BUSINESS

BOMをシステム化して生産管理を効率化!メリットや導入方法を解説

 

製造工程で必要な部品や原料などの情報を管理する「部品構成管理(BOM)」を手動で行っているものの、限界を感じているという方もいるのではないでしょうか。生産の製造形態が複雑化している近年では、手動での管理は非効率的でしょう。時間や労力がかかるだけでなく、人的ミスによるリスクも考えられます。この課題に対する有効な打開策がBOMのシステム化です。

この記事では、BOMの概要や種類、活用方法、その必要性、得られるメリット、おすすめのシステムについてご紹介します。最後まで読めば、BOMに関する正しい知識を身に付けられるでしょう。

▼更に生産管理について詳しく知るには?
生産管理の仕組みや役割とは?業務フローでの課題や効率化する方法を解説

▼社内のデータをAI化するには?
ノーコードAIツールUMWELT紹介ページ(活用事例あり)

BOM(Bill of Materials)とはどのようなもの?

必要な部品数や工程に関する情報をわかりやすく記載している図表です。主に製造業で部品や工程の管理に使用される「部品構成表」を指します。

大きく分類して、2つの情報が記載されており、製造の製品に関わる内容を端的に示しているのです。具体的には、部品の使用目的を示す「PS(Parts Structure)」と、品目情報を示す「PN(Parts Number)」があります。

これらは、購買部門や生産部門など、部門によって書き方や種類が異なるため、正しく活用するためにも、BOMの種類やその特徴を理解しておくことが必要です。

BOMの種類【管理方法による分類】


BOMは設計や製造、調達、メンテナンスなどあらゆる段階で使用します。そのため、自社の経営戦略や、製造形態に適した方法を採用することが大切です。

BOMをより効果的に活用するためにも、現在の管理方法が本当に最適か今一度見直してみましょう。まずは管理方法によるBOMの種類とその特徴を4つご紹介します。

サマリ型

製品ごとに、必要な部品や原材料を一覧形式でまとめた部品表です。柔軟性が高く、仕様変更でも臨機応変な対応ができることから、試作品と並行して生産する形態に適しています。

具体的な活用例は、原動機・工作機械の機械製造や、プラント構築・プラント用設備の施工、造船関連部品・車輛関連の輸送機械製造などです。その他、計測機・工学機器の精密機器製造や、大手製造業の試作などが挙げられます。

ストラクチャ型

並列に部品を書き込むサマリ型と異なり、製品の情報を階層構造で管理する方法です。部品や原材料を一覧形式ではなく、部品の加工や組立順序階層構造で管理するという点が大きな違いと言えるでしょう。

部品の情報だけではなく、各工程の詳細な情報や手順をあわせて管理でき、製造にかかるリードタイムや工数の計算にも活用できます。具体的な活用例は、化学品製造や金属製品製造、電気機器製造、精密機器、事務用品・玩具・運動機器の製造などです。

ハイブリッド型

BTO(Build of Order)を例とする特注品の製造に適している管理方法です。名前のとおりサマリ型とストラクチャ型を組み合わせた図表を指します。

中間までの過程はストラクチャ型を用いて標準仕様で製造し、最終段階ではサマリ型を用いて顧客のニーズや仕様に応じた仕上げが可能です。標準品や規格品の「繰返生産」と、個別品や特注品の「個別受注生産」との両方に対応していることから、利便性の高い方法と言えるでしょう。

パラメトリック型

サイズやオプションが異なるなど、バリエーションが豊富な製品の管理に適しています。複数のバリエーションの製品を製造する場合、通常は、各バリエーションを考慮したバリエーションごとのBOMを登録・管理しなければなりません。

しかし、この管理方法であれば、顧客が求める複数の仕様に応じたバリエーションごとのBOMを自動生成できます。そして結果として、仕様ごとのBOMを1つひとつ作成・精査する手間を省け、全体的な工程の時間短縮が可能です。

BOMの種類【用途による分類】


設計部門で作成したBOMを生産部門に引き渡し、情報に肉付けするという流れが一般的です。生産部門では、BOMに工程やリードタイムなどの情報を追加して、受注やスケジューリングに使用します。購買部門では、BOMにもとづいて部品や原材料の発注を行います。

用途や部門に応じて使用されるBOMは異なることがわかります。ここでは、用途別のBOMを5種類見ていきましょう。

M-BOM

M-BOM(Manufacturing BOM)は、主に生産部門が使用し、「製造部品表」「製造BOM」とも呼ばれています。製造プロセスにおける加工法や手順、補助材料などの情報が記載されています。

このBOMはE-BOMにもとづき、製造部門が必要な情報を追加して作成するのが一般的です。生産計画や生産指示、原材料の調達、工程管理などが挙げられます。生産管理システムで保守管理するものを指す言葉として使用されることが多い傾向です。

E-BOM

E-BOM(Engineering-BOM)は、「設計部品表」のことです。部品構成情報に加え、部品の仕様や図面の設計情報などを管理します。設計BOMとも呼ばれることもあり、設計図情報と並行して情報を記入するものです。

多くの場合、CAD(製図システム)やPDM(製品データ管理)、PLM(製品ライフサイクル管理)などのシステムと組み合わせて利用します。

S-BOM

S-BOM(Sell-BOM)は、販売支援のために作成している「販売部品表」のことです。販売支援情報を記載し、販売支援システムと連携して使用される場合が多くあります。

製造業によってはS-BOMを作成せず、M-BOMで管理します。必要不可欠の表ではないため、補助的な図表として使用されることが多い傾向です。

購買BOM

購買BOM(Purchasing-BOM)は、購買・調達業務に特化した部品構成表です。購入数量や仕入先ごとの購入価格など、見積・発注作業に必要な情報をリスト化されています。在庫がない場合の代替え品の情報や、仕入先などが記載されていることが多い傾向です。

こちらもS-BOMと同様に、補助的に使用されています。これを作成しない企業は、M-BOMに購買に関する情報を追加して運用します。

サービスBOM

サービスBOM( Service-BOM)は、保守・サービスに特化した販売部品表です。主に販売支援システムと連携させて使用されています。「サポートBOM」「メンテBOM」「保守BOM」などと呼ばれることもあり、製品の修理・メンテナンスの際に必要です。

修理などに必要な部品をリストアップし、顧客ごとの修理歴を記載しています。修理に必要な部品情報が記載されていることから、部品発注にも使用可能です。なお、「S-BOM」と表記するケースもあるので、混同しないように注意しましょう。

部門ごとのBOM活用方法をチェック

製造の過程で主に使われるBOMはE-BOMとM-BOMの2種類です。それぞれの活用方法は以下のとおりです。

・E-BOM(設計部品表)
開発や設計部門で使われており、部品の構成や情報を管理します。この表の部品情報に基づいて、製造にかかるコストの試算を行います。E-BOMの主な管理対象は製品の部品と機能に関する情報です。具体的な記載内容として、部品・モジュールの仕様や設計の情報、活用する技術方法などが挙げられます。

・M-BOM(製造部品表)
部品や資材、工程の情報が記載されており、資材の調達や生産管理、製造部門で活用されます。管理対象は、製造後の納入や製造工程におけるこまごまとした管理です。これらの情報によって、製造を進める際のスケジュールを立てられ、指示出しや工程管理がスムーズに行えます。また、工程を進める上で必要となる部品の手配にも活用可能です。

BOMのシステム化は業務改善のプロセス

BOMは紙やExcelでの作成・管理も可能です。とはいえ、紙やExcelで作成した場合、部品や工程などの複雑かつ膨大な情報を瞬時に把握しづらく、見落としが発生しやすい点がデメリットとなります。すべての工程を確認するために複数のデータに目を通さなければならず、従業員間で共有するのが難しい点も課題となるでしょう。

BOMをシステム化することで、製造工程を一元管理でき、変更が生じた際もリアルタイムでの修正・確認が実現します。また、従業員間での情報共有もスムーズにできるため、認識違いによるトラブルも防げるでしょう。これらの観点から、業務効率化を図るためには生産管理システムの導入が効果的であると言えます。

生産管理システムでBOMを管理するメリット


生産管理システムでBOMを管理することで業務効率化を図れるなどさまざまなメリットを得られます。自社に合うシステムを導入することで、その効果を最大限に発揮できるでしょう。導入前に、どのようなメリットを得られるか把握しておきたいところです。ここでは、生産管理システムによるBOM管理で得られる代表的なメリットを5つご紹介します。

1.複数の部門で連携しやすくなる

BOMをシステム化して共通の画面を使用することで、複数の部門での情報共有ができるようになります。紙やExcelで作成したBOMの場合、紙の印刷やファイルの送信が必要なため、リアルタイムでのスムーズな情報共有が難しく、認識違いによる製造工程のミスが発生しかねません。しかし、生産管理システムであれば、あらゆる情報を一元管理できるため、スムーズに情報を伝達・共有可能です。

また、進捗が把握しやすくなることで仕掛の段階から、納期を見据えて作業を進行できます。

2.人的ミスを予防できる

紙やExcelによるBOMは記載・入力ミスが発生するリスクがあります。特に、Excelはすぐにデータを入力し直せてしまうため、アクセス権限を設けるなどの対策を求められるでしょう。生産管理システムでBOMを共有すれば、単純な入力ミスや共有の不足による認識違いを防げます。また、同時に複数人でデータの確認をできるため、ミスを発見しやすくなります。

3.部品管理を効率化できる

生産管理システムでBOM管理することで、常に最新の情報に保ち、部品不足や手配漏れなどを防止できます。製造中に追加で部品が必要となった場合も、システム上で正確な個数が把握できるため、発注ミスが起こりにくいでしょう。部品調達に関しても、製造を始める前に必要な種類と個数を明確化できるため、部品の手配を無駄なくスムーズに行えます。

また、システム上に蓄積されたBOMの情報は、流用したり検索したりできるため、業務効率化に寄与します。

4.業務標準化に役立つ

業務標準化は、業務効率・業務品質・安全性を踏まえて最適な業務手順を決定し、その手順を徹底することです。生産管理システムを活用すれば、過去あるいは他設計者の設計図やBOMの情報の蓄積・共有・管理が可能です。その結果、部品表の流用や検索が容易になり、「設計工数」や図面の「検索工数」の削減に繋がります。また、ノウハウを情報として蓄積できるため、業務標準化に役立てられます。

5.品質の安定化に役立つ

共通のBOMをシステム内で情報共有することで、製造段階における原料やパーツの手配状況が確認できるようになります。同時に、加工工程の進捗状況を把握しやすくなるため、品質の安定化が実現します。品番管理による部品の標準化や在庫管理による材料費の低減などの情報も共有できることから、在庫の適正管理にも役立ちます。

生産管理システムの導入をご検討中の方は「UMWELT」がおすすめ


生産管理システムによってBOMを管理したいものの、どのシステムを選べば良いか悩む方もいらっしゃるでしょう。生産管理システムの導入にお悩みの方にはTRYETINGが提供するクラウド型AIプラットフォーム「UMWELT」がおすすめです。ここでは、UMWELTの特徴や強みについてご紹介します。

簡単にシステムをAI化できる

TRYETINGが提供するUMWELTはAIを活用したDX化を実現するプラットフォームです。APIを介して接続することで多くの既存システムをAI化できるため、既存システムに手を加えずに簡単に導入できます。また、導入時は弊社のコンサルタントがサポートします。さらに、シンプルな操作画面によって、ドラッグ&ドロップするのみで誰もが簡単に高度なアルゴリズムの構築が可能です。専門知識を必要としないため、新たなIT人材の採用も必要ありません。

多種多様な機能を提供

UNWELTは常時100種類ほどのアルゴリズムを装備しております。アルゴリズムを使用用途に応じて組み合わせてできることとして、具体的には以下が挙げられます。

・データ分析
・製造プロセス最適化
・素材開発
・自動シフト作成
・出店最適化
・重要予測
・在庫管理
・自動価格変動
・欠陥分析機能

特に、需要予測や在庫管理は生産管理全体に活用できる便利な機能となります。これらの機能を活用して人的配置や在庫調整などを最適化すれば、最小限のコストで高品質の製品を効率的に生産できるでしょう。

まとめ


製造業において必要不可欠なBOM(部品構成表)ですが、製品の構造が複雑であるほど、管理も複雑化します。紙やExcelで作成したBOMでは、入力ミスや部門間での共有にタイムラグが発生するリスクがあります。生産管理システムを導入すれば、より正確な情報をリアルタイムで共有でき、業務効率化の実現が可能です。導入や運用が簡単で、多彩な機能を備えた生産管理システムをお求めのご担当者様はTRYETINGまでお気軽にご相談ください。

WRITING BY

TRYETING

公式

TRYETING公式です。
お知らせやIR情報などを発信します。