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自然言語処理技術で論文が書ける?仕組みと活用例を紹介

自然言語処理の技術はスマートスピーカーなどに活用されており、我々の生活を豊かにしています。この記事を読んでいる方の中には、自然言語処理を使って複雑な文章を解析してみたいと思う方もいるでしょう。しかし、「自然言語処理の仕組みがよくわからない」「論文のような複雑な文章も解析できるの?」と疑問を持つ方も多いと思います。そこで今回は、自然言語処理の仕組みや活用例について解説します。

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自然言語処理とは?仕組みや活用事例もあわせて解説

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自然言語処理の定義

自然言語とは

自然言語処理を理解するために、まずは自然言語とはなにかを解説します。自然言語とは人類が互いにコミュニケーションを取ることで形成された言語を指します。日本語や英語などは自然言語に該当します。

自然言語処理とは

岡田・中村(1993)によると、「自然言語処理(Natural Language Processing)とは、プログラミング言語のような人工の言語に対し、日本語や英語、ロシア語といった、人が日常話したり書いたりする言語を計算機で処理すること」とあります。昨今のAIアシスタントや機械翻訳には、この自然言語処理の技術が活用されています。

自然言語処理の仕組み・流れ

自然言語処理は、どのような仕組みで動いているのでしょうか。ここでは、自然言語処理の流れを解説します。

形態素解析

形態素とは、文字で表記された自然言語の文において、意味を持つ最小の言語単位のことです。例えば、「赤い車に乗った人」を形態素に分解すると「赤い」「車」「に」「乗っ」「た」「人」と分けることができます。

赤い 形容詞,自立,*,*,形容詞・アウオ段,基本形,赤い,アカイ,アカイ
車 名詞,一般,*,*,*,*,車,クルマ,クルマ
に 助詞,格助詞,一般,*,*,*,に,ニ,ニ
乗っ 動詞,自立,*,*,五段・ラ行,連用タ接続,乗る,ノッ,ノッ
た 助動詞,*,*,*,特殊・タ,基本形,た,タ,タ
人 名詞,一般,*,*,*,*,人,ヒト,ヒト

※これ以上分解すると、それぞれが意味をなさない「音素」になってしまい、形態素ではなくなります。

構文解析

構文解析とは、形態素解析で取得した単語列の間の関係性を解析する処理のことです。構文解析を行うことで、それぞれの句がお互いにどう作用しているかを可視化できます。

例えば、「頭が赤い魚を食べる猫」という文は、

「魚を食べた猫の頭が赤かったのか」
「猫が食べた魚の頭が赤かったのか」

など、複数の解釈ができるため、複数の構文解析結果が得られます。常識的にあり得ない構文構造であっても、文法的に正しければ正解となる点が重要です。常識的にあり得ない構文構造は、下の意味解析のレベルで考慮されることになります。

意味解析

意味解析は、構文構造をもとにその文がどんな意味を持つかを解析する処理のことです。意味解析の定義は広く、特定の処理を指すわけではありませんが、格解析・多義性解消などが意味理解の例としてよく挙げられます。構文解析の結果、常識的にあり得ない構文構造が検知されます。

文脈解析

文脈解析は、複数の文がある文章で、単語だけでなく、文脈による表現を解析する処理です。例えば、複数の文をまたぐ代名詞の対象を明らかにしたり、省略されている主語の単語を明らかにするなどです。文脈解析の難易度は高いとされています。

自然言語処理技術で出来ること

自然言語処理技術を活用することで、以下のようなことが実現できます。

  • テキストデータの効率的な処理
  • テキスト生成

テキストデータの効率的な処理

自然言語処理によって、非構造化データであるテキストを効率的に処理することが可能になります。そのため、人間が手作業で処理するよりも膨大なデータを高速に処理できます。膨大なテキストから、人間にとって有益な知識を獲得するテキストマイニングや、構造化データにするための情報抽出、文書から感情を推定する感情分析、質問文に対する答えを推測する質問応答など多岐にわたります。

テキスト生成

自然言語処理技術によって、、議事録やレポート、物語や論述などの自動生成をすることも可能です。このように自然言語処理は、人手不足の解消や人件費の削減に役立てることができます。
また、近年期待されているのは、機械学習が持つブラックボックス性の解消です。なぜそのような出力に至ったのかをテキスト生成によって説明することで、モデルの解釈可能性を向上させることができるとされています。

自然言語処理で論文を書くことはできる?

ここでは、自然言語処理で論文を書いた事例について見ていきます。

日本語だけでなく他の言語の論文も書ける

自然言語処理は日本語の論文だけではなく、他の言語でも解析できます。2020年の4月には、東北大学の学生が創業したベンチャー企業であるLangsmith株式会社が、「英語論文執筆支援システム」を開発したのです。このシステムは英語の文法誤りやスペルチェック、そして論文に適した表現を提案してくれます。このように、自然言語処理の応用は、論文のような正式な文章の執筆を補助できるほど、高い性能を発揮しています。

正しい文章を作るためには大量のデータが必要

自然言語処理で論文を書けるようになってはいるものの、正しい文章を作るためには大量のデータが必要です。特に、論文は慣習的な言い回しが求められる場面も多いため、それに合ったデータが求められます。多くのデータから学習することで、自然言語処理の精度も向上していきます。

自然言語処理技術の活用事例

自然言語処理技術の応用には、以下6つのような活用事例があります。

  • 機械による自動翻訳機能
  • チャットボット機能
  • サーチエンジン
  • 文字の変換予測
  • テキストマイニング
  • 感情分析

機械による自動翻訳機能

自然言語処理は、Google翻訳などの機械翻訳にも活用されています。自然言語処理の進化に伴い、人間が理解できる表現に近い翻訳が可能となりました。自然言語処理を導入する以前は、日本語から英語に翻訳する際に文法や意味を意識しない形で翻訳されていました。最近は、「DeepL」と呼ばれる高精度な翻訳機能が登場しました。DeepLは文書ファイルをそのまま翻訳できるため、わざわざ翻訳用に作り直す必要がなく効率的に翻訳機能を活用することができます。

チャットボット機能

AIチャットボットは、人間が発した言葉を自然言語処理によって解析し、最も近い意味の回答を返答します。たとえば、iPhoneユーザーであれば「Hey Siri」と呼びかけて、「明日の予定は?」と問いかけると、スケジュールを元に明日の予定を回答してくれます。

サーチエンジン

GoogleやYahoo!検索などの検索エンジンについても、自然言語処理が活用されています。
検索エンジンでは、入力したキーワードの意味を含むようなウェブページかつ、ページの重要度を独自に計算するアルゴリズムを用いて、高速にユーザーの求める情報を提供しています。

文字の変換予測

自然言語処理は、パソコンやスマートフォンの文字変換予測でも使われています。ひらがなの文字を入力すると、漢字や顔文字、または絵文字に変換する機能が活用されています。

テキストマイニング

自然言語処理は、SNSの文章などの自由形式で記述された文章を分析するための手法としても活用されています。分析時には、テキストから重要な情報を獲得するテキストマイニングを実施します。

感情分析

感情分析とは、入力された文章から書き手の感情を分析することです。感情分析により、SNSでの発言やレビュー投稿でプラスの意見かマイナスの意見なのかが分かります。

DX推進をサポートするTRYETINGのUMWELTを紹介

自然言語処理を始め、AI活用は企業のDX推進をサポートしてくれます。しかし、実際にAIを活用するためには専門的な知識を持った人材が必要となるため、なかなか進められないのが現状です。そこでおすすめなのが、TRYETINGの開発するノーコードAIクラウド「UMWELT」です。UMWELTには多数のAIアルゴリズムが搭載されており、専門知識不要でAIを構築できます。そしてAIの導入により、高精度な分析が可能です。さらに、導入開始から運用に至るまでTRYETINGのコンサルタントが伴走するため、初めてAIツールを利用する方でも安心してご利用できます。

まとめ

自然言語処理技術は多くのシステムに活用されている技術の1つで、最近は、英語の論文も書けるようなシステムが登場しています。多くの企業では、自然言語処理技術をはじめ、AIをビジネスにも活用していきたいところでしょう。しかし、専門的な人材が必要となるため、なかなか導入できないという声が聞かれます。UMWELTは、大手企業からスタートアップ企業まで幅広く導入実績があり、安心して利用できる信頼性の高いサービスを提供しています。即効性が高く低コストから始められるAIツールをお探しの方は、UMWELTの導入をぜひご検討ください。

参照文献

岡田直之、中村順一(1993)自然言語処理入門:1. 現状と歴史を概観しよう,情報処理 34 (11),1385-1394

学生ベンチャーが自然言語処理技術を活用した英語論文執筆支援システムを公開 東北大学学生創業 Langsmith株式会社|東北大学(2020)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/04/press20200421-01-editor.html

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