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物流でのブロックチェーンの目的とは?メリットや活用方法を解説

 

仮想通貨で注目を集めたブロックチェーン技術は、物流業界でも活用に向けた動きがあります。ブロックチェーンとは何か、どのように活用できるかを知りたい方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ブロックチェーンの基本情報と活用のメリット、注意点について解説します。最後まで読むことで、ブロックチェーンの具体的な活用法を理解できるでしょう。

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物流とブロックチェーンの関係


ブロックチェーン技術は、さまざまな分野で利用が進んでいる技術です。日常生活で恩恵を受けていても、実態はよく分からない方もいるでしょう。ここでは、ブロックチェーン技術の基本と物流分野での活用例を紹介します。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、データベース技術の一種です。ブロック単位でデータを管理し、一本の鎖(チェーン)のようにつないで正確に維持します。

ブロックチェーンは仮想通貨の実現に不可欠な技術として有名ですが、その理由は取引の改ざんが困難なためです。それぞれのブロックには固有のハッシュ値が書き込まれており、取引を改ざんするとハッシュ値の整合性が取れず、不正の発見が容易になります。

現在では金融業界だけでなく、物流業界や食品業界など、多分野での活用が見込まれる技術です。

物流を効率的に管理

ブロックチェーンは、物流サプライチェーンが抱える課題を解決できると期待されています。物流サプライチェーンは、製品の原材料調達から製造、在庫、流通、販売、消費までの一連の流れです。1社だけでなく、関連する全ての企業を含めた鎖(チェーン)のつながりを意味します。

サプライチェーンの課題は、複数の企業間で交わす情報が標準化していない、機密情報の扱いが難しいといった点です。サプライチェーンにブロックチェーン技術を活用することで、各企業は信頼性を担保しながら取引ができます。

情報システムの標準化や連携が進むと、無駄な業務の削減や情報交換の効率化が実現するでしょう。

物流に重要となるブロックチェーン3つの特性


ブロックチェーンはデータベース技術のひとつですが、従来の技術にはない特性があります。具体的には、「トレーサビリティー」「耐改ざん性」「透明性」の3つです。ここでは、ブロックチェーンが持つ3つの特性について解説します。

トレーサビリティー

ブロックチェーン技術を使うと、トレーサビリティー(追跡可能性)によって過去の取引履歴を正確に把握できます。

データベースには改ざんができない取引データ(トランザクションデータ)がブロック単位で存在し、時系列で保存しているため、高いトレーサビリティーを有しています。これまでの取引を全て記録しており、データが失われることはありません。

長く複雑な物流サプライチェーンにおいて、荷物の取引履歴を時系列に全て記録するため、どこからでも履歴をたどれます。

耐改ざん性

ブロックチェーン技術が注目を集める大きな理由は、データの改ざんが極めて困難なためです。

ブロックチェーンは過去の取引全てを記録したブロックのつながりで、何者かが改ざんを図った場合、一定時間以内に改ざんしたブロック以降にある全ブロック情報を書き換えなければなりません。

同時に、ブロックチェーンネットワークに接続している半数以上のノード(パソコン・サーバー)で同じ情報への書き換えが必要で、事実上不可能といわれています。

透明性

ブロックチェーンネットワークには、中央集権的な管理者はいません。ネットワーク内に接続する全員が同じ情報を共有します。中心的な管理者がいなくても、コンセンサスアルゴリズムにより全体合意の形成が可能です。

参加者はブロックチェーンネットワーク内の情報を取得できますが、編集はできません。不正ができないことから透明性が高まり、安心して取引できます。

物流にブロックチェーンを活用する具体的なメリット


信頼性と透明性の高い取引が可能なブロックチェーンは、物流にさまざまなメリットをもたらします。物流における企業間取引や業務効率化が、ブロックチェーンの特徴とマッチするためです。ここでは、ブロックチェーンが物流にもたらす具体的なメリットを4つ紹介します。

サーバーにかかるコストを削減

複雑な物流を効率的に管理するには、システムによるサポートが必要です。システム環境の構築には、大規模なサーバーが欠かせません。これまではサプライチェーンに関わる企業ごとに利用するシステムが異なり、データの共有に時間を要するケースもありました。

データベースの分散化ができるブロックチェーンであれば、データを一元管理する大規模なサーバーは必要ありません。導入・維持のコストや共有にかかる時間を削減できます。

輸送のスピードアップ

物流では、書類作成が必要なプロセスが存在します。取引企業間の取引や通関手続きは電子メールやファックスによるやりとりが多く、煩雑な手続きは物流効率を落とす要因です。効率的な物流を実現するには、手続きの簡略化と迅速化が求められます。

企業間でブロックチェーンを活用すると、貿易・物流に必要な情報を即座に共有可能です。輸出入に必要な書類手続きの迅速化を図り、システム入力が必要なデータを最大80%削減した例もあります。

在庫の最適化が可能になる

サプライチェーン全体で在庫を最適化するには、需要や現在の在庫を正確に把握しなければなりません。サプライチェーンでは、企業ごとに需要予測や在庫最適化を実施しており、全体の最適化は困難です。そのため、過剰在庫による廃棄や欠品が起こることも考えられます。

ブロックチェーンの活用により、サプライチェーン全体で需要・在庫情報がリアルタイムで共有可能です。情報に合わせて各企業が業務を調整することで、廃棄や機会損失を削減できるでしょう。

不正の検知で安全な取引ができる

品質の高い食品や製品を消費者に届けるには、サプライチェーン全体で厳密に管理する必要があります。例えば、不正に取得した安い原材料や規格外の製品が途中で混入しないような管理です。

ブロックチェーンでサプライチェーンを管理すれば、原材料・部品に関する履歴情報を全て記録するため、不正な製品・部品が入り込むリスクを減らせます。万が一混在しても、迅速な原因の究明と修正が可能です。

物流でブロックチェーンを活用した具体例


ブロックチェーンを物流に活用すると、さまざまなメリットがあります。具体的な活用事例を理解すると、自社におけるブロックチェーン活用のイメージがより明確になるでしょう。ここでは、株式会社ニトリとFedEx Corporationの取り組みを紹介します。

社外との連携で最適な人員配置:株式会社ニトリ

家具・生活雑貨小売業大手の株式会社ニトリは、分社化した株式会社ホームロジスティクスを通じて、ブロックチェーンによる物流改革に取り組み始めました。目的は、書類の撤廃と社外との連携です。

物流における受発注は紙の伝票・注文書が主流で、効率の悪さが課題でした。取引情報をデジタル化しブロックチェーンで管理したことで、業務効率を改善しています。

また、家具の配送を業者に委託する際、担当者が十分なスキルを持っているか確認できません。提携事業者全体で共有できるブロックチェーンを用意し、人員配置の最適化を目指しています。

配送の効率化や不正取引の防止:FedEx Corporation

物流大手のFedEx Corporationは、他社に先駆けてブロックチェーンの活用を始めました。2018年2月にBlockchain in Transport Allianceに加盟して以降、物流業界でブロックチェーンの標準化を進めています。

背景には、多様化する国際物流において効率化が必要な一方、膨大な書類手続きにより煩雑さが増しているという課題があります。危険物や偽造品が世界的なトラブルを引き起こすため、輸送の段階で阻止しなくてはなりません。

これらの課題解決には、国際物流へのブロックチェーン導入を各国政府で義務付ける必要があるというのがFedEx Corporationの主張です。FedEx Corporationは、情報のデジタル化だけでなく、ブロックチェーンによる共同管理で配送効率を上げることを目指しています。

物流にブロックチェーンを活用するときの注意ポイント


ブロックチェーンを物流に導入する際は、ここで紹介する5つの点に注意しましょう。あらかじめ注意点を踏まえておくことで、ブロックチェーンを有効活用できます。注意点にはセキュリティーに関わる内容もあるため、社内で共有しましょう。

入力したデータの削除

ブロックチェーンは、取引データを改ざんできない点がメリットです。つまり、一度入力したデータは削除できません。誤って入力し、修正が必要な場合でもやり直しはできない点に注意が必要です。

個人情報のようなデータをブロックに格納すると、情報の暗号化はできても削除はできません。全員に情報が伝わることを踏まえ、個人情報の格納は避けましょう。

処理スピード

ブロックチェーンは、取引数が増加するほど連結するブロックの数が増えて、蓄積するデータ量も大きくなります。増加したブロックはノードによる検証が必要なため、処理が増大してネットワークの混雑を招きかねません。

中央集権型のデータベースは、システムのスペックを拡張すると処理スピードが改善します。一方、ブロックチェーンネットワークの処理スピードは、参加者個々の機器性能に依存する点に注意しましょう。

法規制の問題

急速に発展と導入が進むブロックチェーン技術に対し、法の整備が追い付いていません。ブロックチェーンネットワーク上の個人情報管理やデジタル資産に対する税制度の整備には、まだ課題があります。

近年、サプライチェーンは国内だけでなく海外にも拡大していますが、ブロックチェーン上の情報管理に対して各国の法規制はさまざまです。物流拠点や取引先が海外にある場合、その国の法規制に従わなくてはなりません。規制内容に差があれば、情報共有ができない恐れがあります。

開発と導入費用

巨大なサーバーを構築する必要がないブロックチェーンは、維持費が安いのがメリットです。一方、開発や実装には高い費用がかかります。

開発費用が高い要因のひとつは、ブロックチェーン技術を利用したプロダクトを開発できるエンジニアが少ないことです。人材が市場にいないため、開発にかかる人件費は高額になります。規模が大きいほど開発費も高くなるでしょう。

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物流に関する業務範囲は広く、さまざまなプロセスと業務で成り立っています。物流全体を効率化するには、ひとつひとつのプロセスの最適化・効率化が必要です。その手段として、デジタルツールの活用があります。

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まとめ

ブロックチェーンは、物流サプライチェーン全体を効率化する技術として注目を集めています。ブロックチェーンの活用にはさまざまなメリットがありますが、高い開発・導入費用が問題です。導入費用を抑えて物流業務の効率化を図るなら、TRYETINGのUMWELTがおすすめです。

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