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BUSINESS

共同配送のメリットと事例!効率を高める輸送手段とポイントも解説

 

共同配送は、物流業が抱える問題に対応する手段のひとつです。物流企業の共同配送には、どのような事例があるのでしょうか。

この記事では、共同配送のメリットや事例、効率を高める輸送手段、導入のポイントを紹介します。これらを理解して実践すれば、コスト面でも品質面でもより良い配送サービスを実現できるでしょう。

共同配送の事例とは?


ECサービスの普及で、物流の需要は大幅に増加しました。多頻度小ロット化したことで、物流企業は少ない荷物を届けるために何度も移動する必要があります。共同配送は、このような課題を解決する手段です。ここでは、共同配送の概要と事例を紹介します。

他の企業と組んでコストを抑える配送

共同配送とは、複数の物流企業が同じ配送先の荷物を持ち寄り、共同で配送する方法です。コストの削減、ドライバー不足や労働条件の改善、都市部の交通渋滞や駐車スペース不足の緩和、CO2排出量の削減、サービスの向上などが目的です。

物流の多頻度小ロット化は、企業や従業員の肉体的・経済的負担が増えます。また、交通量とCO2排出量の増加は、社会全体に影響する問題です。このような状況を危惧し、国土交通省も共同配送を推奨しています。

複数の企業の荷物をまとめて受け取れることは、顧客にとってもメリットです。現状の業務における「無駄」をなくし、顧客満足度を高めるためにも、企業は共同配送の導入を考える必要があります。

共同配送の基本的な共同化

企業の組み合わせで分類すると、共同配送は主に3つの事例があります。

1つ目は、同業種の共同化です。一度に配送する荷物の量を拡大し、積載率を高めます。保管や受発注も共同化することで、倉庫業務の効率化も可能です。同業種であれば、比較的簡単に顧客層や配送期間といった条件を整えられるでしょう。

2つ目は、メーカー・卸売業者・小売業者といったサプライチェーン全体の連携による共同化です。生産から販売までのプロセスで生じる情報(在庫情報・輸配送情報・販売情報など)を共有することで、物流全体を効率化します。

3つ目は、配送専門業者の共同化です。共同集荷業者や共同配送センターなどの専門業者は、それぞれが特定の業種業態に関する能力を保有しています。物流ネットワーク資産を共有することで、個別で行うより質の高いサービスを安価で提供できます。

共同配送に向いている荷物とは?

共同配送に向いている荷物の特徴は以下の通りです。具体的には、日用雑貨、食料品、医薬品、事務用品、自動車部品などが挙げられます。

・1個当たりのサイズが小さく大量に積める
・形状が一定である
・毎日消費し、注文頻度が高い
・ひとつの配送先から定期的に受注がある

一方、形が大きく一定でない荷物は、共同配送に向いていません。スーパーや家電量販店にBtoB配送をする企業が共同配送を導入する傾向があります。

共同配送の効率を高める輸送手段


複数企業の荷物をまとめるだけでは、効率化できる領域が限定的です。共同配送と別の手段を組み合わせることで、さらに広範囲を効率化できます。

共同配送の効率を高める輸送手段として「ミルクラン方式」と「ラウンド輸送」があります。ここでは、それぞれの特徴と仕組みを見てみましょう。

ミルクラン方式

ミルクラン方式は、購入した業者が車両を出して、各サプライヤー(商品供給者)の拠点を固定化したルートで回る仕組みです。自動車産業や家電業界で取り入れている方式でしたが、他の業界でも普及が進んでいます。

通常はサプライヤーの輸送コストを原材料の販売コストに含めますが、ミルクラン方式により、サプライヤーは輸送コストの削減が可能です。

一方、購入者は原材料の調達コストを明確にできます。必要なときだけ柔軟に発注し、一度に到着するため、検品コストと在庫コストの削減にも有効です。

なお、「ミルクラン」という名前は、牛乳メーカーが生乳の集荷に複数の酪農家を巡回していたことが由来です。

ラウンド輸送

ラウンド輸送は、積み込んだ荷物を届けた後に別の荷物を積んで帰ってくる方法で、空荷による復路の「無駄」が発生しません。一般的に、地域ごとに存在する複数の拠点が協力して実現します。

例えば、日本製紙株式会社、DOWAエコシステム株式会社、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)の3社は、秋田県と首都圏間で鉄道によるラウンド輸送を行っています。

DOWAエコシステム株式会社がリサイクル原料を首都圏から秋田県内のグループ工場に運び、復路は日本製紙株式会社秋田工場から段ボール原紙を首都圏の契約工場に運ぶ仕組みです。

モーダルシフト(トラックによる長距離配送を鉄道や船舶の輸送に転換すること)により、トラック配送の負担も軽減しています。

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共同配送を導入するメリットとデメリット


共同配送のメリットは豊富ですが、複数企業の荷物をまとめることでデメリットも生じます。ここでは、「納品」「荷物情報」「配送網」「コスト」「取り扱い」の5項目におけるメリットとデメリットを紹介します。

メリット

共同配送を導入するメリットは以下の通りです。配送にかかる手間やコストを削減できるため、配送企業にも顧客にもメリットがあります。

納品 ・固定化したルートで配送するため、納品時間が安定する・商品をまとめて受け取れることで、顧客の手間を削減できる
荷物情報 ・伝票の印刷と貼り付け作業が1回で済む
物流ネットワーク ・同一地域内で構築しやすい
コスト ・商品1個当たりの配送料が安い・料金設定が安定する(突然の料金改定がない)
取り扱い ・宅配便ではコスト上難しい小ロット配送に対応できる・路線便と異なり、大ロット配送にも対応可能・共同配送と通常配送を同じ窓口で対応できる

デメリット

共同配送の導入によるデメリットは以下の通りです。複数企業の条件合致が前提のため、不自由な部分もあります。

納品 ・急な追加発注に対応しづらい・順番まで固定化しているため、一部の地域は毎回配達が遅くなる
荷物情報 ・通常配送のようなトラッキングが難しい
物流ネットワーク ・共同する全ての企業が合致しなければ構築できない・全国対応はできない
コスト ・荷物が極端に少量・大量の場合、メリットが出ないことがある(500キログラム~2,000キログラムが理想)
取り扱い ・BtoC配送には対応できない・時間指定や柔軟な時間変更ができない

共同配送を可能にする2つのポイント


共同配送のデメリットは、避けられないものばかりではありません。業務や情報をどのように共有するかが重要です。

共同配送を可能にするポイントとして「ハード面の標準化」と「ソフト面の統一」があります。これら2つのポイントを詳しく見てみましょう。

ハード面の標準化

ハード面では、積載スペースを効率的に活用するため、パレットや段ボールの規格を標準化します。配送期間や料金設定も、企業間で調整しましょう。

温度管理が必要な商品や損傷しやすい商品は、トラブルにつながらないように梱包方法も標準化が必要です。共同物流センターを利用する場合、保管方法も相談して決めます。

ソフト面の統一

共同配送は、荷物の現在位置や到着時間といった情報の把握が困難です。企業間で統一の管理システムを導入することで、正確な情報を把握・共有できます。場合によっては、既存システムの改修や新しいシステムの導入も必要です。

追加注文によるコストの増加や商品の破損といったトラブルを避けるために、責任所在や扱う商品のルールも作成しましょう。

共同配送2つの具体事例


輸送手段や業種によって、共同配送のやり方は異なります。ここでは、共同配送の具体的な事例を2つ見てみましょう。いずれも国土交通省の表彰を受けたプロジェクトです。プロジェクトの概要や参加企業を紹介します。

食品企業物流プラットフォームの構築

食品大手6社が設立した協議会「F-LINEプロジェクト」は、食品企業物流プラットフォームを構築し、運営しています。

参加企業 ・味の素株式会社(代表企業)・株式会社Mizkan Holdings・カゴメ株式会社・日清オイリオグループ株式会社・株式会社日清製粉ウェルナ・ハウス食品グループ本社株式会社・日本貨物鉄道株式会社・全国通運株式会社・日本通運株式会社
プロジェクト概要 ・F-LINEプロジェクトと物流取引先が共同したプロジェクト。輸配送の共同化、モーダルシフト、幹線輸送の集約化を実施した・作業の効率化、生産性の向上、CO2排出量の削減を実現した
ポイント ・ハード面だけでなく、食品業界の仕組みやルールの標準化といったソフト面も改善した・CO2排出量を216トン削減した

出荷物流の共同化

株式会社ダイワコーポレーションは、沖縄県からの出荷物流を共同化しています。プロジェクトの詳細は以下の通りです。

参加企業 ・株式会社ダイワコーポレーション(代表企業)・沖縄県酒造組合
プロジェクト概要 ・沖縄の小ロットメーカーから関東の納品先までの物流を共同化し、東京に共同物流センターを設置した・CO2排出量の削減、物流の効率化、納品期間の短縮といった物流サービスの高度化を実現した
ポイント ・小ロットメーカーから那覇空港までのトラック配送と東京湾までの船舶輸送を共同化し、東京の物流拠点も共同化した・大手から中小まで多くの企業が参加。CO2を6.6トン削減し、出荷量ベースを約50%カバーしている

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運用時に課題が生じたときは、データ分析の専門家であるカスタマーサクセスが直接解決に導きます。

まとめ

共同配送は、コスト削減やドライバー負担の軽減、サービス品質の向上など、メリットが豊富です。ミルクラン方式やラウンド輸送も取り入れることで、さらに効率が高まります。一方、荷物情報の把握や物流ネットワークの構築が難しいといった点がデメリットです。

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