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事業系食品ロスの現状とは?取り組みのメリットや企業の事例を解説

 

何らかの理由で、食品メーカーやレストランが廃棄する食品を事業系食品ロスと呼びます。食品ロスは、地球環境に悪影響を及ぼしかねない重要な問題です。事業系食品ロスを削減するには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。

本記事では、事業系食品ロスの現状と対策、企業の取り組み事例を解説します。最後まで読んでいただければ、食品ロスへの理解が深まるでしょう。

事業系食品ロスとは


食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわらず、何らかの理由で廃棄することです。企業から出る場合と家庭から出る場合で呼び方が変わります。

ここでは、食品ロスの概要と、混同しやすいフードロスとの違いを解説します。

食品ロスは主に2種類

食品ロスは、事業系食品ロスと家庭系食品ロスに分けられます。

事業系食品ロスとは、食品製造業・食品卸売業・食品小売業・外食産業の事業活動に伴って発生する食品ロスです。家庭系食品ロスは、一般家庭から出る食品ロスを指します。

事業系食品ロスの発生量は、4つの業種の中でも食品製造業が最も多いです。

事業系食品ロスの現状

農林水産省と環境省の調査によると、2021年度推計値の食品ロス量は523万トンでした。内訳は、家庭系食品ロスが244万トン、事業系食品ロスが279万トンです。食品ロス量を国民1人当たりに換算すると、毎日茶わん1杯のご飯を捨てている量に相当します。

国民一人一人が家庭から出る食品ロス削減に取り組むことも大切ですが、食品ロスの半数以上を占める事業系食品ロスを削減しなければなりません。

フードロスとの違い

日本では、不可食部分を含む廃棄物を食品廃棄物と呼び、可食部分のみの廃棄物を食品ロスもしくはフードロスと呼んでいます。しかし、海外ではフードロスと食品廃棄物の意味が日本と異なるため注意が必要です。

食料が生産者から消費者に届くまで、あらゆる工程を通過する一連の流れをフードサプライチェーンと呼びます。フードロス(Food Loss)は、フードサプライチェーンの前半にある収穫・貯蔵・加工・製造・流通の過程で起こる廃棄を指します。

フードサプライチェーンの後半部分、小売業・外食産業・家庭から出る廃棄物が食品廃棄物(Food Waste)です。フードロスと食品廃棄物を合わせたものを食品ロス(Food Loss&Waste)と表します。

事業系食品ロスの原因


新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、イベント中止や飲食店の利用頻度減少を理由に多くの食品ロスが発生しました。事業系食品ロスの削減対策を立てる前に、食品ロスが起こる原因を知ることが大切です。ここでは、なぜ事業系食品ロスが起こるのかを解説します。

パッケージ

食品そのものに廃棄理由がなくとも、パッケージに原因があるために廃棄する場合があります。パッケージに汚れ・破損がある場合や重量・容量がパッケージ規格から外れている場合は廃棄の対象です。

また、パッケージへの印字は機械を利用しますが、期限表示・食品名などの印字ミスが発生する場合があります。2021年には、缶ビールの印字ミスを理由に廃棄寸前まで至ったケースもありました。

過剰生産・過剰調理

需要を上回る製品を確保すれば欠品を防げますが、納入できずに余った場合は廃棄するしかありません。

調理の際にも注意が必要です。野菜・果物の皮を厚くむき過ぎる、肉の脂身を取り除くなど、本来食べられる部分を利用せずに廃棄することで食品ロスが増えます。

売れ残りや食べ残し

飲食店で食べられる以上の量の料理を注文し、食べ切れなかった場合にも食べ残しが発生します。食べ残された料理は、廃棄せざるを得ません。また、料理の注文量を想定して仕込みをしたものの、注文がなく提供できなかった場合も廃棄します。

災害や天候の急な悪化を理由に客足が減ることも、食品ロスが増える原因です。

事業系食品ロスの削減に取り組むメリット


日常業務に追われ、食品ロス削減に取り組む余裕がない企業様もいるかもしれません。事業系食品ロスを削減するメリットは2つあります。これらのメリットを知ることで、企業が食品ロス削減に取り組まなければならない理由が分かるでしょう。

廃棄にかかるコストを削減できる

食品ロスが発生すると、廃棄コストがかかります。また、生産にかけたコストも無駄になります。

廃棄コスト・生産コストが共に膨れ上がると、企業にとって大きな負担となり、経営に悪影響を及ぼしかねません。食品ロスを削減することで、廃棄コスト・生産コストの削減につながります。

企業のイメージが向上する

食品ロス問題は、SDGsに大きく関係することから注目が集まり、認知度も高まっています。2021年度に消費者庁が行った調査によると、食品ロス問題について「知っている」と回答した人は80.9%に上りました。

食品ロス問題に取り組んでいることをアピールできれば、消費者からのイメージアップ、信頼獲得につながるでしょう。

事業系食品ロス削減のために企業ができること


どのような対策を取れば、事業系食品ロスを削減できるのでしょうか。ここからは「生産者」「製造工程」「卸・小売業」「外食産業」に分けて、それぞれの対策を紹介します。自社の事業形態が該当する場所をチェックし、取り組める対策を決めましょう。

生産者ができる対策

生産者ができる対策は、規格外品や余剰品の販売です。

農産物は味が規格品と変わらないにもかかわらず、商品ごとに決まった大きさ・形・色・重さなどの規格を満たしていない場合は廃棄します。規格外品が出ることを見込んで多めに生産すれば過剰供給となり、余剰品が発生するでしょう。

現状、規格外品や余剰品は廃棄していますが、まだ食べられる物が多く残っています。廃棄せずにECサイトや実店舗で販売すれば、食品ロスを削減できるでしょう。

製造工程でできる対策

製造工程でできる対策は、フードバンクの活用、包装・容器の工夫です。

製造工程で規格外となった食品は、一般的に廃棄します。フードバンクを通じて福祉施設などに無償提供することで、食品ロスの削減が可能です。

また、これまでの包装・容器を見直すと、品質保持や賞味期限延長につながります。資材メーカーと協力して新たな保存用パッケージを開発するのもひとつの方法です。

卸・小売業ができる対策

卸・小売業でできる対策は、過剰仕入れをせずに売り切りや使い切りを目指すことと未使用品の再流通です。

企業では、機会損失を回避するために過剰仕入れをする場合があります。売り切りや使い切りができる適切な仕入れ量を見積もるには、需要予測が大切です。

卸・小売業には3分の1ルールと呼ばれる商慣習があり、賞味期限まで3分の1以内に小売業者に納品できなかった商品を廃棄していました。廃棄予定の未使用品を再流通することで、食品ロスを削減できます。

外食産業でできる対策

外食産業でできる対策は、食べ残した料理の持ち帰りを可能とすることや、小盛りメニューの追加です。

海外では、食べ残した料理を持ち帰るドギーバッグが普及しています。日本でも、ドギーバッグアイデアコンテストなどが行われており、普及に向けた活動が進んでいます。

小盛りメニューの追加が難しい場合、基本量を減らし、大盛りメニューを始める方法がおすすめです。多く食べたい人だけが大盛りを頼めるため、食べ残しを減らせます。

事業系食品ロス削減の関連ビジネス

事業系食品ロスを削減するために、新たなビジネスも誕生しています。ここでは、「No Food Loss」「Otameshi」「TABETE」の3つを紹介します。

No Food Lossは、食品ロス削減に関する情報を発信するアプリケーションです。コンビニエンスストアや小売店の食品ロスをクーポン形式で購入できます。購入金額の一部は寄付金となるため、ユーザーはお得に買い物ができるだけでなく、社会貢献活動もできるのが特徴です。

Otameshiは、賞味期限前にもかかわらず流通できない食品をお得に購入できるショッピングサイトです。売上金額の一部を日本赤十字社や中央共同募金会などへ寄付しています。

TABETEは、飲食店やスーパーから出た売れ残り食材をプラットフォーム上で購入できるフードシェアリングサービスです。ファミリーレストランをはじめ、2,500店舗以上の導入実績があります。

事業系食品ロスの削減に成功した企業の取り組み事例


事業系食品ロスの問題はニュースでも取り上げられるようになり、すでに取り組みを始めている企業もあります。

「自社でどのような取り組みを行えばよいか分からない」と迷っている企業様は、事業系食品ロス削減に成功した事例から参考にできるポイントがないかチェックしましょう。ここでは、3つの事例を紹介します。

株式会社ニチレイ

水産事業や加工食品事業を展開する株式会社ニチレイは、「冷力」を活用して食品の長期保存や品質保持、食材の再現性を実現し、食品ロス削減につなげています。

冷蔵・冷凍食材を適切な温度で保管するだけでなく、必要なタイミングで必要な量を届ける仕組みを構築しています。低温物流事業では、全国に低温輸配送ネットワークを展開し、物流過程の食品ロス削減を実現しました。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

コンビニエンスストアや総合スーパーを展開する株式会社セブン&アイ・ホールディングスは「GREEN CHALLENGE 2050」というテーマを掲げています。

2020年5月から全国で取り組んでいるのが、エシカルプロジェクトです。弁当・寿司・惣菜・スイーツ・パンなど7つの商品カテゴリーにおいて、消費期限が迫った商品を購入した際にポイントを付与します。

フードバンクへ賞味期限前の商品を寄付する活動の他、製造工程や衛生管理を見直して、長鮮度商品を開発しています。

株式会社良品計画

無印良品を展開する株式会社良品計画は、フードドライブに取り組んでいます。家庭で食べ切れなかったレトルト食品や調味料、缶詰を回収し、NPO団体を通じて福祉施設など必要としている人へと届ける取り組みです。

無印良品のカフェ「Café&Meal MUJI」では、デリメニューのパック詰め販売を開始したことで、店内の食品ロス削減を実現しました。調理時に出る果物や野菜の皮は堆肥化しています。

UMWELTで効率化を推進して事業系食品ロスを削減しよう!


食品ロス削減を目指すなら、ツールの導入がおすすめです。TRYETINGが提供するUMWELTは日常データを基に、食品ロス削減効果が期待できる需要予測や在庫管理ができるツールです。ここでは、UMWELTの魅力と導入事例を紹介します。

業務効率化を推進できる

食品の需要予測・在庫管理を適切に行えば、事業系食品ロス削減につながります。

UMWELTは、日常業務で使用するデータを基に需要予測・在庫管理が可能なツールです。データ解析には欠損値の処理、指定値埋めなど手間のかかる作業が必要ですが、UMWELTはアルゴリズムを使った自動処理ができます。

操作に専門知識は必要ありません。カスタマーサクセスによるサポート体制も整っているため、安心して利用できます。

成功事例

株式会社曲田商店様は、関西地方を中心にとんかつKYKやサンマルコといったブランドを展開しています。余剰在庫が食品ロスに直結する豚肉などのチルド食材を扱うことから、正確な需要予測ができるシステムを探していました。

需要予測検証で想像以上の結果が出たことから、UMWELTの導入に至りました。食品ロス削減以外にも、事業計画や人事考課、レトルトカレーの生産計画への活用も予定しています。

(参考: 『導入事例|TRYETING』

まとめ

家庭から出る家庭系食品ロスに対し、食品製造業や外食産業から出るものを事業系食品ロスと呼びます。家庭系食品ロスより事業系食品ロスのほうが多いのが現状です。生産者・小売業・外食産業などそれぞれの企業が対策を講じなければなりません。

事業系食品ロスを削減する方法として、在庫管理の適正化、需要予測の精度アップが挙げられます。TRYETINGのUMWELTは在庫管理・需要予測が可能なAIツールです。無料相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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