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物流業における共同配送とは?導入の注意点や今後の方向性も紹介

 

近年、物流業ではドライバーの人手不足や小口配送による積載効率の悪さなど、さまざまな問題が生じています。問題解決の手段として、国土交通省が推進しているのが「共同配送」です。

共同配送は業務効率化やコスト削減が期待できる手段ですが、詳しい仕組みを知らない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、共同配送の仕組みと導入のメリット・デメリット、共同化に必要な方向性を紹介します。最後まで読めば、共同配送の進め方が分かるでしょう。

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輸配送の共同化「共同配送」の仕組み


物流業における人手不足や配送効率の悪さは、大きな問題となっています。事態が深刻化すると輸配送ができなくなる恐れがあり、物流を継続するには「共同配送」が効果的です。

ここでは、共同配送の仕組みと物流業の課題、共同配送のパターンを紹介します。

共同配送とは

共同配送とは、複数の物流企業が協力し合い、荷物をまとめて配送することです。

各企業が別々に同じ配送先に届けるより、1台のトラックで配送したほうが効率は上がります。1台のトラックで運ぶ積載量が増えれば、配送料のコストダウンも図れるため、企業だけでなく消費者にもメリットがある方法です。

また、共同配送は環境対策やSDGSにも役立ちます。今後、国は意識改革や制度の支援を行うと公表し、さらなる推進を進めています。

物流業における課題

日本の物流業では、少子高齢化に伴う労働者不足や小口配送の増加に伴う配送効率の悪さが顕在化しています。特に、長距離の輸送は長距離運転・長時間労働によるドライバーの負担が大きく、トラックの手配に難航しているのが現状です。

また、小口配送によって時間指定や再配達の依頼も増加しました。積載率より時間を優先する必要があるため、トラックの積載効率はますます低下しています。輸送密度が低いエリアは特に積載率が低く、配送にかかる時間とコスト、ドライバーへの負担が大きいのが課題です。

共同配送のパターン

国土交通省は、2005年に「物流総合効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)」を施行しました。

2つ以上の物流企業が連携して物流業務の総合化・効率化を図り、かつ環境負荷の低減や省力化などの条件を満たす企業を認定し、支援します。

2つ以上の物流企業が協力する共同配送には、以下の2種類があります。

・異なる荷主が共同し、特定の輸送業者を利用する方法(荷主共同配送)
・複数の輸配送業者が互いを利用し合う方法(輸送業者間共同配送)

どちらも輸送時の積載率向上と配送の効率化につながります。

共同配送を導入するメリット


共同配送は物流の維持に役立つため、すでに多くの物流企業が導入しています。導入を検討する前に、共同配送にはどのようなメリットがあるか知っておきましょう。ここでは、共同配送の導入で得られるメリットを紹介します。

配送の効率化と積載率の向上

荷物を集約して積載・配送するため、トラックの積載率が上がり、配送効率が向上します。消費者も荷物をまとめて受け取れる点がメリットです。

また、共同配送で利用する輸送ルートを固定化すれば、納品時間の目安が分かりやすくなります。物流企業の課題である再配達に関しても、スムーズに対応できるでしょう。

コストの削減

他社の物流企業と荷物をまとめることで、自社で使用するトラック・船舶の数を減らせます。トラック・船舶の台数が減れば、配送にかかる燃料費や人件費、荷物の管理費が削減可能です。

削減したコストは輸配送料金に反映できるため、配送業者だけでなく消費者にもメリットがあります。

労働環境の改善

共同配送は、ドライバー不足の解消や業務負担の軽減にもつながります。物流需要が増加する中、荷物を配送するドライバーが少ないと、1人のドライバーにかかる負担は膨大です。労働環境が悪化することで、人手不足がさらに深刻になるかもしれません。

共同配送を導入すれば、物流企業と代行企業で配送業務を分担できるため、長時間労働を削減できます。

環境への配慮

「改正省エネ法」では、貨物輸送量とエネルギー使用状況などの把握義務を設け、物流業の環境対策を強化しました。具体的には、年間輸送量が3,000万トンキロ以上の特定荷主には、貨物の輸送量届出書とエネルギー使用状況などの定期報告を義務付けています。

共同配送で配送トラックの積載率を上げれば、使用するトラック台数が減り、CO2排出量を抑えられます。環境に配慮した輸送・配送ができるでしょう。

また「物流総合効率法」で流通業務総合効率化事業と認められると、輸配送に必要な施設・設備に対する支援や金融支援が受けられます。

共同配送を導入するデメリット


共同配送には、配送効率の向上やコスト削減といったメリットがありますが、デメリットも存在します。複数の企業が関わるため、協力や連携がしっかりできていないと、トラブルになるかもしれません。

ここでは、共同配送の導入で生じるデメリットを紹介します。

想定外の配送への対応が難しい

共同配送は、急な荷物の増減や配送先の追加が容易ではありません。また、時間指定のような個別対応も難しくなります。自社配送と違い、配送の自由度の低さがデメリットです。

複数企業の荷物をまとめる場合、各企業の事情を考慮したスケジュールを組みます。一社の都合でスケジュールを変えられないため、イレギュラー対応に弱いといえるでしょう。

荷物の把握・追跡が難しい

荷物を混載するため、自社荷物の状態が把握しづらくなります。自社配送であれば、自社の物流管理システムと荷物を連携して追跡が可能です。一方、共同配送の場合、システムが異なるため追跡はできません。

追跡を可能にするには、システムの共有や新システムの導入が必要です。ただし、システムの構築には時間とコストがかかります。また、情報漏えいのリスクがあり、共有が難しい場合もあるでしょう。

料金設定が難しい

共同配送を導入するにあたり、配送料金を統一する必要があります。企業ごとに異なる料金設定にする場合でも、他社と妥当な料金目安を話し合い、調整しなければなりません。

また、配送料金の請求方法も検討が必要です。消費者にとっては支払い方法の選択肢が多いほど便利ですが、料金トラブルを減らすためにも請求方法は統一したほうがよいでしょう。

共同配送の導入で注意することは?

共同配送の注意点は、トラブルのリスク回避です。積載量や配送先の変更が難しく、万が一変更になった際はコストがかかります。共同配送の目的はコスト削減です。一社の都合でコストが上がると、共同体制が崩れる恐れがあります。

また、共同配送中の荷物に紛失・破損が生じた際の責任の所在を決めることも大切です。責任をめぐって企業間でトラブルになるかもしれません。他にも、料金の統一や荷物の管理に関してしっかりと話し合う必要があります。

共同配送を導入する際は、企業間でさまざまな面のルールを決めておきましょう。

共同配送を実現する方向性


共同配送は、物流業のさまざまな課題を解決します。すでに導入している企業では、トラック台数やコストの削減を実現しています。

共同配送を実現するには、どのような方向性で進めればよいか確認しましょう。ここでは、企業間の連携に必要な方向性を紹介します。

物流効率化の意識変革

共同配送を実現するには、企業間で多くの調整が必要です。話し合いの末、商慣習の問題から実現しなかった事例や難航している事例もあります。まずは商慣習を柔軟に見直し、導入に向けた体制を整えることが大切です。

そのためには、短期的なコスト削減を目指すのではなく、中長期的なデメリット回避のために導入することを経営層にアピールする必要があります。共同配送による物流効率化の重要性をしっかりと共有しましょう。

システムや条件の標準化

企業同士が連携するには、システム・荷姿・伝票・納品条件などを統一することが大切です。独自のシステムでルールを設定している企業は、連携が難しく、話し合いにも時間がかかります。

従来の業務形態を見直し、荷姿・システムの標準化を図りましょう。特に、医薬品や食品など物流に高い品質が求められる荷物の場合、輸送・保管に関する基準を標準化する必要があります。

データの見える化

企業間でスムーズに連携するには、トラックの動態データと積載率データを見える化し、共有しましょう。情報やデータを共有することで、配送におけるトラックの最適ルートが選定できます。

共同配送の連携相手が見つからないときも、データを共有すれば、自社の輸配送に合う企業が見つけやすくなるでしょう。データの見える化は、自社の輸配送状況を把握し、見直す際にも役立ちます。

共同化しやすい環境の整備

共同化には、企業間が連携しやすい環境を整備することが大切です。独占禁止法などの法令に違反することなく、ルールにのっとって共同化しなくてはなりませんが、ルール自体が明確ではないケースがあります。

また、共同化に伴う新技術や車両の導入、システム変更、施設設備のコスト負担もネックです。制度と財政の負担を軽減することで、さらに共同化が進むでしょう。

共同配送を導入するならTRYETINGの『UMWELT』が役立つ

共同配送における企業間の連携をスムーズに行うなら、データの見える化が特に大切です。データの共有を考慮すると、オンプレミスではなくクラウドサービスを使ったツールが向いています。

TRYETINGの『UMWELT』は、業務の効率化を支えるクラウド型のノーコードAI予測プラットフォームです。データの収集・処理、データクレンジング、アルゴリズムによる解析、BI表示による分析結果の可視化などができます。

豊富なアルゴリズムの組み合わせにより、高精度の需要予測や在庫管理が可能です。

まとめ

共同配送は、物流業における人手不足や効率の悪さなどの課題解決に役立ちます。しかし、企業間の連携が必要なことから、ルールの設定や環境の整備で導入までには時間がかかります。共同化をスムーズに進めるには、企業内の見える化が重要です。

UMWELTは、さまざまなアルゴリズムを使ってデータを処理・分析し、見える化を実現します。共同配送の導入を検討している方や業務の効率化を目指す方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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