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ピッキングは物流倉庫業務の重要な工程です。ピッキングの効率化は、物流業務全体の効率化につながります。ピッキング業務の大まかな内容は分かっていても、詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、物流におけるピッキングの概要や種類、効率化の方法、コツを紹介します。最後まで読んで実践すれば、倉庫業務のコスト削減や従業員負担の軽減につながるでしょう。
物流におけるピッキングとは?
ピッキングを直訳すると「摘み取ること」「選択すること」を意味します。物流業界では倉庫業務のひとつで、物流全体を支える大切な工程です。ここでは、物流におけるピッキングの役割や作業内容を確認しましょう。
ピッキングは物流機能のひとつ
物流機能は「配送・輸送」「保管」「梱包・包装」「情報」「流通加工」「荷役」の6つで、これらが機能することで、ECサービスの顧客や取引先の小売店に滞りなく商品が届きます。
荷役とは、トラックや船舶への荷物の積み降ろし、入出庫、運搬といった倉庫作業を指し、ピッキングも荷役作業のひとつです。
倉庫内の商品をスムーズに探す作業
ピッキングとは、ピッキングリスト(伝票や指示書)を基に、出荷する商品を探して取り出す作業です。物流倉庫は、さまざまな種類の商品を大量に保管しています。顧客から注文を受けたら、注文商品の保管場所に移動して商品を取り出し、検品・梱包を経て出荷します。
ピッキングリストを受け取り、取り出した商品を検品し、梱包担当に渡すまでがピッキングの作業です。スムーズな配送につなげるため、正確かつスピーディーに行う必要があります。
物流における3種類のピッキング方式
物流におけるピッキングは「シングルピッキング」「トータルピッキング」「マルチピッキング」の3種類の方法があります。ピッキングを効率化するには、業務環境に合った方法の選択が重要です。ここでは、各ピッキング方式の特徴を解説します。
シングルピッキング
シングルピッキングは、1オーダーごとにピッキングする方法です。ひとつずつ商品を取り出す形式が作物を収穫する様子に似ていることから、摘み取り方式とも呼ばれます。EC・通販サービスを展開するBtoC系の物流センターが採用している方法です。
急なオーダーにもすぐに対応できること、シンプルな方法で従業員の育成に時間がかからないことがメリットです。商品数や配送先が少ない場合に適しています。ただし、オーダーの数だけ商品を取りに移動しなくてはならないため、オーダー数や商品数が多い場合は向いていません。
トータルピッキング
トータルピッキングは、複数のオーダーに対してまとめてピッキングを行い、配送先ごとに仕分ける方法です。配送先ごとに分ける姿を例えて、種まき方式ともいいます。
複数のオーダーでも倉庫内の移動距離が最小限で済む点がメリットです。オーダー数や商品数が多い場合に適しています。しかし、シングルピッキングより工程が増えるため、仕分け作業にかかる手間がデメリットです。また、仕分け用のスペースも用意しなくてはなりません。
マルチピッキング
マルチピッキングは、シングルピッキングとトータルピッキングを併用した方法です。複数のオーダー分をピッキングしながら、同時に仕分けもします。以下のオーダーで考えてみましょう。
オーダー1 | 商品A:3個、商品B:4個 |
オーダー2 | 商品A:5個、商品B:2個 |
トータルピッキングの場合、商品Aを8個、商品Bを6個ピッキングして後で仕分けます。一方、マルチピッキングは、オーダー1用とオーダー2用の段ボール箱を用意し、それぞれの箱に商品A・Bを必要な数だけ入れます。
効率的に複数のオーダーをピッキングできる反面、ミスが起こりやすいのがデメリットです。
物流でのピッキングを効率化するコツ
作業の動線が長く、ピッキングスタッフの能力にばらつきがあると、ピッキング効率は低下します。このような課題を改善するのが、「作業のルール化」と「保管場所の工夫」です。物流でピッキングを効率化するコツを紹介します。
作業をルール化する
ピッキングの作業手順やチェック方法を示したマニュアルを作成することで、作業の標準化が可能です。熟練者だけでなく、初心者も一定のレベルで作業できます。
マニュアルがあってもヒューマンエラーは起きるため、ダブルチェックやトリプルチェックの体制を整えるとよいでしょう。ピッキングミスを見逃さず、誤配送を防止できます。
倉庫内の保管場所を工夫する
倉庫内の動線をできる限り短縮することで、ピッキング効率は上がります。作業スピードが上がるだけでなく、ピッキングスタッフの負担軽減も可能です。
例えば、オーダーが多い商品を近い場所に保管する、同時にオーダーを受ける機会が多い商品同士を近くに置くといった工夫で、動線を短縮できます。季節物のような一時的に需要が高まる商品は、期間中だけ近くに保管するとよいでしょう。
1回当たりの動線を短くしても、ミスがあると再度移動しなくてはなりません。ピッキングミスを避けるために、似た商品同士を近くに置かない、棚の色や目印で保管場所を分かりやすくするといった工夫も重要です。
物流におけるピッキング作業ミスを防ぐ管理方法
倉庫内のロケーション管理は、ミスを防いでピッキング作業を効率化します。ピッキングだけでなく、保管や運搬といった物流業務全体の効率化にも有効です。
ロケーション管理は、「固定ロケーション」「フリーロケーション」「ダブルトランザクション」といった3つの方法があります。ここでは、それぞれのロケーション管理の特徴とメリットを紹介します。
固定ロケーション
固定ロケーションは、商品の保管場所を固定する管理方法です。シンプルな方法で、保管場所を明確に把握できます。特定の場所に商品を置くため、在庫が切れたらすぐに分かります。
一方、在庫切れが続くと保管スペースが無駄になることがデメリットです。また、「この商品はこの場所にある」という認識が根付くことで、商品を入れ替えたときに作業効率が下がります。
保管する商品が少ない倉庫やロケーションの変更が少ない倉庫、常に一定のオーダーがある定番商品を扱う倉庫に適した管理方法です。
フリーロケーション
フリーロケーションは、保管場所を固定せず、商品を仕入れるたびに空いているスペースを利用する方法です。空きスペースが発生しづらく、倉庫内の空間を効率的に活用できます。食品やアパレルなど、入れ替わりの激しい商品を扱う倉庫に適した方法です。
デメリットは、短いスパンで変わるため、保管場所の把握が難しいことです。入れ替わりが激しい分、入庫時のロケーション登録もミスが起きやすくなります。他にも、「存在しない商品を探してしまう」「商品をなかなか見つけられない」といった問題が考えられるでしょう。
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションは、倉庫内でピッキングエリアとストックエリアを分ける方法です。
ピッキングエリアには固定ロケーションですぐに出荷する商品だけを置き、ストックエリアはフリーロケーションで保管だけを目的とします。保管スペースを有効活用しながら、出荷作業がスムーズにできる方法です。
ただし、ピッキングエリアの在庫が減ったときは、ストックエリアから補充する必要があります。扱う商品の容量が大きい場合、負担がかかるため適していません。
物流のピッキング作業ミス対策におすすめのシステム
物流におけるピッキングの効率化には、システムの活用が有効です。特に、情報の入れ替わりが激しいフリーロケーションは、システムによる正確な情報登録や共有が大いに役立つでしょう。
一部の作業に特化したものから幅広く活用できるものまで、物流システムにはさまざまな種類があります。ここでは、物流のピッキングにおすすめのシステムを4つ見てみましょう。
ハンディーターミナル
ハンディーターミナルを活用すれば、ピッキングリストのバーコードを読み取ることで、商品情報と保管場所を確認できます。
人の記憶や手書きのピッキングリストに頼る場合に比べて、作業のスピードと正確性が高まります。プリンターに接続すれば、出荷ラベルの発行も可能です。ピッキング後の検品・梱包・出荷の流れも効率化できるでしょう。
デジタルピッキング
デジタルピッキングは、デジタル表示器を利用したピッキング支援システムです。まずは、商品を保管する棚にデジタル表示器を設置します。ピッキングスタッフは表示器のランプが光っている場所に向かい、表示された数だけ商品を取り出す仕組みです。
デジタル表示器が必要な行動を明確にするため、ピッキングリストを見て作業するより正確性とスピードが向上するでしょう。他にも、仕分け用のデジタルアソートシステムもあります。
ピッキングロボット
ピッキングロボットの導入で、ピッキング作業の機械化や自動化が可能です。手作業より効率的にピッキングできるだけでなく、省人化により人件費を削減できます。ピッキングロボットの主な種類は以下の通りです。
無人搬送ロボット | 指定したルートを走行・運搬する |
自律走行搬送ロボット | 自動で走行ルートを決定し、運搬する |
棚搬送型ロボット | 出荷する商品が入った棚をピッキングスタッフに届ける |
ピースピッキングロボット | 複数の商品から自動で指定した商品を選別する |
ピッキングシステムを導入するメリット
ピッキングシステムを倉庫管理システムや在庫管理システムと連携することで、倉庫内の物流業務を統合的に管理できます。入出庫の登録作業や在庫情報の更新作業も自動化できるため、物流業務全体の効率化に有効です。
また、ピッキングに関する情報をデータ化することで、ペーパーレス化も実現します。紙や印刷にかかるコストも削減可能です。手作業で生じていたヒューマンエラーを防ぎ、生産性も上がるでしょう。
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ノーコードのため、AIやプログラミングの専門知識は必要ありません。ドラッグ&ドロップでアルゴリズムを組み合わせるだけで、自社に合ったシステムを構築できます。
まとめ
ピッキングは、出荷する商品を倉庫内から探し、取り出す作業です。作業を効率化するには、業務環境に合ったピッキング方式の選択や作業のルール化、ロケーション管理が重要です。
ピッキングシステムの導入は、効率化に大きく貢献します。TRYETINGのUMWELTは、簡単に物流業務のシステム化が可能です。無料相談や資料請求を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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