
2年6か月 12日 9日 6日 4日

5.2.3 年5日の取得義務

2019年4月からは、年10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、企業が毎年5日間、時季を指定して有給休暇を取得させることが義務付けられています。これは、パートタイマーやアルバイトも対象となります。

5.3 雇用保険や労災保険の適用について

シフト制で働く場合でも、条件を満たせば雇用保険や労災保険、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することができます。これらの保険は、失業や病気、ケガといった万が一の事態に備えるための重要なセーフティネットです。

5.3.1 雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した場合などに、生活の安定と再就職の促進を目的とした給付(基本手当など)を行う制度です。以下の2つの条件を満たす労働者は、本人の意思にかかわらず加入義務があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

ただし、昼間の学生は原則として適用対象外となりますが、夜間学生や通信教育課程の学生などは加入対象となる場合があります。

5.3.2 労災保険(労働者災害補償保険)

労災保険は、業務中や通勤中に発生したケガ、病気、障害、死亡などに対して保険給付を行う制度です。これは、パートやアルバイトを含むすべての労働者に適用されます。保険料は全額事業主が負担するため、労働者の負担はありません。もし仕事が原因でケガなどをした場合は、速やかに職場に報告し、必要な手続きを行いましょう。

5.4 交通費の支給ルール

通勤にかかる交通費の支給は、法律で義務付けられているわけではありません。そのため、支給の有無や金額、支給方法は、それぞれの会社の就業規則や雇用契約書などの定めによります。

交通費が支給される場合の主なパターンは以下の通りです。

  • 全額支給:自宅から勤務先までの合理的なルートにかかる交通費が全額支払われる。
  • 一部支給(上限あり):「1日1,000円まで」「月額20,000円まで」のように、上限額を設けてその範囲内で実費が支払われる。
  • 一律支給:実際の交通費にかかわらず、「1日500円」のように決まった金額が支払われる。

シフトによっては勤務日数が変動するため、日額で支給されるケースも多く見られます。交通費のルールについては、働き始める前に必ず確認しておくことが大切です。

6. 【管理者向け】効率的なシフト管理のコツとおすすめツール

シフト管理は、店舗や事業所の運営を円滑に進める上で非常に重要な業務です。しかし、従業員の希望を調整し、法律を遵守しながら最適な人員配置を行う作業は、多くの管理者を悩ませています。ここでは、シフト管理における課題を整理し、法律を守りながら効率的にシフトを作成するポイント、そしてAIを活用した最新の管理ツールについて詳しく解説します。

6.1 シフト作成でよくある課題

手作業やExcelでのシフト管理では、多くの課題が発生しがちです。代表的な課題をいくつか見ていきましょう。

  • 作成に時間がかかりすぎる
    従業員一人ひとりの希望休や勤務可能時間をヒアリングし、パズルのように組み合わせていく作業は、膨大な時間と手間を要します。特にスタッフの人数が多いほど、その負担は増大します。
  • 属人化してしまう
    シフト作成のルールが複雑な場合、「あの人でなければ作れない」といった属人化が起こりがちです。担当者の不在時や退職時に、シフト作成業務が滞ってしまうリスクがあります。
  • 公平性の担保が難しい
    希望休が特定の日に集中したり、特定のスタッフに負担が偏ったりすると、従業員の不満につながります。全員が納得する公平なシフトを作成することは、非常に難しい課題です。
  • 急な欠員に対応できない
    スタッフの急な体調不良や家庭の事情による欠勤が発生した際、代わりのスタッフを探すのに苦労します。連絡調整に追われ、管理者の業務が圧迫されることも少なくありません。
  • 法令遵守の確認が煩雑
    労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日などのルールをすべて把握し、シフトに反映させるのは大変な作業です。気づかないうちにコンプライアンス違反を犯してしまうリスクも潜んでいます。

6.2 法律を遵守したシフト作成のポイント

従業員が安心して働ける環境を整えるためには、法律に基づいたシフト作成が不可欠です。管理者が特に押さえておくべき重要なポイントをまとめました。

項目 遵守すべき主なルール
労働時間

原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させることはできません(法定労働時間)。これを超える場合は、36協定の締結と届出が必要です。

休憩時間

労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません。

休日

毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません(法定休日)。

年次有給休暇

パートやアルバイトであっても、所定の要件を満たせば年次有給休暇を付与する義務があります。また、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、年5日の取得が義務付けられています。

深夜労働

午後10時から午前5時までの間に労働させた場合は、通常の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金(深夜手当)を支払う必要があります。

これらのルールは、違反すると罰則が科される可能性もあるため、正確に理解し、シフト作成のプロセスに組み込むことが重要です。手作業での管理では見落としが発生しやすいため、システムの活用が推奨されます。

6.3 AI活用でシフト管理を自動化!おすすめツール紹介

前述のような課題を解決し、法律を遵守した効率的なシフト管理を実現するために、近年ではAIを活用したシフト管理ツールが注目されています。これらのツールは、複雑な条件を考慮したシフト作成を自動で行い、管理者の負担を大幅に軽減します。

6.3.1 シフト管理ツールの主なメリット

  • 時間短縮:従業員の希望やスキル、法律上の制約などを取り込み、ボタン一つで最適なシフトを自動作成します。
  • 公平性の確保:勤務時間や休日数の偏りをなくし、公平なシフトを自動で作成することで、従業員の満足度向上に繋がります。
  • コンプライアンス強化:労働基準法などの法改正にも自動で対応し、コンプライアンス違反のリスクを低減します。
  • コストの最適化:時間帯ごとの必要人数に合わせて無駄のない人員配置を行い、人件費の適正化に貢献します。

6.3.2 おすすめのシフト管理ツール

日本国内で利用できる代表的なシフト管理ツールをいくつか紹介します。

ツール名 主な特徴
HRBEST(ハーベスト)

AIが多様な雇用形態や労働時間、連勤・公休といった複雑な条件を考慮してシフトを自動作成します。スマートフォンから希望シフトの提出や確認が可能で、クラウド型のため常に最新の労働基準法に対応。初期費用がかからず、月額制で利用できる手軽さも魅力です。

ジョブカン勤怠管理

シフト管理だけでなく、出退勤管理や休暇申請管理など、勤怠管理全般をカバーする多機能なツールです。変形労働時間制にも対応しており、幅広い業種で導入されています。

Airシフト(エアシフト)

リクルートが提供するシフト管理サービス。スタッフは専用アプリで希望シフトを提出でき、チャット機能でのコミュニケーションも可能です。ヘルプ機能が充実しており、操作に不慣れな方でも安心して利用できます。

oplus(オプラス)

シンプルな操作性とデザインが特徴のシフト管理ツールです。個人のスキルや経験を登録し、それに基づいた人員配置が可能です。無料プランから始められるため、小規模な店舗でも導入しやすいのがメリットです。

これらのツールを導入することで、シフト管理業務は大幅に効率化され、管理者はより創造的な業務に時間を割くことができるようになります。自社の規模や業種、抱えている課題に合わせて、最適なツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

7. まとめ

本記事では、「シフト」という言葉の基本的な意味から、具体的な働き方である「シフト制」の3つの種類(自由シフト制・固定シフト制・完全シフト制)、そして働く側と雇う側それぞれのメリット・デメリットまで、多角的に解説しました。

シフト制は、プライベートの予定と仕事のバランスを取りやすいという大きな魅力があり、学生や主婦(主夫)、ダブルワーカーなど、多様なライフスタイルを持つ人々にとって非常に有効な働き方です。

しかしその一方で、収入が不安定になりやすいといった側面も存在します。そのため、シフト制の仕事を選ぶ際は、そのメリットを最大限に活かすためにも、勤務先のシフトの種類やルールを事前にしっかりと確認することが重要です。

また、労働時間や休憩、有給休暇といった労働基準法に関わる知識は、自分自身の権利を守る上で不可欠です。

事業者にとっても、シフト制は人件費を最適化し、柔軟な店舗運営を可能にするメリットがありますが、公平で効率的なシフト管理は常に課題となります。法律を遵守し、従業員が安心して働ける環境を整えることが、人材の定着とサービスの質の向上につながります。近年では、AIを活用したシフト管理ツールを導入することで、その負担を大幅に軽減することも可能です。

シフト制という働き方を正しく理解することは、自分に合った仕事を見つけるための第一歩です。この記事が、あなたの働き方選びや、より良い職場環境づくりの一助となれば幸いです。

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