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i-ConstructionとDXの違いは?現状や最新の事例を紹介

 

建設業界の人手不足は深刻です。国土交通省はDX推進とi-Constructionの取り組みを加速し、企業の生産性向上をサポートしています。i-ConstructionやDXについて理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。

この記事では、i-ConstructionとDXの違い、導入事例を紹介します。最後までお読みいただくことで、i-Constructionと生産性向上の内容を理解できるでしょう。

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i-ConstructionとDXの違いを理解しよう


建設業界の生産性向上には、デジタル技術の活用が不可欠です。国土交通省は、取り組みの一環として「i-Construction」を開始しました。似た取り組みであるDXもさまざまな産業で加速しています。ここでは、i-ConstructionとDXの違いを解説します。

i-Constructionとは

i-Constructionは、2016年に国土交通省が開始した生産性革命プロジェクトのひとつで、ICTなどの技術を活用してインフラ整備や管理の高度化を目指す取り組みです。

測量・設計・施工・維持管理の建設生産プロセス全体でi-Constructionを推進し、2025年までに建設現場の生産性を2割向上することを目標としています。

建設業のDXとは

DXとは、Digital Transformationの略で、デジタル化による変革を意味します。AIなどの新技術を活用して新しい製品・サービスを生み出し、ビジネスモデルの変革を通して競争上の優位性を確立するのが目的です。

建設業界では、デジタル技術によって業務効率化や省人化、技能継承を実現します。

i-ConstructionとDXの目的に違いはある?

i-ConstructionとDXは、どちらもデジタル技術の活用による生産性向上を目的とします。DXは、i-Constructionを包括する概念です。

i-Constructionは建設現場における生産性を、2025年までに2割向上することを目指します。建設DXの一部技術は、原則、2023年度までに小規模工事を除く全ての公共工事で適用しなくてはなりません。

DXはi-Constructionに比べると短期的な目標のため、より導入が進んでいます。

建設業にi-ConstructionやDXが必要となる背景


建設業界の継続的な発展には、さまざまな課題があります。少子高齢化により日本の労働力人口は減少しており、課題解決のために生産性向上は不可欠です。また、建設業界特有の課題にも立ち向かわなくてはなりません。

ここでは、建設業界がi-ConstructionやDXに取り組まなければならない理由を解説します。

人手不足の深刻化

日本全体で少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。建設業界の労働環境は「3K(きつい・汚い・危険)」とイメージが悪く、他業界より人手が集まりにくい状況です。

建設業就労者は1997年には685万人でしたが、2020年には492万人まで減少しました。専門知識やスキルを持つ技術者・技能者も減っています。

技術の継承問題

建設業界では高齢化が進み、若い世代への技能継承が難しいという問題もあります。技術や技能の伝承は、一朝一夕ではありません。若い人材は、熟練の技術者と共に行動して少しずつスキルアップしていきます。

若い人材の確保が期待できない状況であることから、熟練技術者の知見を少しでも残せるように、技術や判断データを社内共有するなどのデジタル化が必要です。

生産性の向上

建設業界は現場によって施工内容が異なり、手作業も多いため、長時間労働が常態化しています。加えて、人手不足で適材適所の割り当てができず、生産性が低下しやすい状況です。

ロボットによる手作業の削減や自動化による省力化により、建設現場の生産性向上が必要です。

労働環境の改善

日本建設産業職員労働組合協議会の「2020時短アンケート」によると、2020年の建設業界の総労働時間は、全産業平均と比べて年間360時間以上も長い状況です。2020年の全産業平均の総労働時間は、1997年と比べ266時間減少しましたが、建設業界で減少したのは41時間でした。

建設業界(男性全労働者)の年間賃金総支給額は、2015年までは全産業平均を下回っていましたが、2016年以降は上回ります。一方、男性生産労働者の賃金は依然として全産業平均を大きく下回っており、対策が必要です。

i-Constructionトップランナー施策


i-Constructionの推進に向けて、国土交通省は「ICTの全面活用」「全体の最適化(コンクリート工の規格の標準化など)」「施工時期の平準化」の3つをトップランナー施策として定めています。ここでは、それぞれの詳細について解説します。

ICTの全面活用

マシンガイダンス(MG)、マシンコントロール(MC)、ドローンを利用した測量など、ICTの導入に成功した例があります。2014年度に国土交通省の発注工事で実施したところ、1日当たりの施工量が最大約1.5倍になりました。

また、建機周辺の計測作業を機械化するため、作業員の安全性が向上します。比較的若い人手でも、精度の高い重機オペレーションの操作や測量が可能です。

全体の最適化

建設現場で使用する部材は現場ごとにサイズや形が異なることから、現場ごとの一品受注生産が基本です。そのため、製造・施行・維持管理はそれぞれの現場で最適化することが多く、全国など広い視点では最適化していません。

そこで、土木構造物の中でも代表的なコンクリート工に全体最適しました。構造物の設計、発注、材料の調達、加工、組み立てなどの一連の生産工程とプロセス全体の最適化を目的に、サプライチェーンの効率化と生産性向上を図ります。

施工時期の平準化

公共工事は予算成立後に入札契約手続きを行うため、4月から6月は工事の件数が少ない一方、年度末に集中します。多い時期と少ない時期の偏りが大きく、建設企業にとって大きな負担です。

人手不足に悩む企業が既存の人手を有効活用するには、施工時期の平準化が重要です。時期をずらすだけで済むため、新たな投資は必要ありません。発注者の仕事のやり方を変えることで実現できます。

関係が深いデジタル技術


i-Constructionの推進を支える、5つの主要技術があります。クラウドやAIは近年よく耳にしますが、CIMやBIMは建設業界特有の言葉です。いずれもデジタル化による生産性向上を図る上で必要な用語のため、正しく理解しましょう。

CIM

CIMは、Construction Information Modeling/Managementの略で、i-Constructionを実現するための技術です。土木工事において、3次元データにコストや資材情報といった属性データを組み合わせることで、建設プロセスの効率化を目指します。

BIM

BIMは、Building Information Modelingの略です。建築現場で利用するソフトウエアで、建物の3Dモデルを基に設計ができます。

以前から建築分野で使用していたBIMを基に、国土交通省が2012年に提唱したのがCIMです。国土交通省の定めにより、2018年5月からBIM/CIMの名称になりました。

クラウド

クラウド技術を活用すれば、インターネット上の仮想サーバーを介してソフトウエアを利用できます。インターネットに接続できる環境なら、どこでも操作が可能です。

クラウド上にデータを保存することで、効率的な情報共有が実現します。本社や支社といった遠隔地からでも、建設現場の情報をリアルタイムで確認・指示が可能です。

5G

5Gは、第5世代移動通信システムのことです。次世代移動通信規格で、以前より高速で大容量の通信ができます。通信遅延を低減し、複数の機器に同時接続が可能なことから、ICTの活用に欠かせない技術のひとつです。

AI

AIは、Artificial Intelligence(人工知能)の略です。システムが機械学習を繰り返すことで、複雑な処理が可能になり、省力化に役立ちます。

例えば、画像に映る物を正確に判定する、異常を発見するといったことが得意です。建設現場の進捗も把握できるため、複雑な作業を自動化する際に必須の技術といえるでしょう。

i-Constructionのメリットと注意点


建設現場の生産性向上を実現する手段にはドローンなどのツールがありますが、i-Constructionには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、i-Constructionのメリットと注意点について解説します。

測量・施工・検査でのメリット

ドローンを活用し、あらかじめ決めた設定と手順で遠隔操作すれば、測量ができます。大規模な現場でも少人数で対応が可能です。ドローンが取得した3D計測データをCIMで利用できるため、効率化に役立ちます。

ドローンのようなICT機器は、訓練すれば操作が可能です。自動操縦や操作のサポート機能を搭載した機器もあり、少ない人手で運用することで人件費も削減できるでしょう。

建設現場では、正しく施工できたかを確認する検査が重要です。しかし、ひとつひとつ確認すると、規模によっては膨大な時間がかかります。

ドローンなどのICT機器を活用すれば、正確性の向上と省力化が実現します。検査が必要な部分を自動で判定し、異常があれば知らせるといった作業も可能です。

リスクも考慮する

ICT建機や機器の導入には、多額の費用がかかります。広い建設現場をカバーするには、複数の機材が必要となるでしょう。しかし、中小企業にとって多額の投資は大きなリスクです。ICT建機のリースや部分的なドローンの利用をおすすめします。

ICT機器の導入は省力化に役立ちますが、必要となるスキルや知識がこれまでとは異なります。建機やドローンの操作方法、取得したデータの処理方法といった専門的なスキルも欠かせません。

ICTの導入で最も重要なのは、費用対効果です。多額の費用をかけてもリターンが少なければ、導入した意味がありません。どの程度の収益を得られるか、人件費を削れるかなど、総合的な費用の検討が必要です。

i-Constructionの導入事例


i-Constructionを推進する際は、ICTの活用による現場作業の自動化や標準化、施工時期の平準化と対象範囲が広く、自社で何ができるかを具体的にイメージするのは難しいかもしれません。ここでは、i-Constructionの導入事例を2つ紹介します。

ドローン測量を活用

埼玉県深谷市の株式会社技術開発コンサルタントでは、2014年から無人航空機(UAV)を使った測量を始めています。ドローンにカメラとレーザースキャナーを搭載して測量データを取得し、それをもとに3D設計する仕組みです。

ドローンの位置やGPSから得られる情報を組み合わせることで、立体的な点群データを収集し、測量対象物を立体的に表現できます。特に傾斜地に土を盛って造成する場合、以前は毎日土量を監視する必要がありましたが、ドローンの活用により効率化されました。これにより、より効率的かつ正確な測量が可能になりました。

IT助成金とCADソフトを活用

愛知県東郷町にある株式会社東郷建設は、4人の従業員で周辺地域の施工管理に特化した事業を展開する企業です。複数の下請け業者を抱え、自社の施工の他にも中間的な施工管理や労務の提供を行います。

40社〜50社の協力企業があるため、管理台帳の作成が課題でした。解決策として、書類をデータとして管理できる施工体制台帳作成支援システムを導入し、書類作成や管理にかかる手間と時間の削減に成功しています。

また、協力会社と同じCADソフトウエアを使うことで図面共有を効率化し、細かいやりとりもスムーズになりました。協力会社は、ICT補助金を活用し導入しています。

i-Constructionの今後

i-Constructionは、建設現場の生産性向上を目的としますが、具体的な指標がなく曖昧なイメージがあります。関係者全員が今後どのようなインフラ整備を目指すのか、具体的なイメージを持つことが重要です。

これまで、i-Constructionの対象は、道路・擁壁といったコンクリートが主流でした。今後は、エネルギーや上下水、ごみ処理など統合的に考えて、何を対象とするか見直しが必要です。

育成の取り組みが遅れている問題もあります。ICT土木では、これまでの土木と異なる知識が必要です。しかし、大学では新技術に関する教育が遅れています。学会を通して最新の土木教育を日本全体に広げる取り組みの他、社会人土木技術者の再教育も重要といえるでしょう。

建設業の課題解消にはUMWELTが役に立つ!


人手不足に対応するには、生産性の向上が不可欠です。ICT建機やドローンの導入は、現場の生産性向上に大きく役立つでしょう。一方、費用対効果が得られないリスクもあり、中小企業にとって難しい課題でもあります。

生産性向上を図りたい企業様には、TRYETINGの『UMWELT』がおすすめです。発注や需要予測の自動化を実現し、生産性向上に役立ちます。

業務効率化で建設業の課題を解消できる

UMWELTは、AIにより複雑で難しい業務を自動化するツールです。例えば、過去の受注データから将来の需要を予測できます。

需要予測や在庫管理は経験豊富な担当者の勘に頼るケースが多く、引き継ぎも容易ではありません。人手不足で後継者がいなくなる場合に備えて、データを用いた自動化が有用です。

UMWELTはノーコードで利用可能なため、導入や運用に専門的な知識は必要ありません。カスタマーサクセスによるサポートで、スムーズに導入できます。

導入事例

株式会社ASNOVA様は、全国の建設現場で必要な機材をレンタルする企業です。2022年6月時点で19拠点を有し、約92億円のレンタル資産を保有しています。これまでは、機材管理部の在庫管理や受発注作業に大きな負担を感じていました。

需要予測をUMWELTで自動化したことで、担当者の負担軽減に成功しています。各機材センターの機材の適正量を予測し、失注を最低限に抑えると同時に、機材の稼働率向上につながりました。

(参考: 『【ASNOVA様】UMWELT活用事例|需要予測を自動化して、無駄な在庫を減らして管理コストを削減|TRYETING』

まとめ

人手不足に悩む建設業界では、生産性の向上は重要な課題です。課題の解決に向けて、国はi-ConstructionやDXといったデジタル技術の導入による変革を推進しています。一方、ICT機器の導入には多額の投資が必要で、中小企業にはリスクの大きい決断です。

UMWELTは、需要予測や在庫管理、受発注など、建設企業のさまざまな業務を自動化します。生産性向上に取り組みたい企業様は、TRYETINGにご相談ください。

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