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物流業界にAIを導入するメリットとデメリット|導入後の未来も解説

 

ai 物流

新型コロナウイルス感染症の流行によって、物流業界は大きな影響を受けました。新たに発生した課題を解決する手段として、AIの導入を検討している企業様もいるのではないでしょうか。

この記事では、物流業界にAIを導入するメリットや未来像を紹介します。最後までチェックすれば、具体的な導入イメージも浮かぶでしょう。

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物流業界が抱える課題


物流業界にAIを導入するメリットを把握する前に、まずは現状どのような課題があるのかをチェックしましょう。ここでは、5つの課題を紹介します。現時点で把握できていない課題も顕在化してくる可能性があります。

過酷な労働環境

物流業界は、他の産業に比べると年間所得が低い傾向にありながら、長い労働時間が問題視されています。

トラックドライバーの事故が多いのも、労働時間の長さが影響していると考えられます。1日当たり13時間(最大16時間)、かつ15時間以上の拘束は週2日までと定められている労働時間も、全産業平均から比べると長いのが特徴です。

倉庫内でのフォークリフトによる事故も多いことから、物流業界全体の労働環境が過酷といえるでしょう。

高齢化による人材不足

どの産業でも、少子高齢化による人材不足の課題を抱えていますが、物流業界はより問題になっています。トラックドライバーの平均年齢は全産業の平均を超え、早い速度で高齢化が進んでいます。

このような状況になっているのは、若い人材が深夜の運転や長時間労働を行うような仕事を避けているためだと考えられます。トラックドライバーの約4割を50歳以上の人が占めています。このまま高齢化が進めば、事故や他のドライバーの健康にも影響するかもしれません。

積載効率が低下している

EC市場の拡大で、小口配送が増加しています。1回当たりの貨物量が減少し、トラックの許容積載能力よりも大きく下回った状態で配送しているのが現状です。積載効率が40%まで低下したこともあります。

小口化がさらに進むと、荷物の積み降ろしの時間や手間も増えるため、ドライバーの負担は一層増すでしょう。

再配達によるドライバーの負担増

宅配数と同時に、再配達も増えています。2008年の宅配便個数が約32.1億個だったのに対し、2017年には約42.5億個まで増加しています。そのうちの2割が再配達になってしまう荷物です。

再配達を廃止する方法もありますが、ユーザーの利便性が損なわれることから現実的ではありません。

AIは物流業界の課題を解決する手段のひとつ

物流業界が抱えている課題解決のために、働き方を変えたり、配送状況の情報共有を行ったりしている企業様もいるでしょう。画像認識や音声認識などのAI技術は、物流業界の課題を解決する手段のひとつです。

AIの他に、物流システムを一元化して無駄をなくすことや、倉庫などの物流設備の大型化も解決する手段として考えられます。いずれの方法もスピーディーな解決ができるわけではありませんが、物流業界全体に良い影響を与えていくでしょう。

物流業界にAIを導入する5つのメリット


AIは、まるで人のように情報から判断したり、予測したりできる技術です。AIを物流業界に導入すると、人材確保や作業効率などの課題解決にもつながります。ここで紹介する5つのメリットが、自社の課題解決につながるのかイメージしてみましょう。

1.精度の高い物流予測ができる

過去の売上データや気象データなどを活用すると、AIの予測分析ができます。使用するデータが膨大な量であるほど、予測精度をアップできます。

しかし、膨大にあるデータを手作業で解析するのは困難です。AIの機械学習や解析処理を活用すれば、効率化が図れます。

2.需要予測で在庫の過不足を防げる

需要予測ができていないと、在庫不足による販売機会損失や過剰在庫につながります。物流センターにAIを導入すれば、天候のデータや過去のデータなどを活用し、供給量や適正在庫数が見積もれます。

これまで勘や経験に頼っていた需給予測もデータを基に行うため、高精度の予測が可能です。

3.効率の良い配送ルートを予測できる

交通量を予測し、渋滞の回避ルート選びなど最適な配送計画を立てるためにも生かせます。最適な配送計画を立てられるようになると、荷物を運搬する効率化も図れます。いつもの業務量を短時間で済ませられるようになるため、ドライバーの負担も減るでしょう。

4.倉庫管理業務の省人化が可能

物流業界に限らず、業務の繁忙期に人員を増やしても、閑散期がやってくれば人員が余ってしまいます。

AIを導入すれば、棚卸しやバーコードの読み取り、検品作業にかかる時間の予測が可能です。そのため常に人員の最適化を図れます。また、AIを搭載した自動運転対応のフォークリフトを使えば、トラックへの積み降ろしや入出荷作業も人手を省けます。

5.業務上の事故を防げる

現時点では、トラックの自動運転は開発段階のため、実用化に至っていません。トラックのドライバーは、居眠り運転などのリスクを抱えて運転しているのが現状です。

事故を防ぐために、ドライバーの居眠り運転やわき見、スマートフォン操作などを監視できる車内カメラが普及しています。AIが搭載されている車内カメラもあり、捉えた映像から居眠り運転の兆候を判断し、ドライバーへ呼びかけることも可能です。

トラックに限らず、構内で走行するフォークリフトの危険要素を検知し、事故を防ぐ効果もあります。

物流業界にAIを導入する2つのデメリット


物流業界にAIを導入すると、メリットもある一方でデメリットについても目を向けなくてはなりません。予想だにしないデメリットがAI導入の妨げになる恐れもあるため、あらかじめ把握しておきましょう。

AIのマニュアルの設定が必要

社員の誰もがAIを活用するには、ルールやマニュアルを設定しなくてはなりません。ルールやマニュアルは、状況に応じて更新する必要もあるため運用に時間がかかります。時間を費やす必要はありますが、AI導入の効果を発揮させるためには大切です。

導入コストが必要

精度の高いAIを導入するには膨大なデータを収集する時間やコストが必要です。AIは導入してすぐに結果が得られるわけではありません。開発や精度をアップするために、長い時間がかかります。

しかし、AIを導入してあらゆる課題を解決できれば、導入コストを上回る利益が得られるでしょう。

物流現場にAIを導入した事例


AIは物流業界でどのように生かせるのでしょうか。物流業界の中には、すでにAIを現場に投入している企業もあります。ここでは、倉庫作業を行うフォークリフトへのAI活用と発注システムにAIを導入した例を、2社紹介します。

フォークリフトの操作をAIで判定

サントリーロジスティクス株式会社では、倉庫内で荷役作業を行うフォークリフトにAIを活用しています。フォークリフトには、360度周囲を撮影可能なドライブレコーダーが取り付けられ、安全対策に役立てられてきました。

ドライブレコーダーで記録した映像を確認するためには、時間も人も必要です。AIを活用したことで、映像から走行状態やフォークの操作を検知し、危険操作シーンのみを抽出します。

安全係数を算出できるようになったことで、フォークリフト操作の安全水準を示せるようになりました。

『フォークリフト操作のAI判定システムを物流業界で初めて導入|サントリーグループ企業情報』

AI発注システムの導入

コンビニエンスストアを展開する株式会社セブンイレブンジャパンでは、AI発注システムを一部店舗に導入しています。

販売実績やキャンペーン、天気情報などの13要素から、AIが最適な発注数を提案するシステムです。発注数の提案から先の最終的な数量の判断は、担当者が行います。

AIによって物流業界の未来はどうなるか

AI導入によって、現時点で効率化を実現している事例もありますが、導入しなかった場合の将来はどうなるのでしょうか。ここでは、物流業界にAIがさらに浸透した場合の未来予想も合わせて紹介します。自社に置き換えてイメージしてみましょう。

物流倉庫の無在庫化が近づく

EC市場の拡大により、販売経路は多様化し、需要は複雑化しています。そのため、倉庫は過不足のない適切な在庫管理が困難な現状です。
                                        
しかし、AIの需要予測や宅配ロボットなどを活用すれば、倉庫の無在庫化も現実的なものになるかもしれません。倉庫の無在庫が実現できれば、さらに利益を生み出せるでしょう。

企業が二極化される

将来を見据えて、次世代物流システムへ投資し、新たなビジネスモデルを確立できた企業だけが生き残る未来が予測されています。他の企業の様子を見て慎重に行うのか、リスクを負って積極的に投資を行うのかで、自社の未来は変わるでしょう。

TRYETINGのノーコードAI『UMWELT』をご紹介


物流にAIを導入すれば、多くのメリットがあるものの、導入に足踏みをしてしまう企業様もいるのではないでしょうか。導入コストを抑え、誰もが活用できるAIなら、TRYETINGの『UMWELT』がおすすめです。UMWELTの特徴や導入事例を紹介します。

UMWELTならすぐにAI導入ができる

UMWELTは、AIをスピーディーに導入、活用できるのが特長のひとつです。普段使っているデータを使い、数々のアルゴリズムを組み合わせるだけで、需要予測ができます。ノーコードAIのため、プログラミングに関する知識も必要ありません。

UMWELTは、導入後の運用も支援しています。アルゴリズムの組み合わせ方が分からない、予測結果の精度が出ないなどの場合に、カスタマーサクセスが解決まで伴走しサポートします。

UMWELTを導入した3Gサポート株式会社様の事例

3Gサポート様は、物流トラックの状況を、スマートフォンとビーコンで可視化できるシステムにUMWELTを活用しています。これまでトラックの駐車場である「バース」の利用データを収集・解析し、予測まで行っていましたが、精度の高いダイヤは計画できませんでした。

AIを実装したことで、物流ダイヤを最適化し、無駄を省けるようになっています。3Gサポート様は、他のシステムについてもAIを実装する予定です。

『【3Gサポート様】UMWELT活用事例|補助金活用でトラック物流改善システムに荷物量や作業時間を予測する機能を実装|TRYETING』

まとめ

物流にAIを導入すると、過剰在庫や在庫不足による機会損失を防げたり、ドライバーの負担を軽減できたりするなどさまざまなメリットがあります。この先、EC市場が拡大して在庫管理が難しくなるような状況になっても、AIによる需要予測が重宝するでしょう。

導入コストを抑え、スピーディーにAIを導入するなら、TRYETINGのUMWELTがおすすめです。あらかじめ用意されているアルゴリズムを組み合わせる簡単操作だけで、需要予測が行えます。

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