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食品ロスの取り組みの現状と起こる原因は?日本と海外の対策事例も紹介

 

食品ロスという言葉をよく耳にする方もいらっしゃるでしょう。実際に、食品廃棄物の問題は日本だけでなく、世界的な課題となっています。人口が増加する中で、食品ロスの削減は私たち全員が取り組むべき重要な課題です。

この記事では、日本の食品ロスの現状について詳しく説明し、その解決に向けた取り組み事例を紹介します。

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日本の食品ロスの現状と廃棄が起こる原因とは


近年、日本の食料自給率が低いことに加え、食品の廃棄量の多さにも注目が集まっています。食料自給率が低いということは、多くを輸入に頼っていることを意味します。

食料自給率が低いにも関わらず、なぜ廃棄量が増えるのでしょうか。ここでは、日本の食品ロスの現状と廃棄が起こる理由を解説します。

削減への取り組みが活発化

世界中で食品ロスに対する取り組みが加速しています。日本でも、家庭や飲食店における食品の廃棄量が多く、「事業コスト」「家計負担」「環境負荷」の増大が問題でした。

この問題に対処するため、消費者庁は2019年に「食品ロスの削減推進に関する法律(略称:食品ロス削減推進法)」を制定しました。この法律によって、まだ食べられる食品の廃棄量を減らす取り組みが推進されています。

その結果、2017年度以降は家庭と事業者の廃棄量がともに減少傾向です。

総廃棄量(万トン) 事業系食品ロス(万トン) 家庭系食品ロス(万トン)
2016年度 643 352 291
2017年度 612 328 284
2018年度 600 324 276
2019年度 570 309 261
2020年度 522 275 247

食品ロスの原因

WWF(世界自然保護基金)とテスコの調査によると、世界全体で生産される食品の約40%にあたる25億トンもの食品が1年間で廃棄されていることが分かっています。

日本では、家庭から出る生ごみの中に未使用の食品が約20%含まれており、そのうち25%は賞味期限を過ぎていないと言われています。食品を過剰に購入し、消費しきれないことが食品ロスの一因となっています。

また、流通の段階では、品質基準に満たない規格外の商品は廃棄されます。賞味期限まで残り3分の1の食品の納品を拒否する商慣習など、厳しい管理が食品の廃棄につながっています。日本の食料自給率は37%と低く、生産と流通の段階での廃棄が大きな問題となっています。

一方、途上国では、先進国とは異なり、生産と加工の段階で多くの食品が廃棄されます。これは収穫技術の低さや厳しい気候条件での貯蔵が主な理由です。

廃棄された生ごみは焼却される際に大量の二酸化炭素を放出し、その量は世界全体の年間排出量の10%に相当します。このような食品ロスの廃棄処理は地球温暖化に寄与しています。

食品ロスが多い食材は?

ハウス食品グループ本社が2021年9月に実施したアンケートによると、最も食品ロスが多い食品は野菜類(56.5%)でした。2番目は調味料・油(13.4%)、3番目は果物(11.3%)です。

品目別の順位は以下の通りです。

1位:キュウリ
2位:キャベツ
3位:パン・食パン
4位:レタス
5位:モヤシ

なお、調査月によって廃棄される食品は異なります。

家庭でも対策はできる

現在の食品の取り扱い方法を見直すだけで、家庭から出る生ごみの量を減らせます。例えば、日持ちしない食品を買い過ぎないようにする、料理を作り過ぎないようにするなどは、すぐに実行できる対策です。

食品を買い過ぎないためには、買い物に行く前に冷蔵庫にある食材を確認し、必要な量だけを購入します。これによって、まだ使える食材があるのに無駄に購入することを防げます。

食品ロスを減らすための基本は、食べ切ることです。期限内に消費できるように、必要な分だけを購入し、食べ切れる量の料理を作って、無駄なく食品を使い切りましょう。

世界的に深刻

食品ロスに対する意識が高まっている日本では、さまざまな取り組みによって廃棄量は年々減少傾向です。しかし、世界に目を向けると食品ロスは深刻化しています。

国際連合食糧農業機関は、世界では毎年食糧生産量の3分の1を廃棄しているという調査結果を発表しました。また、世界人口に対して十分な食料生産量があるにも関わらず、9人に1人が栄養不足の状態です。

世界人口は今後も増加を続け、2050年までに97億人に達するという予測があります。現状のままでは事態がさらに深刻化することは避けられません。

食品ロスの取り組みが分かる!日本の廃棄量ランキング

日本は食品ロス削減が進んでいるものの、世界的に見ると食品の廃棄量が多い国のひとつです。家庭の年間食品廃棄量の上位15位までを見ると日本は14位で、先進国の中では米国に次ぐ高い位置にいます。

順位 国名 家庭の食品廃棄量(トン/年)
1 中国 9,164万6,213
2 インド 6,876万163
3 ナイジェリア 3,794万1,470
4 インドネシア 2,093万8,252
5 米国 1,935万9,951
6 パキスタン 1,594万7,645
7 ブラジル 1,257万8,308
8 メキシコ 1,197万9,364
9 バングラデシュ 1,061万8,233
10 エチオピア 1,032万7,236
11 フィリピン 933万4,477
12 エジプト 913万6,941
13 コンゴ 891万2,903
14 日本 815万9,891
15 トルコ 776万2575

(参考: 『UNEP Food Waste Index Report 2021』

食品ロス対策が進む海外の取り組み事例


深刻化する食料ロスの現状を打開するため、世界各地で対策が進んでいます。賞味期限が短い食品は管理が難しく、店舗に長い期間陳列するのは困難です。

消費者の需要を正確に把握し、全て期限内に販売し、消費することも容易ではありません。ここでは、海外の小売店や家庭の取り組みを紹介します。

食品廃棄禁止法による対策:フランス

フランスは食品ロスを減らすために、2016年2月11日に「食品廃棄禁止法」を制定しました。食品廃棄禁止法では、一定規模のスーパーにおいて、賞味期限切れなどの理由で食品を廃棄することを禁止しています。

まだ消費できる食品は、あらかじめ契約した慈善団体へ寄付する他、家畜の飼料や農作物の肥料にするといった再利用を義務付けました。国による法的なアプローチで、食品ロスに取り組んでいます。

無料スーパーによる対策:オーストラリア

オーストラリアのメルボルンには、生活困窮者のための無料スーパーが存在します。元々は野菜など限定的な食品のみでしたが、次第に協力が集まり、パンといった野菜以外の食品も提供するようになりました。

まだ食べられる食品を廃棄するのではなく、別の場所で提供することで食品ロスを減らしています。

オーストラリアは2017年に「NATIONAL FOOD WASTE STRATEGY:HALVING AUSTRALIA’S FOOD WASTE BY 2030」を発表し、食品ロスに対する国の方向性を明示して取り組みを進めています。

連帯冷蔵庫による対策:スペイン

スペインのバスク自治州では、消費できない食品を集めて提供するため、共用の冷蔵庫を設置しました。

生活困窮者の支援と食品ロスの低減を目的に、多くの業者や利用者が活用しています。生肉や卵のような生鮮食品は受け入れないという制約はあるものの、食品ロス削減につながっています。

設置した2015年5月から2016年6月までの約1年で、200キログラム〜300キログラムの食品を廃棄せずに済みました。

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食品ロス対策として日本企業や国が行う取り組み


日本でも食品ロスを削減する取り組みが広がり、国だけでなく民間企業もさまざまなプロジェクトを立ち上げています。大量の食材・食品を扱う企業が廃棄量削減を狙うことで高い効果が期待できるでしょう。ここでは、国・自治体と企業の取り組みを紹介します。

国や自治体単位での事例

世界でも食品ロスが多い国のひとつである日本では、国も改善に向けた施策を積極的に推進しています。具体的な取り組みは以下の通りです。

・「てまえどり」運動
・「おいしい食べきり」運動

「てまえどり」運動は、農林水産省・消費者庁・環境省が日本フランチャイズチェーン協会と連携して推進している活動です。小売店では、賞味期限の近いものを手前にして陳列します。消費者が手前にある商品を購入することで、期限切れによる廃棄を減らせるという取り組みです。

「おいしい食べきり」運動は、農林水産省・消費者庁・環境省が全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と共に推進する取り組みで、飲食店やテイクアウトの食べ切りを目指しています。

公共団体・学校への啓発活動、外食事業を展開する企業や店舗へのパンフレット配布を実施しています。

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社は、ドーナツやサンドイッチ、ケーキといった食品も提供しています。これらの食品ロスを削減するプログラムを2021年に始めました。

店舗で販売する食品を食べ切ることがロスの低減につながるため、在庫状況に応じて閉店3時間前を目安に価格を20%下げて販売しています。

また、このプログラムの売り上げの一部を認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付し、食を通じた子どもの未来づくりに貢献しています。

キユーピー株式会社

キユーピー株式会社では、さまざまな食品ロス低減に取り組んでいます。そのひとつがキユーピーマヨネーズの原料である卵の100%有効活用です。卵のうち、卵黄だけがマヨネーズの原料になるため、余った卵白をかまぼこやケーキの原料に活用しています。

膨大な量の殻の活用も課題でしたが、土壌改良剤やカルシウム強化食品の原料にする他、殻膜を化粧品として利用しています。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングスも多様な取り組みを展開しており、その中には株式会社セブン-イレブン・ジャパンが2020年5月から実施している「エシカルプロジェクト」という商品ロス低減プロジェクトがあります。

エシカルプロジェクトは、全国のセブン-イレブン店舗で行われています。販売期限が迫った商品を購入すると、税抜価格の5%分がnanacoポイントとして付与される仕組みです。消費者は通常より多くポイントを獲得でき、一方で店舗は商品の廃棄量を減らすことができます。

株式会社あきんどスシロー

全国で回転ずし店舗を展開する株式会社あきんどスシローでは、食品ロスを減らす新たな取り組みを開始しました。回転すし総合管理システムを導入し、実績を基に需要の変動を捉えて最適な量を提供することで廃棄量を減らします。

回転ずしでは、一定数のすしをレーン上に配置しますが、顧客のニーズ次第で売れ残る商品が出てしまいます。そのため、どのすしをどのタイミングで提供するかが重要です。

需要予測で食品ロスの削減を達成できると考え、ITシステムを用いて実現しています。

ブルドックソース株式会社・株式会社Day1

野菜は家庭で廃棄する量が多い食材で、キャベツもそのひとつです。スーパーで見た目のきれいなキャベツが並んでいるのは、割れが入っている商品を規格外品として排除しているためです。

ブルドックソース株式会社は、廃棄予定の規格外品を買い取り、自社商品の原材料として活用しています。生産者は収入を得られ、廃棄にかかるコストも削減できます。

また、食品ロス削減サイトを運営する株式会社Day1と共に、生産者から買い取ったキャベツを自社の商品と一緒に消費者にプレゼントするキャンペーンも実施しました。

食品ロスの削減にはUMWELTの需要予測が効果的!


食品ロスを削減するには、賞味期限が切れる前に使い切ることが大切です。企業で食品ロスを削減するには、需要を正確に予測することが重要といえるでしょう。

しかし、季節やイベント、気候によって需要は変化するため、予測は簡単ではありません。そこでおすすめなのが、TRYETINGの『UMWELT』です。

ノーコード予測AIでの需要予測と在庫管理

UMWELTは、専門的な知識がなくても使用可能なAI予測ツールです。食品ロスの削減を目指すには、需要予測と最適な在庫管理が求められます。需要予測は、特定の担当者の経験や勘に頼ることも多く、後継者の育成や精度に課題を抱える企業も少なくありません。

UMWELTはノーコードで誰でも操作でき、さまざまな機能を組み合わせることで、ニーズに合った使い方が可能です。

正確な需要予測から導き出した最適な在庫量は、コスト削減につながります。UMWELTの導入により、食品ロスの削減とコスト低減が期待できるでしょう。

成功事例

株式会社ASNOVA様は、UMWELTの導入で効果的な需要予測を実現しました。全国に10か所の機材センターを有し、建設現場で必要な機材をレンタルする事業を行っています。以前は、機材の管理業務に大きな負担がかかり、需要予測の属人化や適正在庫の管理が課題となっていました。

UMWELTを利用した需要予測に基づいて、機材センターでの最適な機材の量を予測することが可能になりました。その結果、失注を最低限に抑えることができ、機材の稼働率が大幅に向上しました。

(参考: 『【ASNOVA様】UMWELT活用事例|需要予測を自動化して、無駄な在庫を減らして管理コストを削減|TRYETING』

まとめ

食品ロスは、日本だけでなく世界的な課題です。今後も人口増加は続くと予想され、食料不足の問題が深刻化するでしょう。

日本は家庭の食品廃棄量が14位で、先進国でも上位に位置します。日本の食品ロスの要因として挙げられるのは、厳しい管理や消費者の過剰なニーズです。

企業で食品ロスを削減する取り組みには、需要予測と在庫管理が重要です。UMWELTなら専門知識がなくても高精度な予測・管理を実現できます。食品ロス削減を目指している企業様は、ぜひご相談ください。

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