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食品ロス削減推進法とは?取り組み内容や課題解決策も紹介

 

食品の売れ残りや食べ残しで生まれる食品ロスは、世界中で大きな問題となっています。日本では2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律」、略称「食品ロス削減推進法」を制定し、食品ロス削減に向けた具体的な取り組みを始めました。では、食品ロス削減推進法による取り組みとはどのようなものなのでしょうか。

この記事では、食品ロスの現状と食品ロス削減推進法の取り組み内容、課題の解決策を紹介します。

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食品ロス削減推進法とは


近年、まだ食べられる食品を破棄する「食品ロス」が大きな問題となっています。食料自給率が低く、海外からの輸入に依存している日本でも食品ロスの削減は重要な課題です。

ここでは、日本の食品ロスの現状や削減のために制定した法律、今後の削減目標を紹介します。

食品ロスの発生要因と現状

農林水産省と環境省の推計(2020年度)によると、日本の食品ロスは522万トンもあります。年間1人当たりの量で換算すると41キログラムで、毎日おにぎり1個分を捨てている計算です。また、522万トンのうち、275万トンが事業系食品ロス、247万トンが家庭系食品ロスです。

事業系食品ロスの発生要因には、製造・小売事業による規格外品、返品・売れ残り、外食事業による作り過ぎ・食べ残しがあります。家庭系食品ロスの主な要因は、食べ残しや未開封食品の直接廃棄です。

「食品ロスの削減の推進に関する法律」とは

日本政府は、2019年10月1日に「食品ロス削減推進法(正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)」を施行しました。食品ロスを総合的に削減することを目的に、基本方針を制定し、食品ロス削減の施策となる事項を定めています。

農林水産省・厚生労働省・文部科学省・経済産業省・環境省・消費者庁が連携し、食品ロス削減に向けた調査研究や情報収集、取り組みへの支援を実施する基本的な方針を明記しています。

食品ロスの削減目標

食品ロス削減推進法が目指すのは、国民運動としての食品ロスの削減推進です。2030年度までに、2000年度比で事業系・家庭系双方の食品ロス量を半減する目標を設定しています。

また、食品ロスの問題を認知し、削減に取り組む人の割合を80%に上げることも目標です。2022年度の調査では、76.9%もの消費者が食品ロス削減への取り組みを実行しているという結果が出ました。

食品ロス削減推進法での政府の取り組み


食品ロス削減推進法は、持続可能な社会の実現に向けて国・地方自治体・事業者・消費者が連携し、社会全体で取り組む国民運動です。各主体に求められる行動や役割といった基本的施策も提示しており、削減に向けた具体的な内容が分かります。

ここでは、食品ロス削減に向けて各主体が行っているさまざまな取り組みを紹介します。

国民運動の推進

食品ロス削減に向けた取り組みは、学校でも進められています。授業や講義の一環としてポスターやリーフレット、レシピの作成などが行われており、国民運動としての意識を高め、食品ロスの現状を理解できるようになりました。

地方公共団体や事業者も、食品ロスに関する関心と理解を促進するために様々な取り組みを行っています。例えば、ステッカーやPOPの掲示、エコレシピの配布、そして食品ロス削減全国大会の実施などです。これらの活動を通じて、人々の意識を喚起し、食品ロス削減への参加を促しています。

消費者への普及と啓発

食品ロス削減推進法第9条では、毎年10月を「食品ロス削減月間」とし、食品ロスの削減に関する理解と関心を深める期間を設けました。さらに、10月30日を「食品ロス削減の日」と定め、消費者への啓発と普及を強化しています。

消費庁・環境省・農林水産省では、啓発ポスター・リーフレットの作成と配布、食品ロス削減レシピの掲載により、食品ロス削減月間の周知や取り組みの啓発を行っています。

容器と包装の工夫

食品ロス削減のため、食品の賞味期限を延ばす工夫も行われています。賞味期限の延長には、容器や包装の工夫が最適です。例えば、「二重構造で鮮度を保持できるボトル」「酸素を吸収して水分蒸発を抑えるフィルムを採用した個包装」「食べ残しを防ぐために一人前が作れる個包装」といった工夫があります。

農林水産省では、容器や包装を工夫している事業者と商品名を紹介し、消費者の意識向上や家庭での食品ロス削減につなげています。

商慣習の見直し

食品を取り扱う製造業・卸売業・小売業者による過剰在庫や返品に関しても、食品ロスを見直す取り組みが行われています。

例えば、賞味期限の3分の1以内に小売業に納品する商慣習「3分の1ルール」を2012年から2分の1に緩和した他、賞味期限の表示を年月日から年月に変更することで、賞味期限の延長を可能にしました。2021年の調査では、186社が納品期限の見直し、223社が賞味期限表示の変更に取り組んでいます。

気象情報を活用した需要予測の共有

需要予測サービスを活用することで、見込み生産の削減に取り組む動きも進んでいます。日本気象協会では、天気予報で培った解析技術を利用して、需要の予測を行い、それに基づいて食品メーカーの生産量の調整や小売業の仕入れ計画をサポートする取り組みを開始しました。

需要予測を通じて見込み生産を受注生産に変更することで、食品ロスの削減だけでなく、機会ロスや在庫の削減、利益率の向上も実現しています。

小売業・飲食業での消費者への啓発

農林水産省は、消費者の過度な鮮度志向や購買行動が食品ロスにつながると考え、大型流通業者と連携して小売店舗で消費者に呼びかけを行ってきました。

また、消費者庁・農林水産省・環境省・一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会は連携して、手前に並んだ賞味期限の短い商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかけ、販売期限切れによる食品ロスの削減を図っています。

飲食業では、適量の注文や料理の持ち帰りを推奨する「おいしい食べきり」キャンペーンを実施し、食べ残しの廃棄を減らす取り組みを実施しています。

家庭での食品ロス削減の促進

消費者庁では、家庭での食べ残しや未開封食品の直接廃棄を削減するための「食品ロス削減マニュアル」を配布しています。いつ・どこで・どのくらい・どういう理由で捨てたかを記録することで、買い過ぎや作り過ぎといったタイプを判断し、食品ロス削減につなげる試みです。

また、家庭で余っている食材を持ち寄ったパーティーやクッキングバトルの開催で、楽しく食品廃棄を解消する取り組みも実施しています。

災害時の備蓄食料の有効活用

災害用の備蓄食料として保管していた食品を、更新時にフードバンク団体へ提供する取り組みも始まっています。従来は更新時に廃棄していた食品を再活用することで、未開封食品の直接廃棄を防げるようになりました。

賞味期限が近い食品や賞味期限を過ぎた食品でも安心して食べられる目安を提供し、家庭でのアレンジレシピを提案する取り組みも行われています。

フードバンク活動の推進

生産・流通・消費の過程で発生する未利用食品を、必要とする人や施設に提供するフードバンク活動も進んでいます。食べられるのにパッケージが破損している食品、買い替えで不要になった備蓄食料をフードバンクに寄付することで、食品の廃棄を削減できます。

米国で始まった取り組みで、日本では近年広がり始めたばかりですが、2022年3月時点で活動しているのは215団体です。

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食品ロスを削減する海外の取り組み


食品ロスを削減する取り組みは、世界各国で行われています。食品の活用方法や施策は国によってさまざまで、食品廃棄に対して罰則を設けている国もあります。

ここからは、各国の食品ロス削減に向けた取り組みに注目してみましょう。

米国

米国では、1996年に「善きサマリア人の法」を制定しました。食品の寄付による被害に関しては、故意や過失がなければ、法的責任を問わないとする法律です。また、2021年には食品寄付改善法案や食品ロスゼロ法案を提出し、法律の整備を進めています。

企業・非営利団体による取り組みも多く、消費者が積極的に食品ロス削減に協力するような工夫を採用しています。いくつかの州では、食品廃棄を規制する法律も存在します。

フランス

フランスでは、2016年に「食品廃棄物削減に関する法律」が制定されました。この法律では、店舗面積が400平方メートルを超える大型スーパーマーケットに対して、賞味期限切れを理由とした食品廃棄を禁止し、代わりに慈善団体への寄付や肥料・飼料への転用を義務付けています。違反した場合には罰則が科されます。

この法律の導入により、食品の寄付量は最低でも15%増加し、慈善団体が配布する食事の数も大幅に増えました。しかし、寄付された食品の品質に関する問題や、管理や制裁の不十分さといった課題も残っているため、品質管理や制裁の強化、日付制限のない製品の取り扱いなどが提案されています。

イタリア

イタリアでは、2016年に「社会的連帯と廃棄物の制限を目的とした食品及び医薬品の寄付と配布に関する規定」が成立しました。

食品廃棄物の削減と余剰分の回収・再利用が目的で、フランスのような罰則はなく、税制上の優遇措置を規定しています。寄付の対象は食品だけでなく、医薬品も含まれるのが特徴です。

2019年の調査では、この法律によって寄付が21%増加し、廃棄物は1人当たり年間95キログラムから65キログラムに削減しました。今後は、家庭系食品ロスの削減や食に関する学校教育が期待されています。

中国

中国では、2021年に「反食品浪費法」を施行しました。フードロスの防止による国家の食料安全保障が目的で、飲食店や消費者が違反した場合、行政指導や罰金を科す厳しい法律です。

中国には「食べ切れないほどの料理を提供するのがもてなし」と考える風習があるため、あえて厳しい罰則を設けることで、食べ残しを削減する狙いがあります。

スペイン

スペインでは、2021年に「収穫から消費までの食物連鎖全体での食品ロス防止法案」が承認されました。持続可能な食料システムの開発や循環経済の促進が目的で、フードバンクへの寄付や食品の加工、飼料・堆肥・燃料への再活用を義務付けています。

食品の寄付に関しては制裁制度があり、違反に対して重大な罰金を科す場合があります。一方、消費者に関するルールや罰則はありません。その分、家庭の食品ロスを減らすための教育キャンペーンを検討しています。

オランダ・デンマーク

オランダには食品ロスに関する法律はありませんが、各都市や企業が独自の取り組みを進めています。例えば、アムステルダムでは一流シェフが廃棄予定の食材を利用して調理し提供するレストランが人気で、海外から視察者が訪れるほどです。

また、デンマークでは売れ残りや廃棄予定の食品があるレストラン・店舗を検索できる無料アプリが開発され、店の予約や商品の購入に生かされています。

食品ロス削減に関する課題と解決方法は?

日本の食品ロスに関する法律は、啓発や促進が中心です。海外の法律・規定のような罰則や税制優遇がないため、取り組みが進んでいるものの、配慮が不十分でうまく機能していない部分もあります。

多くの企業で経験や勘による曖昧な需要予測を行い、過剰生産や在庫が発生している状況です。解決方法としては、法律の改正や見直し、AIを使った正確性の高い需要予測・在庫管理が挙げられます。

AIを活用した改善は取り組みやすく、企業の利益率向上や業務効率化など、さまざまな効果が期待できるでしょう。

食品ロスの削減にはTRYETINGの『UMWELT』が役立つ!


食品ロス削減に向けて企業が取り組めることは、正確性の高い需要予測による受注生産や賞味期限を考慮した在庫管理があります。

ここでは、食品ロス削減に役立つTRYETINGのノーコード予測AIプラットフォーム『UMWELT』の魅力と導入事例を紹介します。

需要予測や在庫管理で食品ロスを削減

UMWELTは、常時100種類ほどのアルゴリズムを装備しています。さまざまなアルゴリズムを組み合わせることで、需要予測や在庫管理、出店の最適化、データ分析の精度が高まります。

特に、天候やイベントといった外的要因の予測誤差による過剰生産、勘と経験による曖昧な予測の排除は、食品ロス削減に役立ちます。正確性の高いデータを活用した需要予測や在庫管理は、企業の利益につながるでしょう。

『UMWELT』の導入事例

あめ・グミ・豆菓子を製造する春日井製菓販売株式会社様は、全社的な生産管理や在庫管理の指標を出すためにUMWELTを導入しています。

以前は担当者が需要予測を行っていましたが、属人化して業務の引き継ぎができないことが課題でした。UMWELTを導入することで、現場の勘ではなく実績データから算出した需要予測を簡単にできるようになりました。

今後は需要予測の業務精度を向上し、在庫や出荷の最適化への展開、新商品の予測、他部署との連携への活用も視野に入れています。

(参考: 『【春日井製菓様】UMWELT活用事例|ノーコードで予測業務を簡単にし、属人化を撤廃』

まとめ

食品ロスは世界的に大きな問題となっており、各国でさまざまな法律や規制が導入され、改善に向けた取り組みが進んでいます。日本でも2019年10月に食品ロス削減推進法が施行されました。しかし、まだ改善や見直すべき課題は多く残っていますので、今後の施策が注目されています。

AI予測ツールを使用した需要予測や在庫管理は、食品ロスの要因となる過剰生産や過剰在庫の削減に効果的です。UMWELTは、AIに対する専門的な知識がなくても導入できるノーコード予測AIです。AIツールの導入を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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