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失敗しないAI開発の進め方|企画から実装までのロードマップと開発手法を比較解説

失敗しないAI開発の進め方|企画から実装までのロードマップと開発手法を比較解説

AI開発を進めたいが、何から着手すべきか、費用はいくらかかるのかお悩みではありませんか。本記事では、企画から実装、運用までの具体的なロードマップを5つのフェーズで徹底解説します。

AIで解決すべき課題の見つけ方から、PoCの進め方、最適な開発手法の選び方、外注先の選定ポイントまで網羅。AI開発の成功は、目的の明確化と適切なプロセスにあります。この記事を読めば、失敗しないAI開発の進め方が全てわかります。

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1. AI開発プロジェクトを始める前に押さえるべきこと

AI開発は、単に最新技術を導入する活動ではありません。ビジネス上の課題を解決し、新たな価値を創出するための重要な経営戦略です。しかし、目的が曖昧なままプロジェクトを開始してしまうと、期待した成果が得られず、多額の投資が無駄になるリスクも少なくありません。AI開発の成否は、この準備段階で8割が決まると言っても過言ではないでしょう。

本章では、失敗しないAI開発プロジェクトをスタートするために、企画・構想の前に必ず押さえておくべき2つの重要事項について詳しく解説します。

1.1 AIで解決すべき課題の見つけ方

AI開発の第一歩は、「AIを使って何をするか」ではなく、「自社のどの課題を解決するか」を明確にすることです。AIはあくまで課題解決の手段であり、解決すべき課題が的確でなければ、その効果を最大限に引き出すことはできません。課題を見つけるためには、以下の2つのアプローチが有効です。

1.1.1 トップダウンアプローチ:経営課題から深掘りする

経営層が掲げる事業戦略や経営目標から、AIで解決可能な課題を特定する方法です。「売上を5年で2倍にする」「業界シェアNo.1を目指す」といった大きな目標を達成するためのボトルネックを洗い出し、その解消にAIを活用できないかを検討します。例えば、新規顧客獲得が課題であれば「AIによるマーケティング施策の最適化」、利益率の改善が課題であれば「AIによる需要予測で在庫を最適化」といった具体的なテーマに落とし込んでいきます。

1.1.2 ボトムアップアプローチ:現場の業務課題から拾い上げる

日常業務を行っている現場の従業員から、非効率な作業や属人化している業務、改善したい点をヒアリングし、課題を収集する方法です。現場には「この繰り返し作業に時間がかかりすぎる」「ベテランの勘に頼っていて若手が育たない」といった、生産性向上のヒントが数多く眠っています。これらの声を集め、AIによる自動化や判断支援が有効な課題を特定します。

これらのアプローチで洗い出した課題は、AIによる解決が適しているかどうかを見極める必要があります。以下の表を参考に、課題を整理してみましょう。

AI活用のための課題整理フレームワーク
評価項目 内容 具体例
データの有無 AIの学習に必要なデータが十分に存在するか、または収集可能か。 過去の販売実績データ、顧客の行動ログ、設備のセンサーデータなど。
反復性・再現性 特定のルールやパターンに基づいて繰り返し行われる業務か。 書類の仕分け、問い合わせ対応、製品の外観検査など。
予測・最適化の必要性 将来の数値を予測したり、複数の選択肢から最適なものを選んだりする必要があるか。 来月の需要予測、最適な配送ルートの決定、広告予算の配分など。
課題の重要度 その課題を解決することが、ビジネスに大きなインパクトを与えるか。 コスト削減、売上向上、顧客満足度の向上、従業員の負担軽減など。

1.2 目的の明確化と費用対効果(ROI)の試算

解決すべき課題が定まったら、次にAI開発の「目的」を具体的かつ定量的に設定します。目的が明確であれば、プロジェクトのゴールがぶれることなく、関係者全員が同じ方向を向いて進むことができます。

1.2.1 SMARTの法則で目的を具体化する

目的設定には、目標達成のフレームワークである「SMARTの法則」を活用するのが効果的です。

  • Specific(具体的):誰が読んでも同じ解釈ができる、具体的な目標か。
  • Measurable(測定可能):目標の達成度を客観的に測れる指標があるか。
  • Achievable(達成可能):現実的に達成できる目標か。
  • Relevant(関連性):企業の経営戦略や事業目標と関連しているか。
  • Time-bound(期限):いつまでに達成するのか、期限が明確か。

例えば、「AIで業務を効率化する」という曖昧な目的ではなく、「AI OCRを導入し、請求書処理業務にかかる時間を現状の月間100時間から、6ヶ月後までに20時間に削減する」のように、SMARTの法則に沿って具体化します。

1.2.2 費用対効果(ROI)を試算し、投資判断を下す

AI開発には、安くない投資が必要です。その投資がビジネスに見合うものかを判断するために、費用対効果(ROI:Return on Investment)の試算は不可欠です。ROIは以下の計算式で算出できます。

ROI (%) = (導入による利益増加・コスト削減額 – 投資額) ÷ 投資額 × 100

試算にあたっては、投資(コスト)と効果(リターン)の両方を可能な限り洗い出します。

ROI試算のための要素
分類 項目 内容の例
投資(コスト) 開発費用 人件費(AIエンジニア、データサイエンティスト)、コンサルティング費用、ツール・ライセンス費用
インフラ費用 サーバー費用、クラウドサービス利用料、GPU利用料
運用・保守費用 モデルの監視・再学習費用、システムメンテナンス費用、担当者の人件費
効果(リターン) 定量的効果 人件費の削減、生産性向上による売上増加、ミスの削減による損失防止、マーケティング効果の向上
定性的効果 従業員の創造的な業務へのシフト、ノウハウの形式知化、データドリブンな意思決定文化の醸成、企業競争力の強化

初期段階では正確な数値を出すことは難しいかもしれませんが、概算でもROIを試算することで、プロジェクトの優先順位付けや経営層への説明責任を果たすための重要な判断材料となります。この段階で投資対効果が見合わないと判断された場合は、課題設定やアプローチ方法を再度見直すことが賢明です。

2. AI開発のロードマップ【5つのフェーズ】

AI開発は、単にプログラムを書くだけの作業ではありません。ビジネス課題の発見から始まり、実用化、そして継続的な改善まで、体系的なプロセスを経て初めて成功へと導かれます。ここでは、失敗しないAI開発プロジェクトを進めるための標準的なロードマップを「企画・構想」「PoC(概念実証)」「開発・実装」「運用」「改善・拡張」の5つのフェーズに分けて、それぞれの目的と具体的なタスクを詳しく解説します。

各フェーズの役割を理解することで、プロジェクト全体の進捗管理やリスクの早期発見が可能になります。

AI開発ロードマップの全体像
フェーズ 主な目的 主なタスク 主な成果物
フェーズ1:企画・構想 ビジネス課題の特定とAI活用の方向性決定 ・現状業務の分析
・課題の洗い出し
・AI適用の妥当性評価
・目標(KPI)設定
・費用対効果(ROI)の試算
・企画書
・要件定義書(案)
・プロジェクト計画書
フェーズ2:PoC 技術的な実現可能性と投資対効果の検証 ・データ収集とアセスメント
・プロトタイプモデル開発
・精度・効果の評価
・Go/No-Go判断
・PoC報告書
・プロトタイプモデル
・検証済みデータセット
フェーズ3:開発・実装 本番環境で稼働するAIシステムの構築 ・データ前処理の本格化
・AIモデルの本格開発・チューニング
・システム設計・開発
・既存システムとの連携
・AIモデル
・AIを組み込んだシステム/アプリケーション
・各種ドキュメント
フェーズ4:運用 実業務でのAIシステム稼働と定着 ・本番環境へのデプロイ
・システムパフォーマンスの監視
・利用者へのトレーニング
・問い合わせ対応
・安定稼働するシステム
・運用マニュアル
・モニタリングレポート
フェーズ5:改善・拡張 AIモデルの性能維持・向上と適用範囲拡大 ・モデル精度の定期的な評価
・追加データによる再学習
・新機能の追加開発
・他部署・他業務への横展開
・高精度化されたAIモデル
・機能拡張されたシステム
・横展開計画書

2.1 フェーズ1:企画・構想

AI開発プロジェクトの成否を分ける最も重要なフェーズです。ここで目的が曖昧なまま進めてしまうと、後のフェーズで手戻りが発生したり、完成したAIが使われないといった事態に陥ります。

2.1.1 ビジネス課題の特定

まず初めに、「何のためにAIを開発するのか」を明確にします。自社の業務プロセスを詳細に分析し、「人手不足で検品作業に時間がかかっている」「勘と経験に頼った需要予測で過剰在庫が発生している」といった具体的なビジネス課題を洗い出します。その中から、AI技術を用いることで解決が見込める課題を特定します。
AIは万能ではないため、RPAや既存システムの改修など、他の手段が適していないかも含めて慎重に検討することが重要です。この段階で、現場の担当者へのヒアリングは欠かせません。

2.1.2 AI活用の方向性決定

課題が特定できたら、それを解決するためのAI活用の具体的な方向性を定めます。例えば、「検品作業」という課題に対しては「画像認識AIを用いて製品の傷や汚れを自動検出する」といった具体的な活用イメージを描きます。さらに、「検品精度を99%以上に向上させる」「作業時間を50%削減する」といった、達成すべき目標を数値(KPI)で設定します。

これにより、プロジェクトのゴールが明確になり、後の効果測定も容易になります。開発にかかる費用と、KPI達成によって得られる効果を比較し、費用対効果(ROI)を試算することも、投資判断のために不可欠です。

2.2 フェーズ2:PoC(概念実証)

PoC(Proof of Concept)とは、企画・構想フェーズで立てた仮説が、技術的に実現可能か、そして本当にビジネス上の効果が見込めるのかを、本格開発に入る前に小規模に検証するプロセスです。スモールスタートでリスクを最小限に抑えながら、プロジェクトの成功確度を高めることを目的とします。

2.2.1 技術的実現可能性の検証

AI開発では、利用できるデータの質と量がモデルの精度を大きく左右します。この段階では、実際に利用可能なデータを収集し、そのデータで目標とする精度が達成できる見込みがあるかを検証します。データの不足や偏り、ノイズの多さなどがこの時点で明らかになれば、データ収集方法の見直しや、場合によってはプロジェクトの中止といった早期の判断が可能になります。

2.2.2 小規模なプロトタイプ開発

収集した一部のデータを用いて、簡易的なAIモデル(プロトタイプ)を開発します。ここでは完璧なモデルを目指すのではなく、あくまで「実現可能か」「効果はありそうか」を判断するための最低限の機能を実装します。このプロトタイプによる検証結果をもとに、費用対効果を再評価し、本格的な開発フェーズに進むかどうかの最終的な意思決定(Go/No-Go判断)を行います。

2.3 フェーズ3:開発・実装

PoCで得られた知見と検証結果に基づき、本番環境で実際に稼働するAIシステムを本格的に構築していくフェーズです。データサイエンティストやAIエンジニア、システムエンジニアが中心となって作業を進めます。

2.3.1 本格的なモデル開発

PoCで使用したデータだけでなく、利用可能なすべてのデータを対象に、クレンジングやフォーマット統一といった「データ前処理」を本格的に行います。質の高い学習データを用意した上で、目的に応じた最適な機械学習アルゴリズム(例:需要予測なら時系列分析モデル、画像分類ならCNNなど)を選択し、モデルの学習と評価を繰り返します。目標とする精度に達するまで、パラメータの調整(チューニング)を何度も行い、AIモデルの性能を最大限に高めていきます。

2.3.2 既存システムへの組み込み

開発した高精度なAIモデルは、それ単体ではビジネス価値を生みません。現場の担当者が実際に利用できるよう、既存の業務システムやアプリケーションに組み込む必要があります。例えば、AIによる予測結果を販売管理システムに表示させたり、画像認識AIを工場の生産ラインに設置したカメラと連携させたりします。他のシステムとスムーズにデータをやり取りできるよう、API(Application Programming Interface)を設計・開発することもこのタスクに含まれます。

2.4 フェーズ4:運用

開発・実装したAIシステムを実際の業務環境で稼働させ、ビジネス上の価値を創出し始めるフェーズです。システムを安定稼働させ、現場に定着させることが主な目的となります。

2.4.1 実環境での稼働とモニタリング

テストを終えたAIシステムを本番環境へ移行(デプロイ)し、実際の業務での利用を開始します。運用開始後は、システムが正常に稼働しているか、AIモデルの予測精度が想定通りに出ているかなどを継続的に監視(モニタリング)します。予期せぬデータが入力された際のエラー検知や、サーバーの負荷状況などを監視し、問題が発生した際に迅速に対応できる体制を整えておくことが重要です。

2.4.2 現場への定着支援

新しいシステムを導入する際は、現場の協力が不可欠です。AIシステムの使い方について、担当者向けの研修会を実施したり、分かりやすいマニュアルを作成したりして、スムーズな移行を支援します。また、実際に使ってもらう中で出てきた疑問や要望を吸い上げるためのヘルプデスクを設置することも有効です。現場からのフィードバックは、後の改善・拡張フェーズにおける貴重な情報源となります。

2.5 フェーズ5:改善・拡張

AI開発は、システムをリリースして終わりではありません。ビジネス環境の変化に対応し、AIの価値を最大化し続けるためには、継続的な改善と拡張が不可欠です。

2.5.1 モデルの再学習と精度向上

市場のトレンドや顧客の行動パターンは常に変化するため、最初に開発したAIモデルは時間と共に精度が劣化していく「モデルの陳腐化」という現象が起こります。そのため、運用中に蓄積された新しいデータを定期的に追加してモデルを再学習(リトレーニング)させ、常に高い精度を維持する必要があります。この一連のプロセスを効率的に行うための仕組みがMLOps(Machine Learning Operations)です。

2.5.2 機能追加と適用範囲の拡大

運用を通じて得られた現場のフィードバックや、新たなビジネスニーズに基づき、AIシステムに機能を追加していきます。また、一つの部門で成功したAI活用事例を、他の部門や関連業務へ横展開することも検討します。例えば、ある製品の需要予測で成功したモデルを、他の製品群にも適用していくことで、投資対効果をさらに高めることができます。このように改善と拡張のサイクルを回し続けることで、AIは企業にとって競争力の源泉となります。

3. 【目的別】最適なAI開発手法の選び方

AI開発プロジェクトを成功させるには、自社の目的やリソースに合った開発手法を選択することが不可欠です。AI開発の手法は、大きく分けて「自社開発(内製化)」「外部委託(外注)」「ノーコード/SaaS活用」の3つに分類されます。それぞれにメリット・デメリットがあり、解決したい課題、予算、開発期間、社内の技術力などを総合的に考慮して、最適なアプローチを見極める必要があります。ここでは、各手法の特徴を詳しく解説します。

3.1 自社開発:内製化でノウハウを蓄積

自社開発(内製化)は、AIエンジニアやデータサイエンティストを自社で雇用または育成し、企画から開発、実装、運用までを一貫して社内で行う手法です。AIを事業の中核に据え、長期的な競争優位性を築きたい企業に適しています。

3.1.1 メリット

  • 技術・ノウハウの社内蓄積:開発プロセスを通じて得られた知見やスキルが企業の資産となり、将来のAI活用や新たなサービス開発に繋がります。
  • 高い柔軟性と迅速な対応:外部との調整が不要なため、仕様変更や機能改善、トラブルシューティングにスピーディかつ柔軟に対応できます。アジャイル開発との親和性も高いです。
  • 強固なセキュリティ:機密性の高い顧客データや独自技術を外部に出す必要がないため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
  • 長期的なコスト効率:初期投資は大きいものの、一度開発体制が整えば、複数のプロジェクトを比較的低コストで展開できる可能性があります。

3.1.2 デメリット

  • 高い初期コストと人材確保の難易度:専門人材の採用・育成コストや、高性能なサーバー(GPUなど)を含む開発環境の構築に多額の費用がかかります。また、優秀なAI人材の採用競争は非常に激しいのが現状です。
  • 開発期間の長期化リスク:社内に十分な知見がない状態から始めると、技術選定やモデル構築に時間がかかり、プロジェクトが長期化する傾向があります。
  • プロジェクト頓挫時の損失:PoC(概念実証)の結果、期待した成果が得られなかった場合でも、それまでに投じた人件費や設備投資が大きな負担となるリスクがあります。

3.2 外部委託(外注):専門知識とリソースを確保

外部委託(外注)は、AI開発を専門とするベンダーにプロジェクトを依頼する手法です。社内に専門知識やリソースがない場合でも、スピーディに高品質なAIシステムを構築できるため、多くの企業で採用されています。依頼する範囲は、企画のコンサルティングからPoC、開発、運用保守まで多岐にわたります。

3.2.1 メリット

  • 専門知識と最新技術の活用:AI開発のプロフェッショナルが持つ豊富な経験と最新の技術的知見を活用できるため、開発経験がない企業でも自社の課題に最適なAIを開発できます。
  • 開発リソースの即時確保:自社で人材を採用・育成する手間と時間をかけずに、必要なスキルセットを持つ開発チームを迅速に確保できます。
  • 開発期間の短縮とスケジュールの明確化:経験豊富なベンダーは開発プロセスを熟知しているため、自社開発に比べて開発の遅延リスクが低く、計画通りにプロジェクトを進めやすいです。
  • リスクの限定:プロジェクトが失敗した場合の損失を、契約範囲内に限定できます。自社で人材を抱え続けるリスクを回避できるため、特にPoCフェーズで有効です。(既存記事の「開発状況次第で損切りが可能」に相当)

3.2.2 デメリット

  • 高額な開発費用:専門家の人件費や管理費が含まれるため、一般的に自社開発やSaaS利用よりも費用は高額になります。
  • 社内にノウハウが蓄積しにくい:開発のコアな部分を外部に依存するため、プロジェクトが終了すると社内に技術的な知見が残りにくいという課題があります。
  • ベンダー選定の難しさ:AI開発会社によって得意な領域や技術レベルは様々です。品質にばらつきがあるため、実績や専門性を慎重に見極めないと、期待した成果物が得られない可能性があります。
  • コミュニケーションコストの発生:要件定義や仕様変更、進捗確認など、社外のチームと円滑に連携するための密なコミュニケーションが不可欠です。

3.3 ノーコード/SaaS活用:スピーディかつ低コストに導入

プログラミングの知識がなくても、画面上の操作だけでAIモデルを構築・活用できる「ノーコードAIプラットフォーム」や、特定の業務課題(需要予測、画像認識など)に特化したAI機能をサービスとして利用する「AI-SaaS」を活用する手法です。AI導入のハードルを大幅に下げ、DX推進の第一歩として注目されています。

3.3.1 メリット

  • 圧倒的な導入スピードと低コスト:専門家による開発が不要なため、数週間から数ヶ月という短期間でAIを導入できます。多くは月額課金制で、初期費用を抑えてスモールスタートが可能です。
  • 専門人材が不要:データサイエンティストやプログラマーがいなくても、業務を理解している現場担当者が主体となってAIの構築や運用を行えます。
  • 容易な効果検証:手軽に導入できるため、本格的な開発プロジェクトに移行する前のPoC(概念実証)として活用し、AI導入の費用対効果を素早く検証するのに適しています。

3.3.2 デメリット

  • カスタマイズ性の低さ:提供される機能の範囲内でしか利用できず、自社特有の複雑な要件や独自のアルゴリズムを実装することは困難です。
  • モデルのブラックボックス化:AIの予測結果の根拠(なぜその結論に至ったか)を詳細に分析できない場合があります。説明責任が求められる業務への適用には注意が必要です。
  • 機能・連携の制約:プラットフォームによって対応できるデータの種類や、既存システムとの連携方法に制約がある場合があります。
AI開発手法の比較
比較項目 自社開発(内製化) 外部委託(外注) ノーコード/SaaS活用
コスト 高(特に初期投資) 高(プロジェクト単位) 低(月額課金など)
開発期間 長い 比較的短い 非常に短い
必要な専門知識 非常に高い 不要(ベンダーが対応) 不要
カスタマイズ性 非常に高い 高い 低い
社内ノウハウ蓄積 しやすい しにくい ほとんどない
向いている企業 AIをコア技術とし、継続的に投資できる企業 専門人材が不在で、迅速に課題解決したい企業 AI導入の第一歩としてスモールスタートしたい企業

4. AI開発を外注する際の重要ポイント

AI開発を外部の専門企業に委託(外注)することは、専門知識やリソースを迅速に確保し、プロジェクト成功の確度を高める有効な手段です。しかし、パートナーとなる開発会社の選定を誤ると、期待した成果が得られないばかりか、多額の投資が無駄になるリスクも伴います。ここでは、AI開発の外注先を選定する際に、失敗を避けるために必ず確認すべき重要なポイントを3つの観点から解説します。

4.1 開発会社の得意領域と実績を確認する

AI開発と一口に言っても、その技術領域は多岐にわたります。外注先を選定する最初のステップは、自社の課題解決に最適な技術力と経験を持つ会社を見極めることです。Webサイトの情報だけでなく、直接ヒアリングを行い、具体的な実績を深掘りしましょう。

4.1.1 得意な技術領域・業界の確認

AI開発会社には、それぞれ得意とする技術領域や業界ドメインがあります。例えば、画像認識、自然言語処理、時系列データに基づく需要予測、強化学習を用いた最適化など、専門性は様々です。自社のプロジェクトが「製造ラインでの不良品検知」であれば画像認識技術に、「顧客からの問い合わせ自動応答」であれば自然言語処理に強みを持つ会社を選ぶ必要があります。

また、製造業、金融、医療、小売といった特定の業界に関する深い知見(ドメイン知識)を持つ会社であれば、ビジネス課題への理解が早く、より的確な提案が期待できます。

4.1.2 具体的な開発実績・導入事例の確認

過去の実績は、その会社の技術力とプロジェクト遂行能力を測る最も重要な指標です。特に、自社が抱える課題と類似したプロジェクトの経験があるかは必ず確認しましょう。実績を確認する際は、どのような課題に対して、どのようなアプローチでAIを開発し、最終的にどのような成果(業務効率化、コスト削減率、売上向上など)に繋がったのか、具体的な数値を含めてヒアリングすることが重要です。

開発実績の確認チェックリスト
確認項目 チェックポイント
類似プロジェクトの実績 自社の業界や解決したい課題と近い開発実績があるか。
プロジェクトの規模と役割 どのような規模のプロジェクトで、どの範囲(企画、開発、運用)を担当したか。
導入後の成果 開発したAIがビジネスにどのような効果をもたらしたか(ROI、KPIの変化など)。
技術スタック どのようなプログラミング言語、フレームワーク、クラウド環境を使用したか。
データサイエンティストの専門性 在籍するデータサイエンティストの専門分野や経験年数。

4.2 PoCから運用まで一貫してサポートしてくれるか

AI開発は、モデルを開発して終わりではありません。ビジネスの現場で実際に価値を生み出し続けるためには、PoC(概念実証)から本格開発、そして運用・改善までを見据えた長期的なサポート体制が不可欠です。目先の開発だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰し、一貫して伴走してくれるパートナーを選びましょう。

特にPoCで良好な結果が出た後、それを実際の業務システムに組み込み(プロダクト化)、安定的に稼働させるフェーズには、AIの専門知識だけでなく高度なシステム開発能力が求められます。

また、リリース後も市場やデータの変化に合わせてAIモデルの精度を維持・向上させるための運用保守(MLOps)が欠かせません。契約前に、どこまでの範囲をサポートしてくれるのかを明確にしておくことが、プロジェクト成功の鍵となります。

フェーズごとのサポート内容確認リスト
フェーズ 確認すべきサポート内容
企画・PoC 課題ヒアリング、データアセスメント、PoCの計画策定、費用対効果の試算支援。
開発・実装 本格的なモデル開発、既存システムとの連携(API開発など)、UI/UX設計。
運用・保守 モデルの精度監視(モニタリング)、定期的な再学習とチューニング、システム障害時の対応。
改善・拡張 現場への定着支援、ユーザーフィードバックの収集と改善提案、機能追加や適用範囲拡大の提案。

4.3 見積もりの妥当性と契約内容の確認

AI開発は高額な投資になることが多いため、費用と契約内容は慎重に確認する必要があります。複数の会社から見積もりを取得し、内容を比較検討することはもちろん、契約書に記載される条件が自社にとって不利なものになっていないか、法務部門も交えて精査することが重要です。

4.3.1 見積もり内容の精査

見積もりを確認する際は、総額だけでなく、その内訳を詳細に確認しましょう。「一式」といった曖昧な項目が多い場合は注意が必要です。どのフェーズに、どのような作業で、何人のエンジニアやデータサイエンティストが、どのくらいの期間関わるのか(人月単価)が明確になっているかを確認します。また、サーバー費用などのインフラコストや、外部ツールを利用する場合のライセンス費用が含まれているかもチェックすべきポイントです。

4.3.2 契約形態と知的財産権の確認

AI開発プロジェクトでは、成果物の完成を約束する「請負契約」と、専門的な業務の遂行を約束する「準委任契約」のいずれか、または両方を組み合わせた契約が結ばれます。特に、成果が不確実なPoCフェーズでは準委任契約となることが一般的です。また、開発したAIモデルやソースコードの著作権などの知的財産権がどちらに帰属するのかは、将来的に自社でAIのノウハウを蓄積・活用していく上で極めて重要な項目です。契約前に必ず確認し、必要であれば交渉しましょう。

契約前の確認事項
項目 確認ポイント
契約形態 プロジェクトのフェーズ(PoC、開発など)ごとに請負契約か準委任契約か明確になっているか。
知的財産権の帰属 開発したAIモデル、アルゴリズム、ソースコード等の権利は発注側・受注側のどちらに帰属するか。
データの取り扱い 提供するデータの機密保持、個人情報保護に関する条項は十分か。二次利用の可否はどうか。
検収条件 何をもって「成果物の完成・納品」とするか。検収の基準が具体的に定義されているか。
再委託の可否 受注した業務の一部を、発注側の許可なく別の会社に再委託することがないか。

5. AI開発に必要なリソース(人材・環境・データ)

AI開発は、従来のシステム開発とは異なる独自のリソースを必要とします。プロジェクトを成功に導くためには、「人材」「開発環境」「データ」という3つの要素が不可欠です。これらのリソースが一つでも欠けると、AIモデルの精度が上がらなかったり、プロジェクトが頓挫したりする原因となります。ここでは、それぞれのリソースについて具体的に解説します。

5.1 プロジェクトを推進するチーム体制

AI開発を成功させるには、多様な専門知識を持つ人材で構成されたチームが不可欠です。単にプログラミングができるだけでなく、ビジネス課題の理解からデータ分析、モデルの実装・運用まで、幅広いスキルが求められます。理想的なチーム体制と各役割は以下の通りです。

職種 主な役割 求められる主要スキル
プロジェクトマネージャー (PM) プロジェクト全体の計画立案、進捗管理、予算管理、チーム内外のコミュニケーションを担当。AIプロジェクト特有の不確実性や仕様変更に柔軟に対応する能力が求められます。 プロジェクト管理能力、課題解決能力、コミュニケーション能力、AI開発プロセスへの理解
データサイエンティスト ビジネス課題を基にAIモデルの設計、アルゴリズムの選定、モデルの構築と評価を行います。統計学や数学的知識を駆使して、データから価値ある知見を引き出します。 数学・統計学の知識、機械学習・深層学習の専門知識、Pythonなどのプログラミングスキル、データ分析能力
データエンジニア AIが学習に使うためのデータを収集・加工・整備し、データ分析基盤(データパイプライン)を構築・運用します。膨大なデータを効率的に扱える環境を整える役割を担います。 データベース・DWHの知識、ETL/ELTツールのスキル、クラウドプラットフォームの知識、プログラミングスキル
AIエンジニア / MLエンジニア データサイエンティストが構築したAIモデルを、実際のアプリケーションやシステムに組み込みます。API開発やモデルのパフォーマンス監視、再学習の仕組み構築(MLOps)も担当します。 Webアプリケーション開発スキル、クラウドインフラの知識、コンテナ技術(Dockerなど)、MLOpsに関する知見
ドメインエキスパート プロジェクト対象となる業界や業務に関する深い知識を持つ専門家です。現場の課題を正確に定義し、AIの学習に必要なデータや評価指標が適切かを判断します。 対象分野の深い業務知識、課題発見能力、データに対する洞察力

これらの専門人材をすべて自社で確保するのは容易ではありません。特にデータサイエンティストやAIエンジニアは需要が高く、採用が困難な状況が続いています。そのため、自社の状況に応じて、一部の役割を外部の専門企業に委託する(外注する)ことも有効な選択肢となります。

5.2 開発に必要な言語・ツール・インフラ

AI開発では、目的に応じた適切なプログラミング言語やツール、そして高性能な計算処理を支えるインフラ(開発環境)の選定が重要です。ここでは、現在主流となっている技術スタックを紹介します。

5.2.1 プログラミング言語

現在のAI開発において、プログラミング言語はPythonが第一選択肢となっています。その理由は、数値計算やデータ分析、機械学習モデル構築のためのライブラリやフレームワークが非常に充実しており、世界中の開発者コミュニティが活発で豊富な情報が得られるためです。少ないコード量で複雑な処理を記述できる点も大きなメリットです。

5.2.2 フレームワーク・ライブラリ

フレームワークやライブラリを活用することで、AI開発を効率的に進めることができます。目的に応じて以下のようなツールが広く使われています。

分類 代表的なツール 概要
機械学習・深層学習 TensorFlow, PyTorch, Scikit-learn ニューラルネットワークや回帰、分類など、多様な機械学習モデルを構築・学習させるためのフレームワーク。
データ処理・分析 Pandas, NumPy 表形式データの操作や高速な数値計算を行うためのライブラリ。データの前処理に不可欠です。
データ可視化 Matplotlib, Seaborn データ分析の結果やモデルの評価をグラフなどで視覚的に分かりやすく表現するためのライブラリ。

5.2.3 開発インフラ

AIモデル、特に深層学習モデルの学習には膨大な計算処理能力が求められます。そのため、高性能なGPU(Graphics Processing Unit)を備えた環境が必須です。インフラの選択肢は大きく分けてオンプレミスとクラウドの2つがあります。

  • オンプレミス環境
    自社内にGPUを搭載した高性能なサーバーやワークステーションを設置する方法です。機密性の高いデータを外部に出せない場合や、常に計算リソースを占有したい場合に適しています。ただし、初期投資が高額になり、維持管理のコストや手間がかかる点がデメリットです。
  • クラウド環境
    Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud、Microsoft Azureといったクラウドプラットフォームが提供するAI/機械学習サービスを利用する方法です。必要な時に必要な分だけ計算リソースを借りられるため、初期費用を抑えつつ、柔軟に環境を拡張できます。Amazon SageMakerやVertex AIなどのマネージドサービスを使えば、環境構築の手間を大幅に削減できるため、現在のAI開発では主流の選択肢となっています。

5.3 AIの精度を決める「データ」の質と量

AI開発において、プログラムコードやアルゴリズム以上に成功を左右するのが「データ」です。「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」という言葉があるように、AIは学習したデータの範囲内でしか能力を発揮できません。そのため、質の高いデータを十分な量だけ用意することが極めて重要です。

5.3.1 データの量(Volume)

AIモデルがデータに潜む複雑なパターンや法則性を見つけ出すためには、一般的に大量の学習データが必要です。必要なデータ量は、解決したい課題の複雑さや用いるAIモデルの種類によって大きく異なりますが、数千から数万件以上のデータが一つの目安となります。データ量が不足していると、モデルが十分に学習できず、未知のデータに対する予測精度が低くなる「過学習」という問題を引き起こしやすくなります。

5.3.2 データの質(Quality)

量以上に重要となるのがデータの質です。質の低いデータで学習させると、AIが誤った判断を下したり、特定の傾向に偏った(バイアスのかかった)モデルが生成されたりする原因となります。データの質を評価する主な観点は以下の通りです。

  • 正確性: データの内容に誤りやノイズが含まれていないか。例えば、売上データにマイナスの値が入っているなど。
  • 網羅性: 必要な情報が欠けていないか。欠損値が多いデータは、そのままでは学習に使えない場合があります。
  • 一貫性: 表記の揺れ(例:「株式会社」と「(株)」)や単位の不統一がなく、データ全体で形式が整っているか。
  • 多様性・非バイアス性: データが特定の条件に偏っていないか。例えば、特定の年代の顧客データだけで需要予測モデルを学習させると、他の年代に対しては正しく予測できなくなります。

社内に蓄積されたデータが、そのままAIの学習に使えることは稀です。多くの場合、データの収集、不要な情報の除去(クレンジング)、欠損値の補完、形式の統一といった「データ前処理」と呼ばれる作業が必要になります。この前処理は、AI開発プロジェクト全体の工数の大部分を占めることもある、非常に地道で重要な工程です。

6. AI開発の費用相場と期間

AI開発を検討する上で、最も気になる点の一つが「費用」と「期間」ではないでしょうか。AI開発のコストは、プロジェクトの目的、規模、複雑さ、データの有無、開発手法など、さまざまな要因によって大きく変動するため、一概に「いくら」と断言することは困難です。しかし、各フェーズにおける費用相場やプロジェクトの規模に応じた期間の目安を把握しておくことで、適切な予算計画とスケジュール策定が可能になります。

ここでは、AI開発プロジェクト全体の費用感と、完成までにかかる期間の目安を具体的に解説します。

6.1 フェーズごとの費用目安

AI開発は、一般的に「企画・構想」「PoC(概念実証)」「開発・実装」「運用」「改善・拡張」という複数のフェーズを経て進められます。各フェーズで必要な作業内容が異なるため、発生する費用も変わってきます。特にAIエンジニアやデータサイエンティストといった専門人材の人件費がコストの大部分を占めることが多く、その人月単価は100万円~250万円程度が相場となっています。

以下に、各フェーズの費用と期間の目安をまとめました。

開発フェーズ 費用目安 期間目安 主な作業内容
フェーズ1:企画・構想 50万円~300万円 1ヶ月~2ヶ月 ビジネス課題のヒアリング、AIで解決すべき課題の特定、目的の明確化、費用対効果(ROI)の試算、データアセスメント
フェーズ2:PoC(概念実証) 100万円~500万円 2ヶ月~4ヶ月 データの収集・前処理、アルゴリズムの選定、小規模なプロトタイプ開発、技術的な実現可能性と精度の検証
フェーズ3:開発・実装 500万円~数千万円 6ヶ月~1年程度 本格的なAIモデルの開発・学習、既存システムへのAPI連携や組み込み、UI/UX設計、パフォーマンステスト
フェーズ4:運用 月額30万円~100万円 継続 サーバー・インフラの保守、モデルの稼働監視、定期的なパフォーマンスレポート、障害対応、ユーザーサポート
フェーズ5:改善・拡張 100万円~(都度見積もり) 必要に応じて 新たなデータによるモデルの再学習、精度改善のチューニング、新機能の追加、適用範囲の拡大

上記の表はあくまで一般的な目安です。特にPoCフェーズは、検証の難易度や範囲によって費用が大きく変動する傾向があります。また、開発・実装フェーズでは、開発するAIの機能や連携するシステムの数によって、必要な工数が大きく変わるため、費用も数千万円単位になることも珍しくありません。運用フェーズでは、インフラ費用に加えて、データが変化することでAIの精度が劣化する「モデルドリフト」を監視・対応するための人件費も考慮する必要があります。

6.2 プロジェクト期間の具体例

プロジェクト全体の期間も、開発するAIの種類や難易度によって大きく異なります。ここでは、プロジェクトの規模別に具体的な開発期間の例を見ていきましょう。

6.2.1 小規模プロジェクト:FAQ対応チャットボットの導入

特定の業務に特化した比較的小規模なプロジェクトです。既存のAIサービス(API)やSaaSツールを活用することで、開発期間を短縮できるケースが多くあります。

  • 期間の目安:2ヶ月~4ヶ月程度
  • 費用の目安:100万円~400万円
  • 内容:Webサイトに設置し、よくある質問に自動で回答するチャットボットを開発。シナリオ設計、UI開発、既存ツールとの連携などが主な作業となります。

6.2.2 中規模プロジェクト:画像認識による製品の検品システム

独自のデータを収集し、オリジナルのAIモデルを学習させる必要があるプロジェクトです。PoCで十分な精度が出せるかどうかの検証に時間がかかることがあります。

  • 期間の目安:6ヶ月~1年程度
  • 費用の目安:800万円~2,000万円
  • 内容:工場の製造ラインで流れてくる製品の画像から、AIが不良品を自動で検知するシステムを開発。良品・不良品の画像データ収集とアノテーション、モデル構築、ラインへの組み込みまでを行います。

6.2.3 大規模プロジェクト:基幹システムと連携した需要予測・業務最適化システム

複数のデータソースを統合し、企業の根幹業務に関わる意思決定を支援する複雑なプロジェクトです。要件定義からシステム連携、現場への定着まで、長期的な取り組みが必要となります。

  • 期間の目安:1年~数年
  • 費用の目安:2,000万円~数億円
  • 内容:過去の販売実績、天候データ、Webアクセスログなど複数のデータを統合・分析し、将来の需要を予測。その結果をもとに、最適な在庫数や人員配置を自動で算出するシステムを構築します。

これらの例からもわかるように、AI開発の期間と費用は多岐にわたります。自社のプロジェクトがどの規模に該当するかを想定し、開発を依頼する会社と綿密に相談しながら、現実的な予算とスケジュールを策定することが成功の鍵となります。

7. まとめ

本記事では、失敗しないAI開発の進め方を、企画から運用までのロードマップに沿って解説しました。AI開発を成功させる鍵は、技術力以前に「何を解決するのか」というビジネス課題を明確にすることです。その上で、PoCを含む5つのフェーズを着実に進め、自社の目的やリソースに合った開発手法を選択することが重要となります。本記事で紹介したポイントを押さえ、計画的にプロジェクトを推進することで、AI活用の成功確率は格段に高まるでしょう。

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