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GMMを用いた異常検知とは?導入例やメリットを解説

 

業務をしている中で、作業を止める原因になるものはできる限り防ぎたいものです。そんな作業を止める原因になるものとして、作業のミスや不正利用などがあげられます。こうしたミスや不正利用を防ぐために注目を集めているのが「異常検知」です。そこで今回は、GMMを用いた異常検知について解説し、導入例やメリットをご紹介します。

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GMMを用いた異常検知はクラスタリングで役に立つ


ここでは、そもそも異常検知とはどういったものなのか、そしてGMMについて解説していきます。

1.異常検知とは

異常検知とは、あらゆる処理において正常系以外の異常系パターンを検知することです。通常、処理の多くは正常におこなわれています。しかし、環境的要因や人的要因により、異常なケースが発生する可能性があります。例として、製造業で機械を扱うケースについて考えてみましょう。正常な処理であれば、部品がセットされて自動で組み込み作業がはじまります。しかし、部品の異常によって想定している処理と違う動きをしてしまいました。そのとき、異常検知によって発生を検知できるのです。

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2.GMMとは

GMMとは、 Gaussian Mixture Modelの略で、複数のガウス分布を足し引きして近似値を導き出すアルゴリズムの一種です。ガウス分布は正規分布とも呼ばれ、連続的な変数の平均値を示す左右対称の分布を表します。たとえば、全国の平均身長を例にしましょう。最も多いのは、平均付近の身長の人々です。一方で、平均と比べて極端に違いがある人は、人数が少なくなります。このように、平均付近が最も高く、離れるにつれて低くなる分布がガウス分布です。GMMは、複数のガウス分布を組み合わせ、より正確なデータを取得します。

3.GMMを用いた異常検知でできること

GMMを用いた異常検知では、データのクラスタリングができます。クラスタリングとは、データ解析で使われる手法の一つで、取得したデータを自動的に分類していく、教師なし学習のことです。GMMは複数の正規分布を組み合わせることで近似値を取得し、機械学習や統計分析に活用されています。

GMMを始めとした異常検知を導入するメリット


GMMの異常検知は、導入によってさまざまなメリットを得られるのです。ここでは、導入によって得られる5つのメリットについて解説していきます。

1.ヒューマンエラーの排除

GMMを用いた異常検知の導入により、作業における判断を機械学習や人工知能によっておこなうため、ヒューマンエラーの防止につながります。人の手を介して作業をしている以上、どれだけ注意深く作業をした場合でも、ミスを完全には防げません。たとえば、部品を組み立てるラインで考えてみましょう。作業者は部品を機械にセットし、その後に機械が動作します。機械は、通常であれば問題なく動きますが、セットの仕方が少しでも違うことでいつもと違う動作になってしまうのです。しかし、セットした段階で人が検知するというのは困難です。そこで、GMMの異常検知によって事前にエラーを発見することで、ヒューマンエラーの防止につながります。

2.人件費削減

GMMの異常検知は、人の目には抜け漏れがちな異常を検知できるため、人件費の削減につながります。GMMの異常検知が得意とするのは、正常なパターン以外の状態を検知することです。つまり、部品などの検査をすることに向いています。たとえば、部品の異常を検査員が検査していたとしましょう。この場合、検査員の人件費がかかってきますが、人員の代わりにGMMの異常検知を導入することで、検査員の人件費を削減できます。この場合、検査員の人数が多ければ多いほど、GMMの異常検知へ代替した時に人件費の大幅削減につながります。

3.属人化防止

GMMの異常検知は、学習済の異常を確実に検知できるため、属人化を防止できます。属人化とは、ある業務をこなせる人物が固定化されてしまうことです。多くの現場では、熟練の作業員しかこなせない業務が存在しています。検査工程も例外ではなく、検査の基準は人によって異なるため、作業にばらつきが出やすいのです。そこで、GMMの異常検知で検査をすることにより、熟練の作業員しか検知できない異常についても確実に見つけ出せます。GMMの異常検知は機械でおこなわれるため、その作業にばらつきも発生しません。人の依存を失くしたいという場合には、GMMの異常検知は非常に効果的です。

4.機械学習による検知精度向上

GMMの異常検知は、クラスタリングによって機械学習をしているため、繰り返し使用することで検知精度は向上していきます。異常検知はデータがすべてです。大量のデータを機械学習させていくことで、あらゆるパターンに適応できるようになります。導入当初は異常を検知するよりも、異常になったときのデータ取得を中心に進めなければなりません。また、一度も学習をしていないがために異常を検知できなかったとしても、検知できなかったことを学習すれば二度目は確実に検知できます。

5.検知できる異常が幅広い

GMMの異常検知は、データが揃っていればあらゆる業務の検知が可能です。検知する対象は、扱っている機械や製品問わず可能なため、幅広い異常を検知できます。
例えば、それぞれ別の機械で作った部品を検知する場合、それぞれの工程にスキルをもった検査員が必要になります。しかし、GMMの異常検知を導入することで、同じ検知パターンのものであれば、たとえ部品が違うものでも検知が可能です。GMMの異常検知は、あらゆるパターンの異常を検知できるのが魅力です。

ハイブリッドモデルによる異常検知の種類


ハイブリットモデルとは、従来利用されている異常検知モデルに加え、高次元データを解析するために深層学習を取り入れたモデルのことです。実はハイブリッドモデルは、異常検知の分野で既に取り入れられ始めています。そこでここでは、ハイブリットモデルによる各種異常検知をご紹介します。

1.DAGMM

DAGMMとは、Deep AutoEncoder Gaussian Mixture Modelの略称で、GMMのアルゴリズムとAutoEncoderを組み合わせた手法です。AutoEncoderは深層学習で使われている技術で、入力されたデータを圧縮し、後で復元できる形にします。具体的には、ある部品について高さと横幅をデータとして持っている場合、2つの情報を1つの情報にまとめてしまうのです。DAGMMでは、GMMで圧縮する範囲を取得し、その結果を基にAutoEncoderでデータの圧縮をしています。

2.Deep SVDD

Deep SVDDとは、Deep Support Vector Data Descriptionの略称です。Deep SVDDで重要になるのが、正常なデータをどれだけ取得できるかです。Deep SVDDでは、正常と考えられるあらゆるデータをグラフ上に示していきます。その後、全てのデータが球体におさまるように囲っていきます。実施時には、球体からどれだけ距離が離れているのかによって異常検知をおこなうのです。

3.Deep SAD

Deep SADとは、Deep Semi-Supervised Anomaly Detectionの略称です。Deep SADは、Deep SVDDを拡張したもので、教師なし学習だったものを、半教師あり学習にしています。具体的には、学習データに正解のラベルを付けるものと、付けないデータの両方を扱うことです。Deep SADでは、ラベルの付いているデータを異常と扱い、ラベルの付いていないデータを正常と扱います。したがって、球体の中心に近くなるほどラベルの付いていないデータが多くなり、離れるほどラベルの付いているデータが多くなります。つまり、この球体を基に異常検知をおこなっていくのです。

異常検知を導入している事例


異常検知はさまざまな分野で導入されています。ここでは、具体的な導入事例を4つご紹介していきます。

1.監視カメラによる侵入者検知

GMMの異常検知と監視カメラを組み合わせることで、大きな工数削減につながります。監視カメラは、何か事件があったときに使われるケースが多いです。たとえば、コンビニに強盗が押し入ったときに犯人の顔を確認するため、立ち入り禁止の場所に立ち入った人を検出するためなどです。監視カメラの起動中は録画をし続けるため、実際に対象の場面を見るためには膨大な時間を遡らなければなりません。それをGMMの異常検知を組み合わせることで、誰かが映った瞬間だけ録画したり、異常が発生したら通知するなどができます。

2.クレジットカードの不正利用検知

GMMの異常検知は、クレジットカードの不正利用を検知することも可能です。最近では、キャッシュレス化が進み、あらゆる店舗で電子マネーの利用やクレジットカードの利用が進んでいます。それと同時に、クレジットカード番号の流出により不正利用も増大しているのが現状です。GMMの異常検知では、事前に設定した情報やデータに基づいて、不正な取引を検知します。例えば、クレジットカードを利用する場所や時間、金額などを事前に設定し、それ以外の取引があった場合を不正利用として検知します。

3.体調不良の検知

GMMの異常検知は、体調不良をはじめとした医療分野でも活用されています。活用の事例は「Respiri、喘鳴検出および喘息管理のモバイル アプリとサーバー ソフトウェアを開発」です。この事例では、30秒間の録音データを画像形式のデータに変換し、喘息のパターンを検出しています。

4.ヘッジファンドの不正検出

GMMの異常検知は、金融業界でも活用されています。その事例の1つが「ヘッジファンドの不正利用」です。そもそもヘッジファンドの不正利用というのは、株価を操作し、あたかも利益を得ていると錯覚させることで、投資者に興味を惹かせることです。GMMの異常検知は、ビッグデータを基に異常な株の値動きを検知し、機械学習をしていくことで不正検出につなげています。

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まとめ

あらゆる業務をする中で、ヒューマンエラーや不正の検知は極めて重要なことです。こうしたミスや不正は業務の流れを止め、事業に大きな悪影響を与えるでしょう。異常検知システムの導入は、導入までの期間や費用の面で見ても、ハードルは下がってきていますので、社内に専用のツールを導入することをおすすめします。

今回ご紹介したTRYETING「UMWELT」も導入しやすいシステムのひとつですので、「導入したいけれど、どのようなものが良いのかわからず困っている」という方や、「簡単に使える異常検知システムを探している」という方は、ぜひ一度ホームページからご覧になってください。

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