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物流業界が直面している課題と現状!その解決策に取り組むポイント

 

物流業界は、さまざまな課題に直面しています。課題に対して何も対策しなければ、2024年以降さらに深刻化する見込みです。それでは、物流業界にはどのような課題があるのでしょうか。

この記事では、物流業界の課題と現状、企業が取り組んだほうがよい解決策を紹介します。これを理解すれば、社会情勢の変化に対応できる効率的な物流業務を実現できるでしょう。

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物流業界の課題と現状


矢野経済研究所の発表によると、物流業界の2020年度における市場規模は、推計20兆405億円(前年度比97.6%)です。2020年度前半は新型コロナウイルス感染症の影響で低迷しました。

現在はインターネットショッピングの需要拡大による個人向け配送が好調を維持し、今後は業界全体で需要が増加する見込みです。

需要が大きい分、多くの課題が生まれます。物流業界の仕組みを確認し、課題と現状を理解しましょう。

(参考: 『物流17業種市場に関する調査を実施(2022年)|矢野経済研究所』

物流業界とは

物流は陸海空路を活用し、さまざまな物を生産者から消費者に届ける業界です。輸送だけでなく、保管や仕分けも仕事に含まれます。

石油・天然ガスを輸送するBtoB企業、トラック・車で個人の荷物や貨物を配送するBtoC企業やCtoC企業など、ビジネスモデルもさまざまです。生産者の依頼により消費者への輸送まで担う企業もあれば、配送や倉庫管理を専門とする企業もあります。

物流は人の生活に不可欠で、今後も需要が大きいと見込まれる分野です。しかし、個人配送の増加や労働人口の減少により、人手不足や労働者の負担増大といった課題に直面しています。

課題は2024年問題でさらに深刻化

2024年問題とは、働き方改革関連法施行により2024年4月以降に生じるさまざまな問題を指します。物流業界で特に影響が大きいとされるのが、ドライバー拘束時間の減少です。以下の表で、現行と見直し案を比較しましょう。

現行 2024年4月以降
拘束時間 ・1日原則13時間以内、最大16時間以内(15時間超は週2回以内)・1か月293時間以内 ・1日原則13時間以内、最大15時間以内(14時間超は週2回以内)・1か月284時間以内
休息期間 継続8時間以上 継続11時間を基本とし、9時間が下限
連続運転時間 4時間を超えないこと※30分以上の休憩などの確保(1回10分以上で分割可) 4時間を超えないこと※30分以上の休憩の確保(1回おおむね10分以上で分割可)

施行後は、今まで通りの配送・輸送が困難です。1日に運べる荷物の量が減少し、企業の売り上げやドライバーの収入減少が懸念されています。2024年4月までに対策を講じなければ、物流業界の課題である人材不足がさらに深刻化するでしょう。

配送物流が直面している課題


物流業界を2つに分けると、配送物流と物流倉庫があります。まずは、配送物流が直面する課題を見てみましょう。

配送物流の主な仕事は、トラック・車で荷物を届けることです。ドライバーや燃料費における課題がいくつか存在します。

配達時間の遅延

配送物流では、交通規制や天災により配達時間の遅延が生じます。国境をまたぐ輸送では、パンデミックや戦争、通関手続きが遅延の原因のひとつです。

近年はインターネットショッピングが一般化し、物流量が増加しました。遅延の機会も増え、遅延に対する不満も増大しています。

特に冷凍食品はわずかな遅延で鮮度が損なわれ、消費者の健康に影響を及ぼしかねません。配達時間の遅延が顧客満足度や企業利益の低下に大きく影響します。

ドライバーの高齢化

配送物流の物理的な業務を支えるのはドライバーです。しかし、少子高齢化や生産年齢人口の減少により、ドライバーの高齢化が進んでいます。

ドライバーは運転技術や運転ルートの把握が求められ、経験が豊富なベテランドライバーのスキルが欠かせません。一方、年齢を重ねるほど体力面・健康面のケアも必要です。

新しい人材の確保や教育ができないうちに、ベテランドライバーが離職・退職すれば、人手不足に拍車がかかるでしょう。

長い時間外労働

配送物流のドライバーは時間外労働が長い傾向があります。厚生労働省の調査によると、2021年の年間労働時間は全産業平均が2,112時間であるのに対し、大型トラックドライバーは2,544時間、中小型トラックドライバーは2,484時間です。

また、年間所得額は全産業平均が489万円であるのに対し、大型トラックドライバーは463万円、中小型トラックドライバーは431万円です。労働時間が長く賃金も安いため、人材の確保が難しい状況にあります。

燃料価格の高騰

燃料費は、配送物流の主要コストです。しかし、近年はウクライナ情勢の影響もあり、燃料価格が高騰しています。

経営を安定させるには、燃料価格が上昇した分、販売価格を上げる必要があります。しかし、帝国データバンクの2021年の調査によると、仕入れ単価の上昇に応じて販売価格を上げた運輸・倉庫企業は19.2%でした。

実際は取引先との関係もあり、販売価格への転嫁が難しい状況です。結果、経営が悪化し倒産する企業もあります。

物流倉庫が直面している課題


物流倉庫の仕事は、商品の入庫、検品、流通加工、ピッキング、仕分け、出庫などです。商品を預かるだけでなく、安全かつ正確に出庫する役割を担います。

多くの商品に対してさまざまな工程があり、課題もいくつか存在します。ここでは、物流倉庫が直面する課題をチェックしましょう。

人為的ミス

物流倉庫では、人による作業や判断が必要な業務が多々あります。取り出す数量や保管場所の間違いといった人為的ミスが起こりがちです。

人手不足により、複数人でチェックができない企業もあります。作業員の負担が大きいほどミスが起こりやすく、ミスの処理に時間がかかるでしょう。ミスは顧客満足度の低下や、売り上げの機会損失につながります。

作業の属人化

物流倉庫は人の手による作業が多いため、属人化が起こりやすい環境です。属人化とは、特定の社員しか業務の進め方や進捗状況を把握していない状況です。担当者が仕事を休んだり離職したりすると、業務を円滑に進められなくなります。

多量な在庫の状況や取引先に応じた梱包方法など、さまざまな情報を把握するのは、経験の浅い社員には困難です。その結果、経験豊富なベテラン社員へ負担が集中しています。

余剰在庫や欠品

在庫の情報管理を正しく行わなければ、余剰在庫や欠品が生じます。しかし、物流倉庫は製造日・入出荷日が異なる大量の商品を管理するため、在庫のデータ量は膨大です。

在庫情報システムを適切に管理できる社員がいなければ、実際の数量と帳簿上の在庫にずれが発生します。

無駄なコストや売り上げの機会損失につながるだけでなく、入出荷作業にも影響を及ぼすでしょう。「余剰発注により保管場所がない」「欠品により出荷する商品が見つからない」といった問題が起こると、時間と労力を浪費してしまいます。

物流業界の課題に向けた企業の解決策


物流業界には、コストや労働力に関してさまざまな課題があります。企業は今後どのように対応すればよいでしょうか。

課題を解決するには、既存の業務システムや仕組みの改変が必要です。ここでは、企業が実践できる4つの解決策を紹介します。

積載効率の改善

積載効率を上げれば、トラックを効率的に稼働できます。積載効率とは、トラックの許容積載量に対する実際の積載量の割合です。多くの荷物を積むことで、人的コストと燃料コストの節約につながります。

具体的には、「カテゴリーが同じ商品をまとめて配送する」「物流容器の形状を最適化する」など、空きスペースが大きい状態で走行する時間を減らす工夫が必要です。

また、個別配送が増えるほど積載効率は下がります。他社との共同配送で荷物をまとめ、荷主と相談して配送日・時間指定の範囲を広げる努力も必要です。

燃料サーチャージ制の導入

燃料サーチャージ制とは、燃料コストの増減分を別に設定する制度です。運賃の上昇は、元請け業者や荷主の理解を得にくい部分があります。

燃料コストの転嫁は、政府が協力を要請している課題です。制度として導入すれば、物流企業は荷主企業へ交渉しやすくなります。

交渉には、日頃から燃料コスト削減に努めているというアピールや、荷主企業との信頼関係の構築が必要です。また、荷主企業が納得できる燃料コストの増減額を計算し、燃料サーチャージ制に沿った運賃額を数字で示しましょう。

需要予測や登録システムの導入

人為的ミスや在庫管理にかかる労力の解決策として、システムの導入があります。バーコードや識別番号の読み込みが可能な登録システムを導入すれば、ミスを防ぐだけでなく作業時間の短縮も可能です。

例えば、ハンディーターミナルやスマートデバイス、ヘッドセットを用いた音声登録デバイスが挙げられます。

在庫は先の受注に相当する数量が必要であるため、在庫管理データから需要予測できるシステムの導入もおすすめです。在庫数を最適化することで、廃棄コストの削減と機会損失の防止につながります。

モーダルシフト化を進める

モーダルシフトとは、トラックや車による輸送を鉄道や船舶といった環境負荷が少ない手段に変えることです。モーダルシフトにより二酸化炭素排出量が減るため、SDGsの観点から国土交通省も推奨しています。

モーダルシフトは企業のドライバー不足や長時間労働に対しても有効です。数百キロメートル以上の長距離移動では、荷物を届けるために数日かかることがあります。長距離の移動でモーダルシフトを進めれば、これまでより少ないドライバーで業務を維持できます。

コスト面の観点から、モーダルシフトは500キロメートル以上の輸送でないと難しいと考えられてきました。しかし、最近では300キロメートル〜400キロメートルでもモーダルシフトを導入する例が増えています。

物流企業が課題に取り組むポイントはDX!

物流業界の需要は、今後さらに高まる見込みです。多くの課題を解決するために、企業にはDX推進が求められています。

DXとは、デジタル技術の活用でビジネスモデルを変革し、競争優位性を確立することです。物流業界におけるDXの実現手段として、以下の例があります。

・ドローン配送や自動運航船による配送の自動化
・自動搬送ロボットや自動倉庫システムによる倉庫内の自動化
・書類手続きの電子化
・配車管理や社員管理のデジタル化
・AIを活用した業務フローの効率化

自動ロボットの活用は、社員の負担を削減し効率をアップします。書類や目視による作業をデジタル化すれば、スムーズな情報管理と状況把握が可能です。

ノーコードAI「UMWELT」を導入して物流業務を効率化しよう!

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まとめ

物流業界はドライバーの高齢化や燃料価格の高騰、人為的ミス、属人化など、さまざまな課題に直面しています。2024年問題でドライバーの収入が下がれば、さらに状況は悪化し、経営難に陥るかもしれません。

DXを糸口に既存の業務を効率化し、社員の負担とコストの削減に努める必要があります。UMWELTは、無料相談も受け付けています。AIで物流DXを進めたい企業様は、ぜひお問い合わせください。

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