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自然言語処理とは?仕組みや活用事例もあわせて解説

 

SiriやAlexaに代表されるAIアシスタントや、リアルタイムで他言語を翻訳できる端末などが市場に現れるようになり、人間の言語で機械を操作することが当たり前の時代になってきました。その背景には「自然言語処理(Natural Language Processing)」と呼ばれる技術が存在することをご存知でしょうか?この記事では自然言語処理の概要や仕組みを解説するとともに、実際の活用例を紹介していきます。

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この記事は2022年1月22日(月)に加筆修正を行いました。

自然言語処理とは人間の言語を機械で処理すること

自然言語処理は「人間の言語を機械で処理して内容を抽出すること」です。この過程から得られたデータがやがてAIアシスタントや機械翻訳に活用されるのですが、まずはこの定義から、自然言語処理を段階的に理解していきましょう。

1.自然言語 と人工言語

自然言語処理を理解するために、まずは自然言語が何かを解説します。自然言語とは人類が互いにコミュニケーションを取ることで醸成してきた言語を指します。具体的には日本語や英語などが挙げられます。自然言語と対比されるのが人工言語です。人工言語とは、人間が特定の意図をもって文法や語彙を作成した言語です。例えば、エスペラント語は人工言語の一つです。

プログラミング言語もまた、人工言語の一つです。この二つの特徴の大きな違いが「曖昧性の有無」です。自然言語の場合は比喩や符牒などがあるため、「むらさき」といった時にそれが色を指しているのか、醤油を指しているのかは文脈に依存しています。一方で、人工言語では、文法的または語彙的曖昧性が排除されて設計されることが多くあります.

2.自然言語の曖昧性

自然言語の曖昧性の例を見てみましょう。「私は、双眼鏡で泳ぐ彼女を見た」という文について考えてみると、「双眼鏡で」という句は、「泳ぐ」ではなく「見た」を修飾することが常識的にわかります。「双眼鏡で泳ぐ彼女」を見たのではなく、「泳ぐ彼女」を双眼鏡で見た、と理解できるということです。私たちの日常生活ではこのレベルの曖昧性があふれているでしょう.。しかし、それはコンピューターに指令を与えるうえでは障害になってしまいます。なぜなら、コンピュータは文脈や常識を考慮することができないため、与えられたテキストに複数の解釈が存在すると、どの解釈が正しいのか判断することができないからです.

自然言語処理とは

自然言語処理とは、コンピュータで自然言語を処理し、意味のある情報を得るための技術を指します。自然言語を処理することで解決出来るタスクは数多く存在するため、自然言語処理技術は今後もコンピュータと人間の相互作用を促進するための技術として注目されています。

自然言語処理の活用事例

では、自然言語処理はどのような場面で活用することができるのでしょうか?以下では自然言語処理の導入で解決が期待できる課題を2つ紹介します。

文書の解析と理解

自然言語処理技術によって、人間が読解するよりも高速に大量の情報を処理することが可能になります。コンピュータによって自動で内容抽出や、推論、情報検索、質問応答を行うことで、人々の業務の手助けが行われています。これらの業務の遂行には、自然言語で書かれたテキストの内容を理解する必要があり、自然言語処理の分野では意味解析と呼ばれています.自然言語には文脈が存在するため、談話解析といった技術や、代名詞が何を指しているのかを決定する照応解析などの様々な技術も併用されます。

文書の生成

自然言語から情報を抜き出すのみならず、テキストを生成することも可能となっています。例えば、GPT3というシステムは、テキストを入力すると、そのテキストに続く自然なテキストを生成することができます。株価の情報や診断結果から、その要約レポートを生成することを目的とした手法も数多く存在します。

自然言語処理の仕組み

自然言語処理の仕組みを知り、見識を深めることは自然言語処理で何ができて何ができないかを正しく判断するための材料になります。以下では自然言語処理の仕組みについて解説します。

テキストの構成する最小の要素は一般的には単語と言われますが、自然言語処理の分野では、「形態素」と呼ばれる単位になります。私たちの普段使用するテキストは、形態素の並びであると言えます。したがって、コンピュータで自然言語を処理する際には、まず形態素レベルに分割することが多いです.その後、必要に応じてコンピュータが処理しやすいように数値(ベクトル)に変換して機械学習モデルや深層学習モデルに入力したり、ルールに基づいて処理や、構文解析を行うことで、目的とする答えを出力します。目的とするタスクで文の意味の解析が必要であれば、形態素を数値(ベクトル)に変換した後にこれを合成して文の数値(ベクトル)を得ることも多くあります。

自然言語処理の4つの基礎技術

ここからは自然言語処理が具体的に行っている4つの基礎技術を紹介していきます。下に行くほど難易度は高くなるとされており、形態素解析、構文解析は実用でも十分に利用できるレベルですが、意味解析、文脈解析はいまだにいくつも課題が残っています。

1.形態素解析

形態素とは上記の通り、「文字で表記された自然言語の文において、意味を持つ最小の言語単位」を指します。具体的には「赤い車に乗った人」を形態素に分解すると「赤い」「車」「に」「乗っ」「た」「人」と分けられます。実際に形態素解析した結果は次のようになります。

赤い 形容詞,自立,*,*,形容詞・アウオ段,基本形,赤い,アカイ,アカイ
車 名詞,一般,*,*,*,*,車,クルマ,クルマ
に 助詞,格助詞,一般,*,*,*,に,ニ,ニ
乗っ 動詞,自立,*,*,五段・ラ行,連用タ接続,乗る,ノッ,ノッ
た 助動詞,*,*,*,特殊・タ,基本形,た,タ,タ
人 名詞,一般,*,*,*,*,人,ヒト,ヒト

これ以上分解すると、それぞれが意味をなさない音素になってしまい、形態素の定義から溢れてしまいます。

2.構文解析

構文解析は、形態素解析で取得した単語(列)の間の関係性を解析する処理です。これを行うことで、それぞれの句が互いにどのように作用しているかがわかるようになります。

例えば「頭が赤い魚を食べる猫」という文は「魚を食べた猫の頭が赤かったのか」それとも「猫が食べた魚の頭が赤かったのか」など、複数の解釈ができるため、複数の構文解析結果が得られます.ここで重要なのは、常識的に明らかにあり得ない構文構造であっても、文法的に正しければ正解となる点です。常識的にあり得ない構文構造は、下の意味解析のレベルで考慮されることになります。

例えば、「赤い/車/に/乗っ/た/人」という形態素列を構文解析すると、「赤い→車/に」「車/に→乗っ/た」「乗っ/た→人」という結果になります。

3.意味解析

意味解析では、構文構造をもとに、その文がどのような意味をもつかを解析する処理です。意味解析の意味するところは広く、特定の処理を指すわけではありません。格解析、多義性解消などが意味理解の例として挙げられます。構文解析の結果、常識的にあり得ない構文構造などは、ここで検知されます。

4.文脈解析

文脈解析とは、複数文からなる文章において、単語のみならず、文脈による表現などを解析する処理となります。具体的には、複数の文にまたがる代名詞の指す対象を明確にしたり、省略されている主語などの単語を明らかにすることも含まれることがあります。難易度は高いとされており、現在でも文脈解析を実用的に扱うことは困難であると言われています。

自然言語処理を利用したサービスを紹介

ここまで自然言語処理の概要について解説してきましたが、以下ではこの技術を実際に活用している例を紹介します。

1.英語の発音をチェックするAI

アプリに向かって英語を話すことで、その発音の正確さをチェックしてくれるアプリがあります。「CHIVOX」という中国が開発した英語スピーキング評価AIで、すでに世界132カ国で導入されています。アメリカ式・イギリス式英語の切り替えも可能で、チャイルドモード、ノーマルモード、ネイティブモードの3種類を用意することで自分のレベルに合わせた学習が可能です。もちろん日本でも利用できます。

2.文字変換予測

文字変換予測とは、日本語を入力した際に自動変換してくれるソフトウェアで、IMEとよく省略されます。この技術の登場は古く、以前から用いられていましたが、近年ではその精度も高くなりました。

3.音声対話システム

私たちにとって最も身近にある活用例は音声対話システムかもしれません。iPhoneに搭載されているSiriやGoogle Assistant、AlexaやLINE Clovaといった音声対話システムは、自然言語処理で検索やデータ照合を行い、結果を音声データに変換してユーザーに答えるという仕組みです。

4.機械翻訳

DeepL翻訳はDeepL GmbH社が提供している基本無料機械翻訳サービスで、2017年8月に開始しました。ディープラーニング(深層学習)を軸に開発されています。2020年3月から中国語と日本語に対応し、既存の翻訳ツールより高い精度の翻訳ができることが大きな話題となりました。

5.感情分析

感情分析は読んでその字のごとく、入力された文から読み取れる人間の感情を分析する技術です。感情分析はSNS上での発言やECサイトなどにおけるレビューの分析に用いられます。

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まとめ

この記事では、自然言語処理の概要や仕組みを解説するとともに、その活用例を紹介しました。自然言語処理はコンピュータでテキスト情報を扱うため、様々なケースで用いられており業務の効率化や利便性の向上といった価値も生み出すことができる技術です。ぜひこの機会にAIを搭載したシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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