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人手不足といわれる業界の現状とは?今すぐ必要な対策と業界別の事例

 

労働力人口が減少の一途をたどる日本では、人手不足の課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。人手不足の慢性化は、労働環境や生産性の低下を引き起こす可能性があります。事業継続にも大きな影響を与え、最悪の場合、倒産に至るケースも考えられるでしょう。

この記事では、人手不足の現状や主な原因、対策、成功事例について紹介します。読むことで、人手不足の解消に向けた解決策を理解できるでしょう。

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人手不足に陥っている業界の現状


少子高齢化が進む日本では、新たな労働力の確保が年々難しくなっています。一方、高齢化による退職者も多く、経営の後継者がいないのも課題です。業種や雇用形態によって傾向は異なるため、まずは人手不足の現状を整理しましょう。

人手不足は人材不足ではない

人手不足とよく似た言葉に「人材不足」があります。人材とは特定のスキル・知識・経験を持ち、企業で特定の職務を担える人で、企業が希望するスキルを持つ人がいない状況が人材不足です。

一方、人手は単純に労働者の数を指す言葉で、人手不足とは企業の生産を支える十分な従業員の数が足りていない状況を指します。

正社員が足りない?

厚生労働省の2019年版労働経済白書によれば、2013年以降全産業で人手不足が続き、その傾向は年々顕著になっています。特に、非製造業の人手不足が厳しく、大企業より中小企業のほうが人手は足りていません。

雇用形態別に見ると、パートタイム労働者や臨時労働者より正社員が不足していると回答した企業が多く、特に製造業・建築業で顕著です。

地方がより深刻化している

地域別の傾向を見ると、3大都市圏より地方のほうが人手不足は深刻です。労働力となる若い人の総数が減少していることに加え、大都市圏への流出が要因といえるでしょう。

地方の人手不足をスキル別に見ると、特に足りないのは企業のM&Aに必要な専門人材です。その背景には、経営者の高齢化や後継者不足に伴い、地方銀行が仲介するM&A需要の高まりがあります。

人手不足の原因となる要素


人手不足に直面する企業は数多く存在しますが、その理由は企業によってさまざまです。ただし、日本の社会情勢を踏まえると、人手不足を引き起こす要因が見えてきます。ここでは、日本企業の人手不足が加速する要因として、「少子高齢化」「需要と供給の相違」の2点について解説します。

日本の少子高齢化

企業の生産活動に従事できる15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年の8,716万人をピークに、それ以降は減少傾向です。2020年は7,509万人で、2050年には5,275万人まで減少すると予測されています。

さらに、14歳までの将来生産活動に従事する子どもは減少傾向が続く一方、65歳以上の高齢者は増加の一途です。日本の生産を支える労働力の不足は、今後一層厳しくなるでしょう。

需要と供給の相違

人手不足の要因のひとつとして、求人(需要)と応募者(供給)の数のバランスが合っていないことも挙げられます。厚生労働省が公表した2022年12月の一般職業紹介状況を見ると、月間の求人数が応募者数を上回っており、全体の有効求人倍率は1.45です。

ただし、業種別に状況はさまざまです。有効求人倍率が高い業種と低い業種をそれぞれ3つ挙げます。

有効求人倍率が高い業種 有効求人倍率が低い業種
建設躯体工事の職業:11.44 美術家、デザイナーなど:0.20
建築・土木・測量技術者:7.27 一般事務の職業:0.36
機械整備・修理の職業:4.89 会計事務の職業:0.65

この差は、特定の領域でスキルを持つ人材の需要と供給が適正でないことを示します。

人手不足が深刻な業界とは


2022年8月の労働経済動向調査では、人手不足の状況を業界別に紹介しています。調査対象の企業のうち、「人手不足」と回答した企業の割合から「過剰」と回答した企業の割合を引いた値を見ると、「建設業」「運輸業・郵便業」「医療・福祉」の3つは特に人手不足といえます。

建設業

建て替えや新規開発などの仕事が常に多い建設業では、人材の安定的な確保が課題となっています。専門的なスキルや知識が求められるため、条件に合う人材を確保することは難しい状況です。

そのため、採用後は一定期間経験を積み、知識や技量を身に付けなければなりません。ただし、研修中は給与が低く休みも取りにくいため、自由な働き方を望む若い人たちが定着しづらくなっています。

運輸業・郵便業

荷物を宅配する運輸業や郵便業も人手不足に悩まされています。その背景にあるのは、配送する荷物量の増加です。

ECの普及によって消費者はあらゆる物をオンラインで購入するようになり、荷物の配達件数が急速に伸びています。企業は需要に対応するため、トラックの数を増やすといった配達能力の向上を図っていますが、長距離・長時間運転のドライバーの求人に応募する人材は多くありません。過酷な労働と給与が低いというイメージが人材不足につながっています。

医療・福祉

今後も高齢者の増加が続く日本では、医療・福祉現場を支える人材の不足はますます顕著になるでしょう。介護や医療に携わる人材には、専門的で高いスキル・知識が必要で、限られた人材の獲得競争は年々激しさを増しています。

仕事内容の割に給与が低いと感じる人も多く、離職につながる要因のひとつです。近年は全産業で人手不足が生じているため、比較的負担が軽く自由度の高い業界を目指す人もいます。

人手不足が企業に与える影響

企業が人手不足を放置すると、事業運営に大きなダメージを与えかねません。厚生労働省の調査では、「人手不足が会社経営に影響を与える」と答えた企業が約7割で、そのほとんどが「負の影響を与える」という回答です。具体的な影響として以下の例が挙げられます。

・既存事業の運営への支障
・技術・ノウハウの伝承が困難
・既存事業における新規需要増加への対応不可
・余力以上の人件費の高騰

これらの問題が長期化すれば、倒産のリスクも大きくなるでしょう。2023年の倒産件数は、前年同期比で増加傾向です。中でも、運輸業は燃料価格高騰やドライバー不足の影響を価格転嫁できず、事業継続を諦める企業もあります。

人手不足の解消のために今すぐ必要な対策とは


人手不足は、企業の事業継続に大きな影響を与える恐れがあります。人手不足の要因はさまざまで、抜本的な解決には多額の費用が必要なケースもあるでしょう。一方、コストをかけずに、すぐに効果が期待できる対策もあります。以下の3つのポイントをチェックし、自社に効果があるか参考にしてみてください。

雇用制度の見直し

すぐに実行できる対策は、雇用制度の見直しです。人手不足に陥る要因のひとつに、従業員のライフイベントによる離職があります。例えば、結婚や出産、介護で以前と同じ生活スタイルが維持できずに離職するケースです。

リモートワークや柔軟な勤務時間の設定を可能にすることで、自分の生活に合った働き方ができ、離職率が下がるかもしれません。

変化への対応力を強化

20代前半で入社した場合、40年近く仕事に従事するのが一般的です。長い期間で世の中は大きく変わり、従業員に求めるスキルも変化するでしょう。研修や資格支援制度を設け、従業員に新たな知識やスキルを学んでもらえば、専門的なスキルが必要な仕事に割り当てられます。

また、空いた時間で副業を許可するのもひとつのアイデアです。スキルを生かして他の業界・企業で新たな知見を獲得すれば、自社にフィードバックできます。

業務の効率化の促進

無駄な業務や外注したほうが効率的な業務を整理することも重要です。業務を効率化する際は、業務プロセスを書き出し、全体を可視化します。重複する作業や並行できる作業、特定の人に負荷が偏っている作業を明確にし、改善ポイントを見つけます。

また、ITツールやアウトソーシングの活用も検討しましょう。自社で全てを賄うより外注するほうが、低コストで高品質な業務ができる場合もあります。

外国人人材の雇用に関する注意事項

労働力人口が減少の一途をたどる日本社会では、外国人を採用する企業も増えています。ただし、外国人人材は日本人と適用される法規制が異なり、採用できるのは日本で就労できる在留資格を持った人材のみです。

2019年4月に新たな在留資格として、特定技能制度が創設されました。日本の産業の中でも特に人手不足が深刻な状況を改善するために設けられた制度で、1号と2号の2種類があります。

特定技能外国人の採用には、紹介料や登録支援機関への登録、入国後のサポートといった費用がかかります。長期的に見れば十分なメリットが得られますが、ある程度の費用が必要な点は考慮しましょう。

人手不足解消の成功事例3選


自社の人手不足の解消を目指す場合、他社の成功事例を参考にするとイメージしやすいでしょう。業種ごとにさまざまな取り組みがありますが、ここでは3つの事例を紹介します。それぞれ異なる課題に対して解決策を講じています。自社の課題と似た事例を見つけて、参考にしてみてください。

職場環境改善による成功例

有限会社栄工業は従業員9名の小規模な企業で、「休みが取りにくい」「出産や介護といったライフステージの変化による離職率が高い」という課題がありました。

新たな取り組みとして、多能工化の推進やテレワークの導入、有給休暇制度の充実、親睦の強化を実施したところ、人手不足解消に成功しています。休みを取りやすくなったことで定着率が向上し、欠員が出ても他の人材がカバーできる体制となりました。また、コミュニケーションが円滑になり、ミスも減って業務効率が向上しています。

経営戦略の見直しによる成功例

旅館業を営む株式会社下部ホテルは、不規則な中抜け勤務の職種も多いため、求人に応募が集まりにくいのが課題でした。解決のために取り組んだのが、マルチタスク化や中抜け勤務の廃止です。

具体的には、接客・フロントのように作業ごとに分かれていた部署を統一し、全員が複数の業務をこなせるようにしました。さらに、早番・中番・遅番のシフト制を導入し、中抜け勤務を廃止することで、繁忙期でも人員を増やさずに既存の従業員で対応が可能です。人件費も削減し、従業員の満足度向上も実現しました。

採用方法の改革による成功例

製造業を営む高木綱業株式会社では、十分な従業員数を有しているものの、将来中核となる高度な技術力を持つ従業員が不足していました。

そこで、定年後も本人が希望する限り再雇用契約で働き続けられるようにし、勤務日数や時間も自分のペースで設定できるように制度を変えています。また、従業員の残業は基本的になくし、必要な場合は所属長の許可を得なければなりません。その結果、シニア人材が安心して働けるようになり、若手人材への教育も積極的に行われています。

人手不足解消への展望はあるのか

建設業界は全体的に労働力が不足しており、高度な知識を必要とする専門職人材も足りていません。近年、建設現場で導入が進んでいるのがICTです。危険な場所での作業をロボットに任せるなど、作業環境と業務効率の改善を図っています。

運送業界では、今後もECの発展による荷物量の増加が予想されています。しかし、依然としてドライバーの確保や配送の効率化が課題です。

高齢化が進む中、医療・福祉の現場でも人手不足は一層厳しさを増すでしょう。近年は外国人人材の採用が進んでいますが、言語・文化の壁を克服しなければなりません。

どの業界でも既存業務の効率化が解決策のひとつで、ITの導入による対策を進めています。

UMWELTは人手不足の解消に最適


人手不足の解決策のひとつは、ITの活用です。「既存業務で扱うデジタルデータを利用する」「既存の作業をITツールで置き換える」といった活用方法が考えられます。

しかし、社内にITの専門家がいないことを理由に、興味はあるのにITが導入できないと悩んでいるケースも多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、TRYETINGの『UMWELT』です。

業務効率化を素早く実現できる

UMWELTは、さまざまな社内データをAIにより分析し、製品の需要予測のような高度なデータ処理をノーコードでできるツールです。従業員の経験に基づく属人的な作業を、誰でも素早く実現できます。

このようなAIツールは、一般的にデータ処理や分析の専門知識を持つ人材が必要で、導入には高いハードルがありました。また、検討から運用開始まで長い期間が必要です。UMWELTは、専門知識がない従業員でも操作が可能で、導入も短期間で済みます。

成功事例

菓子メーカーの春日井製菓様は、生産管理や在庫管理の最適化のために需要予測を行っています。しかし、需要予測業務が属人化し、引き継ぎができないという問題がありました。また、他部門へ需要予測を説明する際に、明確な根拠を提示できない点も課題でした。

UMWELTを導入し、知識や経験の有無に依存しない需要予測を可能にした結果、期待する指標を安価で迅速に得られるようになり、業務の効率化を達成しています。

(参考: 『【春日井製菓様】UMWELT活用事例|ノーコードで予測業務を簡単にし、属人化を撤廃|TRYETING』

まとめ

少子高齢化が進む日本では、人手不足の対策は避けて通れません。現時点で十分な人材を抱えていても、既存の事業を今後も継続するだけではいずれ人手不足に陥る恐れがあります。

人手不足が深刻化している業界では、すでにITによる業務効率化といった対策をしていますが、すぐに成果を得られるとは限りません。効率化の取り組みを早急に始め、試行錯誤を繰り返すことが重要です。AIを搭載した業務効率化ツールの導入をお考えの方は、ぜひUMWELTをご検討ください。

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