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AIの強化学習とは何をするの?ビジネス活用や仕組み・学習方法を解説

ビジネスへのAI活用が広がるにつれて、AIにまつわる専門用語や技術の内容が話題になることも増えてきました。その中で、いざ訊かれてみると困ってしまう用語として「強化学習」が挙げられます。

そこで本記事では強化学習をビジネスで活用する方法やその仕組み・具体的な学習方法について解説します。

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AIの強化学習とは一体どのようなものなの?

強化学習とは元々は動物行動学や認知神経学の用語で「条件付け」に対する適用現象を指します。AIの強化学習の歴史を辿るとその原型は1950年代に行われたSamuelのChecker Playerにまで遡ります。強化学習と言葉が情報科学で使われ始めたのは1965年 Waltzらの学習制御に関する論文の頃です。

ここからはその強化学習について具体的に解説します。

機械学習で使われる手法のひとつ


AIを作成するためにデータをコンピュータに学習させる技術である「機械学習」には、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」の3つの種類があります。

教師あり学習はラベル付きのデータから学習し、未知の入力データに対しても正しい出力結果を予測することができます。分類モデルでは、あるカテゴリに属するかどうかを予測するために使用され、例えば、スパムメールの分類や画像の物体検出などに応用されます。

一方の教師なし学習はラベルのないデータから構造やパターンを学習し、グルーピングや異常検知などのタスクに使用されます。例えばクラスタリングは、データを似た性質や特徴を持つグループに分類する手法で、教師なし学習の代表的な手法の一つです。

強化学習の仕組みとは?

強化学習は、コンピューターシステムやAIモデルなどの「エージェント(学習者)」にデータを与えて、環境とやり取りをしながら行動を変容させて、評価(報酬)を最大化するように学習を進めていく機会学習手法のひとつです。

エージェントは、行動をとることで環境を変化させ、報酬を得ます。エージェントは報酬を最大化するように行動を改善し、環境からのフィードバック(報酬)を受けながら学習を繰り返します。これによって、エージェントは最大の報酬を得るよう最適な行動方針を学習します。

ディープラーニングとの違い

ディープラーニングは、大規模な人工神経回路モデルを用いた機械学習手法全般を指し、大量のデータからパターンを学習することによって、入力と出力の関係を学習します。

ディープラーニングと強化学習の違いとして以下のような事柄が挙げられます。

・強化学習は、ディープラーニングと異なる、エージェントと環境の2つの要素を用意さえすれば、人間の介入やタスクを達成するための明示的なプログラミングを必要としません。

・ディープラーニングは学習モデル(関数)に注目した用語で、強化学習は学習の方(アルゴリズム)に注目をした用語である点が大きく異なります。ディープラーニングは幅広い応用範囲を持っており、強化学習の中にも取り入れられています。

AIの強化学習はどのようなビジネスに活用されているのか

ここまででAIの強化学習がどういうものか、ディープラーニングとの違いを交えて解説をしましたが、実際のビジネスシーンでどのように活用されているかのイメージはまだ湧きづらいものと思います。

そこでここからは、強化学習が注目されている理由から、強化学習を活用した具体的な事例について解説します。

AIに強化学習が必要な理由

強化学習は、人間が事前に正解を教えることなく、エージェントと環境というふたつの要素が、データを自律的に生成・学習することができる点が大きな特徴です。そのため、人間が細かな指示や事前検討をすることなく、複雑な問題に対しても高い精度で解決することができます。

例えば、将棋などのゲームにおいては、人間がすべてのケースについて正解を教えることは不可能ですが、強化学習を用いることで、AI自身が試行錯誤を繰り返しながら最適な手を学習することができます。

そのほか、繊細な動作を求められるロボット制御にもディープラーニングと組み合わせられた強化学習が活用されています。

強化学習の仕組みを活用した事例

以下では、強化学習の仕組みを活用したビジネス事例を表にまとめていくつか紹介します。


ビジネス 活用内容
レストラン・小売 顧客の注文履歴を元に、店舗ごとに最適な販売戦略を立てるための分析に強化学習を使用しています
ゲーム業界 AIによるゲームプレイヤーの開発に活用されています。囲碁や将棋もここに含まれます。
ロボット開発 ロボットの自己位置推定・制御、また物体検出などの技術に活用されています
自動運転 車の走行ルートの自己学習や、道路状況などの環境変化への対応に活用されています
金融業界 株式取引やポートフォリオ最適化に活用されています
検索エンジン 検索結果の精度向上に活用されています

AI強化学習のアルゴリズムと学習の流れ

強化学習がなぜ幅広いビジネスで活用されているのか、その理由と具体的な活用事例について解説を行いました。きっと自社のビジネスとも結びつきそうだと、イメージが湧いたことでしょう。

ここからは皆さんがそれぞれのビジネスの現場で強化学習を活用できるように、より具体的な学習方法について解説を行います。

アルゴリズムは3つ

強化学習の具体的なアルゴリズムには、以下に示す3つの代表的なものがあります。

・モンテカルロ法(MC法):実際に試行錯誤しながら価値を評価する方法です。学習が完了するまでにエピソードの終わりを待つ必要がありますが、大規模な問題にも対応可能です。

・動的計画法(DP法):状態価値の遷移を表すBellman方程式を近似的に解くことで状態価値や行動価値を再帰的に計算する方法です。ただし完全な環境モデルが必要で、小規模な問題に向いています

・時間差分学習法(TD法):MC法とDP法を組み合わせたような学習方法です。完全な環境モデルが不要で、オンラインで学習できる点も利点として挙げられます。SarsaやQ学習などが代表的なアルゴリズムです。

強化学習の流れ

強化学習はロシアの数学者マルコフが考案した「マルコフ過程」の流れに沿って実施されます。マルコフ過程とは、過去の履歴に引きずられることなく、現在の状態のみに基づいて状態が移り変わると仮定した確率過程です。

強化学習では、状態・行動・遷移確率・報酬の4つの要素からなるマルコフ過程を用います。行動によって環境(遷移確率)や報酬が変わるとし、エージェントは方策に従い「今の状態」から行動を選択し、状態を遷移させます。

強化学習とは、報酬を最大化させるための「方策」を学習する手法なのです。これをマルコフ決定問題とも呼びます。

AI強化学習の課題

強化学習は3つの代表的なアルゴリズムに基づいて実施されます。またこれらはマルコフ決定問題と呼ばれる数学的な枠組みの中で解かれることを解説してきました。

これらを理解することで強化学習を活用できるようになります。しかし、実際に活用する上では課題も十分把握しておく必要があるでしょう。ここからはAI強化学習の課題にについて解説します。

人間との理解度に相違が発生する

強化学習では、行動と報酬の間の関係性が学習において非常に重要な役割を果たしますが、最適な報酬を得るための行動が、人間にとって合理的ではないことがあります。

たとえば、倫理的・道徳的観点からは望ましくない結果が得られてしまうケースです。具体的には、ロボットが人を傷つけることで最大限の報酬を得ると判断することがあるかもしれません。このような行動を排除するような制限が必要となるでしょう。

学習に膨大な時間が必要


強化学習は他の機械学習手法と比べても、多くの場合、膨大な量のデータも必要ですし、エージェントが最適な方策を見つけるために多数の試行錯誤が必要になります。そのため、学習を行うための多大な時間や学習を行うための環境調整・制御が必要になることがあります。

強化学習によって実用的なシステムを構築するためには、このデメリットを乗り越えるためにもできるだけ高速なコンピューティングシステムが必要になるでしょう。

AI導入には専門知識や費用がかかる

これまで解説してきたように、強化学習の導入には多くの専門知識を必要とします。そのため、AIの知識を持ったデータサイエンティストとの連携が必要になります。

また、データ収集やデータの前処理、強化学習のモデル構築、システムの実装、メンテナンスやアップデートといった作業には多額の費用がかかることがあります。

これらのコストや費用を十分に理解した上で、強化学習を導入する必要があります。

専門知識が要らないノーコードAI「UMWELT」でビジネスの効率化を実現!

強化学習によって構築されたAIはさまざまなビジネスに活用されているため、強化学習は非常に魅力的な技術と言えるでしょう。しかしこれを活用するための手間や費用、知識などに鑑みると、システム導入のハードルが高いと考えている方は多いと思います。

そこで高度な専門知識がなくても利用可能なノーコードAIツール「UMWELT」がオススメです。UMWELTはプログラミング不要でAIの学習を行うことができます。またクラウドサービスですので、導入のためのコストも抑えることができます。

まとめ

本記事では強化学習をビジネスで活用する方法やその仕組み・具体的な学習方法について解説しました。非常に魅力的である一方、導入までのハードルが高い、と感じた方も多いかと思います。ハードルを少しでも下げるためにも、UMWELTの導入をぜひご検討ください!

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