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AIが実現した画像認識とは?活用事例や導入手順を解説

 

人間の知覚や知性をソフトウェア化して人工的に再現する技術であるAIが今、さまざまな領域で活用され始めています。中でもとりわけビジネス領域での活用が目立つのが、AIによる画像認識分野です。近年のディープラーニングの進化に伴い精度が大きく向上するなど、日進月歩で技術革新が進んでいます。

ただそうは言っても、AIによる画像認識はまだまだ馴染みのない技術であり、導入に二の足を踏んでおられる企業も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事ではAIが実現した画像認識の仕組みや種類、活用事例にはじまり、導入手順や今後の課題までを一気に解説していきます。皆様のAI活用の一助としていただければ幸いです。

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AIによる画像認識技術とは?


AIによる画像認識技術は、近年飛躍的に性能が向上したことで、さまざまな分野での活用が進んでいます。どのような技術なのでしょうか。

画像認識で物体の特徴を特定

画像認識とは、画面上に何が映っているのかをコンピューターや機械などが識別する技術を指します。

これまで、コンピューターや機械でこのような認識過程を緻密に再現するのは難しいとされてきました。

しかし、AIのパターン認識と機械学習を組み合わせることにより、画像に映し出された対象物の色や形などの特徴を把握し、そのうえで蓄積されたデータから対象物が人の顔であると特定することが可能になりました。

これまでの画像認識の歩み

コンピューターを使った画像認識は、1960年代にはすでに本格化していました。しかし、当初は先端分野における限られた業務での活用にとどまり、技術不足から研究が頭打ちになる状態が長く続きます。

2000年代に入り、計算機やデジタル機器の進化に伴うデータの高速処理化や急速なインターネットの普及により、画像認識研究は長足の進歩を遂げます。デジタルカメラの顔認識機能やインターネットを使った画像検索の浸透は、その代表例と言えるでしょう。

そして、この第三次AIブームと呼ばれる動きを決定的なものにしたのが、AIの機械学習手法の1つである「ディープラーニング」の登場です。近年のサーバーの高性能化によりビッグデータが容易に入手できるようになったこともあり、画像認識における精度の高さや処理スピードは人間を凌ぐレベルに到達しつつあります。

AIが画像認識を実行する仕組み


では、AIによる画像認識はどのようにして行われるのでしょうか。ここでは、AIが実行する画像認識の仕組みを解説していきます。

AIによる画像認識の仕組み

AIは我々人間とは異なり、画像データをピクセル情報の集合体として把握します。そのため、画像認識、すなわち「画像に何が映っているのか」を知るためには、まずは明るさや大きさがまちまちである情報の中から対象物を抽出しなければなりません。実際の抽出は、以下の4つの処理により進めていきます。

1.画像のノイズや歪みの除去
2.明るさや色合いの調整
3.オブジェクトの輪郭の強調
4.オブジェクトの領域の切り出し

このようにして対象物を抽出できたら、次に画像認識に進みます。次章では、これまでの機械学習に代わり登場してきた、ディープラーニングを活用した画像認識について解説していきます。

ディープラーニングとは?

ディープラーニングとは、人の脳の神経回路の仕組みを模したニューラルネットワークの多層化により、表現や学習する能力の向上が図られた機械学習の手法の1つです。

日本語では「深層学習」と訳されますが、これは多層に結合されたニューラルネットワークをディープニューラルネットワーク、すなわち「層が深い」と表現することに由来します。

ディープラーニングを使って大量のデータをコンピューターに学習させることで、従来の機械学習のように画像データの特徴を人の手により細かく定義する必要がなくなりました。そして、人間が脳で判断するのと変わらない次元での画像や音声の識別・特定・規則性の把握などを自動化できます。

そのため、識別が難しい画像認識など、より複雑な情報処理が求められるケースに対しても、精度の高い分析や活用ができるようになりました。

AIによる画像認識の種類


AIによる画像認識とひと口に言っても実際にはさまざまな種類の技術があり、多様な分野で応用して使われています。ここでは、代表的な画像認識の種類を5つご紹介していきます。

物体検知

画像内にある特定の物を見つけ出す技術です。一般的な画像認識があくまで対象物の存在を認識するに留まるのとは異なり、捉えたいものを積極的に探し出して検出する点に大きな特徴があります。

AIによる物体検知は、後述するように、近年大きな期待を集めている自動運転でも欠かせない役割を果たしています。

異常検知

画像認識の技術は、製造業の現場における異常の検知や不良品の検出にも活用が増えています。

AIにライン生産している製品の正常な状態と異常な状態をそれぞれ大量に読み込ませて、共通点や相違点をパターン学習させます。撮影された画像から製品の異常や損傷箇所、不良品を正確かつ迅速に検出できるようになったことで、検品作業の効率化と品質向上の両方が可能となりました。

顔認識

顔認識技術を実用化した生体認証である顔認証は、読み込んだ顔画像の大きさや輪郭、目・鼻・口などの特徴や位置などを抽出して照合を行う仕組みです。事前にデータベースに生体情報である顔写真とクレジットカード情報などを紐付けておき、照合時に本人であるか否かの判定を行います。

顔認証は暗証番号のように盗まれる心配がなく、偽造も難しいことから、高度のセキュリティレベルを実現できる点がメリットです。

文字認識

手書きあるいは印刷された文字を識別する技術です。郵便局の仕分けで活躍している、文字データをテキストデータに変換するOCR(光学的文字認識)もその1つです。文字のゆらぎが少なくない手書きの文字についても、画像として認識したうえで正確に識別できます。

比較的古くから研究が進められてきた文字認識ですが、最近ではAI翻訳ツールなどの周辺技術と組み合わされることで活用範囲が拡がるなど、将来性が期待される技術でもあります。

画像生成

質・量ともに十分なデータを学習させて、新しい画像を生成する技術も実現しています。GAN(敵対的生成ネットワーク)がその1つで、学習したデータの特徴を基に既存データを変換したり、実在しないデータを生成したりといったことをたやすく実行します。

柔軟なアーキテクチャを持つGANは現在飛躍的に研究が進められており、アイデア次第で今後さまざまな分野に広く応用できる可能性を秘めています。

しかし、一方では「ディープフェイク」として悪用されるリスクもまた多分にあるため、モラルの醸成や法整備などの必要性についても十分留意しておくことが大切です。

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AIによる画像認識の活用事例


AI技術の目覚ましい進化に伴い、AIを使った画像認識は現在、さまざまな分野での実用化が進んでいます。ここでは、AIによる画像認識の活用事例を8つご紹介していきます。

自動運転技術

高齢ドライバーによる事故が頻発していることもあり、現在最も実用化が期待されるAI技術の1つと言えるでしょう。実用化に向けては、物体検知・動体検知技術の更なるレベルアップを図り、刻々と変わる車外環境への対応精度を向上させることが課題です。

そして、この課題を克服するために、複数台のカメラ情報を1つに集約してハードウェアの効率性を高めたり、画像認識の精緻化を可能にする領域分割システムを導入したりといった技術の開発が進んでいます。人による運転操作を想定しない自動運転レベル4の実現がまもなく現実のものとなるかもしれません。

小売業でのマーケティング

活用事例としては、来店客の行動を分析してマーケティングに活かす取り組みが挙げられます。店内に設置された複数のネットワークカメラにより客の性別や推定年齢、移動動線を把握して分析を加えることにより、商品ラインナップの拡充や陳列レイアウトの見直しなどの改善策を講じるといった使い方ができます。顧客体験が向上するだけでなく、店内作業を効率化できるため、売上アップが見込めるようになります。

空港での顔認証

現在わが国では、主要な空港においてAIによる顔認証システムを導入して、出入国手続きの効率化を図っています。従来のスタッフによる手続きでは、顔写真との見比べや押印に時間がかかり、長蛇の列ができることも珍しくありませんでした。

顔認証ゲートのカメラで撮影された顔の画像を、IC旅券の顔の画像と照合するシステムを活用することで手続きにかかる時間を短縮できます。その結果、入国審査官が外国人の審査業務に注力できる態勢が整いつつあります。

製造業の不良品検知

製品の質を保つうえで欠かせない業務である不良品検知は、従来の目視による作業では担当者にかかる負担が小さくありませんでした。そして、これまでにも不良品を弾くための画像検知システム自体はありましたが、ルールベース型であったためカバーできる業務が限定される点が課題でした。

一方、画像認識AIの異常検知技術を活用したAI型のシステムであれば対応できる製品の範囲が拡がるだけでなく、学習効果により異常をいち早く検知することも可能になります。大量の教師データを集める必要はあるものの、作業負担の軽減やヒューマンエラーの削減、そしてこれまで熟練者に限られていたノウハウの継承を可能にするものとしての役割が期待されています。

医療の画像診断

医師が患者のX線CT画像から癌の有無を推測するように、これまでの多くの診断データを学習したAIを活用して、画像から病気の存否を診断する手法です。診断の精度を上げるためには、大量のビックデータを集めると同時に、医師によって学ばせていくことが欠かせません。

現在のAIによる画像診断技術では、医師の診断支援や診断の質向上、検査・診断業務の効率化などが中心となります。しかし、将来的には読み込んだ画像から病気が発症するリスクや悪化の可能性が予測できるようになると期待されています。

インフラの劣化点検

企業にとって、インフラ設備の経年劣化への的確な対応は欠かせない管理業務です。
ある大手のインフラ企業では、目視で行なっていた劣化箇所の検出作業にディープラーニングによる画像認識アルゴリズムを活用したAIを導入して、工数削減による効率化と作業にかかる負担の軽減を実現しています。

ドローンでの農薬散布

画像認識AIを搭載したドローンを活用して、農薬散布を効率化する取り組みも始められています。AIにより虫や虫に食われた葉の位置を特定することで、必要な箇所に必要な量の農薬をピンポイントで散布できるようになります。

農薬や散布にかかる人手の削減によるコスト節減だけでなく、需要が高まる“低農薬“農産物としての付加価値の創出などのプラスの効果も生んでいます。

警備システム

工事現場での交通誘導などの警備業務に、画像認識AIを活用した警備システムを導入する例もあります。工事で片側交互通行になった道路の脇道にカメラを設置し、検知した車や通行人などの情報を警備員に無線で伝えれば、目視で死角を補うことが可能です。

人手不足に悩みがちな警備会社の助けになることはもちろん、事故を未然に防げる効果も期待されています。

画像認識の導入手順とAIの課題


さまざまな機能があり、多くの現場で活用が進む画像認識AIですが、実際にはどのように導入していったらよいのでしょうか。また、今後見込まれる課題や企業側に求められることを押さえておくことも大切になってくるでしょう。以下、順に解説していきます。

導入手順

画像認識AIの導入は、以下の3つのプロセスに分けて進めていくのがおすすめです。

1.導入目的と目的達成に必要となるAIの精度を設定する
2.取得データを基にモデルを構築する
3.定期的なモデルの見直しと再学習により精度を高める

画像認識AI は今まさに発展途上にある技術であるため、自社で一から開発できる企業はまだまだそう多くはないでしょう。しかし、AIを使って何をしたいのかが定まっていないと、開発すべきAIの形が決められません。そのため、導入目的に関しては外注先に丸投げせずに、あらかじめ自社できちんと決めておくことが大切です。

AIの課題

画像認識AIの活用により、これまで人手を要していた多くの作業を自動化できるため、業務効率化や人手不足解消などのメリットが得られることは間違いありません。しかし、同時に新たな課題が生まれていることもまた事実です。

まず、画像認識に関する製品の数や情報が増加したことで、自社にふさわしい製品であるかの見極めが難しくなっています。また、AIの多くがパッケージで提供されるため、最適化のためのカスタマイズやチューニングに手間がかかり、結果的にコストが高くなります。

さらに、AIを自在に活用するための知識・スキルを備えた人材やハードウェアを社内で確保することは一般に難しいため、トライアルアンドエラーによるイノベーションが起こりにくいことも挙げられるでしょう。

今後企業側に求められること

画像認識AIに関する技術は、今後より一層の市場の拡大が期待されています。機械学習やディープラーニングの研究・応用はもとより、それを支えるデータ処理やシステム開発の知見を備えた専門家の価値は今後ますます高まること必至です。そのため、厳しい競争環境にある企業が生き残るためには、何よりもまずAIの活用に長けた人材を社内で育成する視点を保ち続けることが大切になってくるでしょう。

他方では、技術の進歩に伴う負の側面について目を配っておくことも忘れてはならないでしょう。ディープフェイクなどの技術の悪用について、企業はAIの活用に関してもコンプライアンスの遵守はもちろん、社会的規範やモラルの枠内で社会にポジティブな価値を創造していく姿勢が求められています。

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まとめ


AIによる画像認識技術は、近年目覚ましい進化を遂げていることもあり、さまざまな分野で急速に活用範囲を拡げています。しかし、導入効果の最大化に向けては、自社にふさわしい種類のAIを見極め、適切に運用していく姿勢が欠かせません。

そして、AIの有用性を認めつつ、新しい技術ゆえどこから手をつけていけばよいのかわからないという方には、UMWELTの導入をおすすめします。クラウドを活用して最適なシステムとアルゴリズムを選び出せるため、AI画像認識技術によって多種多様な業務の効率化とコスト削減を図りたい企業様のニーズに的確にお応えいたします。

また、サーバーレスで導入できることから、煩わしくコストがかかる社内調整を最小限に抑えつつ、既存システムの多くを簡単にAI化できるメリットも期待できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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