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ディープラーニングの仕組みとは?可能になることや導入方法をくわしく解説

ディープラーニングは用途に合わせて形を変え、多様な課題、目的などに多く活用されています。また、ディープラーニングの運用方法は常に進化しており、運用アプローチの種類もさまざまです。効率よく活用するには、ディープラーニングの仕組みを理解した上で、それぞれの目的や用途に合わせて運用方法やアプローチを使い分けていく必要があります。

本記事では、ディープラーニングの活用やビジネスなどへの導入を検討している方向けにディープラーニングの仕組み、可能になることや導入方法を解説していきます。

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ディープラーニングとは?基本的な知識


ディープラーニングとは、「人間が手を加えなくても、コンピュータが大量のデータの中から特定のデータの特徴を発見する技術」を意味します。ディープラーニングの理解を深めるために、意味や歴史、現在その技術が注目されている理由など基本的な知識について振り返ってみましょう。

機械学習のひとつである

ディープラーニングとは、機械学習の代表的なアルゴリズムであるニューラルネットワークを多層にし、より複雑な情報処理にも対応した機械学習方法のひとつです。機械学習とは、人間が学習するように「機械自身が学習する」ことを指します。ディープラーニングの位置付けは、人工知能>機械学習>ディープラーニングとなり、ディープラーニングはAIの包含関係となっています。

これまでの歴史

現在、AIは3回目のブームを迎えていると言われています。この3回目のブームのブレイクスルーとなった技術が、ディープラーニング(Deep Learning)です。2012年、世界的な画像認識コンテスト「ILSVRC」では、トロント大学が開発した「Super Vision」が圧倒的な画像認識の精度で勝利を飾り、人工知能研究界に激震を与えました。

「Super Vision」はトロント大学のジェフリー・ヒントン教授らが開発した「オートエンコーダ」という画像認識技術を利用したものです。「オートエンコーダ」によりニューラルネットワーク自身でデータの特徴を捉えることが可能になり、この多層ニューラルネットワークを用いた学習方法を、ディープラーニングと呼ぶようになりました。

注目される理由

ディープラーニングが注目されている理由は、イノベーションを生み出す可能性が溢れているからです。ディープラーニングは「パターン(特徴量)の学習」を自動でできるようになり、これまで抱えていた「パターン(特徴)認識を機械に学習させることが困難」という問題を解消できるようになりました。また、上記で紹介したAI3次ブームでは、ディープラーニングの技術によりスマートフォンなどのIoTデバイスで集められた複雑で膨大な情報の認識スピードが向上し、より注目されています。

主な実用例は2016年の囲碁ソフト「AlphaGo」や、自動運転技術などです。これらの技術が注目されたことにより、よりディープラーニングの技術が社会実装やビジネス活用に持ちいられるようになりました。

ディープラーニングの仕組みと学習方法


ディープラーニングは、ニューラルネットワーク特有の課題を「多層(ディープ)化」することから、ディープラーニングと呼ばれています。ではディープラーニングの元になるニュートラルネットワークとは、どのような仕組みなのでしょうか?ニュートラルネットワークの意味、またディープラーニングの仕組み、学習方法についてもあわせて紹介していきます。

ニューラルネットワークとは?

ニューラルネットワークとは機械学習のひとつであり、人間の脳内処理を模倣した作りとなっている情報伝達プロセスです。人間の脳の基本構成である神経細胞(ニューロン)と神経回路網(シナプス)を模倣しています。ニューラルネットワークでは、情報伝達プロセスのうち、人間の脳のニューロンの結合の強さにあたる「重み」を調節することで情報を活用していきます。

仕組み

ニュートラルネットワークは、人間の脳内にあるニューロンの仕組みをベースにコンピュータ上で表現するために作られており、入力層、隠れ層、出力層で情報の表現を行います。ただし、ニュートラルネットワークでは単純な情報しか処理できません。複雑な情報を処理する場合は、幾多もの層を用いて出力の中間層を増やし、複雑な処理に対応したディープラーニングを利用します。

学習方法

機械学習は主に以下のように分類されます。あらかじめ問題(データ)とその答えを与え学習させていく「教師あり学習」、問題(データ)のみを与え、その答えは与えずに学習させていく「教師なし学習」、囲碁AIなど正確な正解がない時に、どの行動が「最適」か選択するように学習させていく「強化学習」の3種類です。

幾多もの層を用いて出力の中間層を増やし、ニューラルネットワークを用いて学習するディープラーニングは、教師なし学習に分類されます。

ディープラーニングで可能になったこととは?


ディープラーニングは、大量のデータを効率的に処理できる点で期待されている機械学習方法です。ディープラーニングで可能になったこと、または技術を用いた具体的な活用例について、今から紹介していきます。

画像の認識

ディープラーニングでは、大量のデータから特徴を自動的に取り出し、画像の特徴を捉えて「何が写っているか」を判定する画像の認識ができるようになりました。画像認識技術は製造業や医療分野などをはじめ、さまざまな分野で導入が進んでいます。

音声認識・合成

コンピューターによって音声をテキストデータに変換、識別する音声認識・合成技術もディープラーニングによるものです。ディープラーニングによる音声認識によって、人の声に対してコンピューターが応答、または声によって人を識別できるようになりました。具体的な活用事例では、スマートスピーカーや会議の議事録の自動作成があげられます。

テキスト処理・翻訳

テキスト処理、翻訳には、人間の話し言葉や会話をコンピューターが理解する自然言語処理の技術が活用されています。ディープラーニングは精度の高い自然言語処理ができるため、状況に合わせた提案や作業が可能になりました。主な活用事例では、文字起こしの自動化、外国語の会話の自動翻訳などに利用されています。

レコメンデーション・異常探知

顧客の好みを分析するレコメンデーションや、問題やトラブルの兆候を見つけ出す異常探知にもディープラーニングの技術が用いられています。異常検知の技術は、自動車の自動運転、道路状況の把握や一時停止などに活用され、レコメンデーションの技術は、閲覧履歴より表示を行うWeb広告の技術に活用されています。

できないこともある!ディープラーニングの欠点

ディープラーニングでは、人間が想定できないような解答を出すことはできません。AIを活用してどんなに膨大なデータを用いて分析したところで、人間のような例外への対処やイノベーション力は創造不可能です。また、前提となる知識の統合、因果関係の区別などもできません。

ディープラーニング5つの手法とは?


ディープラーニングには5つの手法(アルゴリズム)があり、それぞれ特徴が異なるので目的に合わせて使い分ける必要があります。それぞれの手法について、具体的に解説していきます。

DNN(ディープニューラルネットワーク)の場合

DNNはディープラーニング活用における基礎となる技術であり、「隠れ層」を増やして合計4層以上の多層ネットワークを供えているのが特徴です。隠れ層の部分を2層以上に増やすことにより、ニューラルネットワークの弱点であった汎用性の低さを補い、より幅広いディープラーニングの可能性を広げることに貢献しました。医用画像処理のような繊細なタスクなどに活用されています。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)の場合

CNN(畳み込みネットワーク) は、画像認識に適した手法です。複数の層を通じて対象となるデータの特徴を各層で別個に処理し、特徴量を決定づけるというプロセスで分析を進めていきます。CNNでは画像から 「特徴」を抽出することを「畳み込み」と呼びます。現在では税関、スマホのロック画面など、あらゆる場面においてCNNの画像認識技術が活用されています。

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)の場合

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)は、時系列データを扱う際に用いられることの多いディープラーニングの手法となりで、主にデータの大きさなどが定まっていない可変長な時系列データを扱います。過去のデータをパターン化する能力が肝になっており、どのタイミング、またら条件で数値が変動しているかを分析した上で予測を立てるため、高い確度の未来予測が可能です。

RNNは一般的に数値化されづらい分野にも応用して活用することができ、自然言語翻訳や音声認識の分野などにも活用されています。

LSTM(長・短期記憶)の場合

LSTM(長・短期記憶)はRNNの欠点を解消し、長期の時系列データを学習することができる強力なモデルとなります。これまでのRNNでは長い系列データを学習させると勾配消失が発生し上手く学習できないため、短時間のデータしか処理できないというデメリットがありました。LSTMは、RNNでは対応しきれなかった長いデータを確実に読み込めるよう設計されるのでこのデメリットが解消されています。

LSTMの技術は、主に自然言語分野での処理などに活用されています。

GAN(敵対的生成ネットワーク)の場合

GANとは、2つのネットワーク構成「ジェネレータ(生成)」と「ディスクリミネータ(識別)」を組み合わせた手法です。GANは、教師なし機械学習のひとつである「敵対的生成ネットワーク」と呼ばれるニューラルネットワークの一つとなります。通常のディープラーニングであれば、ニューラルネットワークは一つと定まっていますが、GANは二つのネットワークを競わせることでアウトプットを行います。

GANは実在しない画像の生成、正解となるデータを参考にしながら、それに近い思われるデータの生成が可能で、ゲームの新キャラクターの作成などに技術が用いられています。

ディープラーニングのビジネス導入フェーズとは?


AIを活用したシステム、またはディープラーニングを導入する場合、そのプロセスは主に以下の4つのフェーズに分けられます。それぞれのフェーズについて、何をすべきかを解説していきます。

第1フェーズ:構想

AIの技術に導入する際には、導入を検討しているAIが本当に課題解決につながるのか、さらに課題の中でもどの分野をAIによって解決するのか、その構想は実現可能なのかなどビジネスとAIの双方の観点から検討を行い、自社の課題を明確にしていく必要があります。さらにその課題解決に向けて、どのようなAIモデルを用いれば良いかを構想していきます。

第2フェーズ:PoC

PoC(Proof of Concept)は「コンセプト(構想)の証明」という意味で、構想フェーズで想定したAIが技術的に実現可能かどうかを検証します。

戦略の仮説やコンセプトを実際のデータを使いてAIの仮モデルとなるモックアップを構築しつつ、ディープラーニングに必要なデータの量と質の確保は可能か、費用対効果に合った効果が出せるか、ミスが起きた時にオペレーションは上手く回るかなどの要素を検証した上で、プロジェクトに資金を投資するかどうかの判断を行います。

第3フェーズ:実装

PoCフェーズで実現性が確認できたら、次はモックアップの最終モデルをテストしていきます。完成後には問題なく動作できるかなどのテストを行い、ビジネス上の実務オペレーションも踏まえた稼働につなげていきます。

第4フェーズ:運用

実装フェーズがおわったら、実際に実務で運用していきます。システムが安定して稼働するための保守、または目標達成状況の確認を随時行い、PDCAサイクルを回していきます。

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まとめ

ディープラーニングは通常の機械学習とは異なり、ニューラルネットワークを採用したことでより高いレベルの学習能力を獲得しています。しかし、ディープラーニングにはさまざまな運用、アプローチ方法があるため、使いこなすにはAIの知識が必要不可欠となります。

TRYETINGが提供しているプラットフォームサービスUMWELTであれば、AIの知識がなくても簡単に利用できるようにシステムが構築されているため、知識がなくてもAI、ディープラーニングの導入を検討したい方にオススメです。UMWELTのサービスでAI、ディープラーニングを導入して業務の効率化や課題解決に役立てていきましょう。

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