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AI導入状況は?日本の現状と導入のメリット、事例やおすすめのツールを紹介

 

AI時代の到来と世間で言われ、「AIに仕事を奪われる」といった意見も耳にしたことがあると思います。では実際のところ、AIはどの程度私たちの仕事や生活に入り込んでいるのでしょうか。今回は日本のAI導入の現状、そしてビジネスにおけるAIの活用法についてご紹介します。

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日本企業のAI(人工知能)導入状況

はじめに、日本企業におけるAIの導入状況を見ていきましょう。主要国との比較から、日本の現状が浮き彫りになります。

日本は主要7か国で最下位

日本におけるAI導入状況は、国際的な観点から見るとまだ初期段階にあると言えるでしょう。2018年のボストンコンサルティンググループ(以下、BCG)の調査によれば、AIアクティブ・プレイヤーの割合は中国、アメリカに大きく後れを取り、日本は39%にとどまりました。しかし、中国を除く他国との間に大きな差は見られなかったことから、巻き返せる余地は十分にあると考えられます。

一方で、2023年の一般社団法人データサイエンティスト協会の調査によると、日本の職場におけるAI導入率は13.3%と、アメリカの30.2%に比べて大きく低いことが明らかになりました。また、実際に導入されたAIを業務で活用している割合も、日本は6.2%と低く、改善の余地が示唆されています。

ほぼ全ての産業で導入・運用が遅れている傾向にある

日本における産業別のAI導入状況は、国際比較においていくつかの産業で遅れが見られます。2018年のBCGの調査によれば、特にテクノロジー、メディア、通信産業では日本企業でも60%がAIアクティブ・プレイヤーであることが明らかになったものの、7カ国平均の71%と比較すると約10%ポイントの差があります。

日本の金融産業もAIアクティブ・プレイヤーが42%と7カ国平均より10%ポイント低いですが、消費者向けの産業や産業財では、それぞれ35%、32%とさらに大きな差が見られ、7カ国平均と比べて15%から23%ポイントのビハインドがあります。これらの数字から、特に消費者向けの産業や産業財におけるAIの活用が進んでいないことが分かります。日本の各産業は、AI技術の積極的な導入と活用に向けてさらなる取り組みが求められているのです。

なぜ日本企業でAIの導入が進まないのか?


日本は「技術大国」「ものづくり大国」との評価を受けていた時期もありました。しかしAIの分野においては、大きく後れをとっています。利用意識、技術力、企業数、人材数、どの観点から見てもトップを走るアメリカや中国とは大差をつけられているのが現状です。

1.AIの利用意識が低い

AIの職場利用などに関するアンケートの結果によると日本は、「AIを利用している」と回答された割合が対象10カ国の中でも最低でした。また、現在職場でAIが利用されているか否かの質問では、世界平均の50%に比べて、日本で「はい」と答えた人の割合は29%でした。さらに、日本人はAIに対し漠然とした不安を抱えていることが判明しています。AIに対する不安感が利用率を低くしている要因かもしれません。

2.AI技術力が低い

技術力を論文数で比較すると、日本のAI技術に関する論文数はアメリカの4分の1未満に留まっています。また、特許数も大きく引き離されており、中国が1位で6858件、2位のアメリカが5956件出願しているのに対して、日本はたったの808件しか出願されていません。

3.AI企業数が少ない

中国の清華大学の報告書によると、日本のAI企業数は40社で、世界で11番目です。比較的高い順位に見えても、1位のアメリカは2208社、2位の中国は1011社であり、先進的な国からは大きく引き離されています。さらに、日本でAI100(有望なAI企業100社)に選ばれたのは、HACARUS社のみというのが現状です。

4.AI人材が少ない

次にAI技術に関わる研究者数からAI人材について見てみましょう。2018年に国際学会NeurIPSなど、AIに関する主要な会議で英語論文を発表した研究者数は、1位がアメリカ(10,295人)、次いで中国(2,525人)で、日本は6位(805人)にランキングされています。また中国の清華大学が発表した「世界的AI研究者2000人」のリストに乗った日本人はたったの8人。トップを走るアメリカ・中国と比べると成果をあげられていません。

日本企業でAI(人工知能)導入が求められる3つの理由

今、なぜ日本企業でAIの導入が欠かせなくなりつつあるのでしょうか。ここでは大きく3つの理由についてお伝えします。

1, 飛躍的な経済成長が見込める

AIを導入することで経済成長が促される主要な理由は、「効率化」と「生産性の向上」にあります。中小企業庁の報告によれば、国内企業がAIを積極的に導入することで、2025年までには最大34兆円の経済効果が予測されています。この経済効果は一人当たりの生産性向上、具体的には540万円から610万円の改善にもつながると試算されています。

AI導入により、人間が行う手作業中心の業務プロセスを効率化し、AIを活用した新たな業務プロセスに変革することが、企業や経済全体の成長を実現する鍵と言えるでしょう。

2, 「2025年の崖」問題の解決が見込める

2025年の崖とは、レガシーシステムの更改を怠ることにより、日本の企業が最大年間12兆円の損失に直面すると予測される問題です。

経済産業省のDXレポートによると、この問題を解決する鍵はAIを含むイノベーティブな技術の導入にあります。多くの企業では異なる部門ごとに別々のシステムが導入されており、統合されたデータの活用が困難で、保守・運用費用も増大しています。

企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に進め、システムを最新化し業務効率を向上させることで属人化を解消し、2025年の崖を克服することが可能です。

3, 「2040年問題」への備え

2040年問題は、団塊ジュニア世代が高齢化し、少子高齢化がさらに進むことで生じる日本独自の社会経済課題です。労働人口の減少と社会保障費の増大は、自治体の運営にも大きな影響を及ぼします。これに対処するために、AIとロボット技術の導入が重要とされています。

政府からは「スマート自治体」の実現が提言されており、これにより従来の人手に依存した業務をAIやロボットが支える体制へと変革することが望まれています。具体的には、事務作業の自動化や効率化を進めることで、少ない職員でも自治体機能を維持できる体制を構築することが2040年問題の解決策として期待されています。

AI導入のメリット


日本では、AIは不安なものとして捉えられがちです。しかしAIは人口減少に直面する日本にこそ、積極的に導入されるべきツールであることは確かです。そこで、以下ではAIを導入してどんなメリットがあるか8つご紹介します。

1.生産性の向上

AIはどんな時でも業務の質を一定に保つことができます。人間の場合、体調やモチベーションで業務の質の左右されることもあります。しかしAIならば、経験量の差や体調などの変動要因もなく、高い水準での業務を常に遂行できます。

2.コストの削減

食品メーカーのネスレはAI-OCRサービスを導入し、50%のコスト削減を実現しました。以前はFAXによる発注書を手動で注文処理していました。しかしそれでは時間がかかるだけでなく、記入漏れなどのリスクもありました。そこでAI-OCRを導入したところ、注文書の処理業務が250時間から半分の125時間に削減できたそうです。

3.売上の増加

小売や製造の業界では、商品を発注する担当者の経験や勘に頼って値付けをしていました。しかしこれからは、AIを用いて過去のデータに基づいた高度な予測精度を実現できます。精度の高さだけでなく、値付けにかかっていた時間も削減でき、業務の効率性も上がるでしょう。

4.安全性の向上

AI技術の発展により、自動運転技術は大きく進歩しました。危険が伴う業務や災害現場のような人間が立ち入れない場所に、自動運転技術を搭載した機械に代わりに向かわせることが可能です。他にもインフラ設備の劣化の早期発見や、病気の発症を予測するなど、AIは私たちの暮らしの安全をも向上させます。

5.利便性の向上

コミュニケーションの課題もAIは解決します。企業への問い合わせでよく見るようになったチャットボット。このプログラムの登場によって、24時間いつでも問い合わせが可能になり、顧客の利便性は大きく向上しています。

6.人材の有効活用

単調な作業を人間が長期間に渡っておこなうのは作業負荷が高い業務です。単調な作業はAIの得意分野で、アウトプットの効率・コスト・質、どの面においても人間によるアウトプットを凌駕することが多々あります。

7.顧客満足度の向上

AIの導入のメリットは顧客側にも及びます。コールセンターにAIを導入した事例を見てみましょう。AIを導入して、自動音声認識で顧客を振り分ける、マニュアルの検索性を向上させるなどの活用方法があります。AIシステムによって、顧客は対応時間を短縮でき、高い水準の対応を受けることができるのです。

8.労働不足の解消

皆さんがご存じのとおり、人間がおこなってきた業務をAIに任せられます。とりわけ、単調で長時間取り組む業務、分析・予測が必要な業務に最適です。導入により、過酷な労働条件を指す3Kの業種においても、効率化はもちろん、作業者のリスク低減に役立ちます。

AIの導入事例


ここまででAIを導入するメリットを解説してきました。しかし、「具体的にどう恩恵を受けられるか想像がつかない」「自分の業界・業種ではできないかも…」と思われた方もいることでしょう。そこで以下では、物流・小売・住宅・食品・金融・製造の6つの業界別にAIの導入事例を紹介します。

1.物流

物流業界では、配車計画の立案業務が属人化されていることが課題でした。そこでAIを用いることで、ルートや配車台数などの最適化によりコスト削減を実現しました。長期的に活用すれば、担当者の業務工数の削減、配車手配業務のスピードアップなどのメリットを得られると期待されています。

2.小売

小売業界でAIを導入すれば、顧客データを分析して最適な商品を提案できます。ある化粧品メーカーでは顧客データをベースとしたAI営業支援システムを導入したところ、購入率を数ポイント向上させたそうです。数字的な成果の他、販売員の方も自信をもってセールスができるようになりました。

3.住宅

政府は2030年までに全住宅にHEMSを設置することを目指しており、HEMS機器を提供するメーカー間で開発競争が行われています。HEMSとは、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムのことを指します。AIを導入したHEMSは、住宅で使用されるエネルギー消費のパターンや気象データなどを収集することで、エネルギー消費予測と電力単価の要因を分析し、HEMS機器の制御の最適化を実現しました。

4.食品

食品工場では、製造ラインに流れる原材料の良品・不良品の判別をして製品の質を担保しています。この作業は人の目で行われていましたが、長時間に渡る目視の原料検査は作業負荷が非常に高いものでした。しかし、これからは原料検査の作業もAIに任せられます。ディープラーニングによって食品を画像解析し、不良品を自動判別する技術が開発されています。判別作業の質の担保だけでなく、スタッフの労働環境の改善も期待できるでしょう。

5.金融

金融業界でも、担当者の勘に依存する場面が多くあります。さらに、顧客に関してもリスク許容度、売買回数、株式保持期間、商品ポートフォリオ構成など好みや傾向が異なるので、最適な金融商品の提案は高度な業務でした。そこでAIの得意なデータ分析と予測が活躍します。過去の購買実績や閲覧実績を基にモデルを構築し、よりリスクを抑えた投資手法の提案を可能にします。

6.製造

製造の分野では、発注業務のバラつきを理由に過剰在庫あるいは欠品の問題が店舗ごとに起こっていました。バラつきが起こるのは、店舗の立地や規模の要因や、担当者の知識・経験の依存などがあるためです。そこで、ある企業ではAIを搭載した発注管理システムを導入し、在庫の過不足を最小限に抑えることに成功しました。AI発注管理システムは過去の販売データと、時間軸、店舗軸、商品軸の3軸をインプットしています。これらのデータから需要を予測し、最適な発注数を担当者に提案します。AI発注管理システムを導入した効果として、発注の過不足の解消以外にも、担当者の発注業務の負荷低減があるということです。

7.人材・HR業界

人材・HR業界では、採用プロセスの自動化が進められています。例えば、候補者のスクリーニングでAIを活用することで、効率的な人材獲得が可能です。

さらに、AIによって従業員のパフォーマンスを分析することで、適切な人材配置や育成プログラムの最適化を実現し、組織全体のパフォーマンスの向上も実現できるでしょう。このようなAIの活用は、人材の質の向上、採用コストの削減、社員満足度の向上にも大きく貢献しており、今後の発展が期待されます。

8.マスコミ・メディア業界

マスコミ・メディア業界では、コンテンツの自動生成とユーザーの好みに応じたニュースのレコメンドにより、情報提供の最適化とスピーディーな配信が可能になっています。
また、AIによるデータ解析は、ユーザーの行動や好みを理解し、それに基づいたコンテンツ提案も可能にします。これは、メディアの収益化においても大きな役割を果たし、広告収入の増加などにつながっています。

9.旅行・観光業界

旅行・観光業界では顧客のの好みや過去の旅行履歴に基づいて、パーソナライズされた旅行プランの提案が可能になり、顧客満足度の向上が見込まれています。また、AIによる混雑予測システムが観光地や施設の混雑状況をリアルタイムで分析・予測することで、業務効率化とサービス品質の向上に寄与しています。

10.学校・教育業界

教育業界でのAI活用事例として、記述式試験の自動採点システムが挙げられます。これにより、学生の思考力や表現力を評価する重要な記述式問題の採点が効率化されます。従来、採点には膨大な時間と労力が必要でしたが、AIの導入によって即時かつ一貫性のあるフィードバックが可能になり、学習効果の向上に寄与しています。

また、教育者は採点作業から解放され、より質の高い教育に注力できるようになります。AIを活用することで、個々の学習者の理解度に応じたカスタマイズされた学習プログラムの提供も可能となり、教育の個別化と効率化が進んでいます。

11.コールセンター業務

コールセンターにおけるAI活用事例としては、顧客からの問い合わせ応答の自動化が挙げられます。AIオペレータを導入することで、有人オペレータへの電話が繋がるまでの待ち時間を大幅に削減できます。

これは、音声認識と音声合成技術を組み合わせたシステムを用いて、顧客の問い合わせに対して自然な対話応答を提供するものです。初期段階では特定のサービス要求、例えば集荷依頼の受付などに限られていますが、その後は応答範囲を広げ、顧客の様々な要望に対応できるようシステムの機能向上が図られています。

これにより、顧客満足度の向上だけでなく、コールセンターの運用効率も大幅に改善されています。

AI導入までの3ステップ


AIを導入することによるメリットや導入事例を見て、AI導入への関心が高まってきたのではないでしょうか。それでは次に、AIを導入するためのステップを紹介します。

1.必要なデータを集める

どのAIでも分析の基となるデータを大量に集める必要があります。データが多ければ多いほど、分析や予測の精度が高まるため、できるだけ多くのデータを集めましょう。社内にあるデータを使用する方法以外にも、Webサービスを利用する方法、外部に委託する方法などがあります。

2.AIに機械学習させる

次に読み込んだデータを基に機械学習をします。機械学習とは、インプットされたデータから一定の規則や法則を、コンピュータ自身が抽出する技術です。機械学習させるためにも専門的な知識・技能が必要です。機械学習に必要な知識・技能は、「データベースを操作できる技能」、「統計の知識」、「数学の知識」、「クラウドに関する知識」「プログラミングスキル」の5つです。

3.サービスに組み込む

機械学習が完了したら、サービスに組み込みます。組み込みの際には、「プログラミング」、「コンピュータ知識」、「電子基板知識」が必要です。AIをサービスに組み込むためには、上記のようなスキルをもつ人を新たに雇う、育成する、あるいは外部に委託する必要があります。

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まとめ

AIは人口が減少し続ける日本にとって、今すぐにでも導入すべきツールです。しかし、日本ではAIへの不安感から利用意識が高くありません。そのことから、一足先にAIを導入すれば他社から一歩リードして業績をあげられることでしょう。AIの導入は設備投資費や人件費がかかる場合が多いですが、TRYETINGのUMWELTなら最小限のコストでAI化を実現できます。これを機に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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