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BUSINESS

棚卸資産回転率の計算方法と目安とは?分析して在庫管理を効率化する

 

棚卸資産回転率は、さまざまな業種の在庫管理で重要なポイントです。在庫を効率的に運用するには、どのように活用すればよいのでしょうか。

この記事では、棚卸資産回転率の概要や計算方法、業種別の目安、分析方法について解説します。棚卸資産回転率と併せて活用したい指標も紹介しますので、効率的な在庫管理に役立つでしょう。

棚卸資産回転率を分かりやすく解説


棚卸資産回転率は、在庫管理における指標のひとつです。この項目では、棚卸資産回転率が何を目的とした指標なのか、回転率の意味を紹介します。

付随する「棚卸資産回転期間」についても解説しますので、それぞれの違いも理解しましょう。

棚卸資産回転率とは

販売目的で仕入れた商品や製造した製品、原材料、消耗品など、企業が所有する棚卸資産を一定期間にどのくらいの効率で運用しているかを示す指標が「棚卸資産回転率」です。在庫回転率とも呼ばれます。

数値が大きければ「倉庫の出入りが早い」、小さいと「倉庫にとどまっている」と判断できます。棚卸資産回転率は、商品がどれだけ売れているか、適切に在庫を管理できているかを把握するために欠かせない指標です。

回転率の意味

回転率は、一定の期間に何回入れ替わったかを表す数値です。一定の数量の商品を仕入れて在庫として保管し、全て販売できたら新たに仕入れます。

棚卸資産におけるこのサイクルの回数が棚卸資産回転率です。例えば、1年間の棚卸資産回転率が10の場合、年間で入れ替わった棚卸資産の回数は10回です。ここから「10回では効率が悪いから改善しよう」といった適切な判断ができます。

棚卸資産回転期間との違い

棚卸資産回転期間は、棚卸資産が1回転する期間を示す指標です。棚卸資産回転率から分かるのは一定期間に販売した比率ですが、棚卸資産回転期間からは在庫をどのくらい持っているかが分かります。

棚卸資産回転期間は「12(か月)/棚卸資産回転率」または「365(日)/棚卸資産回転率」で算出します。棚卸資産回転率が20回転の場合、棚卸資産回転期間は0.6か月、または18.25日です。

棚卸資産回転率は算出できる


棚卸資産回転率を算出する方法は2つあります。それぞれ、分子と分母に何を設定するかがポイントです。求められる数値も異なるため、目的に合った方法を選択しましょう。ここでは、基本的な方法と併せて、より正確さを求める方法を解説します。

売上高から算出する方法

売上高から求める「棚卸資産回転率=売上高/期末棚卸資産」は広く使われる計算式です。

売上高は売上原価だけでなく外部から得た利益も含めた金額で、売上原価を分子とする方法より利益分だけ数値が大きくなります。

利益はさまざまな要因で変化して数値に影響するため、在庫効率だけを考えると正確な方法ではありません。しかし、棚卸資産が売り上げに影響する度合いが分かります。企業の経営状況や問題点の把握など、財務分析に活用する際は売上高から算出するとよいでしょう。

売上原価から算出する方法

売上高ではなく、売上原価を使った計算方法もあります。計算式は「棚卸資産回転率=売上原価/期末棚卸資産」です。

売上原価は商品の仕入れ費用に相当します。つまり、企業が商品を売るために投資した費用を何回転で回収できたかを求める方法です。

利益を含まないことから、売上高を使った計算式より正確な比率が算出できます。在庫管理の効率だけを考えたいときに有効です。

より正確さを求める場合

計算式の分母である期末棚卸資産は、決算日の値です。分子の売上原価と売上高が年間の累計額であるのに対し、分母は一時的な値を使用しています。

より正確さを求める場合、期中平均値を使用して棚卸資産回転率を算出しましょう。期中平均値の計算式は「(期首棚卸資産+期末棚卸資産)/2」です。

棚卸資産回転率の目安を知ろう


棚卸資産回転率の目安が分かれば、在庫管理に関する具体的な目標が立てられます。ここでは、一般的な棚卸資産回転率の目安と数値の考え方、業種別の回転率を紹介します。

一般的な目安

業種によって適切な棚卸資産回転率は異なるため、一概には言えませんが、一般的な目安と数値に対する考え方は以下の通りです。なお、運輸業や飲食業は回転率が高く、下記の目安の対象ではありません。

棚卸資産回転率 数値に対する考え方
5回以下 低い。売れない在庫を抱え過ぎている可能性がある。
6回~10回 高いとは言えない。在庫を見直し、改善する余地がある。
11回~23回 1か月に1回以上回転している平均的な状態。適切な在庫管理を継続しながら、さらなる効率化を図りたい。
24回以上 高い。1か月に2回以上回転している非常に効率が良い状態。

業種別の回転率

以下は、経済産業省の「中小企業実態基本調査」の統計データを基にした2020年度の平均棚卸資産回転率です。10回未満が平均の業種もあれば、100回以上の業種もあります。自社の在庫を見直すときは、同業種の平均棚卸資産回転率を目安にするとよいでしょう。

業種 平均棚卸資産回転率(回)※売上高/棚卸資産
建設業 9.86
製造業 8.70
情報通信業 10.96
運輸業、郵便業 158.85
卸売業 16.63
小売業 13.85
不動産業、物品賃貸業 3.74
学術研究、専門業、技術サービス業 45.55
宿泊業、飲食サービス業 61.60
生活関連サービス業、娯楽業 45.99
サービス業(他に分類できないもの) 70.14

(参考: 『中小企業実態基本調査 令和3年確報(令和2年決算実績)確報|e-Stat』

棚卸資産回転率の目安を生かすポイント


棚卸資産回転率の目安は、在庫管理を見直す際の重要な指標です。しかし、目安を知るだけでは改善にはつながりません。一般的な目安や同業種の平均値が適切な目標でない場合もあります。

目安とリスクを考慮した上で、自社の棚卸資産回転率を分析することが大切です。ここでは、棚卸資産回転率の分析方法とリスクを確認しましょう。

数値の分析方法

基本的に棚卸資産回転率が高ければ、商品の売れ行きが良く適切な在庫管理ができている状態です。数値が低い場合、現実的に販売できる見込みを考え、在庫を持ち続けるか廃棄するかを早急に判断しましょう。

適切な棚卸資産回転率は事業規模によって異なるため、自社に合った目標設定が重要です。業種別の平均値や同業他社の数値を参考にするだけでなく、複数年の自社データを比較しましょう。

リスクは?

棚卸資産回転率が過度に高いと、在庫不足のリスクがあります。自然災害や事故により物流が停止したとき、在庫があれば一定期間販売を継続できますが、少ない在庫で回していると販売自体が不可能です。

売り上げの機会損失だけでなく、企業の信用低下につながりかねません。リスクも考慮した棚卸資産回転率を目指すなら、業種ごとの平均より少しだけ高い数値を目安にしましょう。

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棚卸資産回転率のパターンと分析


棚卸資産回転率を向上するには、数値を分析した上で原因と対策を明確にする必要があります。

数値のパターンは「低い場合」「前年比が大きい場合」「前年と変わらない場合」の3種類です。それぞれに分析する余地があるため、この項目で理解しましょう。

棚卸資産回転率が低い場合

「商品の売れ行きが悪いこと」または「在庫が多いこと」が、棚卸資産回転率が低い原因です。品質が悪い在庫や仕入れ過ぎた在庫、管理できていない在庫がある場合、値引き販売を検討しましょう。販売できる見込みがなければ、廃棄や業者への引き取り依頼といった対策が必要です。

全体の売れ行きが良くても、一部の商品が売れないことで数値が下がる場合があります。回転率の低下につながっている商品を特定し、個別に対策を講じましょう。

一時的な対策ではなく、適切な目標値を設定した上で定期的な在庫状況の確認が必要です。目標の再設定も視野に入れながら、短いスパンで改善しましょう。商品別の管理など、回転率が低下する原因を発見・改善しやすい体制整備も重要です。

前年比が大きい場合

前年と棚卸資産の金額が同じでも、回転率の差が大きいときは、売上高の差を分析する必要があります。考えられる原因は、販売手法の変化、棚卸資産の種類や売れ行きの変化です。

リベートやセールを積極的に行うと、売上高および棚卸資産回転率は下がります。販売手法と棚卸資産の種類が同じでも、トレンドの変化で売れ行きが変わる場合もあります。変化した要因を調査し、どのような商品と販売手法が売り上げにつながるのかを明確にしましょう。

売上高が同じで回転率の差が大きい場合、棚卸資産額の差が影響しています。在庫管理、生産管理、物流管理の体制がどのように変化したか調査しましょう。仕入れや製造が増えると、在庫も増加し、棚卸資産回転率は下がります。

前年と変わらない場合

棚卸資産回転率が前年と変わらない場合、売上高と棚卸資産の金額を確認しましょう。変化しているのであれば、在庫管理の効率はそのままで企業規模が拡大または縮小したことになります。

また、同規模の同業他社の数値と比較しましょう。複数社と比較して自社が低いと分かれば、在庫管理や販売手法を改善する余地があります。

棚卸資産回転率とセットで見ると役立つ指標


商品の売れ行きや在庫の管理状況を把握するための指標は、棚卸資産回転率だけではありません。棚卸資産回転率とセットで見ると、役立つ指標がいくつかあります。ここでは、商品回転期間、仕入債務回転期間、売上債権回転期間の概要と計算式を見てみましょう。

商品回転期間

商品回転期間とは、商品ごとの棚卸資産回転期間です。特定の商品在庫が1回転するまでに何日かかるかが分かります。

商品回転期間は「12(か月)×商品在庫高/商品売上高」「365(日)×商品在庫高/商品売上高」で求められます。棚卸資産回転率や棚卸資産回転期間に大きな影響を与える商品を明確にしたいときに役立つ指標です。

仕入債務回転期間

仕入債務回転期間とは、商品を仕入れてから決済が完了するまでの期間を指します。資金繰りの状況を確認するための指標です。仕入債務回転期間は「12(か月)×仕入債務/売上原価」「365(日)×仕入債務/売上原価」で求められます。

未払いのリスクを避けるために重要な数値です。仕入債務回転期間が長いと、将来的に売り上げが伸びず資金繰りが厳しくなる、または現時点で厳しい状態にあると分かります。

売上債権回転期間

売上債権回転期間は、商品を売り上げてから決済するまでの期間を指します。計算式は「12(か月)×売上債権/売上高」「365(日)×売上債権/売上高」です。

資金繰りの状況を確認する指標として役立ちます。売上債権回転期間が長い場合、資金繰りが厳しい状況です。

在庫管理の効率化にはUMWELTが役に立つ


在庫管理を効率化する手法のひとつに、システムの導入があります。しかし、システムの導入や運用は難しいイメージがあるのではないでしょうか。

TRYETINGのノーコードAIクラウド『UMWELT』は、専門知識がなくても在庫管理のシステム化が可能です。ここでは、UMWELTの魅力と成功事例を紹介します。

ノーコード予測AIで業務を自動化

UMWELTのノーコード予測AIプラットフォームは、需要予測・在庫管理・自動発注といった在庫管理の効率化や自動化に役立つ機能が豊富です。ノーコードのため、専門的な知識は必要ありません。アルゴリズムを組み合わせて、自社に合ったシステムを構築できます。

データがうまく処理できない、アルゴリズムの組み合わせ方が分からない、予測結果の精度が出ないといった課題が生じた場合、データ分析の専門家カスタマーサクセスがサポートします。

成功事例

2022年6月時点で約92億のレンタル資産を保有するASNOVA様は、需要予測や在庫管理のためにUMWELTを導入しています。

全国19の機材センターで膨大な数の機材を管理するには大きな負担がかかり、属人化や適正在庫の管理が課題でした。

UMWELTは過去2年程度の実績データを基に、1年〜2年先の需要予測が可能です。ASNOVA様の約300種類ある商品の必要在庫も数分で算出できます。UMWELTの活用により、失注を抑え、例年と比べて機材の稼働率が大幅に上昇しました。

(参考: 『【ASNOVA様】UMWELT活用事例|需要予測を自動化して、無駄な在庫を減らして管理コストを削減|TRYETING』

まとめ

棚卸資産回転率とは、1年間で在庫が何回入れ替わっているかを示す値です。商品の売れ行きや在庫管理の状況を把握し、棚卸資産の運用効率を向上するための指標として役立ちます。

業種別の平均を超える数値を目安に、棚卸資産回転率を上げる対策を講じましょう。TRYETINGのUMWELTは、AIシステムで在庫管理の効率化が可能です。

導入や運用に不安がある方のために、無料相談も受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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