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物流ロボットの役割とメリットとは?導入事例や注意点も紹介

 

ECの普及により、物流業務は以前より増加しています。それとともに、現場で働く作業スタッフにも大きな負担がかかっているのが現状です。この状況を打開するために、ロボットを導入しようと検討している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、物流業務にロボットの導入を検討している方に向けて、ロボットの役割やメリット、導入事例を紹介します。最後まで読めば、ロボット導入のイメージがつかめるでしょう。

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ロボット普及の背景にある物流の課題


少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少も深刻化しています。生産活動の中心的存在である生産年齢人口(15歳〜64歳)は、1995年をピークに減少傾向です。2050年には、2021年より29.2%減の5,275万人まで減るという推測もあり、政府は労働力不足を懸念しています。

物流倉庫業務には以前より人手不足の課題がありましたが、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにEC市場が拡大したことで、さらに業務量が増加しました。

仕分けやピッキングなどの作業を自動化するロボットの導入により、物流業界が抱える課題の解決につながると期待されています。

物流ロボットの役割とメリット


物流業務へのロボット導入は、多くのメリットを生み出します。それぞれのメリットを把握すれば、ロボット導入のイメージもつかみやすくなるでしょう。ここでは、物流業務にロボットを導入するメリットを4つ紹介します。

物流業務の効率化

作業スタッフは、労働時間の経過とともに疲労が蓄積します。疲れた状態だと業務効率が悪化し、ミスを起こす原因にもなるでしょう。

ロボットは、24時間365日、一定スピードで稼働します。人の手による作業では効率が落ちやすい定型作業も、スピーディーに進められます。

ロボットに作業を任せることで、作業スタッフには余裕が生まれ、より重要な業務に集中できるようになるでしょう。

環境変化への柔軟な対応

自動倉庫のような専用設備を建築する場合、一度環境を構築すると容易に変更できません。場所に縛られて、移転は難しいでしょう。

一方、ロボットは環境に応じた変更に適しています。商材の変更、規模の拡大・縮小に対応する必要があれば、自在なレイアウトの変更が可能です。

特に、柔軟性が大切なBtoC物流では、ロボットの対応能力の高さが役立ちます。

ヒューマンエラーの削減

単純作業でも、人の手による作業にはヒューマンエラーのリスクがあります。作業スタッフを増やしてダブルチェックすることでリスクは下げられますが、人手不足が問題となっている現状で、すぐに人材が見つかるとは限りません。

ロボットは、決まった作業をミスなく遂行できる点が特徴です。ヒューマンエラーが起こりやすい作業をロボットで代用すれば、新たな人材を確保することなく品質を維持・向上できます。

人件費の削減

人間は働ける時間に制限がありますが、ロボットは夜間でも連続して稼働が可能です。これまで手作業で行っていた業務をロボットに置き換えることで、業務を効率化し人件費も削減できます。長時間の残業が発生している企業では、残業代を削減することも可能です。

人件費の削減効果は、作業スタッフの数が多く、規模の大きな物流倉庫などで特に実感できるでしょう。

物流ロボット導入の課題とデメリット


物流業界のロボット導入は多くのメリットをもたらしますが、デメリットや課題もあります。ここでは、2つのデメリットと課題を解説します。自社にロボットの導入が向いているか、デメリットと課題を踏まえた上で検討しましょう。

導入費用が必要

性能・機能ごとに異なるものの、ロボットには高い導入費用がかかります。ロボット本体以外にも、導入後はメンテナンス費用も必要です。ロボットのメンテナンスを怠れば、初期費用と同等の費用をかけて新たなロボットを導入しなくてはならない事態も考えられます。

また、メンテナンス担当者の人件費も必要経費に入れなくてはなりません。ロボットの導入を検討する際は、初期費用に加えて、メンテナンス費用を含む数年先を見越した計画が大切です。

利用環境の整備が必要

ロボットの導入を決めても、すぐに利用できるわけではありません。導入や運用までにはある程度の時間が必要です。

大型ロボットを導入する場合、物流現場の大規模な工事や設定をしなくてはならず、専門知識を持った人材が必要です。導入後は、作業スタッフにロボットに関する基礎知識、使い方、ルールなどを教育しなくてはなりません。

また、ロボットで使用する在庫情報をデジタル化しておくことなど、関連業務があることも覚えておきましょう。

物流に活用できるロボットの種類は?


ロボットの導入は物流業界にさまざまなメリットをもたらしますが、適しているロボットは企業ごとに異なります。最適なロボットを導入するために、ロボットの種類を把握することも大切です。ここでは、物流業界で活躍するロボットの種類を解説します。

AGV(無人搬送ロボット)

AGV(Automated Guided Vehicle)は、磁気テープ、レール、QRコードなど誘導体が必要な誘導走行ロボットです。誘導体の上を進むことで、目的の場所へと移動します。環境次第では、導入時に倉庫内の大幅なレイアウト変更が必要です。

フォーク上に荷物を載せるフォークリフト型や積載型、荷物を載せたパレットを電車のように連結して引っ張って運搬するけん引型などに分けられます。

AMR(自動走行ロボット)

AMR(Autonomous Mobile Robot)は、画像認識技術とレーダーを活用して、周囲を検知しながら走行できる自律移動型のロボットです。

周囲自動検知機能があるため、AGVのような誘導用QRコードやテープは必要ありません。倉庫内をマッピングするだけで運用できる自由度の高さが魅力です。

作業スタッフと協働するロボットである点も特徴です。作業スタッフが商品をピッキングすると、AMRは自ら次のロケーションに移動します。作業スタッフは運搬作業から離れられ、ピッキングに専念できます。

GTP(棚流動型ロボット)

GTP(Goods To Person)は、商品を保管する棚そのものをピッキングスタッフの元へ運搬するロボットです。棚搬送型ロボットと呼ばれることもあります。

ピッキングスタッフが作業に集中できる点がメリットです。ピッキングが終わると、GTPが棚を元の位置に戻します。ピッキングスタッフは、商品を探し回って棚を行き来する手間や時間が省けます。

その他のハンドリング系ロボット

作業スタッフの足となるロボット以外にも、ハンドリング系ロボットと呼ばれる手の役割を担うロボットもあります。大きく分けると、「アーム型ピッキングロボット」と「棚卸しロボット」の2種類です。

アーム型ピッキングロボットによりピッキングを省人化すると、ヒューマンエラー削減や生産性アップを実現できます。棚卸しロボットは、ICタグを利用することで棚卸しを自動化し、棚卸しにかかる時間削減と精度向上が期待できます。

企業における物流ロボットの導入・活用事例


実際に物流企業がどのようなロボットを導入しているのか、事例を知れば自社でロボットを導入するイメージがつかめるでしょう。物流企業のロボット導入は国内外で進んでおり、中には、日本よりも高度な技術を使ったロボットもあります。

Amazon.com, Inc.

Amazon.com, Inc.は米国を中心に日本でも事業展開するECサイトです。日本の川崎フルフィルメントセンターと茨木フルフィルメントセンターでは、ドライブと呼ばれる棚搬送型ロボットが活躍しています。ドライブは、倉庫の棚からピッキングスタッフの元へと自走が可能です。

米国でもプロテウスと呼ばれる同様の棚搬送型ロボットを導入していますが、ドライブとは異なり、センサーで人を判断し自動停止できる機能を備えています。

また、カーディナルというAIとコンピュータービジョンを活用して、荷物の判別が可能なロボットアームの導入も進んでいます。

DHLサプライチェーン株式会社

東京都品川区に本社を置くDHLサプライチェーン株式会社は、企業間ロジスティクスを展開する企業です。保守部品の倉庫に、統合自動倉庫管理システムを導入しました。

導入したことで、ロボット同士がシームレスに連携を取り、24時間365日いつでも入出荷が可能になりました。また、最大600キログラムの棚を持ち上げて、作業スタッフの元に自走できるGTPロボットも活躍しています。

Walmart Inc.

米国でチェーン展開するスーパーマーケットのWalmart Inc.は、アルファロボットと呼ばれる自律走行ロボットを導入しました。

倉庫内の棚から商品をピッキングし、作業スタッフのいるワークステーションまで運搬します。作業スタッフの役割は、荷物の梱包や配送です。自律走行ロボットを導入したことで、ピッキングにかかる時間を大幅に削減しています。

SBS東芝ロジスティクス株式会社

SBS東芝ロジスティクス株式会社は、家電事業やエネルギー事業を展開する東芝グループの物流コスト削減を目的に、倉庫管理システムと合わせて棚搬送ロボットシステムを導入しています。

以前は広い倉庫内を作業スタッフが歩きながらピッキングしていたため、疲労蓄積による作業効率低下が常態化していました。棚搬送ロボットシステムを導入したことで、商品を探して運ぶ動作を自動化し、作業スタッフのミスも軽減しています。

ロジスティード中部株式会社

愛知県名古屋市にあるロジスティード中部株式会社(旧:株式会社日立物流中部)は、構内物流・保管・配送業務に役立つ直交型荷降ろしロボットを導入しました。

飲料ケースのような重量物が多いドラッグストア向けの物流拠点において、ロボットが仕分けラインへの投入作業を行うことで、生産性の維持と安全で丁寧な荷降ろしを実現しています。ロボットのサイズはコンパクトで、既存の倉庫レイアウトに合わせて配置できました。

物流ロボットを導入する際の注意点


物流業務のロボット導入は多くのメリットがあり、早速導入を検討している方もいるかもしれません。しかし、ロボットを導入する前に知っておきたい注意点があります。

「ロボットを導入しても思ったような効果が得られなかった」とならないためにも、以下で紹介する3つの注意点をしっかりと把握しましょう。

目的を明確化する

ただロボットを導入するだけでは、想像したような費用対効果を得られるとは限りません。「なぜ自社にロボットが必要なのか」「どのような作業を自動化するのが最適か」といった自社が抱える課題を明確にしながら検討しましょう。

解決できる課題はロボットごとに異なります。解決したい課題を洗い出したら、優先順位の高い課題を解決できるロボットはどれか見極めましょう。

倉庫内のレイアウト・環境を整える

ロボットが動きやすい環境を整えることで、より良い効率化を実現できます。シンプルな作業の繰り返しが得意なロボットの特徴を生かすのであれば、パレット単位、コンテナ単位でまとめておきましょう。

また、ロボットの可動範囲にも注意が必要です。ロボット専用エリアを設ければ効率的に運用できる反面、施設の大規模なレイアウト変更が必要となるケースもあります。自律走行可能なロボットを導入する際は、可動しやすい環境に整えなくてはなりません。

ロボットと連携するシステムを導入する

業務の一部にロボットを導入するだけでは、十分な効果を実感できません。ロボットを導入する際に大切なのは、倉庫管理システム(WMS)です。倉庫管理システムは、荷物の入出庫管理・在庫管理を行い、物流倉庫内の荷物の状況を把握します。

ロボットの中には、自ら状況を判断し作業するタイプもあります。しかし、ロボットの周囲の状況しか判断できないため、他のセクションやロボットとの連携は困難です。

倉庫管理システムとロボットの稼働状況を連携することで、ロボットの効率がアップし、能力を最大限に生かせます。

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アルゴリズムの組み合わせに専門知識は必要ありません。新たな人材を確保することなく、簡単なマウス操作だけで物流業務の効率化をサポートします。

また、UMWELTは物流企業の導入実績もあります。自動化による効率化を検討している方は、ぜひご利用ください。

まとめ

物流業界では人手不足や物流需要の増加といった課題が存在しており、これらの問題を解決するために、ロボットの導入が進んでいます。ロボットの導入により、業務の効率化や人件費の削減といったメリットが期待されていますが、ロボットの種類に応じた利用環境の整備などの準備が必要です。

手軽に物流業務の効率化を図るなら、TRYETINGのUMWELTをおすすめします。UMWELTは自動発注、在庫管理など物流業界で役立つ機能を備えているツールです。お気軽にお問い合わせください。

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