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DXと機械学習ライブラリの関係とは?構築手順やおすすめライブラリを紹介

 

現在、さまざまな企業でDX推進が積極的に行われています。DX推進によって、企業の業務効率化やビジネスモデルの変革が期待できるのです。そんなDXの中でキーとなるのが、AIを活用したデータ分析です。データ分析は、AIによって今までにない新たなイノベーションをもたらしてくれます。

しかし「AIをどのように構築すればいいかわからない」「自社でAI開発をしたい」と悩んでいる企業も多いでしょう。そこで今回は、DX化を進めたい中小企業の経営者やシステム部門者に向けて、AIで重要となる機械学習のライブラリについて解説し、用途別におすすめを紹介します。

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DXに機械学習ライブラリが必要な理由


DXには、なぜ機械学習ライブラリが必要なのでしょうか?ここでは、DXと機械学習の関係を明らかにし、機械学習ライブラリについて解説します。

DXと機械学習との関係

機械学習は、DX化を実現するために欠かせない技術の一つです。現代は、企業内のシステムがオンプレミスやクラウドで構築されることにより、データベースの場所も分散してしまい、全てを統合したリアルタイムな分析が難しい時代となっています。

DX化では、分断されたシステムやデータを一つの共通基盤に載せ替えることもミッションです。したがって、DX化をするためにはデータ基盤を一つに統合し、そこで蓄積した大量のデータを機械学習によって活用していくモデル構築が必要となってきます。

機械学習ライブラリとは

機械学習ライブラリを解説する前に、機械学習とライブラリについて理解しておきましょう。機械学習ライブラリとは、機械学習モデルを構築するためのプログラムをまとめたものです。0から全ての処理をする必要がなく、簡単に特定の処理を行うことが可能です。複雑な処理も、機械学習ライブラリを活用すれば簡単に実装することができます。

DXにおける機械学習モデル構築手順

DXにおいて機械学習を行うときには、以下の手順でモデル構築を進めるとよいでしょう。

  1. 準備
  2. 分析
  3. 前処理
  4. モデル構築
  5. 評価

1.準備

まずは分析する対象となるデータを集めなければなりません。データを効率的に収集するためには、近年では、自社内のサーバーのみならず、クラウドを活用したデータ基盤が用いられるケースも増加しています。データを一つの基盤で収集することで、生成されたデータが共通のデータベースへ流れることになり、部署間のデータ共有もスムーズに進められます。データをコンピュータへ取り込む際にはデータを処理のしやすい形式へあらかじめ整形しておくことが望ましいでしょう。

2.分析

データをコンピュータへ読み込ませた後は、対象データの分析をしていきます。分析時には、属性ごとに適した図やグラフを用いて可視化し、その中で見つかった違いや共通点などの特徴を洗い出します。また、分析によって不正なデータの混入やキーポイントとなる変数を見つけ出せば、後のステップで活用できることもあるでしょう。

3.前処理

モデル構築を行う前に、分析したデータを機械学習ができる形へと前処理を行っていきます。データの前処理としては、特徴量抽出、欠損地の除去や補完、数値の標準化の他に、画像やテキストのベクトル化があげられます。機械学習モデルは数値データ(ベクトル)しか扱えないため、様々な形式のデータを適切なベクトルに変換することが必要になります。

4.モデル構築

いよいよ機械学習モデルを構築します。モデルの構築時には、後ほど解説する機械学習ライブラリを用いて設計していきます。モデルはデータの様式によって様々なものがありますが、まずは簡単なモデルを構築して、そのモデルを拡張することでより性能を高めていくというプロセスを踏むことが一般的でしょう。ライブラリによっては、特定の処理がすでに実装されていることもあるので、ライブラリの特徴を理解しておくことは大いに役立ちます。

5.評価

最後は、機械学習させたモデルの性能がどの程度なのかを評価します。教師あり学習では、モデルの予測と正解データの差や違いを集計することで、性能を計ります。モデルの改良と性能評価を繰り返すことで、実務上必要な性能の達成を目指します。

【前処理向け】おすすめライブラリ


ここからは、おすすめのライブラリを紹介していきます。まずは、データの整形等を実施する前処理で活用できる以下のライブラリです。

  • Numpy
  • Scipy
  • Pandas
  • Matplotlib
  • gensim

それぞれの特徴を解説します。

Numpy

Numpyは、数値データを得意としているライブラリで、ベクトルや行列計算などで処理をしていきます。Numpy自体はC言語によって実装されているため、処理スピードが早いのが特徴です。似たような機能に、Pythonで実装されている「リスト」がありますが、複雑な計算にはあまり強くありません。対してNumpyは、複雑な計算にも強いだけではなく、短時間での処理も可能です。

Scipy

ScipyはPythonで利用でき、Numpyと同じく数値計算用のライブラリです。Scipyには、先述したNumpyの機能が含まれているため、Numpyよりも大規模な処理を得意としています。もし、大規模なデータの数値計算をしたいときには、Scipyの選択がおすすめです。

Pandas

Pandasはデータ同士を連結させたり、分割させたりするのを得意としており、連結や分割によってデータの平均値や標準偏差を割り出しています。これらのデータは、統計学で利用される値であるため、外れ値の処理をするときに利用されるライブラリです。

Matplotlib

Matplotlibは、分析したデータをグラフ上に描画できるライブラリです。グラフ化することで、複雑なデータでも傾向や特徴が分かりやすくなります。さまざまな種類のグラフを取り扱ったり表示形式を選択したりできるため、グラフを扱うならMatplotlibがおすすめです。

gensim

gensimは、自然言語処理で使われている技術トピックモデルを実装したライブラリです。WEBサイトなどの文章を対象に、記事のカテゴリー分けなどのテキストマイニングを行う際に使用されることが多いです。

【機械学習・ディープラーニング向け】おすすめ機械学習ライブラリ

続いて、機械学習やディープラーニングで利用される下記のライブラリを紹介します。

scikit-learn

scikit-learnは、分類や回帰、クラスタリングをはじめとする様々な機械学習の手法が利用できるPython向けライブラリです。NumPyやSciPyの出力データを入力データとして使うことができるなど、他のライブラリと合わせて使用しやすいという特徴があります。

Stan

Stanは、機械学習の中でも統計的計算に特化したライブラリとなっています。他にも、データ分析やデータ予測に利用されていますが、最も特徴的なのが「ベイズ推定」を高速で実装できることです。ベイズ推定は、観測した事象から推定したい事柄を確率的に推論する考え方で、統計学でも代表的な手法となります。

TensorFlow

TensorFlow は、Python、Javaを含む様々な言語で使うことができる機械学習ライブラリです。Googleが提供しているライブラリで、Googleの音声検索や翻訳、画像検索、検索エンジンの中のRankBrainにも使用されています。JavaScript向けやモバイルデバイス向けのものも公開されています。

Pytorch

“Pytorchは、Facebookを中心に開発されたPythonの機械学習フレームワークです。Pythonのインターフェースだけでなく、C++のインターフェースも存在しています。
強力なGPUサポートを備えたNumpyのようなテンソル演算が可能となっています。また、defineByRunと呼ばれる、データが入力された際に動的にモデルを構築する手法が用いられています。”

Theano

Theanoは、多次元配列などの数式を最適化するのが得意で、機械学習の計算時に使われている機械学習ライブラリです。NumPyと組み合わせて使われるケースが多く、ニューラルネットワークやディープラーニングで活用されています。

【画像処理向け】おすすめ機械学習ライブラリ

続いて、画像処理向けである以下3つの機械学習ライブラリを紹介します。

  • OpenCV
  • Pillow
  • Microsoft Cognitive Toolkit

OpenCV

Open CVは、画像処理の場面で活用されるライブラリです。C ++、Python、Javaなどの言語に対応しています。フィルター処理や人物認識、物体検出といった、AIによる画像処理に便利な機能が備わっています。また、ロボット工学などの学術用途に加えて、商用目的でも幅広く使用されています。

Pillow

Pillowは、幅広い画像形式に対応している画像処理に特化した機械学習ライブラリです。先述したOpenCVと比較すると、画像処理は重いもののコードが取り扱いやすいため、システムに取り入れやすい特徴があります。

Microsoft Cognitive Toolkit

Microsoft Cognitive Toolkitは、Microsoftが提供している深層学習フレームワークです。Python、C#、C++などの言語に対応しています。Skype TranslatorやBingなど様々なサービスで活用されています。

機械学習ライブラリは不要!AIツール「UMWELT」でDXの課題を解決しよう!

ここまで、機械学習ライブラリについて解説してきました。しかし、実際にライブラリを活用して機械学習を実現するためには、プログラミングや機械学習に関する知識を持った人材が必要です。多くの企業では、こうしたIT人材の不足が起こっているため、人材を用意できないこともあるでしょう。そこでおすすめなのが、開発コスト不要でAIシステムを構築できる、ノーコードAIクラウド「UMWELT」です。UMWELTは、プログラミング不要でデータの前処理からシステムへの連携・収集までを自動で実現できます。さらに、数多くのAIアルゴリズムも搭載されており、需要予測、在庫管理、シフト自動作成など、あらゆるDX推進シーンに対応しています。

まとめ

DX化を進めるのであれば、機械学習を活用したAIシステムの構築が必要となります。AIのシステムの構築により、収集したデータをさまざまな用途で活用できます。しかし、企業でAIを活用できる人材が不足していると悩んでいる方も多いと思います。

UMWELTでは、AIによるデータ分析を可能としており、DX化をサポートする汎用性の高いサポートをご提供しています。AIを活用できるDXツールをお探しの方はUMWELTの導入をぜひご検討ください。

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