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食品ロスの現状とは?なぜ減らないのか企業の取り組みの事例から学ぶ

 

食品ロスは、環境汚染や経済損失などさまざまな影響を及ぼします。にもかかわらず、なぜ食品ロスは減らないのでしょうか。

この記事では、食品ロスが減らない理由や企業の食品ロス削減に向けた取り組み事例を紹介します。最後まで読んでいただければ、食品ロス削減に向けてできる対策を立てやすくなるでしょう。

食品ロスを正しく理解して現状を知る


まだ食べられるのに廃棄された食品を「食品ロス」と呼びます。食品ロスは、一人一人が意識を持ち取り組んでいかなければならない課題です。解決するためにも、食品ロスの基本知識を押さえましょう。ここでは、食品ロスに関する概要と現状を解説します。

食品ロスとは

食品ロスとは、食べられるにもかかわらず、さまざまな理由で廃棄される食品のことです。種や骨など、元から食べられない部分は食品ロスに含まれません。

食品ロスと似た言葉にフードロスがあります。英語で表記すると、食品ロスはFood waste、フードロスはFood lossです。フードロスは消費者の目に触れる前に事業で廃棄される食品だけを指すため、誤解を生まないように新聞社・官公庁では食品ロスを使っています。

現状での廃棄量はどのくらい?

農林水産省および環境省の調査(2020年度推計)によると、企業が廃棄する事業系食品廃棄物と家庭系食品廃棄物は、2,372万トンに上ります。そのうち、事業系食品ロスは275万トン、家庭系食品ロスは247万トンでした。

2021年度の推計値は事業系食品ロスが279万トン、家庭系食品ロスが244万トンです。

食品ロスはなぜ減らない?


食品ロスの問題は、日本だけでなく海外の国々も向き合わなくてはなりません。先進国と発展途上国では、食品ロスの原因が異なります。ここでは、日本における食品ロスの原因を解説します。原因を理解して、適切な対策を立てましょう。

需要以上の過剰生産

農作物は天候の影響を受けやすく、過剰生産する傾向があります。過剰生産は不良在庫や過剰在庫を招き、廃棄につながる要因のひとつです。

しかし、凶作になることを考えると安易に生産量は減らせません。生産量を減らした場合、小売業が要求する発注量に対応できず、ペナルティを負うリスクがあるためです。

品質基準による廃棄

生産者や加工業者は、小売業が要求する基準に従って食品を集荷します。日本は品質基準の厳しさが問題です。

サイズ・重さ・見た目といった品質基準に通らなかった食品は、規格外品として廃棄されます。規格外品といっても、栄養・味・安全性は規格品と変わりません。リサイクルも可能ですが、廃棄したほうがコストを抑えられるという理由から廃棄している状況です。

大量陳列での売れ残り

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店では、さまざまな商品を数多く販売しています。売り切れによる販売機会損失を防ぐために、十分な在庫を確保している店舗もありますが、必要以上の陳列は売れ残りにつながります。

売れ残ったものは、販売期限のルールに沿って廃棄しなくてはなりません。

食材・食べ残しの廃棄

家庭では、未調理食品の期限切れの他、買い過ぎや作り過ぎが食品ロスにつながります。

飲食店での食べ残しも食品ロスの原因です。飲食店に訪れる人は、一人一人食べられる量が異なります。食べ残しが多い場合、提供する量を見直し、セットメニューが過剰でないか確認しましょう。

食品ロスと食料自給率の関係性

日本の食料自給率は38%(2021年度)です。この値はカロリーベースで、実際に消費者が摂取した量をカウントしているため、消費者に届くまでに発生する食品ロスは含まれていません。消費者だけが食品ロス削減に取り組んでも、食料自給率の向上は困難な状況です。

生産量を減らすといった対策だけでは解決できません。根本的な解決のためには、国と生産者が食品の管理・流通・販売などの課題に取り組む必要があります。

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食品ロスが減らないことによる影響とは


まだ食べられるにもかかわらず、何らかの理由で食品を廃棄している人が数多くいます。もったいない、という気持ちを持ちながら捨ててしまうこともあるでしょう。しかし、食品ロス問題をそのままにしておくと、経済的な損失や環境への悪影響が生じる可能性があります。

ここでは、企業・家庭に食品ロス削減が求められる理由を解説します。

経済損失が大きい

廃棄した食品を処分するにはコストがかかるため、食品ロスが多いほど家庭・企業共に経済損失が大きくなります。食品ロスを含むごみの処理費用は年間2兆1,449億円(2021年度)で、全て税金で賄っています。

企業の場合、廃棄した食品にかかった人件費や光熱費を捨てたといってもよいでしょう。需要予測や適切な在庫管理といった対策で、食品ロスを防ぐことが重要です。

環境汚染が深刻化

廃棄された食品は最初に焼却しますが、焼却時に地球温暖化に影響を与える二酸化炭素が発生します。

さらに、焼却後に出る灰は埋めなくてはなりません。日本は国土が狭く、埋める土地も限られています。環境省による一般廃棄物の排出と処理状況(2021年度)の調査結果では、最終処分場の残余年数は2021年度末時点で23. 5年です。

22. 4年だった1年前の調査より改善していますが、今後も食品ロス削減に取り組んでいかなくてはなりません。

食品ロス削減のためにできる簡単な取り組み


食品ロス削減への取り組みは、短期的ではなく継続が大切です。継続するためにも、取り組みやすいことから始めましょう。ここでは、家庭と企業でできる食品ロス削減への取り組み例を紹介します。中には今日からできることもあるため、早速取り組みましょう。

賞味期限の表示見直し

家庭では、賞味期限と消費期限の違いを理解することが食品ロス削減につながります。賞味期限はおいしく食べられる期限、消費期限は安全に食べられる期限です。

賞味期限の表示を、年月日から年月に変更した食品メーカーもあります。年月表示に変えることで物流拠点間の在庫転送ができるようになり、食品ロス削減につながっています。

必要な分量を購入

買い物で注意したいのは、買い過ぎです。買い過ぎを防ぐには、買い物前の在庫チェックが効果的です。冷蔵庫・冷凍庫の中はもちろん、棚にあるストックも確認し、メモや写真を参考にしながら買い物しましょう。

まとめ買いするとお得になるケースもありますが、食べ切れない量は結局廃棄することになります。家にあるストックや家族が食べられる量を計算し、計画的にまとめ買いしましょう。

フードシェアリングの利用

フードシェアリングとは、廃棄予定の食品を必要としている人へシェアする活動です。現在は、フードシェアリングのマッチングアプリも登場しました。マッチングアプリでは、BtoC(小売店・飲食店と個人)やCtoC(生産者と個人)でマッチングします。

マッチングアプリの積極的な活用は、企業の認知度アップや新規顧客獲得にもつながります。

フードバンクを通じた食品寄付

品質・味に問題がないにもかかわらず、印字ミスや破損といった理由で通常販売できずに処分していた食品もあるでしょう。フードバンク団体に寄付することで食品ロスを削減できます。

寄付できる食品は、コメ・麺類・菓子・インスタント食品・飲料・調味料などさまざまです。フードバンク団体に集まった食品は、福祉施設・生活困窮世帯などに無償提供します。

2023年5月31日時点で、233のフードバンク団体が活動しています。

食品ロスに取り組む海外の事例

フランスは2016年2月に食品廃棄禁止法を制定しました。延べ床面積400平方メートル以上のスーパーマーケットを対象に、賞味期限切れなどの理由で売れ残った食品の廃棄を禁じる法律です。

スペインのガルダカオでは、ボランティア団体が屋外に連帯冷蔵庫を設置しました。連帯冷蔵庫には、レストランで余った料理や近隣住民が使い切れなかった食品を入れます。必要としている人に食品を提供することで、食品ロスを削減できる取り組みです。

オーストラリアでは、パン・野菜・果物・加工食品などを無料で提供する「無料スーパーマーケット」を展開しています。

食品ロス削減で日本企業が取り組む事例


食品ロスの削減は、企業にもメリットがあります。ここからは、需要予測やデータを生かして食品ロス削減に取り組む日本企業の事例を3つ紹介します。「自社に何ができるか分からない」と悩んでいる方も、事例を見ればイメージが浮かぶかもしれません。

株式会社あきんどスシロー

株式会社あきんどスシローは、2002年から回転すし総合管理システムを導入しています。

すし皿にICチップを取り付けたことで、どの商品がどの時間帯に売れたのかをリアルタイムで把握できるようになりました。データを基に、着席してから1分後と15分後に求めるすし皿の数やすしのネタを予測してレーンに流す仕組みです。

予測に使用するデータは、年間10億件にも上ります。多くのデータを分析することで高い精度の需要予測ができ、食品ロス削減にも成功しました。

株式会社マルエツ

株式会社マルエツは、自社が展開するスーパーマーケットでフードドライブ活動を行っています。家庭で余った食品を対象店舗に持ち込んでもらい、フードバンク団体などへ寄付する取り組みです。

フードドライブ活動を開始したのは2021年2月です。当初は千葉県船橋市の3店舗だけでしたが、2023年1月時点で東京都・埼玉県・神奈川県を含む51店舗まで展開しました。これまでに約4万7,000点もの食品が必要としている人に届いています。

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社は、小売業が持つ在庫・受発注のデータ、卸売業が持つ入出荷・在庫・商品の発注ロットのデータと天候情報を基に、メーカーへの自動発注の仕組みを構築しました。

各データをAIに入力してメーカーが要求する推奨発注値を算出し、発注システムにデータ転送する仕組みです。在庫を10%〜30%削減できただけでなく、発注業務量の半減にも成功しています。

UMWELTは企業の食品ロス対策に最適!


食品ロス対策に取り組みたい企業様には、TRYETINGの『UMWELT』がおすすめです。UMWELTはノーコードAIのため専門知識が要らず、既存の従業員で利用できます。ここからはUMWELTの特徴と企業の導入事例を紹介します。

AIの導入で適正在庫を維持できる

UMWELTは、需要予測・在庫管理によって在庫の最適化を実現するAIツールです。在庫の最適化は、食品ロス対策にもつながります。

AIといっても、ノーコードのため専門知識は必要ありません。日常業務で使用しているExcelなどのCSVデータとUMWELTが搭載するアルゴリズムを組み合わせるだけで、在庫の最適化が可能です。「予測結果の精度が出ない」といった場合も、カスタマーサクセスが解決までサポートします。

予測需要の活用事例

オフィス家具を取り扱うアルプススチール株式会社様では、営業の勘を頼りに製造のオーダー数を決めていました。予測と実績に差が生まれることも多く、「売れるものだけを製造したい」という思いからUMWELTを導入しました。

UMWELT導入によって、営業が需要予測に割いていた時間が減り、本来の営業業務に専念できることが見込まれています。今後は、需要予測だけでなく各工場・工程でAIを活用する方針です。

(参考: 『【アルプススチール様】UMWELT活用事例|補助金の活用でAI導入、在庫削減へ|TRYETING』

まとめ

「食品ロスはなぜ減らないのか」という問いに対する答えとして、過剰生産や売れ残り、家庭での作り過ぎが挙げられます。したがって、賞味期限表示の見直しや需要予測の精度向上、適切な在庫管理は食品ロス削減に効果的といえるでしょう。

UMWELTは、需要予測・在庫管理ができるAIツールです。専門知識がなくても使えることから、ITが得意でない方でも利用できます。無料相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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AI予測ツールUMWELT紹介ページ(活用事例あり)

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