BUSINESS

農業DX構想の現状とは?得られるメリットや実現のポイントも紹介

 

農業 dx

日本の農業は、従事者の高齢化と生産地の過疎化が進み、人材不足が深刻な問題となっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行によるライフスタイルの変化や国際情勢の不安定化により、多くの企業が農業の現状に危機感を抱いています。

このような状況下で、国も積極的に推進するDXが、農業の変革を実現する可能性が高まっています。この記事では、日本の農業とDXの現状、DXのメリットなどについて紹介し、農業におけるデジタル活用の現状と将来、そしてDXの始め方について理解を深めることができるでしょう。
▼更にDXについて詳しく知るには?
DXとはどのようなもの?導入が求められる理由やメリット・デメリットを解説

▼社内のデータをAI化するには?
ノーコードAIツールUMWELT紹介ページ(活用事例あり)

農業DXが求められている背景


デジタル化による生産性の向上や新たな価値の創造への取り組みは、近年のIT技術やインフラの整備に伴って急速に普及しています。それは農業分野も例外ではありません。

日本の農業を取り巻く環境は厳しさを増しており、継続的な農業の維持・発展には課題が山積みです。その状況を打破する解決策として、DXに注目が集まっています。

農業DX構想とは

農業従事者の高齢化や人材不足などの危機的な背景を鑑み、農林水産省は2021年3月に農業DX構想を打ち出しました。

現在の農業が抱えるさまざまな課題をDXの推進によって解決しようとする構想のことで、単にAIやロボットを活用した既存作業の省力化や効率化にとどまりません。

消費者ニーズの迅速で正確な把握や、それらを踏まえた新たな価値の創出など、DX推進によって農業の抜本的な変革を目指す内容です。

スマート農業との違い

農業でのDX推進やデジタル化という言葉を聞くと、似た単語であるスマート農業との違いが気になるかもしれません。

スマート農業とは、農業従事者の人材不足の解消や農作物の生産性・品質の向上を目的に、ロボットやICTなどの新技術を導入して活用することを指します。

一方の農業DXは、既存農業の生産性を向上させる以外にも、データを活用した新たな農業事業の創出や価値の創造なども対象に含みます。つまり、スマート農業も含めたより広義の概念です。

目指す未来の目標とは

農業DXはスマート農業をはじめとした、農業に関わるあらゆる領域でデジタル化の実現を目指しています。

農業従事者の高齢化や人材不足への対応など、農業の持続的な発展だけでなく、消費者ニーズに応えるためのさまざまな課題をデジタル化によって克服することが狙いです。

例えば以下のような目標が想定されています。

・少人数での大規模生産を可能にする
・高齢者や経験の浅い従事者でも安定的な生産を可能にする
・農地として不利な条件の土地でも高付加価値の作物を生産可能にする

農業DXが直面している現状


農業が発展するためには消費されるまでの全プロセスを効率化し、産業構造をより良いものに変革する必要があります。DXの推進による取り組みがすでに農業分野でも始まっていますが、その目的達成は容易ではありません。

生産から物流、消費されるまでの各段階では、具体的にどのような現状なのでしょうか。それぞれの領域を見てみましょう。

生産現場の場合

農業の生産現場では、従事者の高齢化や人材不足の問題を抱えています。これらの課題を解決する最良の方法は、生産性の向上です。可能な限りのデジタル化や自動化を実現するスマート農業によって、少ないリソースで安定的に十分な収穫量を確保します。

現在開発されている多くの農業機器は実証実験の段階ですが、自動走行トラクターや農業用ドローンの活用、センサーによる作物の成長状況の監視など、さまざまな新しい技術が投入されています。

しかしDXに関連する設備投資の原資を確保することや、既存の従事者、関連団体、自治体などとの連携・協力体制がまだ整っていないなどの課題が残っています。

農村地域の場合

一般的に農業が行われる地域では複数の従事者が存在し、農業用ダムの管理や害獣の駆除など、地域全体に関わる共通課題に対して協働作業が行われています。

地域の農業の維持発展のためには、農作物を保護したり成長に必要な水などを供給したりするインフラの整備・管理が必要です。その基盤をデジタル化によって効率化する取り組みがすでに行われています。

例えば災害発生時の対応をデジタル技術で効率化するプロジェクトや、鳥獣被害対策とジビエ利用の活性化などです。

しかし、このような施策が始まっているのは非常に限定的で、地域レベルでの本格的な各種DXの推進はこれから検討がはじまるのが現状です。

流通・消費の場合

農業の生産物は、収穫から消費者に届くまでの間にさまざまな流通プロセスを通過します。しかし、消費者目線では「新鮮なうちに農作物を入手したい」「なるべく早く消費したい」というのがニーズです。

とはいえ、消費者に届くまでには運搬や保管、小売店での陳列・在庫などがスムーズに展開されなくてはなりません。このプロセスを効率化するために、デジタル化による改善が有効です。

問題は、この一連のプロセスは異なる事業者間で行われるため、DX環境基盤に違いがあることです。そのため、生産から消費までの物流プロセスを一貫して管理することは難しく、改善が進みにくいのが実情です。

農業DXの課題


日本の農業を取り巻く状況は、DXを推進するには決して良いとはいえません。DXは、これまでの農業に対する概念を根底から変える取り組みです。その取り組みを成功させるには、さまざまな課題を解決する必要があります。

ここではDXを阻む主な要因を3つ紹介します。

現場でのデータ活用が普及しない

農業の効率化には、ロボットや農業機械の自動化が必須です。しかし、手作業で行ってきた作業はデジタル化できず、人の感覚に頼っていたノウハウは自動化のためのデータとして利用できません。

また、これまで紙媒体で作成してきた文書類を電子化するのは困難です。たとえ変革が必要との認識を持っていても、デジタル技術になじみの薄い自治体職員や農業従事者の多い地域では、積極的にデジタル化を進める機運は生まれにくいでしょう。

DXを推進するには、データを活用するための基盤を整備することが重要です。しかし現状は、個人や地域ごとにそれぞれのルールに沿ってデータ管理されているため、まずはルールの統一が必要となります。

農村地域のデジタル活用が広がらない

データを活用するDXの推進は、個人レベルで行うのは困難であるため、地域全体で推し進めるのが効果的です。しかし、デジタル化の観点で日本の行政は、他の先進国に後れを取っている傾向にあります。

日本特有のはんこ文化などが理由で、紙媒体からデジタル化への転換がなかなか進まなかったことがひとつの要因として挙げられます。

新型コロナ流行時はリモートワーク推進の機運が高まりましたが、その際も日本の文化的な要因を背景としたさまざまな障害があり、導入には困難を伴いました。

少子高齢化が進む地方の地域ほど対策が急務であるにもかかわらず、データ活用の基盤が整っていません。

社会情勢への対応力も課題となっている

新型コロナウイルス感染症の流行は、社会全体に非常に大きなインパクトを残しました。人々のライフスタイルは大きく変わり、外食を控え自宅での食事に切り替えた人も多く、作物の出荷先や出荷量が大きく変動したケースもあります。

また社会活動の低下に伴い、物流や小売などの産業構造も変化しました。さらに海外情勢が不安定になり、原材料費や燃料費が高騰。経済状況の悪化による影響も大きくなっています。

このような社会情勢の変化にも柔軟に対応できる体制を構築することが、いま農業に求められている課題です。

農業DXの実現で得られるメリット

デジタル化の推進によって受ける恩恵は、人材難の解消だけにとどまりません。

農地の管理と収穫は、自動化されたトラクターが手作業の大部分を担ってくれるでしょう。人件費の削減やより大規模な収穫などが可能となり、長期的に投資に見合うだけの省力化やコストメリットが期待できます。

近年は、気候変動の影響で正確な天候の予測が困難になっていますが、気象情報に加えて農地のある局地的なエリアの観測体制を強化することで、悪天候から作物を守ることも可能です。

また、データとAI技術を活用すれば、直近のデータから将来予測を算出することができます。例えば、過去の出荷量のデータから来年の月ごとの需要を予測し、それに合わせて生産量を調整するといった取り組みが可能です。このように、感覚や慣習にとらわれない農業を実現できるようになるでしょう。

農業DXを推進する際のポイント


自分の農作業にもスマート農業やAI技術を取り入れたいと思ったとき、まず気を付けるべきポイントが4つあります。

実際には膨大に確認すべき要素はありますが、下記4つのポイントはどのような農業領域でも共通します。ぜひ取り組みをはじめる前に確認しておきましょう。

データの活用

手作業や感覚に頼っている部分は、可能な限りデジタル化する必要があります。AIのサポートや作業の自動化を実現するには、データが不可欠です。

(一例)
・生産量や出荷量に関するデータ
・収穫までに費やしたコストのデータ
・気温や湿度など天候に関する日々のデータ

これらは生産の最適化だけではなく、AIの予測精度を向上させるためにも有用です。

現在は、小型デバイスやセンサーの発展によってデータを記録したり、出力したりすることが以前よりも容易になりました。データ活用のためのツールを駆使して、日々の作業をデジタル化することがDX成功の第一歩です。

アジャイル手法の定着

一口に農業と言っても、作物の内容や種類、地域は多様です。そのためテクノロジーの導入には、それぞれに適した方法を適用することが重要です。

これまでは、準備から収穫まで一連のプロセスを連続して行うケースが大半でしたが、DXにトライする際にはアジャイルという並行して作業を実施する手法が有効です。

アジャイルで進める際は、プロセスを細かく区切り、プロセスごとに何がうまくいったのか、うまくいかなかったのかを判断します。想定どおりに進んでいないと判断したらすぐに修正し、最終的な目標達成を目指します。

UI/UXの改善

高齢化が進む農業では、デジタル化に対する感度が低いためDXの速度が遅くなりがちです。そのためUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)が非常に重要な要素となります。

UIは製品の画面などのユーザーが見たり接触したりする部分のことで、UXはユーザーが製品の利用を通じて得られる経験を指します。

例えば、データを操作するソフトウエアのデザインや操作の簡便性など、ユーザーが使ってみたいと思うUIが好まれるでしょう。

また、普段敬遠しがちなデジタルデバイスが、予想よりも簡単に使えるといった感動をユーザーが体験することによって、導入への抵抗感を軽減できます。

関連産業以外との連携

国はあらゆる産業でDXを積極的に推進しています。農業以外の産業でもさまざまなデジタル化による効率化の取り組みが進められており、その中には農業に展開できる技術やノウハウもあるでしょう。

農業分野のDXのみを参考にするのではなく、視野を広げて他の産業にも目を配ってみましょう。栽培する作物に適したセンサーやツールが見つかるかもしれません。DXを生かした経営手法を学習でき、新たな販路の発見で収益を向上できる可能性もあります。

TRYETINGで農業DXを実現しよう


農業のDXを進めたいと考える一方で、何から始めたらよいか分からない場合にはTRYETINGの『UMWELT』をおすすめします。

実際のところ、データ活用やAIによる予測は単純な作業ではありません。データの収集や処理方法からAIモデルの作成・評価などは、高度な知識とプログラミングのスキルを持つ専門人材が担うことが一般的です。

UMWELTは、専門家でなくてもデータ分析や需要予測などのAI活用を可能にし、ノーコード(プログラミングなし)で利用できます。

収集したデータをAIが解析

過去のデータがあればそれを分析して、結果を将来の計画に利用します。出荷履歴や在庫状況などをExcelなどで記録しておくと、予想に役立つでしょう。そしてAIが地域ごとの需要予測などを出力するため、戦略的に計画を立てられるようになります。

データを活用する農業では、的確な現状把握と迅速な対応が重要です。短期間での導入が可能で、かつ使い勝手の良いUMWELTは、過去にデータ活用になじみのなかった方々にも最適です。

業務を効率化できてコストも削減

農業事業の規模が大きくなると、従事者のシフト管理も大きな負担となります。一年を通じて変則的な需要に対応しなければならず、シフト表も複雑なものになりがちです。

UMWELTはシフト表の作成にも対応しており、条件を入力するだけで法令を遵守したシフト表を瞬時に作成します。これまで、担当者が需要に応じた人材配置を検討していた時間を削減できるでしょう。

UMWELTの導入は、既存の業務を削減することで効率化を図ると同時に、これまで作業に費やしていた費用も約90%削減し、経営の改善に大きく貢献します。

まとめ

農業へのDX導入は、現在の日本の農業を取り巻く環境を鑑みれば早期の実現が期待されます。しかしデジタル化は日本文化に適応しにくい部分もあり、少子高齢化が急速に進む農業分野は特に新技術との親和性が低い状況です。

しかしDXの推進は不確実性を増す今後の農業に効果的で、積極的な運用が大きなメリットを生みます。UMWELTはデータ活用を短期間で安価に実現でき、デジタル領域に自信のない事業者様にもおすすめです。

WRITING BY

TRYETING

公式

TRYETING公式です。
お知らせやIR情報などを発信します。