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システムをクラウドにするメリットは?選び方や導入での注意点も解説

 

ビジネスにおけるデータ管理の手段に「クラウド」があります。クラウドは他のシステムと比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。

この記事では、クラウドの仕組みやメリット・デメリット、導入の注意点を解説します。これらを理解することで、より効率的な業務環境を整えられるでしょう。

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システムをクラウドサービスにするメリットは?


メリットを理解するには、クラウドの概要を知る必要があります。クラウドが登場したのは2000年代で、それまではオンプレミスというシステム構築方法が主流でした。ここでは、クラウドの普及状況やオンプレミスとの違い、クラウドでできる主な業務を解説します。

クラウドを利用する企業は増えている

クラウドは、提供会社が構築するシステムをインターネット上で利用できるサービスです。利用者はレンタル料を支払えば、必要な機能を利用できます。

総務省が実施した通信利用動向調査によると、クラウドサービスを利用する企業の割合は以下のように推移しています。小規模から利用できることや利便性が高いことを理由に、業務に採用する企業は増加傾向です。

年代 クラウドサービスを「全社的」または「一部」に利用する企業の割合
2017 56.90%
2018 58.70%
2019 64.70%
2020 68.70%
2021 70.40%

(参考:『令和4年版情報通信白書|総務省』

オンプレミスとの違いはシステムの構築方法

オンプレミスとは、自社でソフトウエア・ハードウエアを用意し、システムを構築・運用する方法です。クラウドの登場に伴い、オンプレミスという呼び名が普及しました。

オンプレミスは、アプリケーションのインストール、サーバーの購入、システムの設定・カスタマイズ、アップデートなど、導入から運用まで自社で行う必要があります。一方、クラウドはこれらの作業を他社が担い、自社は必要なときに必要な分を借りるだけです。

クラウドでできる主な業務

総務省が実施したクラウドサービスの利用内訳(2021年)に関する調査では、「ファイル保管・データ共有:61.0%」「電子メール:52.6%」「社内情報共有・ポータル:52.0%」が上位を占めています。クラウドでできる主な業務は、以下の通りです。

・ファイルの保存
・データ共有
・電子メール
・社内情報共有、ポータル
・バックアップ、アプリケーション開発
・データ分析

上記の業務を時間・場所を問わずにどの端末でも実行できます。

システムをクラウドサービスにするメリット


システムをクラウドサービスにすることで、肉体的・経済的にさまざまなメリットを得られます。主なメリットは6つです。クラウド化するメリットを知れば、従来のオンプレミスとは違った魅力を発見できるでしょう。

初期投資を抑えられる

クラウドは、オンプレミスのように自社でサーバーのような設備を購入し、システムを開発する必要がありません。システムを構築するための人件費も不要です。

クラウドサービスの導入コストは提供会社によってさまざまで、無料の場合もあれば、初期設定・契約費用が必要な場合もあります。いずれにしても、オンプレミスのような大きな初期投資はかかりません。

運用コストを削減できる

クラウドは、オンプレミスより運用コストも抑えられます。オンプレミスはサーバーのメンテナンス費やバージョンアップ費、運用に関わる維持費、人件費が必要です。クラウドは、これらの費用が生じる業務を提供会社に任せられます。

一般的に、クラウドサービスは従量課金制です。金額設定は提供会社ごとに異なりますが、必要なだけのリソースを借りられます。基本的にバージョンアップによる追加費用も発生しません。

導入までの期間が短い

クラウドの利用に必要なのは、デバイスとインターネット環境のみです。オンプレミスのようにソフトウエア・ハードウエアの選定や調達、システム構築の手間がかかりません。導入期間の目安はオンプレミスが数か月に対し、クラウドは数日〜数週間です。

容量を追加する場合もすぐに変更できるため、自社でサーバーを拡張する必要はありません。既存の環境に最低限必要な容量と機能で始められます。

最新のセキュリティー対策ができる

近年のデジタル化や働き方の変化に伴い、企業が管理するデバイスの数は増加し、これらに対応するセキュリティー対策が必要です。しかし、自社で強固なセキュリティー対策を講じるには、大きなコストがかかります。

オンプレミスの場合、障害に備えて自社でハードウエアも常に監視しなくてはなりません。一方、クラウドサービス提供会社はサーバー群を世界各国のデータセンターに分散して設置し、高い安全性を確保しています。

世界基準のセキュリティーガイドラインや他国で検知したウイルスを反映することから、常に最新のセキュリティー環境で運用が可能です。

データインフラストラクチャーの拡大や縮小ができる

クラウドは、拡張性が高い点も魅力です。「拡張性が高い」とは、目的や需要の変化に対して、データインフラストラクチャーを柔軟に拡大・縮小できることを指します。主なメリットは以下の通りです。

・使用量や使う人数に応じて、データ容量やアカウント数を変更できる
・各種ツールやアプリケーションにより、同じシステムでさまざまな機能を実行できる
・ハードウエア障害やトラフィックの急増が起きても問題なく稼働できる
・1つのデータ構造を複数のシステムやプロジェクトに活用できる

いつでも利用と共有ができる

クラウドは、IDとパスワードが分かればインターネットを通してアクセスできるため、「自宅でパソコンを使う」「外出先でスマートフォンを使う」といった多様な働き方への対応が可能です。

クラウド上に保管するデータは、複数人で共有できます。同じデータへ同時にアクセスし、閲覧・編集も可能です。メールや外部メモリを使わずとも、特定の場所に保管することで、データがすぐに見つかります。

4つのクラウドモデルの種類とメリット


クラウド環境を構築するモデルは、主に4種類です。ここでは、それぞれのクラウドモデルの特徴とメリットを紹介します。クラウドモデルの選択は、自社に合った運用を実現する重要なポイントであるため、しっかりと理解しましょう。

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、サービス提供会社が構築した環境を他のユーザーと共同で利用するモデルです。既存のサービスから必要なものをレンタルし、組み合わせて利用します。

以下は、パブリッククラウドのメリットです。「コストや手間をかけずに導入したい」「状況に応じて柔軟に規模・サービス内容を変更したい」と考えている方に向いています。

・コストを抑えられる
・申し込むだけで利用できる
・柔軟にサービスの追加や停止ができる
・運用をサービス提供会社に任せられる

プライベートクラウド

プライベートクラウドは、クラウド上に独自の環境を構築するモデルです。他のユーザーが利用することはありません。

導入・運用に手間とコストがかかりますが、自社独自の環境を専有することで以下のメリットが享受できます。「独自性の高いシステムを求めている」「機密情報・個人情報を扱う」といった企業におすすめです。

・セキュリティーが高い
・自由に構築し、カスタマイズできる

マルチクラウド

マルチクラウドは、複数のクラウドサービスを併用したモデルです。複数のサービスと契約するため、管理する手間やコストがかかります。しかし、目的に応じて各クラウドの長所を利用することで、最適なクラウド環境の実現が可能です。

マルチクラウドには以下のメリットがあり、すでに主流になりつつある方法です。特に、複数拠点を結ぶネットワーク構築や複数のサイト運営を目的とした場合に適しています。

・複数の機能をカスタマイズできる
・1つの提供会社に依存しないため、乗り換えがしやすい
・サーバーダウンのようなリスクを分散できる

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス(物理サーバー)を組み合わせたモデルです。

マルチクラウドが複数のクラウドサービスを併用するのに対し、ハイブリッドクラウドはこれらの要素を1つのシステム内で組み合わせて利用します。例えば、機密性の高いデータはプライベートクラウドやオンプレミスで管理するなど、柔軟な利用が可能です。

ハイブリッドクラウドの特徴は、オンプレミスを含む他のモデルの特徴を生かせる点です。一方、各モデルの運用知識・スキルが必要な点に注意しましょう。

・セキュリティーが高い
・プライベートクラウドやオンプレミスと比べてコストを抑えられる
・リスクを分散できる

クラウドのデメリットは?導入での注意点


ビジネスに新しい技術を導入するときは、メリットだけでなくデメリットの理解も必要です。クラウドのデメリットは、他社が構築・管理する環境を利用するという特性が関係します。ここでは、クラウド導入による4つのデメリットを解説します。

インターネット環境が必要になる

インターネットがつながらないと、クラウドを利用できません。近年企業のクラウド化が進んでいますが、ネットワーク回線への負担が増大すると、通信速度の低下やアクセス障害による不安定化のリスクが高まります。

そのため、クラウドを利用するには高速で安定的なインターネット環境が必要です。クラウドを導入するタイミングで、インターネット環境の強化も検討しましょう。

カスタマイズの範囲に制限がある

クラウドのカスタマイズ性は、サービス提供会社が設定する機能・容量に依存します。要件定義やシステム設計の工程がない分、カスタマイズの範囲に制限があり、1つのサービスではオンプレミスのカスタマイズ性に及びません。

API連携が可能なサービスやマルチクラウド・ハイブリッドクラウドを利用すると、解決できる場合もあります。特に、影響する領域が大きいシステムへは、これらの方法を検討するとよいでしょう。

サービス変更の可能性がある

クラウドは、サービス提供会社が仕様や料金を変更できます。業務環境やコストの急な変化は大きな負担がかかり、システム障害が起これば、復旧までに時間を要することもあるでしょう。

急にサービスが終了するケースもゼロではありません。クラウドサービスの市場競争が激化するほど、そのリスクは上がるでしょう。

中には、長期間ログイン形跡が見られないアカウントは削除するサービスもあるため、導入前に利用規約を確認することが大切です。

データ消失のリスクがある

サービス提供会社ができる限りの対策を講じているとはいえ、災害でサーバーが故障し、データが消失するリスクもあります。インターネットを利用する仕組みのため、サイバー攻撃による情報漏れのリスクもゼロではありません。IDとパスワードが流出し、第三者が悪用する恐れもあります。

重要なデータに関しては、「クラウドと別の場所に定期的にバックアップを取る」「セキュリティーの高いサービスを選ぶ」といった対策を取りましょう。

クラウドサービスを選ぶときのチェックポイント


さまざまな会社がクラウドサービスを提供しています。クラウドのメリットを享受し、デメリットを避けるには、自社に合ったサービスの選定が必要です。ここでは、クラウドサービスを選ぶ際のチェックポイントを5つ紹介します。

クラウドサービスの種類の理解

クラウドサービスは、提供するものの違いによって3種類に分けられます。それぞれの名称と特徴は以下の通りです。

SaaS
(Software as a Service)
メールやスケジュールといったソフトウエア機能を提供するサービス。低コストで、導入・利用共にスムーズ。扱いに専門性は不要。
PaaS
(Platform as a Service)
アプリケーションの開発に必要な環境を提供するサービス。開発環境の設計、構築、運用にかかるコストと手間を削減し、開発作業に集中できる。
IaaS
(Infrastructure as a Service)
サーバー、ストレージ、ネットワークといったITインフラを提供するサービス。プログラミング言語やOS(基本ソフト)を自由に選択でき、理想の開発環境を構築できる。

ベンダーのセキュリティ水準

情報漏れを避けるポイントとして、サービスを提供するベンダーのセキュリティー水準があります。暗号化通信やIPアドレス制限、端末認証の有無を確認しましょう。

セキュリティーの国際的な基準を満たしているかという点も重要です。代表的な例として「ISMSクラウドセキュリティー認証」や「CS(クラウドセキュリティー)マーク」を取得していれば、セキュリティー水準が高いベンダーと判断できます。

データ容量の把握

企業によって必要なデータ容量は異なります。自社が必要な容量を利用できるように、クラウドサービスのデータ容量上限を把握しましょう。

目安として、テキストデータだけを扱う企業であれば、数ギガバイトで十分です。動画や画像のような容量の大きいデータを扱う場合、数テラバイトまたは容量無制限のサービスプランをおすすめします。

データ容量を後で拡張できるプランもありますが、想定外の出費を避けるためにも、十分な容量を確保するとよいでしょう。

導入費用とパフォーマンスのバランス

クラウドサービスは安さだけでなく、コストパフォーマンスに優れているかが重要です。過剰にコストを抑えようとすると、十分な機能を利用できません。他のツールで機能性をカバーする場合、トータルコストが増える恐れがあります。

まずは、必要な機能を満たすクラウドサービスをいくつかピックアップし、コストを比較するとよいでしょう。

導入前後でのサポートの有無

IaaSを構築・運用するには、一定の専門知識が必要です。他のサービスを含め、システムやツールの扱いに慣れていない場合、苦労することも考えられます。

クラウドサービスを選ぶ際は、サポート体制の有無やサポートの対応範囲を確認しましょう。導入前の相談からシステム構築、運用のトラブル解決まで幅広く対応してくれるサポートが理想です。

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また、外部のアプリケーションや基幹系システムとのデータ連携が可能です。カスタマーサクセスによるサポート体制を備え、課題が生じたときはデータ分析の専門家が解決に導きます。

まとめ

クラウドは、インターネットを介してサービス提供会社のシステムを利用する仕組みです。オンプレミスと比べて、さまざまなメリットがあります。

モデルや提供サービスによって特徴が異なるため、自社に必要な容量・機能を理解して、最適なサービスを選択することが大切です。

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