BUSINESS

物流でのAI活用の必要性とは?メリットとデメリットや活用例を解説

 

AIは、家電製品やロボットなどへの活用の他、物流業界を含むさまざまな業界で導入が進んでいます。物流業界でAIはどのように役立つのでしょうか。

この記事では、物流業界でのAIの必要性やAIを導入するメリット・デメリットを紹介します。最後まで読んでいただければ、物流業界にAIが欠かせない理由が分かるでしょう。

物流にAI活用が必要になる背景


物流にAIの活用が不可欠なのは、物流業界が抱える「ドライバー不足」「労働環境」「燃料価格高騰」といった課題が大きく関わっています。物流業界がこのような課題を抱える背景を知れば、AIを取り入れる理由が分かるでしょう。

物流8つの機能

物流とは「物的流通」の略で、生産者から消費者まで物を届ける流れのことです。

物流は5つの機能で成り立っています。荷物を運ぶ「輸配送」、倉庫や物流センターで一定期間保管する「保管」、入出庫作業の「荷役」、荷物の破損を防ぐ「包装」、ラッピングや小分けで付加価値を高める「流通加工」です。

近年は情報・調整・管理の3つの機能を加えて、戦略物流8大機能と呼ぶ考え方もあります。

物流業界の現状

EC市場拡大や新型コロナウイルス感染症の影響から、物流の需要は増しています。安定した業界に見えるかもしれませんが、さまざまな課題と向き合わなくてはなりません。

全産業平均と比較すると、物流業界は年間所得額が低く、年間労働時間が長いという状況です。低賃金・長時間労働という労働環境の悪さを理由に、若手ドライバーが不足しています。少子高齢化が進み、高齢ドライバーが退職していることもドライバー不足につながる要因です。

また、燃料価格高騰も物流業界に大きな影響を与えています。高騰分を料金に上乗せするのは難しいこともあり、運送業者が負担している状況です。

システム構築や輸送方法の改善に役立つ

物流業界の課題解決策として、輸送方法の見直しがあります。トラックを使って輸送している場合、モーダルシフトが有効です。モーダルシフトでは、トラックだけでなく鉄道や船舶も利用します。

トラックのみの輸送では、出発地に戻るまでに数日かかるケースも少なくありません。輸送方法を効率化することで、最寄りの転換拠点までの運転で済むため、ドライバーの負担軽減が可能です。

鉄道や船舶による輸送は距離が長いほど割安になる傾向があることから、トラックで輸送していた距離が長いほどコスト削減効果が期待できるでしょう。

また、物流システムやAIの導入も作業効率化やコスト削減につながります。物流システムの種類は、荷待ち時間の削減が可能なトラック予約受け付けシステムや、効率の良い配送計画が立てられる自動配車システムなどさまざまです。

物流業界でのAI導入率は?

物流業界は、さまざまな課題と向き合わなくてはなりません。課題解決に有効な方法としてAIの導入がありますが、物流業務での活用は進んでいないのが現状です。

総務省情報通信政策研究所が開催したAI経済検討会で、AI活用状況の発表がありました。回収数3,329(うち完答数は2,320)の中で、データ処理にAIを活用している企業はどの業務領域でも10%程度です。

一方、物流・在庫管理に関しては、自社開発AIと他社サービスのAIを合わせても6.1%と決して高くはありません。

物流業界でAIを取り入れる4つのメリット


さまざまな課題を抱える物流業界にとって、AIの導入は課題解決につながる重要な技術です。しかし、AIのメリットが分からなければ、うまく活用できません。ここでは、AIを物流業務に導入するメリットを4つ紹介します。

適切な物流予測の実現

企業に蓄積している配送量データや集荷量データなどをAIに活用できます。「分析が困難」「分析に膨大な時間がかかる」などの理由で無駄にしたデータも、AIにとっては価値のある情報です。今後、データがさらに集まれば物流予測の精度も上がるでしょう。

物流予測の精度が上がれば、販売量から最適な在庫量を割り出せます。在庫量の最適化が図れると、余剰在庫を抱えるリスクの軽減が可能です。

検品作業のミスを防止

企業の規模にもよりますが、1日に膨大な数の荷物を扱うこともあります。一般的に検品は手作業で、荷物が多いほど人為的ミスが起こるリスクが高まります。

検品作業のミスを防ぐには、画像認識技術が効果的です。画像認識技術なら、バーコードを使わなくとも検品ができます。

画像認識技術は不良品検出も可能です。良品・不良品のデータからAIが学習し、自ら不良品を判定します。人よりもスピーディーかつ正確に判別できる点が魅力です。

人員シフトを最適化

シフト作成は、作業者のスキルや休日希望を考慮しなくてはならず、担当者に大きな負担がかかります。時間がかかるだけでなく、最適な人員配置は困難です。

AIを活用すれば、物流予測と労働力を考慮した最適なシフトが作成できます。作業者・ドライバーにとって働きやすい環境が整い、モチベーションアップにつながるでしょう。

労働力不足の解消

単純作業や定型業務は、AIで自動化が可能です。AI搭載ロボットに業務の一部を任せれば、作業者の負担が減り、労働力不足の解消や労働時間の短縮が見込めます。残業時間も減ることから、人件費も削減できるでしょう。

手が空いた作業者をコアな業務やクリエーティブな業務に充てられる点も魅力です。今後も労働人口が不足する見通しの日本において、AIは大きな役割を果たします。

物流業界でAIを取り入れる3つのデメリット


AIは魅力が大きく、早速導入を検討している企業様もいるのではないでしょうか。AI導入で高い費用対効果を得るには、あらかじめデメリットを知ることが大切です。ここでは、AI導入のデメリットを3つ紹介します。

導入初期費用が高くなる

AIを搭載したシステムの多くは、導入初期費用が高額です。国土交通省が発表した「物流業務のデジタル化の手引き」によると、運送事業者と倉庫事業者のどちらもイニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(維持費用)がデジタル化を妨げる大きな理由と回答しています。

AIをしっかりと活用すれば、高い費用対効果を得られます。トータルコストと導入後の削減コストをシミュレーションした上で導入することが大切です。

業務のルール変更が必要になる

システムを導入しても、現状のルールでは対応できないケースがあります。新たな運用ルールを整備しなければ、システムが効率化の妨げになるでしょう。

AIが持つ学習機能を悪用したサイバー攻撃も発生しているため、セキュリティー対策もしなければなりません。システムを使う際のセキュリティールールを決める他、作業者への教育も不可欠です。

専門知識が必要になる

AIを導入して基盤を構築するには、高度な技術や専門知識を持つ人材を確保する必要があります。AIに関する知識を持つ人材がいなければ、プログラムに沿ってシステムが動いているかチェックできないのはもちろん、トラブルにも対応できません。

しかし、デジタル技術の知識を持つ人材はどの業界でも需要が高く、不足しているのが現状です。社内で人材を育成する方法もありますが、時間がかかります。

ノーコードAIと呼ばれるプログラミング言語が必要ないシステムなら、人材確保の課題に悩む必要はありません。

物流業界で導入しているAIを搭載したシステム活用事例


物流業務の効率化には、システムの活用が欠かせません。物流業界が抱える課題を解決できるシステムには、さまざまな種類があります。

ここでは、物流現場で導入が進んでいるシステムを5つ紹介します。自社で導入できるシステムがないか、チェックしてみましょう。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫管理システム(WMS)は、荷物の入出庫管理や在庫管理など、倉庫内作業を管理するシステムです。在庫状況をリアルタイムで把握でき、余剰在庫の防止に加え長期保管による品質低下を防げます。

ハンディーターミナルやバーコードリーダーと併用すると、ロケーション変更も簡単です。手入力する必要がなく、入力ミスによる在庫量の間違いもなくなります。

輸送管理システム(TMS)

輸送管理システム(TMS)は、配車・勤怠管理・配送指示・日報作成などができるシステムです。荷物やトラックのトラッキングができるため、「荷物がいつ到着するか」という問い合わせにも素早く対応できます。

また、AIによる配車ルートの作成も可能です。遅延を早期に把握し、新たなルートを設定できることから、トラブルを抑制できます。実務経験の長さにかかわらず、最適な配車計画を組める点が魅力です。

自律走行搬送ロボット(AMR)

自律走行搬送ロボット(AMR)は、搬送業務を担うロボットです。従来の無人搬送車は、磁気テープなどでガイドラインを決めなくてはなりませんでしたが、自律走行搬送ロボットは必要ありません。センサー検知で障害物を回避し、マップデータを使って自ら搬送ルートを決定します。

作業者と協働できる点も魅力です。台車を押しながら作業する必要がなくなるため、作業者は目の前の作業に専念でき、効率もアップします。

荷物量予測システム

荷物量予測システムを使うことで、物流データを基に荷物量を予測し、配送計画に生かせます。

ヤマト運輸株式会社は、物流・販売・商品・トレンドなどのビッグデータをAIで分析する「配送業務量予測システム」を導入しています。AIで分析することで、注文数・配送発生確率・納品滞在時間の予測が可能です。

予測結果と社内で蓄積した知見を生かし、効率的な配送を実現しています。配送生産性は最大20%向上する見込みです。

出荷検品システム

出荷検品システムとは、荷物に貼ったバーコードをハンディーターミナルやバーコードリーダーで読み取って検品する方法です。

作業者は、出荷リストの数量や品名を見ながら検品します。間違えると、端末に警告が出るため、出荷漏れやミスを防ぐ有効な手段です。読み取った情報は、リアルタイムでシステムに送信するため、入力する手間も省けます。

物流のAI導入はノーコードで使える『UMWELT』がおすすめ

AIに関する専門知識を持つ人材がいない企業様には、TRYETINGの『UMWELT』をおすすめします。UMWELTは、プログラミング言語などの専門知識がなくとも、需要予測で物流業務の効率化を図れるAIツールです。

Excelのような日常業務で扱うデータと、UMWELTに搭載しているアルゴリズムを組み合わせるだけで、需要予測ができます。導入後はカスタマーサクセスによるサポートや、AI基礎講座が受けられるのが魅力です。

まとめ

ドライバー不足や燃料価格高騰といった課題の解決には、AIを活用した物流システムの導入が不可欠です。AIを導入することで、人為的なミスの削減や労働力不足の解消が期待できます。ただし、システムによっては専門知識が必要になるケースもあり、注意が必要です。

専門知識がなくとも使えるAIをお探しの企業様には、UMWELTをおすすめします。UMWELTは、簡単操作で需要予測ができるなど、物流業務を効率化する機能を多数搭載しています。お気軽にお問い合わせください。

WRITING BY

TRYETING

公式

TRYETING公式です。
お知らせやIR情報などを発信します。