業務自動化の実例を紹介。AIツールを利用するメリットも解説

DX（デジタルトランスフォーメーション）という言葉をよく聞くようになった近年、業務の自動化を考えている企業は多いのではないでしょうか。ロボットやAIツールを活用すれば、従業員の作業負担を減らすことができます。この記事では、業務を自動化する目的やツールを導入した事例について解説します。

なぜ業務の自動化が必要なのか

製造業や農業など、近年では幅広い分野で業務の自動化が進められています。ロボットやAIツールを導入することで、生産性の向上を見込めるのが自動化のメリットです。ではDXとも深く関連する、業務の自動化が求められる理由は何なのでしょうか。生産性向上に向けた動き、DXの推進という2つの背景を見てみましょう。

生産性の向上を目指した動き

業務の自動化とは、それまでは人力で行われていた作業を、ロボット・ツールなどの技術を使って自動化することです。一口に自動化といっても、工場内の荷物を運んだり大量のデータを処理したりと、その内容は多岐にわたります。

自動化を進めることで、力仕事や手続きといった定型作業を迅速かつスムーズに進めることが可能です。AIやツールを利用してルーティンワークにかかる負担を軽減すれば、作業時間の短縮にもつながります。

業務の自動化は、個々の会社はもちろん業界全体の生産性を上げる手段としても有効です。従業員の負担を減らすだけでなく、日々の業務をより効率的に進められるメリットがあります。

新たな働き方のためのDX推進

DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルの変革を目指す動きです。物流DXや工場DXという言葉もあるように、物流や製造の現場でもDXが推進されています。工場や倉庫内にロボットを導入するのも、ツールを利用した業務の自動化もDXのひとつです。

単に作業効率を上げるだけでなく、労働環境や働き方そのものを変えていくことがDXの目的にあります。例えば人力で行っていた作業を自動化することで、業務の属人化防止が可能です。また現場やオフィスでの作業が減ってテレワークで就業しやすくなれば、地方や海外に住む人材の活用も期待できるでしょう。

業務自動化によるメリット

業務の自動化は従業員の負担を軽減するのはもちろん、人手不足への対策にもなります。さらにロボットやAI・ITツールで代替できる作業の時間が減った分だけ、コアな業務に使える時間が増えるでしょう。入力作業をはじめ、いくつかの業務ではツールを利用したほうがミスを防げるのもポイントです。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

人手不足への対策になる

毎日の仕事の中には、打ち合わせや社外とのやりとりなどの欠かせない業務以外にも、単純作業が数多く存在します。定型業務や力仕事など、比較的単純な作業に要する時間を短縮すれば、職場全体の作業効率を上げることが可能です。

従業員にかかる負担を減らせば、少ない人数でもスムーズに仕事を進められるようになります。人手不足に悩んでいる会社にとって、業務の自動化は労働力を補う手段として有効です。

また業務の自動化を進めることによって、残業が発生する機会を減らせる可能性があります。残業代を節約できるのはもちろん、人件費のコストカットにつなげられるのがメリットです。

より重要な業務に集中できる

ルーティンワークに時間がかかり、話し合いや開発などの業務にリソースを割けない状態は珍しくありません。しかし商品やサービスの質を上げるためには、重要な業務にフォーカスして取り組む意識が必要です。

事務手続きやデータ入力・計算などの作業は、処理が単純でもある程度の時間がかかります。これらの事務的な単純作業を自動化して、多くの時間をかけたい業務に集中できるのが自動化の大きなメリットです。

例えばEC事業に取り組んでいる中小企業では、注文への対応で忙しく肝心の商品開発やマーケティングに力を入れられないケースもあります。こうした状況を改善する方法として、ツールを利用した業務の自動化が効果的です。

ヒューマンエラーを減らせる

大量のデータを扱う作業では、入力ミスや計算ミスがある程度発生するのが通常です。特に正確性が求められる業務には、ミスがないかを確認する作業も必要になるため、多くの労力がかかるでしょう。

自動的なデータの連携が可能なツールを利用すれば、入力・計算作業が短時間で完了します。ヒューマンエラーの発生を防げる上に、入力ミスと思われる部分をすぐに見つけられる機能もあるのが便利です。

データの更新から確認までを遂行してくれるツールであれば、人力で行っていたときのミスを探す手間が省けるため、作業効率が大きく上がります。人為的なミスが起こりやすい単純作業も、自動化に適した業務のひとつです。

業務を自動化する際の注意点

業務の自動化を行う場合、導入後にしっかり効果が発揮できるよう気を配る必要があります。ツールを利用するなら、正しい使い方を把握しているかどうかが大切です。ここでは自動化を行う際に気を付けたいポイントを紹介します。すでに自動化の計画を立てているなら、不足している要素がないか確かめてみましょう。

どの業務を自動化するか明確にする

自動化に組織全体の効率化やコスト削減の効果を期待するなら、自動化する業務の種類を明確にしておく必要があります。対象となる業務の内容によって、使うべきツール・自動化の手段が変わってくるためです。

対象とする業務が本当に自動化に向いているのかも、慎重に確認しましょう。もともと自動化に不向きな業務を対象にしてしまうと、ツールを導入しても大きな効果が感じられない可能性があります。

業種によっては、長年の経験が求められる業務が少なくありません。専門性が高かったり属人的な要素が強かったりする業務は、自動化に不向きです。逆に多くの人がこなせるような定型業務や事務的な作業は、自動化しやすい業務といえます。

最低限の知識を習得・周知する

ツールによる自動化を行う際は、使う側である従業員にも最低限のPCスキルが要求されます。特に初めてツールを導入する場合には、操作方法をきちんと周知する期間が必要です。

ツール導入の担当者はもちろん、実際に作業に携わる従業員も使い方を理解すると成果を期待しやすくなります。研修期間を設けたり積極的に発信したりして、自動化を行う目的について周知しておく動きが大切です。

また専門性がツールによって操作性や専門性の高さは異なるため、PCスキルの程度を考えて担当者を決めましょう。

必要となるコストを確認する

業務自動化のためにAIツールを導入する場合、年額・月額料金・初期費用など小さくないコストが発生します。会社のニーズに合っているかはもちろん、費用対効果を考えながらツールを探しましょう。

利用できる機能に合わせて、何種類かの料金プランが選べるツールもあります。複数のツールを見比べて相場を把握したら、どのプランが会社に合っているかを意識して選ぶのがポイントです。

導入にかかるコストと、導入によって削減が期待できるコストを整理して考えれば、導入前でもある程度は費用対効果を予想できます。ツールのベンダーが発表している導入事例やホワイトペーパーも参考にするのがおすすめです。

ロボットを導入した自動化の例

力仕事が必要となる業種では、ロボットを活用する場面が少なくありません。荷物の運搬や工事現場での作業など、ロボットの用途はさまざまです。では力仕事が多い業種において、ロボットはどのように自動化に貢献するのでしょうか。ロボットを使った業務自動化の例を、物流業・農業・製造業・建設業に分けて紹介します。

物流業

荷物の運送・配達だけでなく注文への対応や在庫管理など、物流に関する業務は多岐にわたります。特にEC事業では注文を受けてからのスピーディーな対応が求められるため、従業員の負担も大きくなりがちです。

「物流DX」ともいわれるように、物流業の現場ではロボットが活躍する作業が数多くあります。倉庫内での運搬や仕分けなど、重い荷物を運ぶ際にロボットを利用することで、従業員への負担を軽減するのがロボットを使った自動化の一例です。

自動化によって力仕事に要する手間が省けるのはもちろん、人手不足も補えます。配送先の間違いなど、ヒューマンエラーが起こりにくくなるのも、ロボットを導入する利点のひとつです。

農業

ロボットを活用して農業を自動化する取り組みの例に、ドローンや自動収穫ロボットなどがあります。ドローンを飛ばして広範囲に農薬を散布したり作物を収穫したりと、広大な農地にまたがる作業の負担を軽減可能です。

ハウス内の温度や光量を自動で管理するロボットの導入も、農業の自動化の例として挙げられます。生育環境に気を遣う作物の栽培において、温度・光量の自動調整ができるロボットは、農業に携わる人の負担を大きく減らします。

他にも農薬の散布量を調整したり、よりスムーズな収穫方法を実現したりと、ロボットは栽培から収穫にまで活用できます。AIツールとロボットを組み合わせて農作業の自動化するのも、近年はよく見られる例です。

製造業

製造業では作業の正確性と効率性が求められるため、ロボットを活用できる場面が多いといえます。例えば検品のような作業を自動化し、人によって判断に差が出る事態を防止する取り組みは、ロボットを使った自動化の一例です。

ロボットによる作業であれば常に品質が一定なので、従業員が入れ替わっても作業の品質をキープできます。他に人力で行っていた異音検査も、自動化によって作業品質のバラつきを改善できる作業です。

長時間の業務や危険性の高い業務に、ロボットを活用している例もあります。疲労によるミスが減少するだけでなく、従業員の安全を確保できるのがメリットです。

建設業

建設業では、ドローンなどのロボットを活用して、建設作業の一部を自動化する動きも進んでいます。高所での危険な作業を自動化すれば、怪我や事故などのリスクを予防できるのが利点です。

重機の操作などの専門的な技術が要求される建設業では、高いスキルを持った人材が必要とされます。難易度の高い作業にロボットを活用すれば、いつでも正確に作業を完遂することが可能です。

ロボットを利用すれば、足場が悪く人が作業するのは難しい位置での作業も可能になります。また、ツールによるシフト作成を取り入れるのも、全体の作業効率向上に効果的な自動化の例です。

AIツールを導入した自動化の例

ロボット同様にAIも、業務の自動化に役立つツールです。AIツールを利用すれば、作業効率が大幅に向上します。データの連携によって予測精度を上げられるのも、AIによる自動化のメリットです。AIツールを自動化に活用できる業務から「需要予測」「在庫管理」「表計算」をピックアップし、具体的な活用例を紹介します。

データに基づいた需要予測

AIツールに売上や在庫といった各種データを連携することで、精度の高い需要予測を行えます。需要予測は経験に基づくケースが多い業務ですが、ツールに任せることで誰でも行えるようになるのがポイントです。

AIツールを導入して需要の目安が分かった結果、過剰な在庫を抱える必要がなくなった企業もあります。大型の商品を扱う場合は在庫を保管するにもスペースが必要なので、在庫の適正化によって管理コストの削減が可能です。

AIツールを利用すれば、時間をかけて予測する必要がなくなる上に、経験や勘に頼らない客観的な分析ができるようになります。需要や売上の目安が分かれば、その日必要な在庫の目安にもなるのが便利です。

在庫管理のサポート

在庫の状況をリアルタイムで把握する、古いものから順に出荷するなど、在庫管理は複雑なタスクが求められる業務です。特に食品などの傷みやすいものを扱う場合、その難易度はさらに高まります。

AIツールに入出荷の日付や賞味期限を登録すれば、スムーズに在庫管理を行えるのがメリットです。在庫管理をサポートする機能が搭載されたツールを利用して、業務にかかる人手や負担を軽減できます。

需要に対して過剰な在庫は廃棄することになりますが、廃棄処分にもコストがかかる点に注意が必要です。適切な在庫管理は、廃棄に要するコストの削減にもつながります。

時間がかかる表計算

データを分析するには、大量のデータを読み込み複雑な計算をする必要があります。人力で作業を行っていると、入力ミスや計算ミスが発生して分析に時間がかかってしまうのがデメリットです。

データの欠損部分を補完する機能が搭載されているAIツールであれば、大量の計算を素早く終えられます。データのミスを確認する手間が省けるので、表計算にかかる時間を短縮できるのが特徴です。

正確な分析を行うためにも、データ入力や計算には正確性が求められます。ミスがあっても効率的に作業を行えるのが、AIツールを導入する大きなメリットです。

『UMWELT』で作業の自動化を実現

TRYETINGが提供している『UMWELT』は、コードを書かなくても利用できるノーコードAIツールです。Excelなどのデータと連携して、売上や来客数などさまざまな数値を予測できます。

数値の欠けや入力ミスを自動的に修正できる、データクレンジング機能を搭載しているのも特徴です。また蓄積されるデータが増えていくにつれて予測の精度が上がるため、誰でも高精度の予測が可能になります。

複雑な在庫管理のサポートやシフトの作成など、豊富な機能を搭載しているのもメリットです。さらにシンプルな操作性で導入後のサポートが充実しているため、初めてのAIツールとして適しています。

まとめ

人力で行っていた作業を、ロボットやツールといった技術を使って自動化することを業務の自動化といいます。作業にかかる時間が短縮されて生産性の向上が期待できるのが、自動化を実施するメリットです。

製造業や農業・建設業など、幅広い分野で業務の自動化が推進されています。ただ定型業務は自動化に適している一方、難しい判断が求められる・属人性が高いといった業務は自動化へのハードルが高いことを覚えておきましょう。

データと連携した需要予測や在庫管理のサポートなど、AIツールを利用することで作業効率の向上が期待できます。専門的な知識がなくても利用できる『UMWELT』を導入して、日々の業務に役立てましょう。