シフト表をExcelで作成する方法｜業務をより効率化するコツも紹介

Excelでのシフト表作成に悩んでいませんか？本記事では、ダウンロードしてすぐ使える無料テンプレートをご紹介。さらに、初心者向けの基本的な作り方から、出勤日数や労働時間を自動計算する関数活用術まで、ステップバイステップで解説します。Excel管理の限界と、より効率的なシフト管理ツールも紹介するため、この記事を読めば、あなたのレベルや目的に合った最適なシフト管理方法が見つかります。

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1. まずは無料テンプレートから！シフト表作成を時短するおすすめサイト

「Excelでシフト表を自作するのは難しそう」「まずは手軽にシフト表を作成してみたい」という方は、Web上で無料配布されているテンプレートの活用がおすすめです。関数や複雑な設定があらかじめ組み込まれているため、日付やスタッフ名を入力するだけで、すぐに見やすいシフト表が完成します。 ゼロから作成する手間を大幅に削減できるので、シフト作成の時間を短縮したい方に最適です。 ここでは、業種別や汎用性の高いおすすめのテンプレート配布サイトをご紹介します。

1.1 【業種別】飲食店・小売店向けテンプレート

お客様の来店が多い時間帯や曜日、セール期間などで必要人数が変動する飲食店や小売店では、時間帯ごとの人員配置やポジション（ホール、キッチンなど）を細かく管理できるシフト表が求められます。 開始時刻と終了時刻を入力するだけで、ガントチャート形式で勤務時間が自動的に表示されたり、時間帯ごとの出勤人数を自動で集計したりする機能があると非常に便利です。

1.1.1 おすすめのテンプレートサイト

1.2 【業種別】介護・医療現場向けテンプレート

24時間体制でスタッフの配置が必要な介護施設や医療現場では、「日勤」「夜勤」「早番」「遅番」といった複雑な勤務形態に対応できるシフト表が不可欠です。スタッフの資格や経験を考慮した人員配置基準を満たす必要があるため、スタッフごとの勤務回数や休日数を自動で集計する機能が役立ちます。

1.2.1 おすすめのテンプレートサイト

1.3 シンプルで使いやすい汎用テンプレート

「まずは基本的な機能から試したい」「自社の運用に合わせて自由にカスタマイズしたい」という場合には、特定の業種に特化していないシンプルな汎用テンプレートが最適です。 月間、週間、1日単位など、管理したい期間に合わせて選ぶことができ、どんな職場でも柔軟に活用できます。

1.3.1 おすすめのテンプレートサイト

2. Excelでシフト表を自作する基本手順【初心者向け】

Webサイトで配布されているテンプレートは便利ですが、必ずしも自社の運用に最適とは限りません。Excelの基本的な操作と関数を理解すれば、初心者でも自社にぴったりのシフト表を一から作成できます。一度フォーマットを作ってしまえば、翌月以降は簡単な入力だけで済むため、長期的に見て業務効率化につながります。ここでは、Excelでシフト表を自作するための基本的な手順を4つのステップに分けて詳しく解説します。

2.1 シフト表のレイアウトを決める

まず最初に行うべきことは、シフト表の設計図であるレイアウトを決めることです。どのような情報を、どのように配置するかを事前に固めておくことで、後の作業がスムーズに進みます。

2.1.1 必要な項目を洗い出す

シフト表に必要な項目は、業種や管理したい内容によって異なります。まずは、自社のシフト管理に必須の項目と、あると便利な項目をすべてリストアップしましょう。一般的に、以下のような項目が必要となります。

2.1.2 月間・週間・タイムシフト形式を選ぶ

洗い出した項目を基に、シフト表の形式を決めます。シフト表には主に「月間」「週間」「タイムシフト」の3つの形式があり、それぞれに特徴があります。自社の働き方や管理のしやすさに合わせて最適な形式を選びましょう。

この記事では、最も汎用性の高い「月間シフト」を例に、具体的な作成手順を解説していきます。

2.2 日付と曜日を自動で入力する

レイアウトが決まったら、実際にExcelシートを作成していきます。まずはシフト表の基本となる日付と曜日を入力しますが、これを自動化することで、毎月の更新作業が格段に楽になります。

2.2.1 DATE関数とWEEKDAY関数の使い方

手作業で日付を入力すると、翌月のシフト表を作成する際にまた一から入力し直す必要があり、間違いの原因にもなります。関数を使えば、年と月を指定するだけで自動的に日付と曜日が反映されるようになります。

手順は以下の通りです。

1. 年と月を入力するセルを用意する。
   例：A1に「年」、B1に「月」と見出しを作り、A2に2025、B2に10のように入力します。
2. 1日の日付をDATE関数で表示する。
   シフト表の最初の日付セル（例：C4）に、=DATE(A2,B2,1) と入力します。これで指定した年・月の「1日」が表示されます。
3. 2日以降の日付を自動入力する。
   翌日のセル（例：D4）に、=C4+1 と入力し、月末までオートフィルでコピーします。
4. 曜日を表示する。
   日付の下の行（例：C5）に =C4 と入力し、月末までコピー。選択範囲のセルの表示形式を「ユーザー定義」で aaa（例：水）や aaaa（例：水曜日）に設定します。

2.2.2 土日・祝日に自動で色を付ける方法（条件付き書式）

WEEKDAY関数と条件付き書式を組み合わせることで、土日を自動で色付けできます。これにより、休日が視覚的に分かりやすくなり、シフト作成時のミスを防ぐことができます。

◆ 土日の色付け

WEEKDAY関数を使うことで、曜日を数値（1〜7）として判定できるため、条件付き書式と組み合わせて自動的に色を付けることが可能です。以下の手順で設定します。

1. 範囲を選択する。
   日付・曜日・シフト入力欄を含めた範囲（例：C4〜AG10）を選択します。
2. 条件付き書式を開く。
   「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」を選択します。
3. ルールの種類を選ぶ。
   「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択します。
4. 土曜日の式を設定。
   数式欄に =WEEKDAY(C$4,2)=6 を入力し、塗りつぶし色（例：青）を設定します。
   ※ 列は相対参照、行は絶対参照（C$4）にするのがポイント。
5. 日曜日の式を設定。
   同様に新しいルールで =WEEKDAY(C$4,2)=7 を設定し、別の色（例：赤）を指定します。
6. 適用を確認。
   OKを押して、土日が自動で色分けされることを確認します。

◆ 祝日の色付け

祝日を自動で色付けする場合は、COUNTIF関数を使って「祝日リスト」に登録された日付と照合します。これにより、祝日が含まれるセルだけに自動で色が付きます。

1. 祝日リストを用意する。
   別シート等にその年の祝日一覧を作成し、範囲名を「祝日リスト」として定義します。
2. 条件付き書式を追加。
   同じ選択範囲に対して「新しいルール」→「数式を使用…」を選びます。
3. 式を設定する。
   数式欄に =COUNTIF(祝日リスト,C$4)=1 を入力し、任意の色を設定します。
4. ルール順序を調整。
   祝日ルールが日曜ルールより優先されるように並び替えます（祝日と日曜が重なった場合は祝日色を優先）。

これらの設定により、Excelシートを更新するたびに自動的に土日祝が色分けされ、シフトの視認性が向上します。

3. Excel関数を活用してシフト表をレベルアップさせる方法

Excelの基本的な操作に慣れてきたら、次に関数を活用してシフト表をより機能的で管理しやすいものへとレベルアップさせましょう。関数を使えば、これまで手作業で行っていた計算や集計作業を自動化でき、シフト作成の大幅な時間短縮とミス削減につながります。ここでは、シフト表作成で特に役立つ代表的な関数とその活用方法を具体的に解説します。

これらの関数を組み合わせて使用することで、手作業では時間がかかっていた集計や確認作業を自動化でき、正確なシフト管理が可能になります。

3.1 出勤日数や労働時間を自動計算する【COUNTA・SUM】

各スタッフの出勤日数や総労働時間を手で数えて計算するのは、時間がかかるだけでなく、数え間違いのリスクも伴います。COUNTA関数とSUM関数を使えば、これらの集計作業を自動化し、正確かつ迅速に数値を把握できます。

3.1.1 スタッフごとの出勤日数を自動でカウントする

COUNTA関数は、指定した範囲内で空白ではないセルの個数を数える関数です。 シフト表に「早番」「遅番」「休み」などの文字列が入力されていれば、出勤した日数（「休み」以外のセルの数）を簡単に集計できます。

例えば、あるスタッフの1ヶ月のシフトがC列からAG列まで入力されている場合、出勤日数を表示したいセルに「=COUNTA(C5:AG5)」のように入力します。 これで、そのスタッフの月間出勤日数が自動的に計算されます。

3.1.2 月間の総労働時間を自動で合計する

SUM関数は、指定した範囲内の数値を合計する最も基本的な関数です。 各日の労働時間を入力しておけば、SUM関数で月間の総労働時間を簡単に算出できます。

個人の総労働時間を計算したいセルに「=SUM(C32:AG32)」のように、労働時間が入力されている範囲を指定します。これにより、労働基準法で定められた労働時間の上限を超えていないかなどを簡単に確認できます。

さらに応用として、SUMIF関数を使えば、「早番」や「遅番」といった特定のシフトのみの労働時間を合計することも可能です。これにより、時間帯ごとの人件費計算など、より詳細な分析が容易になります。

3.2 日別・時間帯別の必要人数を自動集計する【COUNTIF】

「この日は何人出勤しているか」「特定の時間帯に人員は足りているか」といった人数の管理は、シフト作成において非常に重要です。COUNTIF関数を活用すれば、条件に一致するセルの数を数えることができるため、日別や時間帯別の出勤人数を簡単に可視化できます。

3.2.1 その日の出勤人数を自動で把握する

COUNTIF関数は、指定した範囲の中から検索条件に一致するセルの個数を数える関数です。 例えば、1日のシフトが入力されているC5からC15の範囲で、「早番」の人数を数えたい場合、人数を表示したいセルに「=COUNTIF(C5:C15,”早番”)」と入力します。 同様に「遅番」や「日勤」の人数もそれぞれ計算できます。

これらの時間帯別人数をSUM関数で合計すれば、その日の総出勤人数も自動で算出できます。 これにより、曜日やイベントごとに必要な人員が確保できているかを一目で確認できるようになります。

3.3 スタッフの希望休を管理しやすくする

スタッフから提出される希望休をシフトに反映させる作業は、管理者の頭を悩ませる業務の一つです。関数やExcelの機能を組み合わせることで、希望休の管理を効率化し、転記ミスや見落としを防ぐことができます。

3.3.1 入力規則で表記のゆれを防ぐ

スタッフに直接Excelファイルへ希望を入力してもらう場合、「休み」「休」「希望休」など、人によって入力する文字が異なると、後で正確に集計できません。そこで「データの入力規則」機能が役立ちます。希望休を入力するセル範囲を選択し、入力値を「リスト」に設定して、「出勤可」「希望休」などの選択肢を用意します。これにより、決められた文言しか入力できなくなり、表記のゆれを防ぎ、後の集計作業がスムーズになります。

3.3.2 希望休の日数を自動でカウントする

希望休の日数を管理するために、COUNTIF関数が再び活躍します。各スタッフのシフト入力範囲に対して、条件を「希望休」としてCOUNTIF関数を適用すれば、誰が何日希望休を申請しているかを自動で集計できます。これにより、希望休の日数上限などのルールを設けている場合に管理がしやすくなります。

3.3.3 希望と確定シフトの差異を可視化する

「条件付き書式」と関数を組み合わせることで、希望休が通らなかった日を自動で色付けし、スタッフへの配慮や再調整が必要な箇所を視覚的に把握できます。例えば、IF関数とCOUNTIF関数を使い、「希望休と入力されているセルに、勤務シフト（”早番”など）が入力された場合」という条件を設定し、その場合にセルの色が変わるように設定します。これにより、シフト調整の精度を高めることができます。

4. Excelでシフト表を作成・管理するメリット

多くの企業で、シフト表の作成や管理にMicrosoft Excelが利用されています。専用のシフト管理ツールも存在する中で、なぜExcelが選ばれ続けるのでしょうか。そこには、Excelならではの導入しやすさや、汎用性の高さといったメリットが存在します。ここでは、Excelでシフト表を管理する具体的な利点について詳しく解説します。

4.1 コストをかけずに始められる

Excelでシフト管理を行う最大のメリットの一つは、追加の導入コストがほとんどかからない点です。 多くのオフィスでは、PCにMicrosoft Officeが標準でインストールされており、日常業務ですでにExcelを利用しているケースがほとんどでしょう。 そのため、シフト管理のために新たな専用ソフトを購入する必要がなく、初期費用をゼロに抑えることが可能です。 専用ツールの場合、初期費用や月額のランニングコストが発生しますが、Excelであればそれらの費用を心配することなくシフト管理を始められます。

4.2 自由なカスタマイズが可能

Excelは非常に自由度が高く、自社の運用ルールや業態に合わせて柔軟にシフト表をカスタマイズできる点が大きな強みです。 テンプレートを基に独自の項目を追加したり、関数やマクロを用いて高度な自動化を図ったりと、様々な工夫を凝らすことができます。

4.2.1 テンプレートの活用と独自の改良

インターネット上には、無料で利用できるシフト表のテンプレートが豊富に公開されています。 飲食店向け、介護業界向けなど、特定の業種に特化したものも多く、自社に合ったものをダウンロードしてすぐに使い始めることができます。 さらに、ダウンロードしたテンプレートをベースにして、従業員名の欄を増やしたり、休憩時間の項目を追加したりと、自社の運用に合わせて自由に改良することも容易です。

4.2.2 関数やマクロ（VBA）による高度な自動化

Excelの関数を活用すれば、単なる勤務表に留まらない、機能的なシフト表を作成できます。 例えば、COUNTA関数で各スタッフの出勤日数を自動計算したり、SUMIF関数で特定のスタッフの総労働時間を集計したりすることが可能です。さらに、条件付き書式機能を使えば、「土日はセルを色付けする」「特定の勤務時間帯をハイライトする」といった設定も自動で行え、視覚的に分かりやすいシフト表が作れます。 VBA（Visual Basic for Applications）というプログラミング言語を使えば、さらに高度な自動化も実現でき、ボタン一つで複雑なシフト計算を行うといったカスタマイズも可能です。

4.3 多くの人が使い慣れている

Excelは、ビジネスシーンで最も広く使われている表計算ソフトの一つであり、多くの人が基本的な操作に慣れています。 この「使い慣れている」という点は、新しいツールを導入する際の手間や時間を大幅に削減できるというメリットにつながります。

4.3.1 学習コストの低さと導入のスムーズさ

新しい専用ツールを導入する場合、操作方法を覚えるための研修やマニュアルの読み込みが必要になり、従業員にとって負担となることがあります。しかし、多くの人が操作に慣れているExcelであれば、特別な研修を行う必要がなく、導入に関する学習コストを大幅に低減できます。これにより、シフト作成の担当者が変わった際の引き継ぎもスムーズに行えるでしょう。

4.3.2 情報の探しやすさとトラブル解決の容易さ

Excelは利用者が非常に多いため、操作方法や関数の使い方、エラーが出た際の対処法といった情報が、書籍やインターネット上で簡単に見つかります。 「こんな計算を自動化したい」「もっと見やすいレイアウトにしたい」といった要望が出てきた場合でも、検索すれば多くの解決策やヒントを得ることができます。この情報の豊富さが、トラブル発生時の迅速な解決や、継続的な業務改善を後押しします。

5. 要注意！Excelでのシフト管理に潜むデメリットと限界

Excelは多くの企業で導入されており、追加コストなしでシフト表を作成できる非常に便利なツールです。しかし、その手軽さの一方で、事業の規模や従業員数によっては管理が複雑化し、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。ここでは、Excelでのシフト管理に潜むデメリットと限界について詳しく解説します。

5.1 作成・調整に時間がかかる

Excelでのシフト作成は、一から作る場合でもテンプレートを利用する場合でも、手作業による調整が多くの時間を占めます。特に、従業員数が多くなるほど、その負担は増大します。

◆ 時間がかかる主な要因

1. 希望シフトの収集と転記：
   従業員から紙やメール、チャットなど、ばらばらの形式で提出される希望休や勤務希望時間をExcelシートに一つひとつ手で入力する作業は、時間がかかるだけでなく、転記ミスの原因にもなります。
2. 複雑な条件の反映：
   「AさんとBさんは一緒に勤務させない」「新人スタッフには必ずベテランを組み合わせる」といった人間関係やスキルレベルの組み合わせ、さらには法定労働時間や休憩時間、連続勤務日数といったコンプライアンス要件をすべて考慮しながらパズルのようにシフトを組む作業は、担当者に大きな負荷をかけます。
3. 急な変更への対応：
   スタッフの急な欠勤や早退が発生した場合、Excelでは代わりの人員を探したり、全体のシフトを再調整したりする作業が非常に煩雑になります。誰が代わりに入れるのかを瞬時に把握することが難しく、調整に手間取ってしまうケースが少なくありません。

このように、Excelでのシフト作成は柔軟に対応できる反面、作成・調整に多くの時間と労力がかかるという課題があります。従業員数やシフトパターンが増えるほど、業務負担は指数関数的に増加し、結果的に管理者の工数を圧迫してしまうのです。

5.2 人的ミス（ヒューマンエラー）が起こりやすい

手作業が多いExcelでのシフト管理は、どれだけ注意深く作業しても人的ミスを完全になくすことは困難です。小さなミスが、従業員の不満や給与計算の誤りといった大きな問題に発展するリスクを常に抱えています。

これらのミスは、シフト作成担当者の経験や注意深さに依存するため、安定した品質を保つのが難しいという課題があります。

5.3 ファイルの属人化と破損リスク

Excelファイルは手軽に扱える反面、管理方法が個人に依存しがちで、業務の属人化を招きやすいという大きなデメリットがあります。

5.3.1 ファイルの属人化

シフト作成担当者が独自にマクロを組んだり、複雑な関数を多用したりして精巧なシフト表ファイルを作成した場合、その担当者以外には仕組みが理解できず、修正やメンテナンスが困難になることがあります。その結果、担当者の異動や退職によってシフト作成業務が滞ってしまう「ブラックボックス化」のリスクが生じます。

5.3.2 ファイルの破損とバージョン管理の困難さ

Excelファイルは、誤操作による数式の削除や、原因不明のエラーによってファイル自体が破損し、開けなくなるリスクが常に伴います。また、複数人でファイルを共有・編集していると、「どれが最新版のファイルかわからない」「古い情報で上書きしてしまった」といったバージョン管理の問題も発生しがちです。これにより、最新のシフト情報が正しく共有されず、現場の混乱を招く原因となります。

5.4 スマホでの共有・編集がしにくい

現代の働き方において、スマートフォンでの情報共有は不可欠です。しかし、ExcelはもともとPCでの利用を前提として設計されているため、スマートフォンとの相性は良いとはいえません。

◆ スマートフォンでの運用における主な課題

1. 表示崩れと操作性の低さ：
   PCで作成した複雑なシフト表は、スマートフォンの小さな画面では表示が崩れてしまうことが多く、全体を把握するのが困難です。また、セルの選択や入力といった操作も行いにくく、誤操作が起こりやすくなります。
2. 機能制限：
   スマートフォン版のExcelアプリでは、PC版の一部機能（特にマクロや条件付き書式など）が利用できない場合があります。そのため、自動計算や書式設定が正しく反映されず、想定通りに動作しないことがあります。
3. リアルタイム性の欠如：
   Excelファイルをメールやチャットで共有する場合、修正のたびにファイルを再送する必要があり、従業員が常に最新のシフト情報を把握するのが難しくなります。更新がリアルタイムで反映されないため、古い情報をもとに行動してしまうリスクがあります。

このように、スマートフォンでのExcel利用は利便性に限界があり、特に多人数のシフト共有や頻繁な修正が必要な職場では、リアルタイム共有が可能な専用ツールの方が適しています。

6. Excelでのシフト作成に限界を感じたら？シフト管理ツールのススメ

Excelはコストをかけずにシフト表を作成できる便利なツールですが、スタッフの人数が増えたり、勤務体系が複雑になったりすると、管理に限界を感じることがあります。 作成に時間がかかりすぎる、人的ミスが頻発する、ファイルの属人化が進むといった課題は、多くの現場で聞かれる悩みです。 こうしたExcelの弱点を克服し、シフト管理業務を抜本的に効率化する解決策が「シフト管理ツール」の導入です。

6.1 シフト管理ツールでできること

シフト管理ツールは、Excelでは手作業になりがちだった多くのプロセスを自動化し、管理者の負担を大幅に軽減するために設計されています。 具体的にどのようなことが可能になるのか、その主な機能を見ていきましょう。

6.1.1 希望シフトの収集から作成までを自動化

シフト管理ツールを導入する最大のメリットの一つが、シフト作成プロセスの自動化です。 これまで紙やメール、チャットアプリなどで集めていたスタッフの希望シフトを、スマートフォンアプリやWebブラウザから直接提出してもらうことが可能になります。 提出された希望は自動でシステムに反映されるため、Excelへの転記作業は一切不要になり、入力ミスを防ぎます。

さらに、多くのツールにはAIによる自動作成機能が搭載されています。 「AさんとBさんは一緒のシフトにしない」「この時間帯には必ず有資格者を2名配置する」「月の労働時間は160時間以内」といった複雑な条件や法令、就業規則をあらかじめ設定しておけば、ボタン一つで公平性を保った最適なシフト案を自動で作成してくれます。 これにより、パズルのように組み合わせを考えていた作成時間を劇的に短縮できます。

6.1.2 複数拠点・大規模な人員にも対応

従業員数が数十人、数百人規模になったり、複数の店舗や拠点を管理したりする場合、Excelでの管理はファイルが重くなる、情報が分散するといった問題が生じがちです。クラウド型のシフト管理ツールなら、大人数のスタッフ情報を一元管理し、複数拠点のシフト状況を横断的に把握できます。

エリアマネージャーが各店舗の人員配置の過不足をリアルタイムで確認し、店舗間でヘルプの調整を行うといったこともスムーズになります。 企業全体としての人員配置を最適化し、生産性の向上につなげることが可能です。

6.1.3 勤怠管理や給与計算ソフトとの連携

多くのシフト管理ツールは、勤怠管理システムや給与計算ソフトとの連携機能を備えています。 シフト管理ツールで作成した勤務予定と、実際の打刻データを突合させて勤怠実績を管理したり、確定した勤怠データを給与計算ソフトにCSVファイルなどで簡単に出力したりできます。

これにより、月末の締め作業の際に手作業でデータを転記する必要がなくなり、計算ミスを防ぎ、経理・労務担当者の負担を大幅に削減します。 シフト計画から勤怠管理、給与計算までを一気通貫で効率化できるのは、専用ツールならではの大きなメリットです。

6.2 おすすめのシフト管理ツール紹介

現在、日本国内では様々な特徴を持ったシフト管理ツールが提供されています。ここでは、特に知名度が高く、多くの企業で導入されている代表的なツールをいくつか紹介します。

ここで紹介した以外にも、特定の業種に特化したツールや、さらに多機能なツールなど様々です。多くのツールでは無料トライアル期間が設けられているため、自社の課題や規模、予算に合ったツールを見つけるために、まずは実際に試してみることをおすすめします。

7. まとめ

本記事では、Excelでのシフト表作成方法を、無料テンプレートの活用から関数を使った自作、自動化のテクニックまで網羅的に解説しました。Excelはコストをかけずに始められ、多くの人が使い慣れているため手軽なシフト管理が可能です。しかし、従業員数が増えたり、シフトが複雑化したりすると、作成に時間がかかり人的ミスも起こりやすくなります。Excelでの管理に限界を感じた場合は、本記事で紹介したようなシフト管理ツールの導入も検討し、自社の規模や状況に最適な方法を選びましょう。