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メタバースとAIの関係や役割は?AIで広がる仮想空間の世界

 

近年、人工知能(AI)分野の急速な発展により、大手IT企業が提供するさまざまなプラットフォームとして幅広く活用されています。また、VR(仮想現実)技術の飛躍的な発展により、「メタバース」という概念も議論されるようになりました。AIは人類にとって素晴らしい技術的恩恵であるにもかかわらず、ディープラーニングなどの概念はまだまだなじみが薄く、実際は理論を理解することがツールを使いこなす上で必須のため敷居が高いのが現状です。また、メタバースとAIとのコラボレーションが実現すれば、社会がよりよく変革していく可能性を秘めています。本記事では、メタバースを実現するためのAIの役割や関係性、AIで広がる仮想空間の世界について解説します。

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メタバースを実現するAIに関する基礎知識

Meta社は、ソーシャルメディアとバーチャルリアリティに特化した企業というイメージがありますが、人工知能(AI)研究にも進出しています。これは、「ディープラーニングのゴッドファーザー」と呼ばれるYannLecan氏を、同社のAI研究所のチーフAIサイエンティストに任命したことからも明らかです。
この事業体のAI研究の特長は、「メタバースのためのAI(実現するためのAI)」を後押しすることです。
メディアジャガーノート「Facebook」は2021年10月に自分たちをMetaと名付け、仮想空間に決定的な投資をすると述べ、Metaverseのアイデアにスポットを当てました。
では、そもそもメタバースとは何を意味するのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

メタバースとは何か

経済産業省の「仮想空間の今後の可能性と課題に関する調査分析事業報告書」(2022年1月21日公表)では、「生産者から購入者までさまざまな領域のサービスやコンテンツを単独で仮想空間内に結びつける」プラットフォームであるとされています。したがって、ここでいう「メタバース」とは、「複数の人が入り込み、共同で利用できる仮想空間」を意味します。

メタバースの市場動向

メタバースAIの領域に踏み込む前に、メタバースに関連する現在の市場動向を見ることから始める必要があります。
2021年12月1日にBloombergが発表した記事によると、XRビジネスは2020年に4787億ドルの価値があり、2024年には7833億ドルの金額までCAGR13.1%で急増すると予測されています。

メタバースとAIの関係性

メタバースは、AIから独立した新しい技術として語られることが多いですが、両者の融合は、仮想空間へのさらなる深化を意味するとも言えます。
GAN(AversarialGenerativeNetworks)などの機械学習を用いることで、デザイン経験のない人でも自分のアバターを作ることができ、その結果、仮想空間の中に別の惑星や巨大な経済圏が誕生する可能性がある点も重要です。
すでに、EpicGames社は、誰もが簡単に作れる精度の高いアバターを作成する「METAHUMANCREATOR」を開発しました。

メタバースに求められるAIの役割

メタバースの実現には、人工知能(AI)が欠かせないと考えています。そのためにAIが行う役割として以下の4つが挙げられます。

ITシステムの自動管理

ユーザーのインタラクションを常に処理し、システム全体をアップデートするメタバースの構築には、AIOpsが不可欠です。
また、既存の監視、アラート、ログ管理ツールにAI技術を統合することで、システムのパフォーマンスと安定性を向上させることができます。
こうすることで、潜在的な問題をよりよく検出し、修復を自動化し、インシデントがアプリケーションのパフォーマンスに与える影響を低減することができます。

また、機械学習アルゴリズムを用いたAIは、利用パターンに応じてほぼリアルタイムでコンピューティングパワーやストレージスペースを増減させることで、メタバースにおける基盤技術スタックの最適化を実現します。
こうした自動化によって、メタバースの需要に十分対応することができるようになります。

コンテンツ制作のサポート

AIは、メタバース内部でのコンテンツ作成を可能にするために使用することができます。ダイナミックで没入感のあるメタバースには、ユーザーからコンテンツを創造できることが重要です。
テキストや画像の生成など、AIを活用したコンテンツ作成技術はますます一般的になっています。
AIを活用することで、リアルな質感や素材、アニメーションの作成をサポートし、ユーザー体験をさらに充実させることができます。AIが生成するコンテンツによって、ユーザーにより豊かで深い体験を提供することができるのです。

スマートコントラクト

メタバース内では、ユーザー間でデジタル資産の交換が活発に行われます。
これには、人気が高まっているNFT(Non-FungibleToken)も関連しており、AIはこのようなCtoCの取引を安全かつ自動的に処理するためのスマートコントラクトの実行に使用することができます。
またAIは、トランザクションの検証や支払いの確実な受け取りなど、さまざまなタスクを実行することができ、パターン認識により、潜在的な不正行為を検出することも可能です。

ユーザー毎のパーソナライズ

パーソナライズされたメタバース体験を実現するためには、パーソナライゼーションが重要な要素となります。
メタバースにおけるユーザーのパーソナライズされた体験を実現するために、AI技術を活用することができます。
AIを使用して、ユーザーの行動からユーザーの興味を検出し、その結果、インターフェースをパーソナライズし、ユーザーへのレコメンデーションをカスタマイズすることができます。
こうすることで、より魅力的で没入感のあるメタバースを構築することができます。

メタバースを日常的に使うための取り組み

2022年2月23日、メタ社はAItoBuildtheMetaverseと銘打った最新の人工知能(AI)研究のお披露目イベント『InsidetheLab』を開催しました。
このイベントは、メタバースという企業の壮大な目標を達成するために必要なAI技術を示すことを目的としています。本イベントでは「メタバースのためのAI」の具体的な内容として、次章でお伝えする、翻訳システムのサポートを受けられない、あるいは文字を書けない世界人口の約半数に翻訳AIを提供することで「言葉の壁」を取り除く事例が紹介されました。他にも人間との会話をよりスムーズにする会話AIを構築することで人間とデバイスの相互作用を強化する構想やInstagramの投稿の採点方法を説明するAIシステムカードツールの提供、ジョージア工科大学と協力して機械学習を教育するオンライン学習プラットフォーム「AILearningAlliance」の設立などが挙げられました。これは、YannLecanの提案によるものです。

MetaによるAI開発の成果

「InsidetheLab」における発表内容をまとめた記事によると、「メタバースのためのAI」の詳細は以下の通りです。今回は、MetaのAI開発の成果を紹介します。

多言語機械翻訳ができる「NLLB-200」

Metaは、NeuralLanguageLibraryBuilder-200(NBLL-200)システムの導入により、「言語の壁」の解消を目指します。NBLLB-200は、世界で広く話されている多くの言語のうち、文字を持たない言語や既存の翻訳システムでサポートされていない言語のための多言語機械翻訳システムを構築するためのAIプラットフォームです。
本プラットフォームは、入力のデコードと出力のエンコードにニューラル機械翻訳層を提供します。
このプラットフォームでは、1つのソース言語から複数のターゲット言語へのデータセット全体を作成することが可能です。
また、この技術により、複数のデバイスでリアルタイムの翻訳が可能になります。

自然な会話をする「ProjectCAIRaoke」

Metaは「ProjectCAIRaoke」として知られる自然な会話のための技術も発表しました。
この技術は、複雑なユーザーの質問を理解し、それに対応するために、いくつかの最先端のAIアプローチを適用しています。
まず、自然言語処理(NLP)システムがユーザーのクエリの意図を解釈し、次に、ディープラーニングモデルが単語の埋め込みを利用してクエリを解釈し、続いてシーケンスツーシーケンス(seq2seq)モデルで最終的な応答を生成します。
この技術には、ユーザーの感情を検出する感情認識モジュールも含まれており、AIとの自然な会話を可能にしています。

音響関連のAI

最後にMetaは、多言語を認識し、3000以上の普遍的な音を正確に検出できる音響関連のAI技術も発表しました。
この技術は、主に動画字幕生成、動画注釈、音声処理など、音に基づく視覚認識タスクに使用されます。
このAIは、異なる顔を区別して、オーディオビジュアル信号からシーンや感情を検出することもできます。

メタバースを進化させるAIの未来

メタバースは、仮想空間を楽しむための新技術として登場しました。
しかし、この新技術をAIと組み合わせることで、新たなレベルの没入型体験を提供することが可能になります。
ここでは、AIを活用したメタバースの未来について詳しく解説します。

AIによるリアルアバターの作成

メタバースは、AIとは独立した新しい技術であるかのように語られることが多いですが、実際は両者の組み合わせによって、より仮想空間に没入することができるようになります。
先述の、敵対的生成ネットワーク(GAN)などの機械学習を活用すれば、デザインスキルのない人でも簡単に自分のアバターを作ることができ、仮想世界にもう一人の自分を作り出せるようになり、仮想空間内にもう一つの世界、あるいは巨大な経済圏が誕生する可能性もありえます。将来的には、AIが自らアバターを作成し、操作できるようになるかもしれません。

仕事や生活でのAIとの共存

AIの発展は、人間の生活に新たな機会を生み出し、人々のテクノロジーとの関わり方を変えてきました。
また、ロボットやその他のAIを活用したソリューションという形で、AIを日常生活に取り入れる可能性も出てきています。
職場では、自動化されたカスタマーサービス・ソリューション、ロボティック・プロセス・オートメーション、インテリジェント・プロセス・オートメーションなどの技術を通じて、AIは人々の仕事の進め方に革命を起こす可能性があります。

さらに、AIは、よりインテリジェントなスケジューリングやリソース管理ソリューションなど、より効率的な働き方の実現に貢献する可能性があります。
また、AIは、意思決定プロセスにおける人間の入力作業を減らし、より正確でタイムリーな意思決定を可能にすることもできます。

AIとの交流や関係の進展

AIが人間の生活にますます溶け込んでいく中で、人々がAIとどのように関わり、関係を形成していくかを考えることは重要です。
将来的には、AIが人々の伴侶となり、あるいは治療の一助となる可能性があると考える専門家もいます。
このような対話は、自然言語処理(NLP)の発達により、AIが人間の入力に反応し、容易に会話に参加できるようになることで可能になります。
さらに、感情AIの利用により、AIが感情を検知・解釈し、共感的な対応をすることが可能になります。

仮想空間での五感の再現

AIとメタバースの領域でもう一つ重要なのが、五感の再現です。
バーチャルリアリティの現状では、没入感のある環境の中で可能な感覚は、視覚と聴覚だけです。
しかし、AIの発展により、いずれは他の3つの感覚も仮想空間内で再現できるようになるかもしれません。

例えば、AIを活用した香り合成を行えば、人は仮想世界の中でさまざまな香りを体験することができます。
また、AIを利用して感覚的な触覚システムを構築し、仮想空間内で触覚や圧力を感じることができるようにすることも可能です。
このように、感覚を仮想空間内で再現することで、完全な没入感を得ることができるのです。

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では、実際に自社のビジネスにAIの技術を落とし込む際、まず始めに必要になるのが、どのシステムを導入すればよいのかということです。
トライエッティング社の「UMWELT」というシステムは、AI技術を初めて導入するのに最適なシステムです。
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AI技術を個々のビジネスに合わせて提供することが、UMWELT導入のメリットです。

まとめ

メタバースとAIを融合させることで、現実世界では難しかった活動をデジタル領域で実行し、ビジネスチャンスを生み出すことが想定されます。
また、AIとメタバースの融合は、テクノロジーとの関わり方を大きく変える可能性を秘めています。
さらに、私たちと同じように、行動するリアルなアバターの作成、仕事や日常生活でのAIとの関わり、さらには仮想空間での五感の再現など、人々の時間の過ごし方に新しい可能性を展開することも予想されます。
今後もAIとメタバースの現代社会への融合に引き続き注視していき、いち早くビジネスへの活用を進めていきましょう。

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